超!俺流

超!俺流

2022年09月30日
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夏も終わり朝夕の気温がグッと下がる頃になると、この街1番の盛り上がりを見せる祭「地車祭り」が開催される。

地車祭りって言うても岸和田の地車祭りとはまた違う。やり回しとかじゃなくて、ぶん回しって言うて地車を思いっきり回したりする。またこれはこれでなかなかの迫力があるパフォーマンスだ。

10月の2週目の土日で開催されるこの祭には、街中の猛者共がこぞって参加する。どうやって目立つか?どうやって名を上げるか?勿論、純粋に祭りに取り組み楽しむって言う奴の方がほとんどだが、俺等はそれとは違った。「アホな奴等」の方だった。


1日目の夜。千代田駅周辺の道を全て通行止めにし、「パレード」が開かれる。7つの街、7台の地車が集まり、その街その街のプライドをかけた技を見せ合うのだ。大袈裟ではなく何千人ものギャラリーが集まる程に、どこの街もこの時にかけているのだ。

そんなパレードが始まる数時間前。

晩飯を食うているとケン暴が俺に言う。
「一発かますぞ。」と。

ケン暴は俺とは違う街の地車を曳いていたが、その街にはとてつもなくややこしい奴がいた。街の誰もが一目を置くと言うか、悪く言えばややこし過ぎて誰も相手にしない様な男だった。当時俺等は19歳か20歳くらいで、その男は30そこそこで1番勢いのある頃だった。

「ホンマに言うてんのか?」と俺が言うとケン暴は「みんなが見てる前でバチバチいったるわ。」ってな勢いだ。ホンマにコイツのメンタルと言うか気合いってヤツを錠剤みたいな薬にして売る事が出来れば、この世の中から「いじめられっ子」って言う存在は無くなるだろうと俺は10代の頃からずっと思っている。



千代田駅前は賑やかで、そんな雰囲気が俺は大好きでアホみたいな話をしながら呑気に酒を飲んでいた。ええくらいに酔っ払って来た頃には数時間前のケン暴の「一発かますぞ。」って言葉も、まぁまぁさすがに何もないやろと自分なりに解決していた。

そんな時だった。

人混みを物凄い勢いでかき分けながら数人が走ってくる。ヨシオ、ユタ、サトル。1つ下の後輩だ。

「マー君!ヤバいっ!早よ来てっ!」

…、…。

嘘だと言ってくれ。頼むから嘘だと言ってくれ。
一気に酔いが冷める。酔いが冷めるどころか血の気が引き貧血でも起こしそうな感覚だった。一歩目をなかなか踏み出せない気持ち。何度でも言う。嘘だといってくれ。

が、ここまで来れば行くしかない。3人の後を嫌々追う。と、そこには街中のアホみたい顔した野次馬が溜まってる。出来る事なら俺も野次馬の最後尾辺りで見物していたかったが、そうも行かずにVIP席へと招待される。格闘技で言えば1席数十万円する様なあれだ。

睨み合いの中、ケン暴がパチキを食う……が、ここからはスローモーションだ。ドンッ!ドンッ!ドンッ!試合終了。

クールポコがその場におったら絶対に言うてるわ。

「やっちまったなぁ!!!」



今でも鮮明に覚えてる出来事の1つ。

この時期になり街から鳴り物の音が聞こえて来ると、ケン暴のメンタルと気合いを錠剤に出来ないかと真剣に考えてしまうのだ。





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Last updated  2022年09月30日 11時13分05秒
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