2003年08月12日
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昨日、独自の人力テキストマイニングにより、
消費者の中に埋もれている貴重な暗黙知(経験のりそく)を
掘り起こすことを事業にしている方に
先方の業務の流れについて教えてもらった。

メールでのインタビュー(not enquete)で集めた定性データを
ひたすら読み込んで、下線を引く(キーワードの抽出)。
それを元にディスカッションを行ないながら、
抽出されたキーワードを分類(体系化)する。
ようするに商品の生きた経験者である消費者の声から


そうした蓄積をもとにして「ことば辞書」システムを
つくりたいということで相談を受けたのだが、
昨日はもうすこし考えてからでないとシステム化は
危険ですねという話をした。
なぜなら、それは抽出~体系化という作業に
意味(=価値)があるのであって、
抽出されたことばの体系自体に意味があるわけではないからだ。
ようするに「辞書には意味が書かれていない」のだ。

そのことばを口にしたのは、
この日記にもたびたび登場のK。
彼いわく「意味は外にある」。


商品には意味(価値)はない。
それは顧客が買って評価してくれてこそ意味(価値)がある。
アイスクリームの素材や製法がなんだとか、
どういう技術によってシステムが構築されているか
なんてとこには意味はない。


彼のたとえは、さらに納得するものだった。
「癌で余命3ヶ月の人の残りの人生に意味はあるか?」
「その人がいくら自分の内側だけで考えても絶対に意味は見つからない」
「残りの3ヶ月を生きるあいだで外の人と関わることにしか意味はない」
考えるまでもなく、余命が何年あろうといっしょです。

だからこそ、人力テキストマイニングの事業には価値がある。
それは外部のことばを大量に読み込むことで、
意味を生み出す作業だから。
外部の情報を頭に大量につめこむ以外に、
凝り固まった意識の中で新しいものを発見することはむずかしい。
もちろん、自分自身、外の人間とおなじ経験が可能なら、大量の情報は必要ない。
だからこそ、消費者の声(それはVOCですらない)を大量に
脳に浴びることが必要となる。
この過程は決して、データマイニングソフトでは代用できない。

さて、先の彼がいつも言っていることにもうひとつこういうのがある。
「行為が合意だ」
ようするに「見えない暗黙知」を共有し、そこに意味を見出し、
そこからアクションプランを導き出すためには、
経験もしくは行為の共有なくしては、ありえないということだ。





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最終更新日  2003年08月12日 17時17分32秒
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