★ 真夜中の独り言 ★

★ 真夜中の独り言 ★

★  パンドラの箱  ★2014.4.03./





         ★  パンドラの箱  ★



            偶然が
            二人を引き寄せた
            そう
            あれはクラブハウス
            入口の前でした


            不意の出逢いに
            戸惑い
            揺れた心が
            言葉を失くした


            束の間の沈黙の隙間を
            天使が
            通り過ぎてゆく


            「雪ですね」
            君の語り掛けに
            手をかざし
            「風花ですね」
            ぎこちなく応えた


            一瞬の沈黙の隙間を
            天使が
            通り過ぎてゆく


            本当に言いたい言葉は
            臆病な心に沈み
            生意気な言葉が
            独り歩き


            君は
            苦い顔つきで
            クラブハウスに消えた


            雪の舞う空を仰ぎ
            火照った心を
            冷やしながら
            「臆病者」
            何度も 何度も   
            罵ってみた


            君が語り掛けた
            あの時
            ふたりの心は
            確かに
            触れ合っていた


            だから
            もう一度だけ
            あの時に戻れたなら
            「好きです」
            そう
            言えるだろうか


            遥かの昔が
            あの光景が
            還暦を迎える
            この胸に
            今も息衝いている


            クラブハウスに居るだろうか
            真っ黒に焼けた肌
            痩せた顔で
            君は 寡黙に
            コーラを飲んでいますか


            明日こそ
            ダイヤルを回してみようか
            明日こそ
            ダイヤルを回してみようか


            桜舞う
            春の庭で
            天使が囁く
            『パンドラの箱は
            開けないほうがいい』













                  By.星原女瑪.2014.4.03.
                         2014.4.11.





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