Milky road

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第三話:偽り




「ようこそ・・・夜桜君。」

「どうも。お殿さま。」

「思ったよりも早かったね。さすが・・・といったところか。」

「見くびってもらっては困る。」


ハハハ・・・と殿様は小さく笑った。

雪奈は静かに、そして正確に言った。


「予告通り、お前の『偽り』を頂戴する。」







第三話  偽りという名の宝







「『偽り』・・・とは?」

「とぼけるな。」

「フッ・・・」


殿様は腰にさしてあった刀を抜いた。





「!!」




ガキィィィン――・・・



「・・・一対一でやるつもりか?」

「おっと。なめて貰っちゃ困るよ。」



殿様はブンッと思い切り刀を横に振った。

すぐに雪奈は距離を取った。




すぐに殿様は踏み込んで雪奈に切りかかったが、

雪奈はすべて紙一重にかわしていく。



また殿様は横に大きく刀を振った。

雪奈はまた一歩下がって


「ッ!!」


バランスを崩した。

その隙に素早く殿様が刀を振り、

かわし損ねた雪奈の頬に一筋の赤い線ができた。

そこからたらたらと血が流れてきた。




「・・・・・?」

雪奈が下を向くと、一瞬糸のような何かがキラッと光った。

「これは・・・」

「わかったかぃ?この部屋にはトラップが仕込まれてるんだ。」



雪奈はチッと軽く舌打ちすると呟いた。

「ここは慎重にいきたかったが、仕方ないか。」









フッ




「?」

雪奈は一瞬殿様の視界から消えると、

次の瞬間殿様の後ろから切っ先を殿様に向けて立っていた。

「な・・・ッ!」

殿様の額から冷や汗が一筋流れた。

「こちらとしても余り怪我人は出したくない。例のものを出せ。」

「わ・・・わかったッ!わかったから刀を下ろしてくれ!」



雪奈が軽く刀を降ろしかけたが、

その瞬間殿様がニヤリと笑ったのを見て

すかさず刀をまた殿様に向けた。



「早く出せ。」

殿様は諦めた様子で言った。




「あぁ・・・。わかったよ。」









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