
・幻冬舎文庫
・2024年12月5日 初版発行
・泣くな研修医シリーズ7
♣︎佐藤 玲
31歳の女性外科医。牛ノ町病院の外科医として7年目をむかえる。玲は恋人と会うより手術の腕を上げることに夢中であった。
♣︎岩井=ベテラン外科医
♣︎東凱慎之介(とうがいしんのすけ)
東京医科薬科大 現役の(上級)外科医。岩井の後輩。玲が研修医のとき牛ノ町病院に派遣されてきた。玲の指導医。当時36歳。
♣︎澁谷春海=玲の恋人、天文学者
玲は外科医だった父親の影響で医者になった。
東京麹町にある女子中・高校を卒業、現役合格で北陸富山の大学で6年間の医学生時代を過ごした。玲には天文学者の恋人がいてプロポーズされている。外科医になって7年目、自分の進む道について悩んでいた。
玲が研修医一年目のとき、関連病院である東京医科薬科大から東凱慎之介という外科医がが牛ノ町病院へ派遣されてきた。彼は研修医の教育係に任命されたようで、玲は東凱から指導を受けた。分からないことだらけだった玲はなんでも東凱に尋ねた。
突っ込んで聞いても怒るようなことはせず、彼は玲の質問になんでも答えてくれた。しっかり面倒を見ようという気持ちが感じられた。救急の外来での心得や、玲がずっと不思議に思ってきた謎がみるみる氷解していく。東凱の話はずっと聞いていかった。
玲は心に決めた。
「私は東凱のような外科医になる。どんな危機的状況でも動じず、鮮やかに患者の命を救い、聞き惚れる説明を後輩にする」
玲が牛ノ町病院の外科医として7年目を迎えたある日、岩井から緊急入院してきた患者の主治医を任せたいと言われた。
直腸癌、肺転移、ステージ4、年齢は43歳。
4年前までここで働いていた、髭面で優しげな目の、めっぽう手先の器用な、あの東凱慎之介だった。
直腸癌を切除後、肺に転移した腫瘍は縮小させたのち切除。患者の希望により化学療法は行わず経過観察していたが、2年後、肝転移再発。今後の治療方針についての会議であったが、何せ、患者はこの疾患の専門家なのである。
会議が終わったあと、岩井は玲に東凱の話を聞いてやってくれという。2年前も岩井は、こんな風に私に押し付けた。
カウンセラーでも精神科医でもない私にできることがあるのだろうか。
逆に東凱は、こんな時でも自分が外科医にとって一番大切だと思っていることなど、玲に様々なことを話し、また生き方について悩む玲の話を聞き、真摯に助言の言葉をくれた。
そんな東凱が死んだ。
直接の死因 大腸癌
死亡までの期間 2年6か月13日。
解剖 無
上記の通り診断
医師 佐藤玲
病棟を出ると、玲はエレベーターホールでボタンを押す。
ゆっくり開いたエレベーターの扉から、一瞬、東凱が「よう、お疲れ」と顔をだすのではないか、と思った。だが、もう、東凱はいない。永遠にそのシーンはやってこない。



作者は現役の外科医。現役の医師ならではの病気に対する知識と鋭い視点。単なる小説としてでは無く、いつも引き込まれるように読んでしまいます。
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