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紫色の月光
八話後編
上空に浮くどでかいドラム缶は実は三階建ての宇宙船である。その最上階――――管制室には三つの影がいた。
「隊長。サンプルを数名捕らえました」
「うむ、よくやったぞサージャー」
「ですが、気になる事が」
サージャーと呼ばれた影は目の前の巨大モニターに画像を映し出す。そこには戦車とパトカーと言う異質の組み合わせが存在していた。
「捕らえたサンプルから生命反応が出ているのは5つ。その中でも特に異質なのがこれです」
すると戦車とパトカーが映っていた画像は一瞬にして犬の画像に切り替わった。ネルソンたちと行動していたポチである。
「他の4つとは明らかに違う身体構造をしています。これはこの太陽系第三惑星、地球の生命体の中でも極めて異質な存在なのではないかと思われます」
「ふむ、では他のサンプル達はどうなっている?」
「トーラットがこちらに連れて来ております。こちらに」
サージャーが壁のボタンを押すと、まるで忍者屋敷のように壁がぐるんと回転して、そこから4人の人影が一つの影に連れられて現れた。
「ふむ、こやつ等がサンプルか。確かに我々とは異質だな」
「おい、さっきから訳のわからん音波でトークしてるんじゃない! 俺達にもわかる様に喋れ!」
マーティオの言う事も最もだった。彼らの耳には目の前にいる三つの影が耳障りなノイズで会話しているようにしか聞こえないのだ。
「そういえばまだ翻訳機を使用していなかったな。サージャー、トーラット。翻訳機を起動しろ」
「承知しました、隊長」
そういうとサージャーは又してもボタンを押した。それと同時、彼ら三人の姿が四人の視界に映し出される。
『!』
その姿は………人間そのものだった。ただ、何故か三人の姿は統一感が無かった。
先ず、モニターの前で何やら作業をしているのは何故かメイド服を着ている美女である。そして四人を連れてきたのは人形としか言えない妙に小さい女の子。
そして真ん中にいて一番偉そうにしているのは鉢巻を巻いたおっさんだった。
そのおっさんが一歩前に出て四人に言う。
「ようこそ、あたしがこの宇宙船の隊長なのだ」
その言葉に反応するよりも囚われた四人は語尾に反応した。その姿と言い、言葉使いといい、これではまるで何処かの家庭の「パパさん」ではないか。何となく「西から昇ったお日様が東に沈む」と言う本来なら有り得ないフレーズが合いそうな感じがする。
「因みに、この宇宙船は総勢三人乗り。つまり乗組員は私たちだけなのであります」
今度はメイド服が言う。こっちも何処かで聞いたことがあるような語尾である。
「つまりです。お前達が来て一気に数が二倍以上になったですぅ!」
小さい女の子も何処かで聞いたことがあるような語尾である。しかも目茶苦茶どうでもいいことを言ってきた。
と言うか、流石に此処まで語尾が特徴的なら突込みを入れてきたくなる。
「あのー………? ちょっと質問があるんですが」
その突込みを入れたのは他ならぬジョンである。
「ふむ、一体何なのだ? 地球人。あたしが答えられる範囲でなら答えるのだ」
それに答えようとするのは隊長だ。彼は一歩前に出てジョンを見る。正直、余り迫力が無い。
「取り合えず、我々から見たら……異星人なんですよね?」
少々遠慮がちにジョンが言う。
「そうなのだ。あたし達はここから遠く離れた惑星ナンバーAの42からやってきた、地球人から見ればまさしく宇宙人なのだ」
「では、何故此処にきたのか理由を説明して欲しい」
今度はネルソンが真面目顔で言う。
「今から約100時間前。あたし達惑星ナンバーAの42の他星観察隊が強力な電波を受け取ったのだ。発信源を辿ってみれば、この星から放たれていたのであたし達が地球観察に派遣されたのだ」
その言葉を聞いた瞬間、仮面をつけているエリックとマーティオの顔色が一瞬して青色になった。その電波に心当たりがあるからである。
「んでもって、その電波の詳しい発信源を辿ってみると、この大陸にたどり着いて、尚且つ発信源と思われる二人も見つけたのだ。その様子からして自分でも気付かないうちに大量の電波を浴びていたらしいのだ」
すると隊長はエリックとマーティオを静かに指差した。それを見て唖然としたのはジョンであり、騒がしくなったのはネルソンである。
「何だと、怪盗二人組み! 貴様等は宇宙人を呼び寄せると言う素敵な技術を手に入れていたのか!?」
「最初は冗談だったんだよ。宇宙人なんていないと思ってたから出来た」
ところがどっこい、宇宙人は存在していた。やっぱり宇宙は広い。
「それで、貴様等は俺達をどうするつもりだ?」
マーティオは隊長に問うた。
「うむ、あんた達は最初に捕らえた地球人のサンプルなのだ。解剖したり、脳波を調べたり色んなことをさせられるのだ」
その言葉に四人はシンクロして反応した。
『な、何だとォォォォォォッ!?』
「ま、運が悪かったと思って諦めるですぅ」
「同じタイプの生命体が四体いるのならいい研究データが得れそうであります」
「ところで、先ほどからどうしても聞きたいことがある」
今度は落ち着いた口調でエリックが問うた。
「何でお前等はそんなに語尾が特徴的で、尚且つどっかで見たことがあるような気がするんだ?」
そのエリックの言葉に他の三人は頷いた。
確かに、それは一番訊きたい事とも言える。何故なら先ほどから全員気になっているからだ。
「それは簡単なのだ。この地球にはラピュコーン……あんた等の言葉で言わせて貰うところの情報電子機器があるはずなのだ」
「我々はその情報機器にアクセスし、中に存在しているデータの力によって貴方達と会話しているであります。それが我々の翻訳機の力なのであります」
「ついで言えば、今回はテレビと言う物で放送されていた番組とやらを参考にさせてもらったのだ。確か……アニメとか言ったのだ。だから喋り方や格好はその参考にされたキャラクターが反映されているのだ」
その言葉を聞いた四人は凄く納得してしまった。
「さて、今度はこちらから質問させてもらうのだ」
すると、隊長がエリックとマーティオの前にやって来た。
「その二人はなんで仮面をつけているのだ?」
その言葉に思わずエリックは唸ってしまう。一方のマーティオは舌打ちをしていた。
「ふむ、何も言わないと言う事は特に意味は無いと思うのだ。二人とも、この二人の仮面を外すのだ」
それは決定的な言葉だった。それだけはなんとしても避けなければならない。宇宙人だけならともかく、此処にはネルソンとジョンもいるのだ。この二人の前で素顔をさらすのは出来るだけ避けたい。
しかし、それは無駄な抵抗と言う物だった。
あれからどのくらいの時間が経過したのだろうか。ポチはパトカーの中で孤独な時間を味わっていた。
「クゥン……」
正直に言うと、かなり寂しい。特に隣に戦車と言うのが何となく嫌な空気を作り出していた。
しかしそこでポチは気付いた。幸か不幸か、窓が開いているのだ。それはネルソンが大騒ぎして窓から身を乗り出したときに開いていた窓である。
「わん!(ここで行動しなかったら男じゃないだろうが!)」
ポチは運転席の助手席側の開いている窓から、身を投げ出すかのようにして外に出た。
着地は成功。文句なしだ。
「わん!(待ってろよ、警部さんに刑事さんよぉ!)」
ポチはその強力な嗅覚を用いて自身の主人を探しに行く。そしてその嗅覚はネルソンのニオイを確かに捕らえていた。
ドラム缶型宇宙船は三階建てと言う奇妙な設計になっている。その一番下の階には戦車等が保管されているのだが、それとは別にもう一つブロックがある。俗に言う、サンプルの牢屋だ。
ここには四人のサンプルが捕まっている。
エリック・サーファイス。
マーティオ・S・ベルセリオン。
ネルソン・サンダーソン。
ジョン・ハイマン。
この四人である。彼らはそれぞれ別の部屋に入れられており、彼らの武器は上の階に没収されている。
「おい、怪盗」
「なんだよ、警官」
ネルソンの言葉に、隣の部屋のエリックが答える。この牢獄は一見、何時でも出られそうな感じで扉が無い。しかし一度外に出ようとするとまるで見えない壁に拒まれるかのように電流が襲い掛かってくるのだ。
「お前達はこれからどうするつもりだ?」
ネルソンの言葉にエリックとマーティオは何も返せない。此処から出れ無い以上、何も出来ずにただサンプルとして扱われてしまうしかないからだ。
しかしそれは二人の望む事ではない。しかし、
「どうしようもないな。俺達じゃあ」
「貴様等、仮面を外したら急に弱弱しくなったな」
ネルソンは思った事を真っ直ぐ言った。
今の怪盗は仮面を外されて素顔をさらされている。その素顔を見たときはネルソンはついつい怒りを覚えた。何故なら彼らの仮面を外す役は自分がするはずだったからだ。この二人を今まで追ってきた自分が、自らの手で謎の宿敵の正体を暴く。それがネルソンのここ数年の目標だったのだ。
「うるせー。出来ない事は何も出来ん……」
「俺は嫌だ」
エリックの言葉を遮るようにマーティオは言う。彼は横から見える三人を睨みつけながら言った。
「俺はこんな所で死ぬなんて真っ平ゴメンだ。俺はまだ先輩に再会してもいなければキョーヤにも会っていない。――――だから、戦おう」
「警部、自分も同意見です」
するとマーティオに同調するかのようにジョンも言う。
「自分はこんなところで宇宙人のサンプルとして研究モルモットにされるのは嫌です」
「そりゃあ、俺だってそうさ。しかしどうすれば―――――」
「ネルソン・サンダーソン警部。俺達に協力しろ」
するとマーティオは予想外の事を言った。その言葉に耳を疑ったエリックは思わず聞き返す。
「おいおい、正気か!?」
「俺は何時だって本気だ。今回ばっかりは強がりを言ってられん」
マーティオは徐に立ち上がると、両手を前に突き出した。
「悪い条件じゃないと思う。ここにいる間だけの停戦条約。んでもって、無事に逃げられたら、俺達二人は一旦逃げさせてもらう。その後は好きにすればいいさ」
「良いだろう」
ネルソンはエリックの予想に反してあっさりと承諾した。
「俺とて家族がある身だ。そしてまだ家族サービスも満足にしていない。そんな状態で死んだら死んでも死に切れん」
「じゃあ、後はお前だな。エリック」
マーティオはこちらを見下ろしながら言った。今回は妙にその鋭い目線が恐いと思う。
「でもな、最終兵器も無いのにどうやってここから脱出するつもりだよ?」
今の二人には切り札とも言える最終兵器が無い。それらは上の階に没収されているからだ。しかし、マーティオは何時もの不気味笑いで顔を歪ませると、右掌を大きく広げる。
「アホ、最終兵器は何時だって―――――」
するとマーティオの掌の前に光の粒子が集まり始める。それは徐々に形を形成していき、次第に明確な形を築き上げていった。
「何時だって持ち主と共にある! 持ち主が願うなら最終兵器は必ず答えてくれるはずだ!」
マーティオの前の光の粒子は見慣れた大鎌となって彼の手中に納まる。
それはサイボーグ刑事との戦いや、ウィザードナイフの使用経験があるマーティオが最終兵器を信頼して、それを呼び寄せた結果なのだ。
「何時だって……共に……」
エリックはぼんやりと想像の槍を右手に持たせてみる。しかしそれは想像。現実ではない。しかし、まるでその穴を埋めるかのごとく光の粒子が集まり始めた。
それはエリックの槍と言うパズルを埋めるために用意されたピースなのだ。しかも便利な事に、自動的にピースは自分がいるべき場所へと当てはまって行く。
「………はは!」
その光景に思わず笑みがこぼれてしまう。これは希望の光なのだ。
その光を見た四人は、何とかなりそうな予感がしてきた。
――――――その中の一人との別れが待ち受けるとも知らないで。
睡眠中に一階が突然崩壊したと言う報告を受け取った隊長はすぐさま一番上の管制室へと向かっていく。
彼らの休憩室は二階にある。そこから三階へと向かっていくには単にエレベーターを使って、その後に続く階段を上っていけばいい。
「何がどうなっているのだ!」
苛立ちながら上の階へと向かおうとする隊長の肩に、突然重みが圧し掛かった。
何事かと思って後ろを振り向けば、そこには囚われたはずのネルソンがいた。
「受けろ鉄拳! ネルソンパァァァァァァァンチ!!」
ネルソンの拳は真っ直ぐ隊長の腹を抉るかのように命中する。
「ぐほぉ!?」
隊長はその拳を受けたと同時、派手な音をたててぶっ飛ばされた。そのまま壁に叩きつけられた隊長は床に倒れこみ、そのまま意識を失ってしまう。
「す、すげぇ……ネルソン警部ってこんなに強かったんだ」
「ふっふっふ。この技は何れ貴様の腹にお見舞いしてやる予定だったのだが、若干順番が変わってしまった」
ネルソンは自慢げに言う。しかしエリックの顔は一瞬にして青ざめた。あんな核兵器並のパンチを食らったら命が幾つあっても足りやしない。
「さあ、行くぞ! あの宇宙人を倒して脱出だ!」
彼ら四人の目的は没収された武器の回収と管制室の占拠である。このドラム缶は三階建ての宇宙船と言う奇妙な物なのだが、その一階一階が切り離し可能なのだ。その証拠として、一番下の階を半壊させた際に向こうが切り離してきた。
「しかし武器は何処にあるんだ!?」
「ランス! 俺達の所有物は何処にある!?」
エリックがランスに呼びかけると同時、まるで目的地を指す針のようにランスがある一室の扉に向かって勢いよく飛んでいった。
「あそこか! 頼むぜ、ネルソン警部!」
「おう! 砕け鉄拳! ネルソンパァァァァァァァァンチ!!」
ネルソンはランスの穂先がさす扉に勢いよく必殺の鉄拳を叩き込んだ。それはたったの一撃で扉をぶっ飛ばし、鉄拳の威力の高さをエリック達に思い知らせるには十分すぎた。
「あったぜ、俺の手榴弾にショットガンにナイフ!」
マーティオが自分の武器に飛びつく。それはまるで某大怪盗三世の秘伝技ダイブのようにも見えが、敢えてエリックは見なかったことにした。
「警部! 我々の拳銃も見つけました!」
「ジョン、アレはどこだアレは!」
一方の警官コンビは何か別の物を探している。一体拳銃以外に何があるというのか?
エリックの疑問にネルソンは自然体で答えてくれた。
「ジョン、バナナは何処だ!? アレが無ければ俺はエネルギー活動の問題で三分しか戦えん!」
「あんたは何処の光の巨人なんだよ!?」
エリックは思わず突っ込んだ。普段ならそういう役はジョンがやるものだから何となく違和感があるような気がする。
「バナナを馬鹿にするな! バナナは栄養がたっぷり詰まった素敵な食物なのだ!」
「俺はバナナじゃなくてあんたを馬鹿にしたの!」
それはそれで色々と問題があるような気がするな、とバナナを見つけたジョンは思った。
「貴様等、何時までもトークしている余裕は無いぞ。向こうはまだ二人いるんだからな」
マーティオの言葉で我に帰った残りのメンバーは大急ぎで自分の持ち物を装着していく。残るは管制室の占拠だ。
「急げ急げ! 追っ手が来ないうちに上の階に行くぞ!」
マーティオが先導して残りのメンバーが走る。するとT字路の中央―――――四人の真正面に人形の女の子の姿をした宇宙人が現れる。
「此処から先は通さないで………」
す、の言葉が出てくる前にマーティオがお得意の手榴弾を投げつける。その手榴弾は今回はフェイント抜きの安全ピン抜きバージョンだ。
しかし悲しいかな。彼らの惑星には手榴弾なんて物は無いのだ。だから普通に安全ピンがついていない手榴弾を受け取ってしまった彼女は何も知らないうちに吹き飛んでしまう運命になってしまう。
「敵に容赦無用……!」
マーティオが言葉を発したと同時、手榴弾は敵を巻き込んで爆発した。しかし最後の一瞬だけ四人は彼女の『本当の姿』を垣間見た。
その皮膚の色は銀の色。ポニーテールの様に銀の触覚がまとまっており、まるで肉食恐竜の様な凶暴な牙が驚きで顔を歪めていた。
「構っている余裕は無い! 先行くぞ、先!」
マーティオは構う物かとでも言わんばかりに走り出す。毎度の事だがこの男には容赦の二文字が無い。
エレベーターで上った先には階段がある。どうやらこれが三階へと続く道のようだ。
「よーし、待っていろ宇宙人!」
早速とでも言わんばかりにネルソンが走り出す。その後にジョン、エリック、マーティオと続いていく。
『残念ながらやらせないであります』
その言葉が階段を進む四人の耳に響いたと同時、凄まじい震動が彼らを襲った。その震動は数分したと思うと、ようやく収まる。しかし次の瞬間、床がまるでパズルのピースのように崩れていった。
「げ!?」
「やばい!」
流石にこの事態はどういう結果を招く物なのかよく分かる。
残りの一人は二階を切り捨てて、自分だけ逃げようと言うのだ。ここまでエリック達が強いとは予想外だったのだろう。特に一番下の階から脱出する手段がまさかその階を破壊して上の階に非難するなんて思いもしなかったのだ。
「走れ! 下に落ちて死ぬ前に走りぬけ!」
マーティオの言葉に続くかのように四人は管制室の入り口に向かって走り出す。この宇宙船は上空を飛んでいるのだ。下に落ちたら無事ではすまない。
管制室の入り口まで後数メートルといったところで、今度は管制室の入り口が宙に浮いた。完全に三階と二階を切り離したのだ。
「ぬおおおおおおおおおお!! やらせん!」
先頭になって走っていたネルソンが上に浮く管制室の入り口にジャンプする。それに続いてジョン、エリックもジャンプして何とか管制室の入り口にたどり着いていく。
「マーティオ!」
残りはマーティオだけなのだが、何故か彼はこちらに来ない。
「おい、まさかあいつ落ちたんじゃないだろうな!?」
ネルソンが身を乗り出して二階の階段を睨みつける。すると待たせたなとでも言わんばかりにマーティオがやって来た。しかも犬を抱えて。
ネルソンたちが連れてきたポチである。彼はネルソンのニオイを追ってここまで辿り着いたのだ。しかしついさっき落ちそうになってしまい、ギリギリでマーティオに助けられたのである。
「うおりゃあああああああああああ!!」
滅多に聞く事の無いマーティオが叫びが響くと同時、彼は思いっきり跳躍した。左手で犬を抱えながらも右手を必死に伸ばして何とか管制室にたどり着こうとする。
着地するには、入り口はほんの少し遠すぎた。
マーティオの身は宙に浮いたままで、入り口にたどり着くには後一歩足りなかったのだ。
しかし彼の右手を力強く握った手があった。エリックの両手だ。
「大丈夫か、マーティオ!」
「取り合えず先に犬を頼む」
マーティオは犬をネルソンに預けると、自身もエリックの両手の力を頼りに管制室の入り口に入ろうとする。
しかし次の瞬間、乾いた銃声が響いた。
「――――――え?」
エリックは我が目を疑った。あのマーティオが自分から手を振り解いたのだ。
「奴を切り殺せ!」
一人身を宙に投げ出したマーティオは思いっきり大鎌を振るう。それと同時、大鎌の刃がまるでブーメランのように柄から切り離されて、拳銃を持った宇宙人へと迫る。
「―――――――!」
最後に残った宇宙人はエリック達の真後ろにいた。だからマーティオが行動しなかったら誰かが撃ち殺されていた事だろう。
その宇宙人の胸に刃が突き刺さる。宇宙人は最後に何かを呟いていたが、それは余りにも小さな声でよく聞き取れない。
しかしパクパクと開いた口で何がいいたいのか予想はついた。
『この地球と言う星、幾らで売ってくれる?』
その答えは言うまでも無い。そもそも何故死にそうな奴に答えなければならんのだ、とエリックは思った。
宇宙人の胸に突き刺さった刃は自分から離れていく。その刃は再びブーメランの如くマーティオの元へ――――空へと飛んでいった。
「マーティオ!」
青髪の長髪の男は大鎌を持ったまま海へと落ちていく。その姿はドンドン小さくなっていき、次第に点となっていく。しかしエリックには見えた。
あのマーティオ・S・ベルセリオンが何時もの不気味笑いではなく、優しい笑みを浮かべていたのだ。
それを確認した瞬間、今度こそ本当にマーティオは海へと消えていった。
続く
次回予告
三階を操作した3人は日本へと辿り付く。
約束どおりネルソン達はエリックを見逃すが、エリックはマーティオを失った傷を癒せないでいた。
しかしそんな時、彼の前にもう一人の友が現れる。
次回、『おいでませジャパン』
「いやぁ、久しぶり。何年ぶりかな?」
第九話 前編へ
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