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紫色の月光
第一話「次元の狭間でこんにちわ」
並列世界と言う物をご存知だろうか?
世界には幾つもの可能性があり、我々が住んでいる世界はその中の一つに過ぎない。そしてその他の世界を一般的には「パラレルワールド」とも「異世界」とも言う。
では、その世界に行くにはどうすればいいのだろうか。
嘗て、とある世界の古代人達はその事を題材として研究をしていた。その結果、彼等は他の世界に行く事に成功したのだが、残念ながらその技術は後世に受け継がれる事は無かった。
だが、その技術を見つけ出し、そして他の世界へと繋ぐ道、『次元トンネル』を通る事によって他の世界へと行ってしまった者達がいた。
時が経ち、彼等は様々な戦い、出会い、別れを経験して生き残ってきた。そしてそんな彼等の目的は唯一つ。
自分達が元いた世界へと帰る事である。
次元トンネルは暗黒が渦巻く激流の様な物だ。下手をしたら流され、消滅してしまう危険な道なのである。
しかし、そんな激流の中を泳ぐ魚の様な三つの影があった。それぞれ特徴的な形の機動兵器で、そのコクピットの中一つ一つにパイロットが一人ずつ乗っている。
「今度こそ帰れるんだろーな?」
一つの影が言う。しかし、それに対して他の二つは首を縦に振ることは無かった。
「正直、分らない。なんとか転移装置を起動させる事に成功したが……ぶっちゃけ何処の世界と繋がるのかさっぱり分らん」
「いや、それは困るよ。僕たちの中で一番転移経験があるのは君なんだから」
分らない、と言った男の名前はカイト・シンヨウ。三人の中では一番転移経験がある。しかしそんな彼でも全てを知っているわけではない。それだけ転移というのは複雑なのだ。
「困る、と言われてもどうしようもない。トンネルの向こうに繋がる世界が俺達が元いた世界だと祈るしかないだろう、シデン」
呼ばれたシデン・イツキは難しそうな顔をする。
「じゃあ、さ。もしかしたら一生元の世界へと帰れないワケ?」
「そう言う事になる。転移に詳しい人物がいれば話は別だが」
だが、今まで彼等が行き着いた事がある世界は合計で10近くあるが、その中で次元転移について詳しい人物なんていなかった。あまり期待しないほうがいいだろう。
「かーっ、情けね! 運に頼るってのかよ!」
もう一つの影、乱暴な口調で愛機を操縦する男の名前はエイジ・ヤナギ。彼はリアクションを大きくつけるのを意識した為か、愛機のソウルサーガを腕組させてはイラついたオーラを漂わせていた。
「阿呆、その運に任せてラスベガスで無一文になったのは何処のどいつだ」
カイトの一言がぐさり、とエイジのハートに突き刺さる。
「五月蝿い! お前だって運任せにしてロシアンルーレットなんかやりやがったじゃねぇか!」
「俺は勝ったからいいんだ」
「良くない! 見てるほうの心臓に悪いんだぞ、そういうの!」
「知るかバーカ」
余談だが、こいつ等揃いも揃って問題児ばかりである。
「大体お前が無一文になったから俺がロシアンルーレットなんかやって稼ぐ羽目になったんだろうが。ちったあ反省しろ」
愛機の黒い機体、ダーインスレイヴ・ダークネスのコントロールをしながらカイトが言う。
「だからって何でロシアンルーレットだったんだよお前! 大体ラスベガスで稼ごう、つったのお前だろうが!」
「俺は忘れようと思った過去は忘れる主義でな」
「あ、キタネ!」
元気だねぇ、と二人のやり取りを見ていたシデンは思った。別に話に割って入ってもいいのだが、どちらかというと見ているほうが楽しいのだ。
「―――――!?」
だが次の瞬間、シデンの機体、アークブレイダーが彼等3人以外の何かの反応を捕らえた。だが、此処はパラレルワールドを繋ぐ次元トンネル。と、なれば自分達以外の何者かが何らかの方法で次元転移を行っていると言う事になる。
「―――――後ろ!」
三人が同時に振り向くと、其処には超巨大な要塞が存在していた。しかもそのてっぺんにはどういうわけか西洋風の城がついている。彼等三人の機動兵器の大きさを小石と例えるなら、向こうは巨大な岩石である。
「何でこんなんがあるんだおい!」
エイジの言葉に頷きかけた二人だったが、その直前に、要塞から強制的に彼等に通信が行われた。
『其処の三つの機体。聞こえるかね?』
男の声だった。映像が無いので声しかわからないが、その声から判断して大凡20代の男性と言った所だろう。三人と大して変わりはしない。
「……一応聞こえるかと言われたら聞こえる」
カイトが答えると、男は、ふむ、と言ってから続けた。
『成る程、どうやら言葉が分らない類では無さそうだ。……しかしね、此処で我々を見られたからにはどちらにせよタダで帰す訳には行かないのだよ』
次の瞬間、要塞の中央から巨大な大砲がひょっこりと姿を現した。その銃口に光が集っていき、その光が大きく膨れ上がっていく。
「―――――やばい! 皆避けろ!」
カイトのその一言を引き金として三機が散開する。
その直後、先ほどまで彼等が固まっていた場所に野太いビーム砲が通過していった。反応が遅れていたら確実に殺られていただろう。
「!」
だが、それでは終わらなかった。
要塞のハッチから銀色の輝きを放つ機動兵器が見える。その数は四つだ。
その四つがハッチから飛び出して真っ直ぐにこちらに向かって来る。動きが素早い機動兵器に対抗するのは同じように素早い機動兵器なのだ。
「数は4か……シデン、エイジ。お前らは先に行け」
その言葉に、思わず二人は反応した。
「お前、あの要塞は間違いなくなんらかの、それも結構ヤバめの連中の集まりだぜ!」
エイジが言う。
「だが、此処で三人が固まっていたら間違いなく誰か捕まる。もしくは殺される。あの4つを撃退したとしても、今度は更にトンでもないのが出てくるだろう。今なら一人が残る事で二人が確実にトンネルの出口までいける」
一番最初に出してくると言う事は、その次に控えているのは更にトンでもない連中と言うのがセオリーだ。いきなり切り札を、三人という少人数では使わないだろうというカイトの読みである。
「行け、奴等案外速いぞ。大丈夫、俺も後から行くさ」
「でも、タダじゃ帰らないんだろう?」
シデンが言うと、カイトは笑いながら答えた。
「当たり前だ。一泡吹かせてやる」
こう来たらこの男はテコでも動かせないほど頑固だ。
「……行くよ、エイジ。確かに彼が言うとおり、固まっていたらヤバそうだ。此処は一番こういう場面に適任な彼に任せるしかない」
「でもよぉ……」
「来るぞ!」
カイトの声を聞いた二人は、そのまま彼に突き飛ばされ、次元の渦の急な流れに流されてトンネルの出口へと真っ直ぐ飛んでいく。
急な流れに身を任せていると、そのまま流れに押しつぶされて消滅してしまう。だが、彼等は経験と言う物がある。
(あれしきの流れに潰されるほどヤワじゃねぇよ!)
と、来れば自分のやる事は一つ。向かって来る四つの銀の光を叩き潰す事だ。
「ぶっ潰す!」
四つの銀の機体がこちらに向かってくる。だが次の瞬間、カイトが思いもしなかった展開が起きた。
「――――――!?」
四つの銀の機体がダーインスレイヴを素通りして二人の方に向かっているのだ。
(何だと!?)
急な流れに流されているが、彼等なら何とか上手く脱出しては出口までたどり着ける。しかし、すぐに流れから出て来れる訳ではない。つまり、その間無防備となるのだ。四つの銀の機体はそれを狙ってきたのである。目の前のカイトを無視して、だ。
追ってこれるはずがない、と言う自信から来ているのであろう。
「オイコラちょっと待てぇい!!」
鬼よりも恐ろしい形相でカイトが叫ぶ。
それに応えるようにダーインスレイヴのウイングが展開して加速する。そのスピードはまるで弾丸のようである。
「ダークソード……!」
二本の柄を両手で構えると同時、その柄から黒い光が伸びた。その長さはダーインスレイヴと比較すると、丁度剣の長さである。
そのまま銀の4つの内の1つに突撃する。彼等は相当スピードに自信があったらしく、更に高速のスピードで突撃してくるダーインスレイヴに反応するのが遅れてしまった。今まで自分達以上に速い相手と戦った事が無いのである。
『――――え?』
その一機は、気付いた時にはコクピットに黒のビームソードが突き刺さっていた。そのパイロットは黒い光に飲み込まれて即死である。
『た、隊長!』
迫るダーインスレイヴに二機目がビクつく。
『馬鹿者、冷静になれ! いいか、こちらはまだ三機で向こうはたった一機だ! 数ではこちらが有利――――』
其処まで言ったと同時、隊長機のコクピットが黒い光に飲み込まれる。今度のダーインスレイヴの武器はライフルである。その銃口は真っ直ぐ隊長機がいた場所に向けられていた。
『そ、そんな!』
残りの二機は冷静に判断する事が出来なくなっていた。ダーインスレイヴの予想外の能力の高さの前にただ恐怖するだけである。
すると、その恐怖に応えるかのようにダーインスレイヴが銃口を素早く二人に向けた。
「シルバーファングを苦にしないとは……! 攻撃スピードが洒落にならないほど速いぞ。奴め戦い慣れている」
要塞の格納庫に位置する場所では幾つもの数の機動兵器とパイロット達がずらり、と並んでいた。その中の一人、褐色肌の金髪青年、ヴィクターの言葉に白髪で仮面を着けた男が応えた。
「久々に骨がありそうな奴じゃ無いか……よし、俺が奴の相手をする」
「では我々四人は先に行った二機を追おう。我々の存在を下手に向こうの世界に知られたら厄介な事になる。頼んだぞ、ゲイザー・ランブル」
ヴィクターが言い終えると同時、仮面男ゲイザーは自身の愛機、純白の機体『ガラディーン』に乗り込んだ。
二機をほぼ同時に倒したカイトは一息ついていた。展開していた黒いウィングが、まるで羽を休める鳥のように閉じていく。
だが、
「休む暇は無さそう……だな!」
その通り。休む暇無しに次の刺客が要塞から出現した。
しかし、今度現れた数は5。先ほどの4機とは違い、いずれも形状が違う。
(さっきのが量産機だとすると、今度のは特機か?)
そんな事を考えていると、真ん中の白い機体がトンでもないスピードでダーインスレイヴに突撃してきた。先ほどの四機なんて話にならないほどの速さである。
(はえぇ!)
とっさにウィングを展開する。それでも対応させるのが精一杯だ。
「くそ―――――!」
白い機体がビームソードで切りかかってきた。それに対してダーインスレイヴは右掌を差し向ける。
「む!?」
ゲイザーが疑問に思ったと同時、ガラディーンのビームソードが突如として現れた黒い壁によって弾かれた。
「バリアー!?」
「ぶっ飛べ!」
次の瞬間、ダーインスレイヴから作り出された黒い壁が破裂し、掌から衝撃が放たれる。
「く――――!」
ガラディーンが衝撃で吹っ飛ばされる。
「野郎!」
だが、すぐにその場に止まってからガラディーンは鞘から一本の剣を抜いた。
「隼の剣を受けてみろ!」
ガラディーンが神速のスピードでダーインスレイヴに迫る。そのスピードは先ほどの比ではない。
「!」
気付いた時には既に二本のダークソードで受け止めていた。だが、それでも押されている。
(スピードだけじゃ無いぞコイツ!)
パワーもある。外見からしてみればガラディーンは装甲が薄く感じ、モヤシのような細いイメージを持てる。
しかし、そんなイメージをこの一瞬で覆した。
何せ、ビームソード二本で防御してきたダーインスレイヴ相手に更に力をこめている。このまま行けばダークソードごとダーインスレイヴが真っ二つにされてしまうだろう。
「くっ……! フェイザーブラスター展開!」
しかしカイトは黙ってやられはしない。
左右のウィングからそれぞれビームランチャーが顔を出し、その銃口から光が溢れ出す。
「!」
それを見たガラディーンは最大のスピードでダーインスレイヴから離れた。その直後、フェザーブラスターから発射された二本のビーム砲が先ほどまでガラディーンがいた場所(ダーインスレイヴの目の前)を通過する。
「くそ! 速すぎる……!」
だが次の瞬間、ダーインスレイヴの横を四つの光が通り過ぎた。
「―――――!?」
それがガラディーンと同時に出現した四体の機動兵器なのだと言う事は、すぐに気付いた。
舌打ちすると同時、カイトはダーインスレイヴを方向転換させるが、
「何処に行く気だ? 貴様の相手は俺だ」
目の前に再びガラディーンが立ち塞がる。
「くそ!」
その白い姿が今はあの要塞よりも遥かに巨大な壁として見える。
はっきり言って、ガラディーンを抜き去ってあの四機を迎撃する自信が無かった。何せ、そのガラディーン一体相手にするので精一杯だからだ。
「どうやら、あの三人の中で一番強いのはお前だな」
ゲイザーが言う。
「どうせ一番強いであろう自分が残り、あの二人を逃せば何とかなると思ったのだろうが……終わりだな。貴様はこのゲイザー・ランブルの手によって死に、仲間は俺の仲間によって殺される」
「それはちょっと違うぜ、ゲイザー」
すると、カイトがすぐさま否定の言葉を放った。
「確かに俺はあの二人より強いと自分で思ってる。だが、あいつ等だって十分強い。そうそう思い通りには行かない連中だぜ?」
大した自信だ、とゲイザーは思った。
しかし同時に思う。何の根拠も無い自信だ、と。
「では何故あの二人を先に行かせた? 突き飛ばしてまで出口に向かわせるとは、足手まとい以外に何があるというのだ?」
その問いを聞きながらも、カイトは目の前の画面から目を離さない。其処にはシデンとエイジの識別反応がこちらからどんどん離れていく状態が映されている。
「そんなのは簡単だ」
彼は笑った。
それと同時、彼の左目がまるで暗黒の様な黒い輝きを発し始めた。
「確かにあの二人は強いさ。だがな、俺みたいなタイプは――――」
次の瞬間、画面から二人の反応が消えた。その直後に追っ手の四つの反応も消える。どうやら追われながらも出口にたどり着いたようだ。
それを見届けた瞬間、ダーインスレイヴの左掌から禍々しいオーラを放つ緑の光球が出現する。
「周りに迷惑かけたくない奴がいない方が思いっきりやれるのさ!」
次の瞬間、ダーインスレイヴの左手が突き出される。
「ジェノサイドミーティア!」
精製された緑の光球が弾丸の如く放たれる。
激しい音を響かせながらそれは真っ直ぐ、それも超高速のスピードでガラディーンに向かう。
「く!」
その危険さを肌で感じたゲイザーは回避行動を取った。
距離が近かったのもあって、当たってしまうのではないか、と自分でも思ってしまったが、ガラディーンの高い機動力が回避を可能にした。
ジェノサイドミーティアの光球がガラディーンに避けられた後、緑の光球はそのまま次元トンネルの彼方に消えていった。
だが、果たしてマトモに受けていたらどうなっていただろうか。
恐らくはその小さな光からは想像もつかない破壊力で、完全に消し飛んでいたに違いない。
ゲイザーはそう思った。
だがしかし、何故ゲイザーがこんな推測が出来るのかと言うと、実は彼はこのダーインスレイヴ必殺の一撃を見てこう思っていた。
俺の技にそっくりではないか、と。
「……ん?」
至近距離で放ったにも関わらず間一髪で回避したその光景に舌打ちしつつも、カイトは奇妙な光景を見た。
今度はガラディーンが右掌をこちらに向けているのだ。
「貴様の一撃は『ジェノサイド』だったな……!」
その掌から緑の光球が生まれる。そこから発せられる禍々しいオーラを、カイトは誰よりも理解していた。
「まさか!」
「ヴァニシングミーティア!」
ガラディーンの掌からジェノサイドミーティアとしか言いようが無い緑色の光球が放たれる。
ダーインスレイヴはそれに驚きつつも、回避行動を取る。
まるでドッチボールの球を避けるかのような動きで、彼はこれを回避した。
「……ちぃっ!」
舌打ちしつつもカイトは思った。いや、実際にはゲイザーも疑問に思っている事だ。
(なんで俺の技をあんなに簡単に放てやがる!)
そもそもあれは自身の片目に移植した邪眼で作り上げた光の破砕球。しかし、邪眼の所持者なんて自分以外は見たことも聞いたことも無い。
「入手経緯はどうあれ……あいつも邪眼所持者って事か」
実はカイトのダーインスレイヴはこの邪眼の力で動いている。
そもそもダーインスレイヴは未完成の代物で、未完成の部分を無理矢理邪眼で補っているのである。
つまり、邪眼を持たない者が乗ったらこの機体は全く動かず、逆に邪眼を持つ者なら誰でも動かせると言う事である。
「ゲイザー・ランブル。貴様、この俺を殺すとか言ってたな!」
カイトが挑戦的な目でガラディーンを見る。
「憶えておけ、俺の名はカイト・シンヨウ。自称、史上最強の――――」
其処まで言ったと同時、ダーインスレイヴが再び動き出した。
「欠陥品だ!」
ダーインスレイヴの右手から漆黒の鉤爪が伸びる。その爪が怪しい光を放つと同時、弾丸の如く突撃する。
「スピード勝負か、面白い!」
それに対し、ガラディーンは隼の剣を構え直し、ダーインスレイヴに負けないスピードで突撃する。
「引き裂け、漆黒の爪牙!」
カイトが吼える。
「隼の剣を受けてみろ!」
ゲイザーが吼える。
その直後、黒と白の弾丸がどちらからでもなく激しくぶつかりあった。
「ぐぅ……!」
「ちぃ!」
ダーインスレイヴの爪がガラディーンの刃によって受け止められる。スピードには自分でも自信があるほうだが、流石に向こうも反射神経がいい。
「まだまだああああああああああ!!!!」
ダーインスレイヴが一旦離れると、今度は不規則な動きでガラディーンに襲い掛かる。残像まで残る速さのそれは正に高速だ。
「―――――」
しかし、ゲイザーはこれに動じることなく剣を構えている。コクピット内の彼は精神を統一し、集中しているのだ。その目が捉える標的は唯一つ。ダーインスレイヴの本体だ。
「散れ!」
幾つもの残像を生みながらダーインスレイヴが突撃してくる。どれが本物なのか、見ただけでは見当もつかない。
しかし、ゲイザーの目は本物のダーインスレイヴを確かに捕らえた。
「見切った!」
剣を振り上げ、一番右端のダーインスレイヴに切りかかる。
「何!?」
風の様なスピードで隼の剣が振り下ろされる。その切れ味は今だ未知数だが、ここでこのままこの一撃を受ける訳には行かない。
「くそったれがあああああああああ!!!!」
ダーインスレイヴが漆黒の爪を向けて、そのまま突撃する。
「馬鹿め! 自ら死にに来たか!」
「多少のリスクを恐れて勝てるかアホたれが!」
黒と白の弾丸が再び衝突する。その瞬間、二つの機体がほぼ同時にダメージを負った。
漆黒の鉤爪が純白の装甲を引き裂き、隼の剣の鋭利な刃が漆黒の装甲を切裂いたのはほぼ同時であった。
ダーインスレイヴの一撃はガラディーンの両腕をばっさりと切裂いたが、その直後に隼の剣がダーインスレイヴの右腕と右のウィングを鉤爪ごと切裂いていたのである。
「くっ!」
「ぐわぁっ!」
ダーインスレイヴとガラディーンはお互いの傷跡を痛がるかのようにして退く。
だが、これで二つの機体が失った物は大きい。
ダーインスレイヴは右腕と右ウィングを失ったため、右のフェザーブラスターと鉤爪が使えない。
対してガラディーンは両腕を持っていかれている。人型であるガラディーンの武装は隼の剣を含めて手で持って攻撃する物が大半なのだ。故に大半の武器を失った事になる。
(しかし、機動性は向こうが上……)
もしかしたら足に何か仕込んでいるのかもしれないし、口からビームでも発射してくるかもしれない。
そう思いながらもカイトは残された左の手でライフルを構える。
だが次の瞬間。
「待ちたまえ」
突然、目の前のモニタに男の姿が現れる。紫の長髪の青年で、見るからに嫌な目つきをしていた。睨まれたら呪われそうな不気味さを感じる事が出来る。
「サテュロス、邪魔するな!」
ゲイザーの叫びに、紫の長髪の男、サテュロスが答える。
「彼と話をしに来たのだよ。我等が神の意思だ、ゲイザー。それとも何か?」
途端に、サテュロスが鋭い目つきでゲイザーを睨む。
「君は神に逆らうのかな?」
ゲイザーは何も答えない。
しかし視界には映る事はないが、拳が震えている。
「さて、本題に入ろうか。確か……カイト君と言ったかな」
「気安く名前に『君』をつけるな」
苛立った口調で言う。しかし、サテュロスは反省した素振りも見せないでそうかい、とだけ言った。
「ではシンヨウ君。単刀直入に言おう」
サテュロスは前髪を払いながら続きを言う。
「我々の仲間にならないかね?」
「何?」
反射的に聞き返した。正直、頭が混乱してきたのである。
「先ず我々の組織のことについて話そうか。我々は『ガーディアン』と言う」
「……ガーディアン」
「我々の目的は一つ」
サテュロスは不気味な笑みを浮かべながら言った。
「並列世界の破壊だ」
「何!?」
目を見開いて驚く。それもそうだ。幾つも並列世界を行ったり来たりしているが、ガーディアンなんて組織は聞いたこともないし、並列世界の破壊なんてやろうとする組織なんて聞いたことも無い。
支配する、という考え方の奴はいたが、支配と破壊では根本的に違う。
「嘗て、我々の世界は優れた並列世界からやって来た異世界軍に侵攻された。しかし、我々の世界は君達の想像も出来ないような凄まじい力を持つ『神』と呼ばれる者を指導者について行くことによって、それに打ち勝ったのだ」
そして、とサテュロスは続ける。
「その出来事をキッカケとして、我々の世界は『ガーディアン』を結成。その目的は攻め込まれる前に滅ぼしてしまえ、と言う事だよ。ま、世界によっては植民地化したりするだろうけどね。今までの世界にはそんなに優れていなかったんだ」
だから滅ぼしたのか、とカイトは呟く。
つまり、ガーディアンとは防衛を理由にして他の世界へと攻める組織の事で、優れた世界と認めない世界は問答無用で滅ぼすのだ。
ある意味ではエリート意識が高すぎる組織である。
「では、俺を仲間にすると言う事は?」
「簡単だ。我々は優秀な人材を取り入れる事には大歓迎な組織だ。君は其処にいるゲイザー・ランブルと互角に戦い、更には最新の量産機四機を一瞬で破壊した。我等の神は君を高く評価しているんだよ」
わざとらしく手を上げてみせる。あっぱれだ、とでも言いたいのだろう。
「さて、返答はいかに。一応、話す事は話したと思うが? それに、悪い話ではあるまい。君の力を思う存分に発揮出来るぞ」
カイトは画面にいるサテュロスを睨みながら腕組をする。
そして、数秒もしない内に一言。
「いいぜ」
それは了承の意だった。
しかし、それだけでは終わらない。
「ただし、条件がある」
やはり来たか、とサテュロスは思った。
大方、先に逃がした二人は助けてくれ、とでも言うのだろう。その場合はやはり『神』の意思によって決まる。
しかし、カイトの条件は彼の予想を上回る物だった。
「俺をボスにすることだ。その神とやらより上に、な」
その言葉を発した時のカイトは、強い瞳でサテュロスを見ており、笑っていた。
不敵な笑みで、何者をも恐れない強い瞳で、だ。
続く
次回予告
カイト「お久しぶり、もしくは初めまして。カイト・シンヨウです。『OG・X』から一年経った今、俺達の新たな戦いが始まろうとしている。新たな敵、ガーディアンのトップである『神』を倒そうと考えた俺は単身彼等の要塞に乗り込むが、其処にはあの邪眼男ゲイザーにロリータ娘に更には背景に薔薇がある変な男が待ち構えていた。だが、気安く神を名乗る奴をぶちのめすまでは俺は死にはしない!
次回、スーパーロボット大戦Final・X。第二話「逆転、また逆転」
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