全16件 (16件中 1-16件目)
1
巻末掲載の有川さんと児玉清さんとの対談によると、 私は『阪急電車』を読んで、有川浩という作家に興味を持ち、 それから『図書館戦争』を読んだ人なので、 非常に、そして絶対に驚かねばならない人ということになる。 そして「驚いた?」と聞かれたら、「ある意味、驚いた」と答える。 それは、何に対して驚いたかというと、 この作品が、これほどまで話題になり、売れているという事実に対して。 『阪急電車』が話題になり、売れたことに対しては全く驚かないのだけど。それは、『阪急電車』が、最初からスーッとその世界に入っていけたのに対して、本作冒頭部は、読むのに相当苦労させられたから。本著50~60ページ当たりまで、私は読むことにかなり辛抱を強いられた。恐らく、漢字だらけのカチカチ言葉や言い回し、説明が多用されているからだろう。これで途中放棄せず、お話しとして面白くなってくる当たりまで、多くの読者たちが、辛抱して読み続けたという事実に、ある意味感心し、驚かされたのだ。場面展開の突飛さ等も含め、作品としての練度は、同じ作者のものとはとても思えなかった。2年の月日の間に、急成長を遂げられたということなのだろう。 ホントに頭がいい奴は誰でも分かる言葉で誰でも分かるように話すのよ。(P.265)もちろん、文体や言い回しに慣れてきてからは、結構楽しむことが出来た。主人公たちのキャラは、明確で分かりやすいものだし、ラブストーリーとしても、多くの人に支持されるのが頷ける。このシリーズも、まとめて4冊購入してしまったので、とりあえずそこまでは読んでみる。
2011.08.15
コメント(0)
最近、勢いでライトノベルばかりを、立て続けに読んでいた私だが、 久しぶりに伊坂さんの作品を、こうやってじっくり読んでみると、 「やっぱり違うもんだなぁ」と、その質の違いを改めて思い知らされると共に、 その作品から発せられるメッセージに、かなり感動させられてしまった。 まぁ、どんなジャンルであれ、伊坂さんの作品とガチで比較されてしまうと、 他の多くの作家さんたちは、相当かわいそうな立場に立たされることになる。 しかも、本作は、私がこれまで読んだ伊坂さんの作品の中でも、 かなり、出来の良い作品だと思うし。 本作は短編集である。小惑星が地球に衝突し、地球が滅亡するまで残りあと三年、場所は仙台北部の団地「ヒルズタウン」というのが、本作に共通する時代と場所の設定。ただし、各短編の主人公は、それぞれに違う。それでも、それぞれのお話の時代と場所の設定が同一であるため、あるお話の主人公が、別のお話の中にひょこっと顔を出したりする。これは、他の作品にも見られる、伊坂さん得意のパターンで、私のお気に入りだ。登場する人々は、誰もが心の中に色んな傷を負いながらも、残された日々を、懸命に生きていこうとしている。でも、「解説」にもあるように、小惑星が地球に衝突しようがしまいが、人間は、誰も皆同じように、それぞれに残された日々を、懸命に生きているのだ。 ***最後に、本作で私が一番心に残ったフレーズを。 「やらなければいけないことを一つずつやり遂げていく。 一つやり終えたら、次のことが見えてくるから、慌てずに」(p.140)
2011.08.15
コメント(0)
京都タワーの地階に大浴場がある。 そんな一等地にあるお風呂で、スーパー銭湯並みの入浴料。 当然、かなり期待しながら、そこに足を踏み入れた私だったが…… 数年前、京都を訪れた際の、少しビターな思い出である。 そんな京都タワーの大浴場を冠に頂く本著。 「これは間違いなく、通のための京都案内に違いない!」と、 近々また京都を訪れるので、その予備知識にと本著をネットで購入。 しかし……また、やってしまった……何とマンガだ……「単行本」との標記に早合点してしまったのだが、以前にも同じ失敗をした経験がある。でも、マンガでも別に良いのである(実際、マンガは好きだし)。要は、中身が良ければ。ところが、タイトルになっている京都タワーの大浴場についても、そこが、想像を超えたシンプルなものであるという事実以上の描写は無し。もうちょっと突っ込んで欲しかった……それを期待して買ったのに……。その他についても、通の域には達していないような……。まぁ、私は、かつて京阪沿線に住んでいたこともあって、かなりの京都マニア。地の利を生かし、これまでに恐らく三桁以上の回数、京都のあちこち訪れているので、ハードルはかなり高めだと思いますので、あしからず。(ちなみに、楽天ブックスのレビューでは、本著は星5つとなっています)
2011.08.15
コメント(0)
幸村が男性ではなかったことが判明し、 イメチェンした理科が、小鷹への想いを仄めかし、 夜空と星奈は、相変わらず罵り、そしてせめぎ合っている。 そんな中で、自分の置かれた立場に全く鈍感な小鷹君。 今巻は、乙女ゲエをプレイする夜空のエピソードが肝。 量的には、前半の遊園地エピソードが圧倒的に多いのだが、 「友達いないヘタレヤンキーなら、現実で間に合ってるからな!」と バッドエンドに対し、笑いながら語る夜空のシーンの方が印象に残る。そして、この言葉を受けて、次の「タイムマシーン」のエピソードでは、小鷹が十年前の、あの公園へとタイムトラベル。実際には、理科がつくったのはタイムマシーンではなかったのだが、それを用いた際、小鷹が口走った言葉から、夜空との関係を追及されることに……なかなか、イイところで終わってしまった。続きは気になるが、手元に6巻はまだない(ここまではまとめ買いしていた)。購入して、今後も読み続けるべきか、この辺で、このお話を読むのは中断すべきか、しばらく考えることにする。
2011.08.13
コメント(0)
冒頭部「続・再会」は、前巻の結末部からの続き、 小鷹、少年時代の思い出の真実が語られる。 もちろん、この事実は二人の間での秘密ということになるのだが。 夜空の小鷹に対する想いが、少しずつだが垣間見られるようになっていく。 一方、小鷹君は理事長さんとの絡みが増し、 その中で星奈との関係も、微妙に進展していく。 そして、夜空に対し、異常なまでの対抗意識を燃やす星奈。 今後も、この二人の小鷹を巡るせめぎ合いが続くものと予想される。さて、今回は小鳩の夏休みの宿題を仕上げるエピソードが最も面白かった。特に夜空の感想文の下り。それと、マリアの姉・ケイト登場のシーン。キリスト教に関する説明、特に『右の頬を……』については目から鱗だった(本当?)。
2011.08.13
コメント(0)
今巻の肝は、小鷹の少年時代の思い出。 冒頭と結末部で、小鷹の十年ほど前のエピソードが語られる。 そして、その思い出の中に登場する小鷹の親友・ソラは、 読むもの全てが予想する展開へと繋がっていく。 読者の期待通りにお話しが進んで行くのは、人気作となるための大事な条件。 意外性も大事だが、それ以上に大事なのが「期待通り」の展開。 作者は、その当たりを的確に押さえている。 そして、そこへと導くエピソードにも無理が無く、とてもスムーズである。他では、ケータイの赤外線のお話しが面白かった。というか、私自身が小鷹と夜空レベルなので、親近感が湧いてしまった。また、理事長さんと小鷹の父との関係も、今後の展開に大きく関わることだろう。小鷹君、友達少ないと言いながら、隣人部の美少女たちからモテモテ状態確定である。
2011.08.13
コメント(0)
隣人部に高山マリア、志熊理科、羽瀬川小鳩が新加入。 これで、羽瀬川小鷹、三日月夜空、柏崎星奈、楠幸村と合計7名に。 主要キャストが、一応全員揃った模様である。 人数としては、やや多めだが、とりあえずそれぞれに個性的ではある。 それにしても噂通り、確かにお話しには、エロイ部分が盛りだくさん。 イラストも、萌え系の、それを意識したものばかりである。 これらは、中高生が喜びそうなレベルのものなのであろうが、 それをこの作品の一つの売りにしようと、作者も相当意識している模様。また、ゲーム好きでなければ、ついていくのかかなり厳しいと思われる相当オタクっぽい話題が多いのも事実。しかし、それぞれのお話しについて、その中身を見てみると、普通にTVでアニメ化されているマンガのレベルは、クリアしている。だからこそ、コミックス化され、さらにTVアニメ化されているのである。エロイ部分を差し引いても、それなりに結構面白い作品だ。逆に、これらのエロさを全て取り去ってしまうと、本当の高校生の姿は描けないだろうし。まぁ、勢いで5巻まで買ってしまっているので、そこまでは読んでみよう。
2011.08.13
コメント(0)
真鶴は国王の子を身籠もる。 寧温と真鶴という、二人の男女の人格を使い分け、 糾明奉行として、表世界で活躍する宦官と、 側室として、内の世界に生きる女との間を、往き来する二重生活にも終止符が。 そして、無事に男児出産。 ところが、その祝宴の席で、寧温と真鶴の秘密が暴露されてしまう。 生まれたばかりのわが子と共に逃走、隠遁生活に入る真鶴。 月日は過ぎ、腕白坊主に成長した明は、母にも負けぬ能力を発揮し始める。この当たりの下りは、結構ワクワクしながら読み進めていたのだが、琉球王国を照らす太陽が、急激に傾いていったのと連動して、物語自体の方も、一気にブレーキがかかってしまう。主要キャラクターたちが、次々に命を落としていく……しかも自ら。そんな状況の中で、何とか明日の希望を見出すべく登場したのが明というキャラクター。寧温とやりとりの中で展開する彼の国家観は、注目に値する。 「国を守ることはある程度までは正義です。 もし人以前に国があるのなら、たとえ死滅しても国を守るべきです。 しかし国は人が造り出したものです。 人が生きていれば千年後、万年後、どんな国を造ることも可能です。」 「尚氏王朝は五百年の繁栄を遂げましたが、群雄割拠の三山時代もありました。 その前は英祖王朝もありました。 もっと遡れば偉大なる祖王・舜天が興した舜天王朝もありました。 その歴史の流れを経て現在の第二尚氏王朝があるのです。 過去の王朝は滅びましたが民が死滅したことは一度もありません。 今、国がほろびるかもしれないと憂えても所詮、 第二尚氏王朝が滅びるだけのことです。」 「国家の姿を見た人はひとりもいません。皆幻想の中に国家を抱いて生きています。 人が支配できるのは人だけで、国家は大地を借りているだけにすぎません。 国家は人のためにあり、 国家が人の命を左右するのは幻想が強すぎて本来の目的を失っていると思います。」 (p.260)そして、寧温の「もし王国と共に死ぬ人がいたら、明はどう思いますか」との問いに 「その人の思いを決して忘れないためにも生き続けようと思います。 それがどんなに苦しい時代であっても、偲んで慰めるのが人の道だと思います」と答え、二人の問答は終了する。そして、王族たちが去った後の、無人の王宮で、明は寧温によって玉座に導かれ、王印を受け取り、第三尚氏初代国王・尚明王を宣言する。さらに、真牛によって聞得大君の託宣も下される。琉球王国が滅んだ歴史的事実ばかりは、どうにも覆しようがない。それ故、この物語のエンディングも、これで良しとするしかない。しかし、琉球王国が滅んだその地には、かつて、その国で生きてきた人々の血を受け継ぐ者達が、現在も力強く生き続けている。
2011.08.13
コメント(0)
紫禁城の宦官殺しの罪で、寧温は八重山に流されたものの、 朝薫の計らいで、王府に知られることなく、流刑とは思えない待遇を受ける。 そして、当時八重山で発生していた英米とのトラブルの交渉を請われると、 その能力を遺憾なく発揮し、見事解決へと導いたのだった。 しかし、罪人という身分をわきまえないその行動を知った王府は、 寧温を捕らえ、牢舎に投げ込み、そこで寧温はマラリアに感染してしまう。 感染拡大を防ぐため、衰弱した寧温は、山奥で谷底に捨てられるが、 八重山の最高神職・大阿母に命を救われ、真鶴として生きていくことになる。その後、王府から赴任してきた在番から、その琉舞の素晴らしさを認められた真鶴は、「王宮へ行ってみないか?」と声を掛けられる。首里に戻り、国王の前で琉舞を踊ればよいとばかり思っていた真鶴だったが、実は、在番は真鶴の美しさに目を付け、国王の側室候補として王宮に連れてきたのだった。そして、真鶴は向姓真美那と共に、側室試験を突破してしまう。ところで真美那は、このお話しの中でも、最も誰からも愛されそうな、とてもイイ役どころ。今放映中のTVドラマでは、上原多香子さんが演じるらしいが、仲間さん共々、沖縄県出身者で見事にピタッと来る配役を、よく割り当てたものだと思う。さらに、もう一人のこの物語の影の主役は、間違いなく元聞得大君・真牛であるが、これをTVドラマで演じている高岡早紀さんには、正直驚き、感心させられた。最初は高岡さんであることすら気付かなかったのだが、あれほど芸達者な女優さんだったとは!さらに驚いたのは、舞台でこの役を演じたのは生瀬勝久さんだったこと。スゴ過ぎる……。さて、閑話休題。真鶴が側室になってしばらく経った頃、ついに、あのペリーが琉球にやってきた。この難局に対処できるのは……ということで、寧温に恩赦が下り、王宮復帰。ここから、側室・真鶴と糾明奉行・寧温との、綱渡り・二重生活が始まったのだった。
2011.08.13
コメント(0)
今巻のお話しは、リュウグウ王国の国王・海神ネプチューンの妻であり、 その娘・しらほし姫の母である、今は亡きオトヒメ王妃がメイン。 オトヒメさんは、ルックス結構濃いめの、私が苦手なタイプのキャラ。 そのせいか、彼女の言動を、素直にスッと受け止めることが出来ない私。 けれどそれは、ひょっとすると、見た目だけの問題ではなく、 彼女の言動そのものに、何か違和感を感じてしまっているからかも知れない。 それ故、私にとって、今巻のお話しは、あまり興味深いものにはならなかった。 今巻のお話しが、今シリーズの結末に、大きく影響してくるのが分かっていても。だから、私にとって、今巻の特筆すべき点は、お話しそのものではなくなってしまう。一つ目は、表紙カバーを捲ったところに描かれているイラスト2枚。表表紙は、カバーとはデザイン違いになっているし、裏表紙は、麦わら海賊団からのメッセージが描かれており、とてもイイ。そして、二つ目は、p.80のSBSに掲載されている王下七武海7人の子どもの頃の姿。ハンコックなんて、パッと見た目は、今もほとんど変わらないのに、クロコダイルやミホークは、かなり違う(特にミホークは、説明無しには気付かないだろう)。そして三つ目、今巻最大の謎は、表紙カバーに描かれている「尾田栄一郎」イラスト。これ、一体誰なんだ!?
2011.08.07
コメント(0)
聞得大君が王宮を去り、紫禁城の宦官もこの世を去った。 そして、寧温は八重山に向かう船上の人に。 本著・第2巻の途中で、現在放映中のドラマ進行を追い越し、 いよいよ、予備知識なしに物語に没頭できる段階に突入した。 それにしても、ドラマでGACKTさんが演じている宦官は、 原作では、想像以上のとんでもない大悪人であり、 よくもまぁ、こんな役を引き受けたものだと感心した。 が、逆に言うと、役者としてはかなりやりがいのあるキャラだろう。さて、本巻で最もスリルが味わえたのは、寧温が糾明奉行として活躍するお膳立てを、朝薫が整えていった下り。一方、紫禁城の宦官に、寧温が実は女である事実を握られ、いいように操られる下りは、聞得大君の時と同じパターンで、少々興醒め。さらに、鼻につき始めたのが、真鶴と寧温と二人の人格が、同じ体、同じの心の中で葛藤するシーン。また、雅博に対する思慕の強さの描き方についても、かなりイラッと来る。紫禁城の宦官の魔の手が伸びた際、その名を泣き叫ぶなんて、かなり幻滅させられた。韓流ドラマに通じる臭いを、この作品に強く感じるようになってきた。
2011.08.07
コメント(0)
BSでドラマが放映されているのを見かけて、 今回、原作も読んでみることにした。 でも、先にドラマを見てしまっているので、 どうしても、真鶴・寧温のイメージが、仲間さんになってしまう。 ただし、ドラマでは見られなかったストーリーが、原作にはちゃんとある 私塾の入塾試験や、科試の模擬試験の下りがそうである。 また、ドラマでは登場しないキャラクターたちもいる。 その筆頭は破天塾の麻真譲で、原作においては超重要な役どころである。また、ドラマの展開は、原作の展開と時間の経過が前後したり、異なる出来事が、異なる組み合わせで展開したりと、結構複雑なアレンジが施されている。だから、ドラマはドラマとして、別物として楽しまねばならないだろう。ドラマは現時点で、既に第3回まで放映されており(全10回)、本著・第1巻終了時点よりも先を進んでいる。それ故、全体的には既視感を覚えながら、ページを捲っている。それにしても、一瞬でコロッと状況が変化する展開には、やや違和感を感じる。
2011.08.07
コメント(0)
あまりにもあっさりと読み終えてしまい、やや拍子抜け。 イイコト言ってそうだけど、もう一つ伝わってこない。 「そうですね」とは感じるのだが、「なるほど!!」がない。 どうやら、若葉マークのリーダーをターゲットにした、初心者向け啓発本らしい。 それでも、「カストーディアル」のエピソードなどは、とても興味深いものであり、 本著の肝に据えても、十分読み応えのあるものに仕上がったのではなかろうか。 ところが、本著におけるその扱いと結論づけは、とても軽いもので終わっている。 奥行きや深みといったものが感じられず、とてももったいないと思った。 *** 年によって異なりますが、1年間で、約1万8000人いるバイトのうち 半分近くの9000人くらいが退職していきます。 そのため、1年に3回くらい3000人近くのアルバイトを採用しなくてはなりませんが、 推定で5万人以上の応募者が集まります。(p.22)バイトの数もスゴイし、また応募者の数もスゴイ。そして、これらのバイトくんやバイトさんによって、実は、ディズニーランドが支えられているという事実もスゴイ。しかし、そのバイトの定着率の低さもスゴイなぁ(大学生主体で卒業等の事情が絡むからか?)
2011.08.07
コメント(0)
本著で最初に紹介されている本が『砂漠』だったので、 「ひょとして、桜庭さんの読書傾向って、自分と似ているかも?」 と期待したものの、その後、私が読んだことのある本はなかなか登場しない。 やっと出てきたのは、桜庭さん自身の作品『少女には向かない職業』だった。 やっぱり、私と桜庭さんでは、かなり読書傾向が違うようだ。 桜庭さんが読んでいるのは小説が主体、とりわけミステリー小説。 しかも噂通り、その読書量たるや半端なものではない。 そして、その読書のスピードは、どうやら超速であると推測される。本著が書かれたのは、桜庭さんが『赤朽葉家の伝説』を執筆中の頃。作家さんの日常を垣間見ることが出来て、なかなか面白かった。読書案内的なものを予想して本著を手にした私だったが、単純に、読書好きな女流作家の日記として、十分に楽しむことが出来た。
2011.08.06
コメント(0)
このシリーズも遂に10冊目、 すっかり軌道に乗り、定着した感がある。 松岡さんは、ネット上のオフィシャルサイトでも『千里眼』という看板を下ろし、 自らの名を冠にしたサイトを開設、そのトップページを飾るのは、今や凜田莉子。 さて、シリーズ10冊目のお話はというと、 時は少し昔に遡り、莉子がいかにしてその能力を高めたかの謎に迫る。 その師匠となったのは、東京における莉子の大恩人・瀬戸内陸、 そして、キーワードは「有機的自問自答」と「無機的検証」。物語序盤の瀬戸内と莉子とのやりとりについては、読み進めるのに、結構骨が折れる。普通の頭の持ち主では、しっかり順序立てて考えないと、理解しながら前に進めない。しかし、このシンプルな発想・思考法を駆使するだけで、莉子のような能力を発揮できるようになるとすれば、これはまさに驚異の学習法である!まぁ、しかし、実際には、そんなことは起こりえないわけで、これは、あくまでもフィクションである。と言うか、フィクションであるにしても、ちょっと無理がありすぎるようにも感じる。さらに、ラスト手前の「信念」と「万能贋作者」の二つのエピソードについては、それぞれ3巻と6巻を読んでいない読者にとっては、何の話だか、まるで見当がつかないだろう。既刊を全て読者が読んでいるとの前提に立つこのような構成は、いかにも不親切であり、如何なものかと感じた。と、ちょっと不満を並べ立ててしまいましたが、お話しとしては、いつもながらに、たいへん面白かったです。印鑑やエメラルドのトリックも、なかなかのものでした。そして、これで既刊をやっと読破したと思ったら、次の発行は今月25日にもう迫っていた!
2011.08.06
コメント(0)
「東電OL殺害、体液から受刑者とは別のDNA検出 再審可能性も」 2011年7月21日(木)、「市橋被告に無期懲役判決」と共に マスコミ各社が、こぞって取り上げたもう一つのニュースがこれ。 そのことから本著は、ネット上でしばらく入手困難な状況にまでなった。 さて、東電といえば今年の3月11日以降、 連日連夜、新聞・テレビのニュースで、目にしないことがない状況が続いている。 しかし、それとは全く異なる、私個人の「読書」という次元において、 この「東電OL殺人事件」の報道には、不思議な因縁を感じてしまうのだ。例えば、先日読んだ『カリスマ』(新潮文庫版)の表紙裏には、本著『東電OL殺人事件』の広告が掲載されており、それを何度も目にしながら読書を進めていた。また、昨年私が読んだ本の中で、最も印象に残った『グロテスク』に登場する和恵は、まさに、この事件の被害女性がモデルといった具合である。 ***2000年4月14日、東京地裁において、ネパール人の被告人に無罪判決が下ったところで、本著は幕を閉じている。しかしその後、同年4月18日には検察側が控訴、同年12月22日には、東京高裁で無期懲役判決が言い渡されることになる。これに対し、被告人は上告したものの、2003年10月20日、最高裁でこれが棄却され、無期懲役の有罪判決が確定。しかし、収監された男性は、2005年3月24日、獄中から東京高裁に再審を請求、そして、今回の報道へと展開してきたのだが、依然として先行きは不透明なままである。
2011.08.06
コメント(0)
全16件 (16件中 1-16件目)
1