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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2011.07.30
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カテゴリ: 文芸
「市橋被告に無期懲役判決」
 2011年7月21日(木)、マスコミ各社はこぞってこのニュースを取り上げた。
 判決自体は大方予想通りのもので、世間を驚かすものではなかったが、
 それでも、市橋容疑者と弁護人は控訴を検討しているという。

 本著は、この判決が出るおよそ半年前、2011年1月25日に出版された。
 こんなものが、こんな段階で出版されることに対し、
 「これでいいのか?本当にありなのか?」と、私は首を捻ると共に、
 前代未聞の消費社会の暴走ぶりに、開いた口がふさがらなかった。

それでも、今回の報道を目の当たりにして、本著を手に取ることにした。

しかしながら、あちこちの本著レビューに見られるように、
文章は稚拙であり、著者の思いが読み手に伝わってくるレベルのものではない。

ただ、市橋容疑者が常軌を逸した感覚の持ち主であることは、
部分、部分から確かに、しかも明確に伝わってくる。
それは、著者が意図した狙いとは、真逆の結果を生んでしまったのかも知れないが、
出版社は、その点は重々承知していたに違いない。

  鼻筋の横から糸のついた針を突き刺した。
  反対側から針を抜いて、糸をギュッと締めた状態にして、
  また反対方向へ針を刺した。
  それを何度も繰り返した。
  ちょうどラーメンのチャーシューを肉のかたまりを

  鼻を細くしようと思った。(p.19)

警察に追われ、追い詰められ、半ば錯乱した状況であったにしろ、
これを実行してしまうのが、市橋達也という人間なのだろう。
グロテスクである。

  手鏡で鼻の様子を確認したら、針が一本ささったままだった。(p.23)


それに気付かないで、いられるものなのだろうか?

  その時に、手鏡を見ながらハサミで自分の下唇を切り取ろうとした。
  リンゼイさんがボクノ唇を見て
  「あなたの唇、黒人みたい」と言っていたのを思い出した。
  厚い下唇を薄くしようと、ハサミを持った手に力を入れると血が出てきた。
  でも、最後の一息がどうしてもできない。
  あきらめた。
  鼻に貫通させたままだった針を抜いた。(p.58)

「最後の一息がどうしてもできない」の部分で
やっと、人間らしさが垣間見えたような気がした。
しかし、ここで鼻に貫通させたままの針を抜いているのだ。
そして、

  読み終わると決心をして自分の下唇をハサミで切り取った。
  切り口からは、たくさんの血が出てきた。
  痛くて熱かった。(p.64)

結局、ハサミで下唇を切り取ってしまった。
アンビリーバブルである。
しかし、こんな一面も見せている。

  ショッピングビルで百円のメガネと充電できる単4電池を買った。
  USBデータに使うための電池だった。
  イヤホンでUSBデータに入っている『英単語・熟語ダイアローグ1200・1800』
  『TOEFL英単語3500』の英語を歩きながら聴くためだった。(p.22)

何と、逃走中に英語を聴いている!何という英語好き!!
だからこそ、英国人英会話講師であったリンゼイさんとの接点もあったわけだが。
本著に見られる文章表現は、決してレベルの高いものではないが、
両親の影響で医師を目指していただけあって、勉強する習慣は身に付いていたようだ。





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Last updated  2011.07.30 13:37:38
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