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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2017.03.05
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​ 私が13歳の夏休み、10歳の妹と二人で山梨の叔父のところに遊びに行った。
 富士の風穴に足を伸ばした際、洞窟を少し進んだところで
 妹は順路から少し離れた場所に、小さな横穴を見つける。
 そして、懐中電灯を手に、その中に潜り込んでいった。

 待っている間、私は心配でたまらなかったが、やがて妹は戻って来た。
 そして、その中の様子を詳しく教えてくれた。

  「ねえ、お兄ちゃん」と妹は歩きながら、小さな声で
  -他の誰かに聞こえないように(実際には他に誰もいなかったのだが)ー

  「知ってる?アリスって本当にいるんだよ。嘘じゃなくて、実際に。
   三月うさぎも、せいうちも、チェシャ猫も、トランプの兵隊たちも、
   みんなほんとにこの世界にいるんだよ」
  「そうかもしれない」と私は言った。(p.376)

午後6時、送迎リムジンに乗って免色の家に向かう。
隣のシートには、涼しい顔をして騎士団長が腰掛けていた。
そして、自分には決して話しかけるなと言った。
自分の姿は私以外の者には見えないし、声も聞こえないのだからと。

免色は私を家の中に招き入れると、カクテルを勧めた。
それから案内された書斎には、私の描いた絵が掛けられていた。
免色はシューベルトを聴きながら、無言でその絵を眺めた。


   ***

この節における舞台装置は「風穴」。
そこで、「私」には進むことのできない場所
ー狭い横穴の向こうに側ー に一人で行ってしまった妹。
その時、彼女はこの世を離れてしまったと確信する「私」。


それにしても、妹に対するこの思いの強さ……圧倒されてしまいます。





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Last updated  2017.03.05 00:55:08
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