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時は、1992年。場所は、瀬戸内海に面した小さな町。そして、主人公はキャリア10年以上の家政婦さん。学校で分数を学んだばかりの息子がいる。彼女が、今回派遣されることになったのが、「博士」と呼ばれる、64歳の数学専門の元大学教師。顧客カードを見ると、ブルーの星が9つ。家政婦が、先方のクレームでこれまで9回交替したという印。主人公が、これまで関わった中では、最高記録の手強い相手。博士には義理の姉がいて、彼女が今回の依頼主。彼女は立派な母屋に住み、博士は裏庭の先にある貧相な離れに住んでいる。依頼内容は、月曜~金曜の午前11時~午後7時に離れに来て、博士に昼食を食べさせ、掃除・買い物・夕食の準備をすること。ただし、博士は、今から17年ほど前に交通事故に遭い、記憶の蓄積が1975年で終わっている。それ以降のことについては、頭の中に80分しか記憶が保持できない。主人公の靴のサイズや電話番号、誕生日、博士が学長賞としてもらった腕時計の番号、それらの数字から描き出される「数式」の美しさには、読んでいて、「へ~っ」と思わずボタンを押したくなるほど。でも、私が一番気に入ったのは、博士の袖口にあった「新しい家政婦さん」のメモ。それには、主人公の似顔絵が描いてあったのですが、博士のかわいらしさが感じられました。
2006.03.05
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楽天のBooks Rankigでも、 最近、ベスト10によく顔を出しているし、 映画のCMも、テレビでよく見かけていました。 CMは、ほんの短い時間なのに、 寺尾聰さんの「ぼくの記憶は80分しかもたない」という台詞が 何とも言えない哀愁を漂わせ、とても印象深いものでした。 でも、この作品に関する私の知識はココまで……。先日、電車の中で読むものが無くなったった時、いつものように、本屋さんに寄りました。その時、文庫本のコーナーに、たくさん平積みされていたのがこの本。実は、先に記事を書いた『「ビミョーな未来」をどう生きるか』をすでに購入することを決めて、レジに向かう途中だったので、「どーしようかな……」と、一瞬躊躇したのですが、「まぁ、いいか。」ということで、手に取り、購入したのです。そして、『「ビミョーな未来」をどう生きるか』を読み終えた後、早速、読書を開始しました。
2006.03.05
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『流星ワゴン』も良かったけれど、この『きみの友だち』も本当に良かったです。重松さんはスゴイ……。『流星ワゴン』は、大人達、その中でも、父親になった人達に、読んでもらいたい作品ですが、『きみの友だち』は、思春期真っ只中の人達、その中でも、友人関係に悩んでいる人達に、ぜひとも読んでもらいたい作品。主人公の恵美が、作家の「僕」にリクエストしたこと 「ウチの『学校』に来ている子たちが、元気になれるようなやつね」 「何をやっても思い通りにならない子が、 まあいいや、ゆっくり歩いていくかぁ、って思えるようなやつね」 「友だちってなんなんだろうって、わかんなくなっちゃった子に、 ヒントをあげてくれる?」これらの要求に見事に応えた作品が『きみの友だち』。この世の中には、いろんな子がいて、それぞれ、自分の人生を歩んでいること。そして、みんな、それぞれに悩み、苦しみながら日々を過ごしていること……。自分だけじゃなかったんだ……。そんなことに気付くだけで、とっても元気が出てくるんですよね。
2006.02.04
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このお話は、恵美とたくさんのきみたちの後日譚。これまでのお話は、フリーライターの「僕」が書いたもの。フリーライターの「僕」が、恵美から聞いて書いたもの。ブンとモトは18歳。ブンは予備校、モトは京都の大学へ通っている。三好君が現れた。工業高校の機械科を卒業後、自動車工場に就職し、今は浜松の工場で研修中。ギャラリーには、恵美が撮った三好君の写真もある。「僕」が女性週刊誌の仕事で、NPOが経営するフリースクールを訪ねたとき、会社勤めや学校に通う合間に手伝いに来るスタッフの一人に恵美がいた。『モコちゃん先生』と呼ばれる恵美に、「僕」は興味を持った。連載の取材が終わったあとも、「僕」は学校に顔を出して、恵美の思い出話を聞いた。そして、学校以外の場所でも会うようになっていく。ギャラリーには、恵美の会社の同僚や大学時代の友人もいる。そして、中庭には堀田ちゃん、ハナちゃん、西村さんがいた。三人と話しをする「僕」。恵美と由香の思い出話。最初、恵美は小説に書かれることを嫌がっていた。でも、何日か経った後、由香ちゃんのために書いてもいいと言った。本が出来上がったら、真っ先に届けたい一組の夫婦がいると言って。ギャラリーに佐藤君がやってきた。ヒップホップ調のいでたちにキャップをかぶり、耳にはピアス。精一杯すごみを利かせて体を揺する、現在「プー」の佐藤君。由香ちゃんのお墓に寄っていた、恵美が現れた。純白のウェディングドレスに小さな花を飾った松葉杖。会場の天窓からは、小さなふわっとした雲が浮かんでいるのが見えた。「ほら、兄貴、迎えに行かなきゃ」とブンが「僕」にささやく。「僕」ときみは、一歩ずつ近付いていった。
2006.02.04
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恵美の公立高校受験の数日前、由香は昏睡状態が1週間も続いている。小5の夏休み、まだ仲良くなって間もない頃由香ちゃんの誕生日に家に招かれた恵美。でも、誕生日に家に招かれたのは、それが最初で最後。その次の年からは、夏休みは、ずっと病院で過ごしていた由香ちゃん。交通事故に遭う前、恵美は『花いちもんめ』で遊ぶことが好きだった。ときどき『花いちもんめ』で遊ぶ由香を想像する恵美。最後は二人で同じチームになり、「相談しましょ、そうしましょ」では「だーれも、いらない!」向かい合ったみんなにそう言って、二人でゆっきり歩き出す……。病院に、バレンタインのチョコレートを買ってきた恵美。「誰にあげるの?」と由香の母に聞かれて、「違うの……由香ちゃんに、あげたくて」「一番好きな子って、やっぱり由香ちゃんだから」受験の前日、試験に備えて欠席者が目立つ教室。朝のホームルームが終わると、西村さんが1羽の折り鶴を恵美に差し出し「これお見舞いのときに持っていってほしいんだけど……」休み時間、廊下に出ると、ハナちゃんに呼び止められた恵美。そっと携帯電話を見せてくれるハナちゃん。その液晶画面には、夕暮れのオレンジ入りに染まった雲が写っていた。「昨日、塾に行く途中に撮ったの」「でも、何で由香ちゃんのこと考えてたんだろうなあ」昼休み、堀田ちゃんが賭けてきた。「ゆうべ……サイテーな夢見ちゃった……」由香ちゃんが死んでしまった夢だった。受験当日、朝のラッシュで混雑した駅の改札を抜けるとき、自分を呼ぶ声を聞いた恵美。病院に着くと、病室には、もう誰もいなかった。火葬場の煙突の先の陽炎が、少し大きく揺れた。恵美は心の中でつぶやいた。『もこもこ雲』は、こうやってできるんだ。由香ちゃんの家のお墓に、恵美は両親とブンと共に出かける。そして、そこで、卒業祝いに買ってもらったデジカメのレンズを空のてっぺんに向けて、小さな雲を見つける。そして、シャッターを押した。
2006.02.04
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モトが待っていたのは石川美紀。「付き合ってほしい」と書いた手紙を、昨日美紀に渡した。でも、そこにやってきたのはブン。ブンと美紀は、2年の終わり頃から、つまり、もう2~3ヶ月付き合っていたのです。サッカーの市内選抜チームに選ばれ、オーストラリアに行くことになったのもブン。選考合宿中、ブンは調子があまり良くなかった。そして、モトは合宿の仕上げの紅白戦で1ゴールを決めていたのに……。出会ったばかりの頃は、モトの方が少し前を歩いていた。その頃、ブンはモトに追いつこうと、じたばたあせっていた。二人で並んでいる頃は楽しかった。でも、ブンは一人で前に出て、ぐいぐいと一気に差を付けてしまった。美紀から、ブンが選抜チームをやめようとしていることを聞いたモト。持っていた傘を美紀に手渡し、雨の中を、ブンの家に駆けつける。ブンは、車で、恵美と共に墓参りにいくところだった。命日は2月。亡くなって、今年で8年目。恵美が中学校を卒業する直前、その友だちは亡くなっていた。恵美が花を買いに行っている間に、モトとブン交わした言葉は、やっぱり、モトとブンらしいものでした。そして、ブンが水をくみに行っている間に、恵美がモトに語りかけた言葉は、やっぱり、恵美らしいものでした。恵美と由香そして、ブンとモト。友だち。
2006.01.30
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このお話の主人公は、中学3年生の9月に転校してきたばかりの西村さん。それと入れ替わるように、由香ちゃんは入院。西村さんの提案で、由香ちゃんのためにクラスのみんなで千羽鶴を折ることに。でも、恵美は、その提案を無視。しばらくすると、千羽鶴を折ってくれるメンバーは次第に減っていく。一人で、帰宅後も夜遅くまで千羽鶴を折る西村さん。前の学校にいたとき、西村さんはいじめられていた。そんな西村さんが入院したとき、担任の先生が千羽鶴を持ってきた。クラス全員で、反省とお詫びの心を込めて折ったという。でも、その千羽鶴は3日でゴミ箱に放り込んだ。その本当の理由は、母親にも言わなかった。千羽鶴の1羽を糸から抜き取り、中を広げると、<死ね>と書いてあった。次の1羽には、赤いインクで<呪>。三羽目は<嫌われ者>……。1羽だけ手元に残したのは<死んでもいいよ。でも死んだあとも嫌い>と書かれた折り鶴。千羽鶴を折る友だちは、誰もいなくなった。そんな時、恵美は西村さんを、由香のいる病院に連れて行く。そこで、恵美が西村さんに言った言葉 「西村さんは、友だち、たくさん欲しいひとでしょ」 「わたしは違う」 「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」 「一生忘れたくないから、たくさん思い出、ほしい」 「だから……『みんな』に付き合ってる暇なんてない」恵美と由香の深い結びつき。西村さんは、きっと何かに気付いたことでしょう。
2006.01.29
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これは、ブンちゃんやモト君のサッカー部の先輩、佐藤君のお話。そう、ブンちゃんとモト君が入学早々大活躍したため、2年生たちがレギュラーの座を奪われたとき、ブンちゃんを河原に呼び出して、シメようとしたあの佐藤先輩。彼は、今3年生。ずっと補欠だったサッカー部をすでに引退している。でも、グラウンドに現れては、下級生たちに偉そうに振る舞う。ある夜、そのことを仲間だった河野君から電話で咎められる。にもかかわらず、翌日、ブンちゃんに会うと、早速いちゃもん。周囲の冷ややかな視線を感じながら……。彼が好きなのは、同級生の梅村琴乃さん。彼の母親が開いているピアノ教室に、彼女は通い続けている。そして、彼も、以前はピアノを習っていたのです。秘められた特技ですね……そんなに特別に上手なわけではないけれど……。そんな彼女に頼まれて、佐藤君は3年生の引退試合のビデオを貸す。自分は、全く出場できなかった試合のビデオ……自分は全く見ていない……。バレンタインデーの放課後、琴乃さんが、誰か他の男子にチョコを手渡したとの噂を聞いて、意気消沈でグラウンドへ。そこにいた、ブンちゃんに声をかけ、サッカーを始める。でも、その最中、ブンちゃんの足首に怪我をさせてしまう。病院で、診察結果を心配しながら待っているとき、恵美が現れる。そして、佐藤君のことをビデオで見たと言う。試合に出ていない補欠を、恵美は覚えているという。そこでの恵美の佐藤君への語りかけは、さすがに恵美。そして、ブンちゃんのために買ったチョコレートをそっと佐藤君に差し出すのでした。こんな佐藤君にも、彼だけの人生があるのだということを、強く感じさせられました。
2006.01.29
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これは、ほんのわずかの間だけ、恵美と由香の友だちだったハナちゃんが、中学2年生の3学期のお話。ハナちゃんには、とっても仲の良い志保ちゃんという友だちがいる。でも志保ちゃん、最近は戸川君とラブラブで、そちらの方が忙しい。そんな時、ハナちゃんの目の調子が、悪くなってしまう。めまい、吐き気、そして、保健室行き。ベッドで横になって休んでいる時、体調を崩して、そこに来た由香と付き添いの恵美に会う。恵美が教室に戻って行った後、ハナちゃんは由香に聞く。 「二人だけで寂しくない?」 「だってほら、友だちたくさんいたほうが楽しいじゃん」 「そう思わない?」由香が答える。 「思うけど、わたし、恵美ちゃんとたくさん一緒にいるほうがいい」病院でメガネを渡されたハナちゃん。それをかけると、全てのものがくっきりと見えた。でも、家に帰って事実に気付く。眼鏡は何と偽物だったのだ!心因性視力障害……これがハナちゃんの本当の病名。体育の授業を見学する恵美、そして、怪我をしてそこに加わるハナちゃん。 「友だちになるときって……その子とずーっと一緒にいたいから、 だから、友だちになるんじゃないの? そういう子のことを友だちっていうんじゃないの? それが親友じゃないの?」涙を流しながら、ムキになって話すハナちゃん。 「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、 友だちって思うけど」空を見上げて、話す恵美。グラウンドで走っている志保ちゃん、そして、こちらに向かって手を振る志保ちゃんの姿が、ハナちゃんには、久しぶりにハッキリと見えた。女の子って、独占欲が強いもののようです……。そして、それが色んなトラブルの原因に……。もちろん、そうでもない(ように見えるだけ?)人もいますけれど。
2005.12.13
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これは、ブンちゃんが中学1年生になった時のお話。相変わらず、ブンちゃんは何でもよくできる。中間考査の成績は学年トップで、サッカー部の試合でも大活躍。『ねじれの位置』以降、中西君とは「ライバルで親友」になったようです。でも、今回のお話の主人公は、ブンちゃんでもなくモトくん(中西君)でもなく、ブンちゃんのことが大好きな三好君というところがポイントです。でも、出来すぎるのも、目立ちすぎるのも大変ですね。ブンちゃんとモト君、サッカー部の先輩から、もう狙われています。三好君が同級生たちに 「ほんとに強えんだよ、年上にも負けねーょ」って言ったことがきっかけになって、ブンちゃんは、佐藤先輩たちに呼び出されることに……。その騒動の直前、三好君はブンちゃんの姉、恵美に会います。『ぐりこ』を二人でして遊びながら、三好君を励ます恵美。 「ゆっくりでいいじゃん」「ちょっとずつで」ブンちゃんや、モトくんとは違った勝ち方もあることに気付く三好君。本当に、この本の登場人物の中で、恵美は他を超越した存在ですね。強いし、自分というものを持っているし、達観しているし、素っ気ないのに、とっても人に温かい……。河原で、先輩たちに囲まれたブンちゃん。そんな状況を察して、助けにきたモト君が河原に降りていく。でも、先輩たちの人数は多く、体も大きい……。三好君は、河原へ降りる階段の途中に立ったまま、どうしていいか分からず、泣き叫びながら自分の頬を殴り続ける。車で通りかかった人の一喝で、先輩たちは逃げ去っていった。あとに残った三人。新しい関係の始まり。三好君、ヨカッタね!
2005.12.05
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このお話の主人公は、堀田ちゃん。『あいあい傘』で、縄跳びが上手く跳べず、万里たちにはじかれた時、みんなの世界に戻るため、恵美と由香をスケープ・ゴートにした堀田ちゃん。そんな堀田ちゃんが、中学1年生になった時のお話。堀田ちゃんはクラスの人気者。自分でつくった1年D組の人物相関図では、真ん中に位置している。そこから×付きの赤い線で結ばれているのは、恵美と由香への1本だけ。でも、メンバーが増えることもなく減ることもない囲みを、羨ましく思うこともある。モロちゃんとグッチがもめた。堀田ちゃんは二者択一をせまられる。どっちにつけばいいのか……戦争の勃発……。平和好きの堀田ちゃんにとっては、辛いところ。グッチは、サワちゃんのグループに入った。でも、グッチは、サワちゃんたちと話が合わないだろうなぁ……。堀田ちゃんは、グッチにそっと手紙を渡す。<千葉ちゃんとだったら話が合うと思うよ>突然、グッチが宣戦布告!モロちゃんもそれに加勢する。何と、今度は堀田ちゃんがはじかれてしまった……。あぁ、またこういう展開ですか……。堀田ちゃんのような子って、やっぱりこうなってしまいやすいのかな……。「八方美人」「風見鶏」「コウモリ」を演じるのも楽じゃないですね。遠足のおやつを買いにデパートに出かける。おやつを買った後、爬虫類フェアでカメレオンを見る。係員のおじさんが、カメレオンの縄張意識の強さと序列の厳しさを教えてくれた。係員のおじさんの「人間とおんなじだなあ」という言葉、まさしく、そうですねぇ……。屋上で恵美と由香に会う。三人でベンチに座って、おやつを食べる。堀田ちゃんの話を聞いて、由香は、カメレオンを見に行く。恵美は素っ気ない態度で 「世界中で一人きりしか生き残らなくても、堀田ちゃん、ギャグやるの?」黙り込んだ堀田ちゃんに 「自分がつまんないんだったら、やめちゃえばいいのに」三人は、明日バスに残って、一緒に過ごすことを約束する。遠足のバスが出発する前、突然の戦争終了。みんなが堀田ちゃんのところに駆け寄って来て、声をかける。でも、だれも、あのことを謝ろうとはしない……今度は、モロちゃんをはじこうとしているのだった……。新しい戦争の勃発。みんなの世界に戻っていく堀田ちゃん。バスを降り、みんなでハイキングに出発する。でも、堀田ちゃんは、バスに駆け戻り、恵美と由香に、昨日のおやつのお礼を渡す。ボンタン飴の小さな箱。恵美がボンタン飴を好きな理由は、この出来事があったからなんですね。堀田ちゃんへの「誰かいるよ、絶対に。嫌かもしれないけれど、いるよ、絶対に。」そして「がんばれば?」という、恵美の言葉は、作者から、友人関係に悩む読者へのメッセージなんでしょう。
2005.12.04
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このお話の主人公は、『あいあい傘』の主人公だった恵美の弟、ブンちゃん。あのお話の時に三歳だったブンちゃんが、小学5年生になった時のお話です。ブンちゃんは、どんなことでもクラスで1番のリーダー。そこへ、それ以上に何でも出来る転入生の中西君が現れる。ブンちゃんは、お山の大将の座を奪われ、戸惑い、紳士的(?)に振る舞いながらも、苦しんでしまう。ブンちゃんが、キャプテンで4番・エースの座を保っていた野球でも、中西君はすごかった。誰かが言い出す前に、エースの座を中西君に譲るとキャプテン命令するブンちゃん。でも、中西君は、ピッチャーはしないという。運動会のリレーも走らないという。 「だってさ……悪いもん、和泉に」そう言われて、殴りかかっていったブンちゃんその気持ちもわかるなぁ……。公園で練習していた中西君に、言いがかりをつけ、練習の邪魔をしてしまうブンちゃん。自分でも、間違っていると思うことを、次々に中西君に言ってしまう。そして、とうとうケンカに……。そこに、頼れる姉貴、もう大学生になった恵美が登場。恵美の二人へのさり気ない振る舞いが、雪解けへと導く。ブンちゃんと中西君、二人の関係は、これからも、ねじれの位置のままなのかなぁ……。
2005.12.03
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十一歳の誕生日プレゼントは、新しい松葉杖。家に招いた友だちはいない。十歳の誕生日には、同級生が5人、別のクラスからも3人遊びに来ていたのに……。十歳の誕生日を迎えた数日後、下校時刻に合わせたように雨が降り出した。朝のうちは良い天気だったので、傘を持ってきていたのは友だちのなかでは、恵美だけ。そんな恵美の傘に、友だちが次々に群がってきたので、とうとう、恵美は、傘の外にはじき出されてしまう。友だちに「自分の傘から出て行って」と言えない恵美は、ガードレール沿いに走って、目の前を、一人で傘をさして歩いていた由香に入れてもらおうと考える。そして、ガードレールの切れ間から、歩道の外に出た瞬間、白いライトバンが……交通事故……入院生活3カ月。お見舞いにやってきた友だちに「あんたらのせいだから!」泣きながら責め、謝っても許さない。そんなことを繰り返すうちに、お見舞いに来る友だちはいなくなってしまった。そして、退院した後も……。自分でも、分かっていながら、思いとは違ったことを言ってしまう恵美が、とっても不憫であり、やっぱり我が儘が過ぎたかな……とも感じました。そこから、5年生になった恵美と由香のお話が始まります。万里の一言で、クラス対抗なわとび大会の回し手にされてしまった二人。でも、なわとび回しの特訓を通じて、クラスの中で似たような状況にある二人が、どんどん接近していく様子には、ずいぶんホッとさせられます。そんな中、縄跳びが上手く跳べず、万里たちにはじかれた堀田ちゃん。ところが、何日か経って、急転直下、上手く飛べないのは、回し手の二人が、わざと早く回したからだと、いちゃもんをつける堀田ちゃん。それに同意する万里。みんなの世界に戻っていく堀田ちゃん。また、みんなからはじかれる恵美と由香……。しかし、その後、二人の絆は、ますます強まっていくことになるのです。それにしても、恐ろしい女の子たちの世界……。でも、現実は、これ以上に凄まじかったりするのですよね……。
2005.12.02
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『流星ワゴン』があまりにも素晴らしかったので、 重松さんの他の作品も読みたくなり、 10月に発行されたばかりのこの作品を購入しました。 この作品は『小説新潮』に発表された 10のお話を一冊にまとめたもので、 大幅な加筆・改稿がなされているとのこと。 装画・挿画を木内達朗さん、装幀を新潮社装幀室が行っており、 書籍の外観は、ホンワカ・ほのぼのムードが漂っています。 友だち?他人だよ、そんなの。 でも-特別な他人。 うっとうしくて、面倒くさくて、ややこしくて。 だから-大切な他人。帯に書かれた文章が、きっとこの作品のエッセンス。では、いざ、読書開始です!
2005.12.01
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『蹴りたい背中』よりも前に書かれた作品で、その頃は、『インストール』の主人公同様、綿矢さん自身も女子高生。そして、『インストール』は、女子高生らしいというか、現代の女子高生にしか書けない作品だなぁ、と思いました。文庫版のための書き下ろし『You can keep it.』も読みましたが、いずれの作品も、良くも悪くも、綿矢さんらしい文章ですね。解説の高橋源一郎さんは、ベタ褒めですが……。私は、どの作品も、最初の数ページを読むのに、かなり苦労しました。あとは、だんだん慣れてきますけれど……。お話の方は、作者自身の世界から、決して背伸びすることなく、身の回りにありそうな風景や人物を題材として選んでおられます。このことについては、たいへん好感が持てました。なぜなら、作者が、今後年齢を重ね、様々な経験を積み、どんどん自分の世界を広げていけば、もっともっと深みのある作品を生み出すであろうことが容易に想像できるからです。「らしさ」を失わず、書き続けて欲しいですね。
2005.12.01
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最後まで読みました。青木かずよし君が、「みやび」としてチャットで、3時間も相手をしたのが、浪人生のセイジ。彼は、主人公が「みやび」としてチャットで相手をしたとき、それが、本物の「みやび」ではないと見破る。かずよし君とセイジとの、チャットでのやりとりには、何とも形容しがたい、ネット独特の空気を感じました。現実から、ちょっと切り離されたところに築かれた「虚構の世界」。そして、その「虚構の世界」と「現実の世界」のアンバランス……。主人公が学校に行ってないことを、母は知っていた。「いじめられてたの?」主人公が押し入れの中で、1ヶ月、かずよし君と一緒にいたことを、青木夫人は知っていた。「かずよしがあなたといる時楽しいのならそれで良いんです。」 何が変わった?何も変わらない。私は未だ無個性のろくでなし。 ただ、今 私は人間に会いたいと感じている。 昔からの私を知っていて、そしてすぐに行き過ぎてしまわない、 生身の人間達にたくさん会って、その人達を大切にしたいと思った。 忘れていた真面目な本能が体の奥でくすぶっていた。30万円を手に入れ、チャット嬢のバイトは終了しました。主人公は、また、もとの現実世界へと帰っていくのでしょう。かずよしくんの方も、大丈夫……かな?
2005.11.30
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102ページまで読みました。最近、ちょっとばかり忙しくなってきたので、読書の時間も制限中。今日も、ほんのちょっとだけ読んで、このブログを書いたら、また、お仕事です……。青木君が、一緒にしようと誘ってきた仕事は、時給1,500円のチャット嬢。青木君はネカマ(ネットの中で性別を偽る人)として風俗嬢とメル友になり、彼女から、代理でHチャットをしてくれと依頼があったとのこと。おおお~っ、こんな展開なのか!!今時の女子高生(当時)の書くお話は、なかなか凄いものですね!!綿矢さんのイメージが……。主人公は、翌朝5時に青木君の家に忍び込み(合い鍵を既にもらっていた)、まだ、眠っている青木君を起こして、レクチャーを受ける。最初はコンピュータの操作に戸惑いながらも、すぐにコツをつかむ。あとは、「スカトロ」の話が出てきたり、青木君のお母さんは、実は血が繋がっていないと分かったり、光一君が、主人公の家に訪ねてきたり、といった感じです。綿矢さんも、このお話を書くために(?)色々勉強されたんですね。実際のチャットなんかも、ご覧になったのでしょうか……。
2005.11.29
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58ページまで読みました。1ページに12行しかないのに、なかなか読むスピードが上がりません。こういうのを格調高い文章というの?それとも単に独特の文体だから、慣れるまで時間がかかるということ?光一っていうのは、英文系の主人公のクラスで、ただ一人の男子生徒。しかも、彼の彼女は、主人公の担任教師……。彼の勧めで、それまで無遅刻無欠席だった主人公は、登校拒否児に。主人公は、自分の部屋にある全ての家具と小物をゴミ捨て場へ。そこで、偶然出会った小学生の男の子に、コンピュータをあげる。残ったゴミは、男の子の忠告で、指定の粗大ゴミ置き場に運ぶことに。この辺りまで来ると、ちょっとだけ、読むスピードが上がってきましたよ!ところで、この作品が書かれた頃には、まだコンピュータを、大型ゴミとして、捨てることが出来たんですね……。最近引っ越してきた青木さんという女性が、段ボールいっぱいのパンツをくれた。しかも、それらは高級エロ下着ばかり……。主人公の母は、1万円分の図書券を主人公に渡し、お礼に持って行けという。青木さんの家を尋ねると、あの小学生の男の子が出てきた。コンピュータは、押し入れの中に置かれてあり、ちゃんと起動した。男の子は、僕と組んで働きませんかと言い出した。もう、バンバン読めるようになってきましたよ。行数が少ないから、あっという間にページが進みます!でも、今日は、この辺で栞を挟んでおきま~す。
2005.11.28
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綿矢さんの作品は、若い女性2人が芥川賞を受賞したということで 世間が大いに騒がしかった頃、文藝春秋を購入し、 金原さんの『蛇にピアス』と同時掲載されていた 『蹴りたい背中』を読みました。 この時の文藝春秋は、118万5000部を最終的には売り上げ、 それまでの最高記録を更新したらしいです。 そして、その時の綿矢さんの作品の印象は 「いかにも若い女学生が書いたお話だなぁ~」ぐらい……。どっちかと言うと、『蛇にピアス』の方が、お話としては鮮烈でした。まぁ、作品としての評価がどうなのかは、別の次元のことのようですが。実は、綿矢さんの作品については、『蹴りたい背中』よりもその頃、書店で平積みされていた『インストール』の方が気になったいたのです。中をパラパラッと見ても、結構面白そう……。でも、こんなに短そうなお話で、一冊1050円か……。と、二の足を踏んでいたのです(かなり財布の紐が堅いでしょ?)。そして、しばらくの月日が過ぎ、今回、文庫化。しかも、書き下ろしの短編までついて、税込み399円。「これは買うしかない!」と言うことで、早速購入。では、読み始めま~す。
2005.11.27
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久々に「読んだぁ~っ!!」という一冊に出会えました。読みながら、涙するっていうところまでは、いかなかったですが(私は、何があっても、涙するということは、まずない人なので……)、胸にズシッと来るものは、最近読んだものの中では、群を抜いていました。さすがに直木賞作家の重松清さん、スゴイですね!また、斉藤美奈子さんが、解説の中で、スーパー・ジェッターの「流星号」に触れている部分では、「そう、来たかぁ!!」と思わず唸り、個人的に、大感激してしまいました。私は、文庫化されて、今回、初めてこの作品を読んだのですが、出版当時も、大変話題になった作品のようで、2002年度には、「本の雑誌」が選ぶ年間ベスト10で、第1位となっています。また、今年は、劇団銅鑼によって舞台化され、来年も、各地で公演が予定されているとのこと。さらに、映画化の噂も聞こえてきますが、まだ、こちらはハッキリしていないのかな?とにかく「父親」というものについて、深く考えさせられた作品でした。主人公(永田一雄)と父(チュウさん)、主人公と息子(広樹)、橋本さんと健太君。この3組の父と子を通して、息子を持つ父親たちは、「自分自身と自分の父親」「自分自身と自分の息子」のことを考えずにはおれなかったはず。語り合い、分かり合える父と子になれれば、どんなに良いだろう……。でも、そこで感じたことや思ったことを、現実の場面では、素直に言動に表せないのが、本当に、辛いところなんですよね……。
2005.11.26
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24(p.395~p.418)「やり直せてよかった。ほんとうに、そう思います。」現実は何も変わらなかったけれど、主人公は、そう言った。一方、健太君が目撃した母親は、砂場でよちよち歩きの赤ちゃんと遊んでいた。急に方向転換し、向こう側の道路まで全力疾走で公園を突っ切る健太君。母親と赤ん坊が去った後の砂場で泣き出した健太君。 「くたばる前に、見舞いに来たカズを見て、 わしの息子ももう三十八か思うて、わしの三十八の頃を思い出して……」 「お父さんだったら、美代子や広樹のことを、どんなふうに解決するんだろうな、って。 リストラや親父がもうすぐ死んじゃうってことを、あのひとなら、どうするだろう、って」父と子、反発し合いながらも、同じものを見つめていた二人。25(p.418~p.433)健太君は、成仏して生まれ変わるため、父親と離れ、霧の中へ。しかし、しばらくすると……、健太君は戻ってきた! 「幸せやら何やら関係あるか!親はのう、親子いうたらのう、 すごいんじゃ、理屈で別れるようなもんと違うんじゃけん。 別れよう思うても、別れられんのが、親と子ぉなんじゃ! わかったか!」このチュウさんの言葉が、このお話の核となるものだと感じました。26(p.433~p.448)息子が死なないですむように、橋本さんに必死で頼むチュウさん。そこに待っているのが、最低で最悪の現実でも帰りたいと口にした主人公。 「どんなに仲の悪い親子でも、同い歳で出会えたら、絶対友だちになれるのにね」 「……アホか、それができんのが、親子なんじゃろうが」それぞれの現実に戻っていく父と子。 27(p.448~p.466)現実の世界に戻った主人公。そこでは、時間が流れていなかった。窓を開け、大掃除を始める主人公。風呂掃除に洗濯、トイレの掃除も……。天袋の戸を開けると『黒ひげ危機一発』の箱があった……健太君からのプレゼントだった。チュウさんと二人で撮った観覧車の記念写真も、その中にあった。動かない笑顔に向かって「親父って、ほんと、大変だよね……。」リビングで一人、『黒ひげ危機一発』に熱中する主人公。4時前、広樹がドアを開け、リビングに入ってきて、「……なに、これ」広樹がナイフを突き刺すと、一発で海賊が飛び出した。主人公の「おやすみ」の声に、小さな声で「うん……」と広樹の声。翌朝6時に起床、車で駅まで、妻を迎えに行く。7時過ぎ、妻が姿を現し、改札口へ向かう主人公。そして「お帰り」。妻の手を取って歩き出す主人公。妻の手を強く握った主人公。一呼吸おいて、手の力を抜くと、滑り落ちかけた妻の指が、つないだ手がはずれる寸前、そっと主人公の指先をつかんだ。父は死んだ。遺影の写真は、観覧車の記念写真を使う。広樹は、夜12時前に眠るようになった。朝は、妻が料理をつくり、主人公がコーヒーを入れ、家族三人で朝食をとる。 まだ先は長い。 長いのだから、こんなところで終わってたまるか、と思う。
2005.11.25
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20(p.297~p.311)主人公、チュウさん、そして健太君の三人は、丘の斜面につくられた遊歩道の途中にある東屋に向かう。そこで、広樹はパチンコで、ペットボトルを撃っていた。健太君が、一人で広樹のそばまで行き、様子を見る。ペットボトルには、同級生や担任教師、そして父母の名前が書かれていた。広樹は、言う「こいつら生きてる価値ないから、俺が処刑してやってんの。」そして、なぜ、父母にまで、そんなことをするのかと聞く健太君に「処刑してやるよ、おまえも」。「痛い!」という健太君の叫びと共に、チュウさんがそこに飛び出して行った。21(p.312~p.343)広樹に、優しく語りかけるチュウさん。それは、父である自分がすべきことだったと、東屋の裏に隠れたまま、悔やむ主人公。「チュウさん!」健太君の叫びと共に、今度は主人公が飛び出していった。広樹は3学期になってから、ここに来ていると言う。パチンコは、お年玉の1万円で、ミリタリーショップで購入したと言う。主人公も中1の頃、ボンナイフに夢中になり、消しゴムを切っていたと言う。消しゴムには、ヒロのおじいちゃんの名前を書いていたと言う。主人公は、広樹に、今日は塾を休めと言う。広樹は、泣きながら震え、受験させてくれと懇願する。広樹は、震えながら、あらかたのことはぶちまけた。すでに、いじめは始まっており、地元の中学校には行けない状況だった。落ちることの決して許されない受験だったのだ……。その後の、主人公と広樹の会話、そして主人公とチュウさんの会話は、父親として、子どもにどう振る舞うべきかを、考えさせられました。22(p.343~p.373)主人公は、現実を大きくねじ曲げ、未来を変えるために、引っ越しをしようとするが、上手くいかない。主人公は、自分がすべてを、未来までも知っていると妻に語り始める。そして、広樹の受験の結果が出たらすぐに離婚してくれと頼む。就寝前、二人で一緒に湯島天神にお参りしようと約束する。夫婦が、今、まさに修羅場をむかえている時ですら、子どもの前では、何事もなかったように振る舞う母親と父親。複雑です……。23(p.374~p.395)朝、健太君から携帯電話がかかってくる。母親に会いに行くのだという。健太君は、感動の再会シーンを信じて疑わないのですが……。そして、湯島天神に向かう途中、これから夫婦の間に起こることを話す主人公と妻。美代子さんのような女の人って、やっぱり本当にいるんでしょうか……。主人公も、「現実のやり直し」の中の妻だから、あんな会話が出来るのかな?ちょっと、このあたりの会話と、それに続くベッドシーンは、私には??????の世界です。
2005.11.24
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16(p.234~p.249)オデッセイを降り、小学校のグラウンドの校庭に着く。主人公と橋本さんは、息子の運動会について会話する。「実際の現実」と「やり直しの現実」のズレについて会話する。やり直しは、結果を素直に受け入れられるようになるまで続くのだと、橋本さんは、言いました。主人公が、そうなるには、まだまだ時間がかかるのでしょうか?17(p.249~p.267)健太君は、橋本さんと仲良くなったのは、死んでからなのだと言う。両親は、健太君がなかなか橋本さんになつかないので、離婚寸前だったと言う。橋本さんは、健太君にとって、母親の再婚相手であり、実の父ではなかったのだ。微妙な父と子の関係、そして、二人の間に起こった出来事を、主人公に語る健太君。そんな健太君に、主人公は、橋本さんが、健太君に成仏して欲しいと願っていると告げる。 「息子は親父を捨てて行かなきゃいけないんだ。 いつまでも親父さんにべたべたしてちゃだめなんだよ。 嫌ってもいいし、憎んだってかまわない。 親の世界から出ていかないと、 子どもはどこにも行けなくなっちゃうんだから」「親離れしない子」に「子離れしない親」。現在は、多いですよね……。18(p.267~p.280)オデッセイに戻ると、二列目の座席にチュウさんが座っていた。自分は死ぬのかと主人公に問い質し、死への怯えからパニックになるチュウさん。喧嘩になった二人を止めようと、健太君がチュウさんの肘を後ろから両手でつかんだ時、まばゆい光が、三人を包み込んだ。気が付くと、三人は、地下鉄の乃木坂駅のホームにいた。おっと、これは新しい展開ですね。これまでとは違う、何かが起こりそうな予感です!19(p.280~p.296)実際の現実では、得意先の親会社の会長の葬儀に出かけようとしていた主人公。その会長の死がきっかけで、後に自分がリストラされるに至ったこと、小遣いをもらうために、父の見舞いに行っていることをチュウさんに話す。チュウさんは、主人公が、クビになるのを回避するため、これから嫌いな常務に取り入ろうとしているのを知ると、怒り出し、主人公を殴る。健太君のアドバイスもあって、主人公は、仕事をキャンセルして、家に帰ることにする。主人公は、橋本さん父子のこと、自分があの車に乗ることになった経緯をチュウさんに話す。そして、自分も、あの車を降りる時には、死ぬことになるだろうと告げる。自分が、もうすぐ死ぬのだと知って混乱し、それより早く、息子が死ぬかも知れないと知った父……実際なら、どんな感情が湧き起こってくるのでしょうか?でも、親にとって、子どもが先に死ぬなんていうのは、決してあってはならないこと、考えが及ばないことです。
2005.11.22
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12(p.171~p.184)父と子と孫の変則的な対面。父と子は「朋輩」ということで、孫に会う。広樹から、実力テストの出来を、執拗に聞き出そうとするチュウさん。そんなチュウさんに「問いつめるような言い方をするな」と咎める主人公。現実と同じように、食事は中華料理店ですることになる。何とか現実を変えようと、注文したコースに入っている料理を、さらに追加注文する主人公。そして、チュウさんは餃子とビールを、広樹はウーロン茶を注文した。チュウさんの「調子の悪い時に出るんが実力と違うんか?」という言葉。蓋し名言。しかし、テストを受けた本人には、最も応える言葉……。13(p.184~p.203)主人公が子供の頃の失敗談や恥ずかしい思い出を、広樹に語るチュウさん。自分が生まれた時の父の行動を知り、嬉しくなる主人公。しかし、広樹は、祖父が、父や自分から好かれていない存在であると言ってしまう。一度トイレに立った広樹が戻ってきた時、主人公は「受験、もうやめちゃおうか」と尋ねる。現実を変えるために。しかし、広樹は「受験するからね。ぜーったい」。その後、三人でオモチャ売り場へ。主人公は息子に、ゲームソフトを買ってやる。チュウさんは、息子から1万円を借りて『黒ひげ危機一発』を買ってやる。それは、主人公が子供の頃欲しかったのに、買ってもらえなかったもの。しかし、広樹の口から出てくるのは、現実の祖父への批判ばかりだった……。チュウさん、辛いですね……、悲しいですね……。実際、子から非難されるより、孫から非難される方がきつい……ような気がします……。14(p.204~p.222)家に帰り、三人で『黒ひげ危機一発』を楽しむ。夢中になるチュウさん。途中、広樹は、勉強するからと部屋を出ようとする。現実を変えるため、主人公は「たまにはのんびりしろよ」と言うが、帰ってきた言葉は「……どうしたの?お父さん。珍しいじゃん」。「本当のこと-受験には失敗する」という現実を息子に言い出せない主人公。その複雑な気持ちを知り、チュウさんは 「親はそげん思うとっても、子どものほうはわからんじゃろ。」それに対して主人公は、 「子どもの気持ちだって、親にはわからないんだよ」『黒ひげ危機一発』をしながら、語り合う父と子。「欲しかったけど、買ってもらえなかったんだ……」と言う息子に「じゃけん、いま買うてやったろうが」「広樹じゃのうて、カズに買うてやったんじゃ。」と怒ったように言うチュウさん。15(p.222~p.234)駅に妻を迎えに行く主人公。息子の受験について、妻に相談する主人公。そして、妻にも本当のことを問い質せない主人公……。チュウさんには、何もかも話せるのに……。それは、チュウさんが、あくまでも「過去を生きている存在」で、現実の「年老いた父」ではないからなのか……。
2005.11.21
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8(p.107~p.127)目覚めた主人公は、再びオデッセイの中。そして、次に着いたのは、橋本さんたちの交通事故現場。 「たいせつな場所って、 ほんとうにたくさんあるんですよね。 あとになってから、それに気づくんです。」橋本さんは、そう言った後、主人公が気付かなかった妻と息子のことを教えてくれる。そして、次に行く場所も、主人公にとって大切な場所でありながら、主人公が何もできないことも。主人公の名前は、永田一雄さんっていうんですね。9(p.127~p.139)道路脇に、百合と菊の小さな花束、そして缶コーヒーが2本。月命日に、橋本さんの車とぶつかったトラック運転手が、必ず供えてくれるもの。橋本さんは、息子が成仏できるよう、母親に会えるよう、主人公に手伝って欲しいと言う。しかし、それは、橋本さんと健太君が、別れ別れになることを意味していた。父親の息子に対する思い……父の「息子」としての自分、そして、息子の「父」としての自分。橋本さんの胸の内を聞き、様々な思いが駆けめぐる主人公です。10(p.140~p.154)次に着いたのは、去年のクリスマス間際の日曜日。息子の模試が終わるのを、ショッピングセンターの屋上で待っている主人公。観覧車を眺め、幼い日の息子のことを、そして幼い日の自分と父のことを思い出す。そこへ、チュウさんが現れる。しかし、主人公は、もう驚かない。思い出を語り合い、二人は観覧車に乗ることになる。11(p.154~p.171)観覧車に乗る前に、一枚千円の記念写真を撮ってもらう父と息子。主人公は、観覧車の中で、チュウさんと自分が、これからどうなっていくか、自分がなぜ父のことを嫌いになったかを伝える。 「どうしようもないことなんだ。 あとになって、結果が出てから振り返ったって、 そのときにはそれしかできなかったんだから、 しょうがないんだよ。」そんな言葉が主人公の口から出た後、チュウさんは、主人公の息子の広樹が、遊歩道のベンチに一人でポツンと座っているのを見つける。主人公が、全く知らなかったシーンが、そこにあった……。やがて、広樹がやってくるはずの屋上に、チュウさんと主人公は向かう。知っているつもりでも、分かってるつもりでも、実は、知らないことの方が遙かに多い……分かっていないことの方が遙かに多い……
2005.11.21
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4(p.48~p.61)主人公にとって大切な場所に辿り着いた。そこは一年前の新宿、駅前のスクランブル交差点の真ん中。妻の美代子が、他の男に肩を抱かれながら歩いている。そこへ、二十数年前の父が、朋輩のチュウさんとして現れる。チュウさんと共に妻を追い、古びたホテルへ向かう主人公。なぜ妻がこんな所にいるのか、自分はどうすればいいのかを、父に尋ねる息子。「自分で決めることじゃ。」と突き放す父。子供の時に「大きくて強い」と感じていた父は、実は、それほど大きくも、強くもなかったと気付きながら、どうすればいいのかを、父に尋ねる息子……複雑な感情ですね。5(p.61~p.74)レストランでビールを呷りながら、話し合う父と子。チュウさんは、これから自分がどうなっていくのかを、執拗に主人公に尋ねる。主人公が、自分は父親が嫌いで、会社の後継ぎにならず逃げ出したことを伝えると、チュウさんは、怒って店を出て行ってしまう。未来が予め分かってしまうのも、善し悪しですね……。6(p.75~p.88)妻が離婚を切り出した理由は、今、目の前にあるホテルにあった……。そこから出てきた男女は、短い言葉を交わしただけで別れる。男のあとを追う主人公。しかし、主人公は、ここでどうすればいいのか逡巡する。その時、チュウさんが現れ、男の胸ぐらを掴み、殴りかかった。妻はテレクラで、この男と知り合い、今日の昼前、初めて会ったのだった。一年前には知らなかったことを、今は知っているのに、心の中では、別のことを言って、別のことをしようとしているのに、台本通りに、一年前の自分をなぞることしかできないもどかしさ……辛いと思う……。7(p.89~p.107)帰宅してからも、1年前の台本通りにしか行動できない主人公。しかし、1年後のことを知っている主人公は、その時は何も感じず、やり過ごしていた息子の笑顔の翳りに気付き、記憶に残っていなかった妻の言葉の本当の意味を知る……。その後に描かれるベッドシーンは、悲しいと言うよりも苦しいものです。それは、未来を知る男の立場から描かれているから……。もし、未来を知らない女の側から、この場面が描かれるとするなら、どんな風になるのでしょうか……。
2005.11.20
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序章(p.7~p.10)「初めての家族ドライブ暗転」-5年前、新聞の社会面に小さく載った記事。父親の橋本義明さんと息子の健太君は即死、母親だけが一命をとりとめた。その家族構成と、年齢までも含めて、そっくり同じだった主人公。そして、主人公は、今、死にたがっている……。そんな彼の前に、5年前と同じ年格好の橋本さん父子が乗ったワゴンが現れる。『流星ワゴン』のワゴンって、ワゴン車のことだったんですね。1(p.10~p.21)主人公の家族は崩壊し、自分自身はリストラされて無職状態。故郷では、父が入院しているが、見舞いに出かけると「御車代」をくれる。だが、主人公と父との関係も、決して良いものではない。主人公は、ただ交通費との差額が欲しくて、足繁く帰郷しているのだった。「……もう、死んだっていいや。」バス乗り場のベンチに座って、ウィスキーを呷った主人公の前へ、オデッセイに乗った橋本親子が現れ、一緒に乗るよう促す。父との関係も、息子との関係も上手くいっていない様子の主人公。もちろん、奥さんとも全然なのでしょう……。今、世間では「熟年離婚」が話題になっているけれど、それ以前の段階での問題、っていうところのようです。辛いなぁ……。2(p.22~p.38)橋本さんは、運転しながら、主人公に、事故に遭うまでのことを話す。そんな中、主人公は、自分がもう死んでるのではないかと考える。自分が死んだら、妻は、息子は、どんなふうに感じ、考え、行動するのだろうか……。もし、父が自分の立場だったら、妻に、息子に、そして父にどう接したのだろうか……。このお話、どうやら「父と子」がテーマのようです。『東京タワー』は、母子関係が中心に描かれていましたからちょうど、反対側に目を向けた作品と言えるのかな?3(p.38~p.48)車が止まったのは、父が入院する病院が建っている丘の真下。橋本さんは、主人公について、何から何までよく知っていた。息子が不登校で、家庭内暴力を振るっていること、夫婦の間には、すでに離婚届が用意されていること。主人公と父との葛藤、分かり合えない関係……分かるような気がします。男同士って、変なところで意地を張り合って、本音を決して相手には見せないように振る舞うところがありますよね。
2005.11.20
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これは、何かのTV番組で、 「どの本が、泣けるか?」についてトークしている際、 誰かが『東京タワー』と仰ったのを受けて、 「私は……」と、女優の柴田理恵さんが挙げられた本です。 結局、私は『東京タワー』を先に読むことになったのですが、 それは『流星ワゴン』が、近所の本屋さんで見当たらなかったから。 その後も、何軒かの本屋さんで探しましたが見つからない……。 そして、やっとの思いで『1リットルの涙』と同時に入手したのです(その時のことは、『1リットルの涙』読書前で記事を書いていますので、よろしければ、そちらもお読みください)。ところで、『流星ワゴン』というタイトルを聞いて、私は、何のことなのか全くわからず、「これ!」と言ったイメージが、ほとんど浮かんできませんでした。「流星」だから、夜空を見上げて……というお話、つまりは、ラブ・ストーリー?それとも舞台が、宇宙だったりして!そして、「ワゴン」は、ますます分からない……。「四輪馬車」……「手押し車」……???でも、とにかく泣ける話らしいし、先日、ラジオで聞いた情報では、映画化もされるとのこと。と言うことで、早速、読書開始です。
2005.11.20
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最後まで読みました。「蒼い瞳とニュアージュ」(p.320~p.331)恵梨香は、美由紀と間違えられ、メフィストに捕らえられてしまう。その後、美由紀は、地下駐車場で恵梨香の車を見つける。助手席には、バイオリンケースと『蒼い瞳のニュアージュ』があった。『蒼い瞳のニュアージュ』は、美由紀が幼い頃、母親から読んでもらった絵本でもあったのですね。またしても、美由紀と恵梨香とが繋がってきました。「天国」(p.332~p.357)歴史学研究室の権威として名を知られていた、馬淵和則元東大教授は、陣場とボディーガードの金剛寺武雄と共に、ジンバッテック本社タワー最上階の社長室に向かう。そこには、すでに三人の組長が待ち受けていた。陣場は、新しいゴルフ場建設予定地に、徳川埋蔵金が眠っていると告げ、「慶喜御用金御朱印書」を馬淵に鑑定、解読させた上で、それを掘り出すための資金を、三人の組長に要求する。埋蔵金発掘に乗り気でない組長に毒を塗ったワイングラスを手にとらせる陣場……この人間も、なにか訳ありのようです。「タイムトラベル」(p.358~p.370)恵梨香が目を覚ますと、そこは江戸時代の宿場町だった。私は、この部分を読んで、『千里眼のマジシャン』の、お台場に出現したカジノを連想してしまいました。「萩原県」(p.371~p.397)美由紀たちは、「火あぶりの夢」を見た人達との会話の中から、その夢が、フライパンや鍋に火を通す時の揺らし方とほとんど同一規模の揺れを感じたことに起因すると仮説を立てる。それとは別に、萩原県に新たな疑問。県内には、24時間営業の理髪店や美容院が数多く見られ、カット代は無料。これは、何を意味するのでしょうか?
2005.11.20
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319ページまで読みました。「鋼鉄の処女」(p.281~p.298)恵梨香が播山と共に、彼の自宅に行くとそこには、発掘に関係のあるものとは別に、死を連想させるいくつかの品々があった。その中には、中世の拷問用具である「鋼鉄の処女」があったが、それは、死をもたらしてくれるものではくれない。播山は、恵梨香の「どうやったら死ねますか?」という問いに、こう答えた。 「自分の死が世の中にとって、明るい未来を約束するものであると確証に至ることだ。 そうすれば、死への抵抗はなくなる。」播山は、かなり危険な感じの男です。社会によって善悪の判断が下され、自分が制裁されることが腑に落ちず、あくまでも自分は肯定されるべきだと考えています。何か災いをもたらす予感……。「ノンキャリア」(p.299~p.208)メフィスト・コンサルティング・グループのタリオは、先輩のカワダと共に、ターゲットの美由紀を地下駐車場で待ち受けている。やがて、それらしき女性が現れたため、タリオは行動を起こそうとするが、カワダは、美由紀がトヨタ車に乗っているわけがないと、それを制止する。情報に頼りすぎるのも、考えものだという典型例。情報の中にちょっとした変化が生じただけで、正しい判断が出来なくなってしまう危険性をはらんでいる……。目の前にある現実をしっかり捉える目を持たなくては、いけませんね。「臨床心理士」(p.309~p.319)萩原県で、火あぶりになる夢と金縛りに悩まされている人が、現在分かっているだけでも、それぞれ百人ずついるらしい。日本臨床心理士会も現地調査に向かうことに。いよいよ、「火あぶりの夢」と「金縛り」の謎の解明に向けて、美由紀が動き始めます!
2005.11.19
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280ページまで読みました。「来訪者」(p.212~p.235)夏池省吾財務大臣の前に、メフィスト・コンサルティングのダビデが現れる。ダビデは、立体映像で、将来、日本が経済が破綻し、外国によって分割統治されるまでの姿を、夏池に見せつける。そして、ジンバテックが、新事業によって得ようとしている80兆円の利益を、そのまま国に転がり込むよう、歴史を調整してやろうと申し出る。やはり、ジンバテックは、何かとんでもないことをしでかし、大儲けしようとしているようです。そこへ、メフィストの乱入。日本国はメフィストに荷担するのか?「捏造」(p.236~p.257)伊勢崎巡査が、恵梨香に会わせた自殺未遂者は、播山貞夫という男だった。彼は“神の手”の持ち主として、考古学会に大きな影響を与えた人物、そして、その発掘した石器の全てが、捏造だったことが露見してしまった人物。そして、伊勢崎によると、彼の自殺は、いつも本気ではないらしい。自分の能力を見込まれての仕事依頼でなかったことに、落胆する恵梨香。しかし、そんな中でも、恵梨香は播山に問いかける。そして、答える播山の反応を見て、彼の自殺は疑似ではないと判断する。死を望みながら自殺できない悩み……今回のテーマは深いですね……。そして、過去の事実を、巧みにストーリーの中に組み込む松岡さん。毎度のことながら、天晴れです!「福祉」(p.258~p.280)週に一度、美由紀は自費でボーリング場を借り切り、都内の養護施設の子供達に開放していた。そこへ、ジンバテックの顧問会計士、大貫がやって来て、美由紀に、陣場社長が妄想性人格障害の可能性があるので、面談して欲しいと申し出る。美由紀は、ボーリングの腕もプロ並みのようです。何をやっても、本当に凄すぎます。
2005.11.17
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211ページまで読みました。「モノマニアック」(p.155~p.175)五年前、美由紀の両親が乗った車が、対向車の接触を受け、道路脇に飛び出し、民家を直撃。美由紀の両親は死亡した。一方、民家は、ガソリンタンクへの引火が原因で全焼。民家に住む夫婦も死亡。その時、唯一助けられた二十歳の娘が、恵梨香だったのだ。ここでは、恵梨香の美由紀に対する複雑な思いが、浮き彫りにされていきます。客観的に見れば、筋違いも良いところの発想・感情ですが、被害者心理とは、えてしてこういうものなのかも知れません。「野生の目」(p.176~p.211)ジンバテックの経営会議。社長の陣場は、会議室にはおらず、モニタースクリーンにその姿が映っている。会計士の大貫士郎は、萩原特別行政地帯の福祉事業が、今後の収益に結びつく可能性について質問する。しかし、陣場は、1ヶ月に百億円を超える萩原県への無償の支出を補う新事業の計画があるとだけ言い、詳細を明かそうとしない。陣場社長も、このお話のカギを握る人物の一人に違いありません。彼は、一体何によって、莫大な収入を得ようとしているのでしょうか?「自殺願望」(p.193~p.211)恵梨香が帰宅すると、玄関前に5人の男女が待ちかまえていた。彼らは、皆、美由紀の所へ連れて行けと要求する。しばらく、彼らの言い分を聞き、語りかけた恵梨香だったが、余りの傍若無人ぶりに憤慨し、家の中に入ってしまう。ここでも、恵梨香の美由紀への屈折した感情、そして、死に対する思いが明らかにされていきます。そんな時、埼玉県警、萩原西分駐署の伊勢崎から、自殺未遂者へ、カウンセラーとして指導して欲しいとの電話依頼が入った。
2005.11.17
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154ページまで読みました。「東京タワー」(p.101~p.123)カワサキZRX1100に飛び乗り、東京タワーに駆けつける美由紀。大展望台まで600段ある階段を駆け上ると、女性警察官の制止を振り切って、幅30センチの梁を前進、赤ん坊のいる場所へ辿り着く。しかし、赤ん坊を抱き上げると……それは人形だった……。そして、赤ん坊の口から、あの男の声が聞こえてきた。全て、メフィスト・コンサルティングの仕業……。声の主が特別展望台にいると気付いた美由紀は、その正体を暴くため、赤ん坊の人形を地上に投げ落とし、反応を覗った。案の定、サングラスの男を発見。しかし、その男を追おうとした時、殺人の現行犯として逮捕されてしまう。「虹彩」(p.124~p.138)日本臨床心理士会の会長室で、塚田市朗専務理事に行動を非難される美由紀。あの時、東京タワーにいた多数の人々が、本物の赤ん坊を投げ落としたと思い、ショックを受けて、失神したり、記憶が混乱したり、激しく動揺しているのだった。公安機動捜査隊の白根哲久警部補も、東京タワーでの事件の捜査にやってくるが、新玉恭介会長と塚田専務理事の手助けもあって、白根は引き上げる。次にやるべきことは、東京タワーから病院に運ばれた人達のケアだった。美由紀は、新玉と共に病院に出かけることになった。「出会い」(p.139~p.154)美由紀と新玉が、患者のいる病院の裏庭に着くと、バイオリンの音色が聞こえてきた。新玉は、そのバイオリンを演奏していたコギャル風の女性に声をかける。それは、一ノ瀬恵梨香だった。彼女のカウンセリングによって、患者たちは既に事件の衝撃を過去のものにしていた。美由紀と恵梨香の出会いは、衝撃的なものになった。恵里香のバイオリンケースは、かつて美由紀の所持品だった。そして、湘南の家も美由紀が恵梨香に譲り渡したものだったのだ。恵梨香が、貝塚英人の手製ベルティック・プラズマ爆弾を発見し、東京湾に運ぶという荒技、言い換えれば無謀な行動をやってのけたのは、美由紀と張り合おうとしただけではなく、別の欲求があったのではないかと、新玉は指摘するのだった。恵梨香は、ずいぶん美由紀に対抗心を燃やしているようですね。二人の間に何があったのでしょうか?そして、気になるのは恵梨香の「別の欲求」。ひょとして「死への欲求」?
2005.11.16
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100ページまで読みました。「SLK」(p.57~p.65)恵梨香は、利佳子を愛車メルセデスのSLK230に乗せ、美由紀のもとへ向かう。車中、利佳子がタバコを吸おうとライターで火を付けた時、恵里香の運転に、突然乱れが生じた。この異変は、恵里香にとって重要な意味を持つものなのでしょうか?恵梨香は、報道関係者が群がるビルの前で車を止め、利佳子に、ここで降りるよう促す。予約も紹介者も無しに、自分で美由紀に会えということだった……。「美由紀」(p.66~p.87)報道陣に囲まれて美由紀が登場するが、利佳子は声をかけることが出来ない。願いが叶わず、彷徨い歩いていた利佳子の前に、美由紀が現れる。あの混乱の中、一瞬、視線があった時、利佳子が相談にやって来たことを読み取っていたのだった。執拗に追いかけてくる報道関係者を振り切り、美由紀は、プライベートルームで利佳子のカウンセリングを始める。そして、後日、萩原県の自宅を訪ねる約束をするのだった。さすが千里眼!! そうとしか言いようのない、見事なカウンセリングが展開されています。「アドレス」(p.88~p.100)萩原県の住民から、美由紀の勤務先に問い合わせの電話が続いている。美由紀の勤務先が、鍋島医院であることは、マスコミにも伏せているのに。誰か、事情通が紹介しているのだろうと鍋島院長は言う。美由紀と恵梨香は、どうやら仕事上の付き合いはないようです。速達で届いたハガキの暗号を美由紀が解読すると、それは、インターネットのURAだった。そのアドレスにアクセスすると、男の声が聞こえてきた。そのメッセージの意味するところを読み取り、TVをつけると東京タワーの特別展望台の外に、赤ちゃんが寝かされていた。寝返りをうっただけでも転落しそうなその光景を見た時、美由紀は駆けだした。いよいよ、岬美由紀の大活劇の始まりです!!
2005.11.16
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56ページまで読みました。「早朝」(p.5~p.25)戸内利佳子は、炎に焼かれる夢を、曽我孝信は、金縛りにあう夢を見る。二人は、いずれも午前5時頃に悪夢から目覚める。この二人の悪夢が、どのようにして引き起こされたかが、今回のお話のキーになりそうです。戸内利佳子が住む町は、引き籠もりのために生まれた四十八番目の都道府県。早朝、TVをつけると、キャスターが埋蔵金伝説について語っている。チャンネルを変えると、イラクで発生した日本人人質事件のニュース。そこには、事件解決に活躍した岬美由紀の姿が映し出されていた。利佳子は、美由紀のカウンセリングを受けようと思い立つ。今回も、颯爽と格好良く、我らが美由紀さんの登場です! 「IT富豪」(p.26~p.39)利佳子が住む四十八番目の都道府県は、通称「萩原県」。ここの実質的な権限は、土地所有者のジンバテック株式会社にある。利佳子は、美由紀に会うため、萩原県内に住む臨床心理士を探すが見つからない。そこで、県内に住む一ノ瀬心理相談員を尋ねることにする。ジンバテック社長の陣場輝義は、身銭を切って萩原県に800万戸の住宅を建て、失業者・無職者・低所得者を無料で招き入れ、生活費まで支給している。ところで、陣場社長のモデルは、どう考えても、あのIT社長ですね。「恵梨香」(p.40~p.56)利佳子が尋ねた心理相談員は、一ノ瀬恵梨香だった。利佳子は、恵梨香の風貌や萩原県在住であること、臨床心理士ではないということから、恵梨香のカウンセリングを受けることには、全く興味を示さず、岬美由紀のカウンセリングが受けたいのだと強く主張する。恵梨香は、利佳子を美由紀に会わせるため、都内へ車を飛ばすことになる。いよいよ、恵梨香と美由紀が出会うことになりそうです。いったい二人は、どんな関係ということになっているのでしょうか!?
2005.11.15
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松岡さんの作品は、 最近、次第にそのページ数を増やしつつありましたが、 今回の『千里眼とニュアージュ』は、今までに無いほどの大作。 そして、通常ならば、まずはハードカバーで出版され、 暫くしてから、手直しされたものが文庫版として出版されるところを、 今回は、いきなりの文庫版書き下ろし作品。 しかも、松岡さんのファンには、お馴染みのコラボ作品。『千里眼』の岬美由紀と『蒼い瞳のニュアージュ』の一ノ瀬恵梨香が共演。カウンセリングに関わるという共通点はあるものの、その外見や振る舞い、これまでの履歴には、かなり違いがある二人。なのに、なぜか、深い部分で似たところがあるような気もします。とりあえず、この『千里眼』シリーズについては、全て読破してきた大の岬美由紀ファンとしては、読むしかありません。では、早速、まずは上巻の読書開始です!
2005.11.13
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今、放映中のドラマとは一味違った、本物の重さ、そして凄さを感じさせられました。この本は、あくまでも亜也さんの日記をまとめたものですから、そこに書かれているのは、亜也さんが、見たり、聞いたり、感じたり、考えた世界です。この日記を通じて、彼女を取り巻く人たちが、本当のところどんなことを思ったり考えたり、行動していたのか、全てを知ることは出来ません。また、様々な出来事の客観的事実を、その記述の中から探ろうとするのもあまり意味がないように思います。この日記の中から窺い知ることが出来るのは、亜也さんが、自分自身の精神と身体をコントロールするために、すなわち、一人の人間として生命を全うするために、どれほど、胸の内で、葛藤を繰り返し続けたかということです。頭の中でイメージしていることと、実際に行動できることの矛盾。その矛盾に、苦悩しながらも立ち向かっていく姿には、感動を覚えずにはおれません。受け入れがたい現実に、時として失望しそうになりながらも、最後には、自分自身を励まし、前向きに生きていこうとする。この強さが、私たちに深い感動を呼び起こすのです。「生きる」ということの意味を、考えさせられました。
2005.11.13
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ここでは、山本先生が「亜也ちゃんについて」お母さんの潮香さんが「あとがき」と「追記」を書かれています。山本先生は、まず、脊髄小脳変性症について専門家の立場から記述し、その後、亜也さんとの関わりについて書かれています。亜也さんの「先生、わたし……、結婚できる?」との問いかけに、山本先生が、反射的に「できない」と答えてしまった場面の記述では、人を十分に理解するということが、いかに難しいかを感じました。潮香さんの記述は、我が子を思う親心、そして苦悩で満ちあふれています。 言葉も殆どなくなり、一筋の涙さえ拭うことのできない自分を、 今、冴えている頭脳で何をどう思って、生きているのか。 それを表現する能力さえも奪われてしまった今は、知る術もない。亜也さんが病気と闘っている裏側では、設備や医療体制に関する様々な問題があったことが分かりました。完全看護と付き添い婦の問題、看護の域をはみ出した部分の問題、家族による補助の限界等々。他の弟妹を育てながら、その成長に伴い生ずる経済問題がある。さらに、共働きを前提に新築した家のローン返済等もあり、潮香さん自身が退職して、亜也さんにかかりっきりになるわけにはいかない。そんな中、家政婦さんと亜也さんとの関係が上手くいかなくなった時には、本当に悩み抜かれたことだと思います。その後、亜也さんは25歳10ヶ月で、短い生涯を閉じることになりました。
2005.11.13
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本文は、たったの2ページです。 そして、この部分については、 亜也さんのお母さんである潮香さんが書かれたものになっています。 亜也さんは、もう、文字を書いても その判読が、お母さんですら、難しくなってしまったようです。 それでも、渾身の力でマジックペンを握りしめ、 スケッチブックに書こうとする亜也さんの気魄!!彼女にとって「書く」ということが「生きる」ということに直結していたのだということを改めて、思い知らされました。なのに、それすら出来なくなってしまうのです……。それでも、きっと、亜也さんは、心の中で書き続けているだろうと、お母さんは、この章を締めくくっておられます。亜也さんが、自分で日記を書けなくなってからの様子については、潮香さんが、『いのちのハードル「1リットルの涙」母の手記』に綴っておられます。
2005.11.12
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いよいよ在宅不可能となり、知立市の秋田病院に入院することになりました。その病院には、山本先生が、月に2回診察に行くことになっているのです。そして、日頃の世話をしてもらうため、家政婦さんに付いてもらうことになりました。小柄なおばあちゃんで、とても親切に世話をしてくれたようです。文中に、初めてこんな注釈が出てきました。 (注・以後、文字が乱れて判読できない)これまでにも、言葉での意思の伝達が上手く出来ず、辛い思いをしていましたが、とうとう、文字の伝達についても支障が出始めたようです……。
2005.11.12
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長年使っていた二階の部屋から、一階の日本間に移ることに。その部屋へ、弟が化学の宿題と新品のカメラを持ってやって来る。嬉しそうに、二時間もカメラの説明をしてくれる弟。別の日には、妹のリカちゃんもやって来て、泣ける一言。 「明日、保育園へ行くの。 家にいないからいい子にしとらんといかんよ。 ズッコケンようにね。帰ってきたらまた遊ぼうね」弟や妹、そして母(お父さんのことは、あまり出てきません。何故?)。家族の愛に支えられながら生活している様子が、よく伝わってきます。けれど、とうとう言われてしまったコトバ。 「○○ちゃんもいい子にしてないと、あんなふうになっちゃうよ。」病院で、赤いチェックの服を着た三十代くらいのおばさんが、小さい男の子にささやいていたコトバ。本当に人間って残酷なものですね。悲しすぎる一言。辛すぎる……。おつゆが上手くすすれなくて、すぐむせてしまうように。でも、時間を決めてトイレに行くようにしたら、一回もしくじらなくて済む。出来なくなることもあるけれど、出来るようになることもある。出来ることを考え、見つけ、頑張っています。偉いなぁ!! 「お母さん、もう歩けない。 ものにつかまっても、立つことができなくなりました。」 と紙に書いて、戸を少し開けて渡した。山本先生の言葉は、いつも亜也さんの心に光を差し込みます。 「失ったものより、残されたものを大切にしてね」それでも、梅雨に入ると、病状は、階段を転げ落ちるように悪化していったのです。
2005.11.11
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二回目の入院。一人で病室の外に出てはいけない。症状の進行状態のチェック、新薬の注射、リハビリの日々。機能の再チェックで「あんまり変わっとらん。」と言われショック。頑張ってるのに、良くはならない……。養護学校を卒業。でも、就職もできず、職業訓練所にも行けない……在宅。何年か前には、全く想像すらしていなかったような現実。三度目の入院に当たって、山本先生からの言葉。 「今度は学生ではないから、 ゆっくり気長に良くなるまで入院しようね。」山本先生は、私を見捨てていなかった……嬉し涙が溢れる。そして、厳しいリハビリの日々。退院に当たって、山本先生からの言葉。 「悪くなることはあっても、良くはならない。 進行を遅くするには訓練をして 脳を刺激するようにするしかない」厳しい宣告を受けながらも、その事実を必死で受け止め何とか前向きに生きていこうとする亜也さんの姿に胸が熱くなりました。
2005.11.10
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夏休みになって、家に帰る。浴室で尻餅をつくと、石鹸入れがグシャッと割れ、破片がお尻に突き刺さる。病院で二針縫う。そして、2学期の始まり。 東高の体育大会と一番変わったことは、 部外者から当事者になれたことだ。 そして、重症だから何もできないと思っていたことが、 やればできるんだと思いなおしたことだ。小学生の頃は医者、中学生時代は福祉大学、東高のころは文化系目指すところは変わっていったけれど、人のために役立つ仕事がしたいということは一貫していた。でも、今はもう目標が定まらない……。言語障害が目立ち、欲求不満が高まる。箸も上手く使えなくなり、食べ方も工夫して自己流に。目がクラクラ、頭がフラフラ、右足の形も変わってきた。お風呂で体の重心がとれなくてブクブク沈んでしまう。高三になって、広島に修学旅行へ。原爆資料館では、展示物と車イスに乗った私を同じような気味悪いものを見るような目つきで見る小学生。その後、足の数が足りないハトを見つけ、意地になって、そのハトに餌をやろうとする。
2005.11.10
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入院生活……初めての家を離れての生活。検査、治療、リハビリ、病院を訪れる人達の克明な描写。退院、二学期の始まり、そして、転倒して前歯を3本折る。でも、将来について考え、友だちのことを大切に思う高校生です。自分で自分の診断をする。 感化神経症、涙腺故障、欲求不満症、 男性恐怖症、自信喪失症……。寒さと共に、体が硬くなり、道路には危なくて出られなくなる。 「かわいそうに……。あの子 バカ?」病気だけでなく、こんな酷い言葉にも耐え、戦わねばならない日々。 わたしは空気のような存在の人になりたい。 いなくなって初めて大切な存在であったことがわかるような、 とても優しくて、にじみでてくるような、 そんな人格の持ち主になりたい。健康な級友との生活の中で、屈辱感を味わいながらも、それを原動力に、勉強を頑張る日々。本当に立派です。けれど、東高で三年まで過ごすことは無理……と気付いている。悩み抜いて、養護学校に行くことを決意。とても辛い決断だったことでしょう……。寄宿舎での生活、車椅子、障害者の仲間。今までとは、全く違う生活の始まり。 知らない人に、「どこの学校の生徒?」と聞かれたら、 わたしはどう答えるだろうか?よく転ぶ、そして、何をするにも時間がかかるように……。1年で、色んなことが、どんどん変わってしまいました。
2005.11.10
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登校時、家から百メートルほど出たところで、突然、ひざがガクッとなって転倒。あごをひどく打ちつけ、麻酔もせずに二針縫う。体育の成績は、中1=3、中2=2、中3=1ドラマの池内亜也は、高校を受験、そして入学した頃には、ほとんど普通に動いて、バスケットボールまでしていましたが、木藤亜也さんの場合は、この時点では、すでに自分の体が思うように動いてくれなかったようです。体育の授業で、バスケットボールが出来ないため、先生から自習をするよう指示された時、級友の 「わァー、いいね、自習なんて」という言葉に、腹の中が煮えくりかえったという部分の記述には、色々と考えさせられました。相手の立場に立ちきれず、気付かぬうちに、その人を傷つけてることって、結構あるんだろうな、と。国立名古屋大学付属病院で、祖父江逸郎教授に診てもらう。みんなが出来ることがやれない屈辱感、惨めさを既に感じる日々。個人懇談会、卒業式、公立入試、そして合格。高校生になって初めての夏休みは、検査と治療のため、入院生活をすることに。
2005.11.09
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小さい犬のメリーが、隣の猛犬タイガーに近付いて行って首を食い破られて死んでしまった。これが、この本に掲載されている最初の日記です。「死」というものを予感させ、「命」について考えさせる内容。その後は、新居が完成し、自分と妹の新しい部屋ができたことについての記述。その自分たちの城での、新しい出発に当たって、自らに、日課や勉強、日記をを義務づけ、励ましています。中学生らしい、希望に満ち溢れた内容の日記になっています。続いて、家族の紹介。父(41歳)、母(40歳)、私(14歳)、妹(12歳)、弟(11歳)、弟(10歳)、妹(2歳)日記に、自分の家族のことを、一人一人コメントするなんて、ちょっと珍しいかも。ところで、ドラマでは、主人公は4人の兄弟姉妹の長女だったから、原作とは違う設定になっていたんですね。主人公が、高校受験のところから始まっていたのも違っています。と言うことは、これから先も、ドラマは、原作をかなりアレンジしていることが予想されますね。
2005.11.09
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これもまた、現在、フジTV系で放映中のドラマの原作。 そして、この本、楽天のブックランキングでは、 上位にランクインしているではありませんか。 先日、ドラマを見た時にも、ちょっと良さそうだったので、 とりあえず購入することに決定! では、いつもの本屋さんに、レッツ・ゴー!! ところが……無い……。 つい1週間か2週間ほど前には、平積みしてあった文庫本が1冊たりともありません……。どこかに場所が移動したのかと、あちこち探してみたけれど、やっぱり、ありませんでした。う・り・き・れ……!?この本屋さん、住宅街のショッピングセンターの中にあるのですが、売り場面積は、かなり広めで、品揃えもなかなかのものなんですが……。気を取り直して、翌日、JRの駅に隣接する別の書店へ。ところが、ここにも1冊も残っていない……。こんな大都会の真ん中の、大きな本屋さんにもないの?そして、さらに次の日、新たな書店へ。ここは、某電気店の中に設けられたブック・コーナー。文庫本は少なめですが、あるかな? ないかな?あぁ、やっぱり……ですか……。ここまで来ると、か・い・か・ん……(薬師丸ひろ子風に)。マゾヒズムの世界……。それでも、めげずに、さらに次の日、今度は、ちょっとマイナーなレンタルビデオ店へ。そして……ついに……ありましたぁ~!!かなり苦労して手に入れた、この一冊。早速、読んでいきま~すっ!!
2005.11.09
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「14 ノビアニ」から「16 好事魔多し」まで読みました。「14 ノビアニ」ノビアニを担当して1ヶ月になる朴用伊(パクヨンイ)内人。彼女が、担当するようになってから、国王がノビアニに箸を付けなくなってしまっている。厨房尚宮の厳しい叱責に涙する朴用伊。そして、チャングムは、厨房尚宮に呼び出される。ノビアニの作り方を説明し、朴用伊の作ったものの批評をしたチャングムは、さらに、ノビアニを焼いて持ってくるように命じられる。チャングムの作ったノビアニを吟味した厨房尚宮は、チャングムをノビアニの担当にする。そして、李春雪。韓乃温内侍が、チャングムに会いたいと言っていると伝える。チャングムは、それが何を意味するものか知りながら、李春雪にOKの返答をする。「15 月の光、悲しみの刃」チャングムを懐に掻き抱く韓乃温。そこへ、佳徳が現れ、刃物で韓乃温の腹を一突き。チャングムにひざまずいて謝らせるのだった。ここも、ずいぶんあっさりと、韓乃温が謝って終わり。何とも情け無い限りです……。「16 好事魔多し」ノビアニ担当になったチャングムは、朴用伊の前にノビアニを担当していた醤庫(ジヤンコ)媽媽にノビアニのことを教えてもらいに出かける。これが功を奏し、チャングムの作ったノビアニは好評、国王が5キレも食べたと、提調尚宮から聞かされる。チャングムは、厨房尚宮の様子を見て、関節炎だと伝える。料理だけでなく、医術でも非凡なところを見てくれました。ところが、韓乃温の復讐か、佳徳は宮中から連れ去られてしまう。何とも悲しい成り行きで、「これから、一体どうなってしまうのか~!?」というところで1-宮廷篇は、終了です。
2005.11.08
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「11 飯炊きと焼き魚」から「13 蛭」まで読みました。「11 飯炊きと焼き魚」厨房尚宮は、チャングムが、師匠?娥として教えることで、内焼厨房の仕事がおろそかになることが気にくわない。チャングムに米の炊き方を質問すると、途中で返答に窮してしまう。さらに、焼き魚について説明させた後、実際に魚を焼かせてみる。そして、魚膳(オソン)料についても質問するが、どれも、最後まできちん答えたり、調理することができない。 「媽媽、ふくらはぎを打って、私の愚鈍さと過ちをお直しください」厨房尚宮のムチが、チャングムのふくらはぎに容赦なく絡みつき、再び、ぞっとするような赤黒い筋が刻まれていった……。これは、愛のムチなのか……。「12 幽谷察訪駅」佳徳は、幽谷察訪駅を訪れ、韓乃温に気に入られたおかげで、そこを抜け出すことが出来たのだった。書吏(ソリ)の朴万出(パクマンチユル)は、佳徳を韓乃温に献納する直前、部屋に連れ込み行為に及ぼうとする。しかし、佳徳は、本能的に両手で朴万出を押しのけ、足で蹴り上げて、外へ逃げ出す。そして、韓乃温との行為(と言っても、彼は去勢されているが)の後、一生、内侍韓乃温の側にいたいので、明日、すぐにここを連れ出して欲しいと懇願する。この願いは叶い、佳徳は宮内へ、テ・ヨンギは韓乃温の家へ行くことになる。この部分の描写も、読んでいて赤面するほどに、なかなかエロエロです……。「13 蛭(ひる)」そして、チャングムによる佳徳救出作戦の開始。これが、あまりにもあっさりと成功するのです。この章も、わずか5ページ!
2005.11.08
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「8 内焼厨房」から「10 内訓」まで読みました。「8 内焼厨房」鳳美(ポンミ)から、内焼厨房について細かく教えてもらうチャングム。古式厨房の様子や知識が、大変丁寧に記述されています。そして、父から手紙が届きますが、テ・ヨンギについては、謎のまま。この章は、わずか9ページで、あっという間に終わってしまいました。「9 情事」夜中、佳徳が、隣部屋からこっそりと外に出て行く。気になったチャングムは、床を離れ、探しに出かける。すると、数本の木立の間に人影が……佳徳と韓乃温だった! そんな佳徳の裸体の上を、韓乃温の唇がゆっくりと這い回る。この部分の描写は、かなり艶めかしい。NHKでは、放送できないだろうなぁ……。そうそう、そんな心配は無用でした(前にも、同じ事を書きましたね)。これは、TVドラマとは全く別のお話なんですから。韓乃温が後も振り返らず帰った行った後、その場で座り込み、すすり泣く佳徳。翌朝、チャングムは、昨夜の一部始終を見てしまったことを佳徳に告げることに。「10 内訓」チャングムの講義の様子が描かれています。途中、突然の提調尚宮からの質問にも、すらすらと答えるチャングム。この章は、たったの5ページでした!
2005.11.08
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