世界で一番愛する人と国際結婚

5時間だけの恋 in LA 2


私のホテルのサインが見えてきた。


と思ったら少し手前でタクシーが止まった。



「あのう、、、、僕の家はここなんだけど、よかったら、
僕の車で送らせてくれない?」



「いいわよ。」



即答した私は、一緒にタクシーを降りた。


私のホテルは目の前だと言うのに。


私達は顔を見合わせて笑った。


海沿いの高そうなコンドから、彼が出してきたのは白いポルシェだった。


私達はそのまま夜のLAをドライブした。


海沿いのレストランで軽く食事をして、名刺を交換した。
彼は、自分で金融関係の会社を経営している人だった。
マイアミにある家と、LAのコンドを数ヶ月おきに行ったり来たり
しているのだそうだ。


ベールの推定年齢は30代後半。
年齢は聞かれなかったので、私も聞かなかった。



「ねえ、クラシック好き?明日、一人でコンサートに行こうと
思っていたんだけど、一緒に来ない?」


「とても行きたいけど、実は、私明日帰ってしまうの。


「ええ?もう?残念だな。」


もっともっと一緒にいたい、話がしたい。


食事の後も、マリブのほうまでドライブし、夜中12時ごろに、
ホテルまで送ってくれた。


私の荷物を車から外に出してもらった後も、
私達はずっと見つめあったままだった。



ホテルの前に停めた彼の車の後に、2台車が続いていた。

後ろの車に、早く出せとばかりに、クラクションを鳴らされた。


私達は大急ぎでハグをし、彼は私の頬に軽く唇を触れさせ、
そのまま車を走らせて行ってしまった。


その夜、私は眠れなかった。翌朝、私は一人でLAを後にした。


朝、彼がまたホテルまで来てくれないかとむなしい期待をしたが
彼は来なかった。電話もなかった。



ところが、日本に戻るとベールからメールが来ていた。


「実を言うと、あれ以来、君のことを考えるのが止められない。」


私は狂喜して、メールを返した。


「私も同じ気持ちよ。」 と。



その後、私達のメールのやり取りと電話は、1ヶ月以上続いただろうか。

だが、いつの間にか途切れて、それっきりになってしまった。



たったの5時間一緒にいただけだから、ベールがどういう人なのか
全く分からない。

もしかしたら、奥さんがいたかもしれない。


とにかくLAXで始まった私の5時間の恋は、

あっという間にはじけて、消えた。


終わり


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