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伝説のフォーク/ブルース・ミュージシャンを取り上げた異色作 クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)は1931年シカゴ生まれのサックス奏者。そんな彼がフォークおよびブルースのミュージシャン、レッドベリー(Leadbelly, レッド・ベリーと二語で表記されることもある)に関わる楽曲を取り上げたのが、『ジーズ・アー・マイ・ルーツ(These Are My Roots: Clifford Jordan Plays Leadbelly )』という盤である。 収録曲のほとんどはレッドベリーが取り上げていたトラディショナル曲である。その一方、5.「ハイエスト・マウンテン」はジョーダンの自作曲の初演、6.「グッドナイト・アイリーン」はハディ・レッドベター(Huddie Ledbetter)のクレジットがあるが、これはレッドベリーの本名である。ヴォーカルの入った曲も含まれていて、3.「テイク・ディス・ハマー」と8.「ブラック・ガール」は女性ヴォーカル(サンドラ・ダグラス)がフィーチャーされている。 少々話が飛躍するが、“ジャズで聴く〇〇”などというのは何かと怪しいモノが多い。早い話、ジャズとして聴く必要がなさそうなもので溢れている。その一方で、本盤のように“ジャズ・ミュージシャンが演る〇〇”は、時に期待が外れるようなこともあるけれど、本盤のような“大当たり”もある。“これぞ我がルーツ”というアルバム表題が示すように、自身のジャズの血や肉になっている要素を改めて自分のものとして提示する。これをやるのは勇気がいる。そしてうまくいくかどうか(聴き手に受け入れられるかどうか)不安になりそうなものである。筆者としては、大成功したと思う。気に入っている演奏を挙げると、1.「ディックス・ホラー」、4.「ブラック・ベティ」、上述の自作曲5.「ハイエスト・マウンテン」、6.「グッドナイト・アイリーン」、7.「グレイ・グース」、9.「ジョリー・オー・ザ・ランサム」といったところ。 なお、ジョーダンは1993年に61歳で亡くなった。レッドベリーの生年は諸説あるけれど、1888年誕生だとすれば、1949年に死去しており、61歳だったことになる。奇しくもジョーダンはレッドベリーと同年齢で天に召されたということだろうか。[収録曲]1. Dick's Holler2. Silver City Bound3. Take This Hammer4. Black Betty5. The Highest Mountain6. Goodnight Irene7. De Gray Goose8. Black Girl9. Jolly O' the Ransom10. Yellow Gal[パーソネル、録音]Clifford Jordan (ts)Roy Burrowes (tp)Julian Priester (tb)Cedar Walton (p)Chuck Wayne (banjo)Richard Davis (b)Albert Heath (ds)Sandra Douglas (v, 3. & 8.)1965年2月1日(1., 2., 5., 7., 9.)、2月17日(3., 4., 6., 8., 10.)録音。 JAZZ BEST COLLECTION 1000::ジーズ・アー・マイ・ルーツ [ クリフォード・ジョーダン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年12月30日
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懐かしさと郷愁を誘う、円熟味溢れる好盤 マリア・マルダー(Maria Muldaur)は、1943年ニューヨーク生まれのフォーク/ブルース・シンガー。1960年代末から70年代初めにかけて、夫のジェフ・マルダーとのデュオで活動するも、離婚を経て、1973年にソロ・デビューした(ちなみジェフの方はこちらの盤に参加)。そのデビュー盤が『オールド・タイム・レイディ(Maria Muldaur)』で、原題は見ての通りのセルフ・タイトル盤である。 アルバム自体、広く受け入れられ、発売翌年にビルボード3位を記録した。また、シングル曲としては、2.「真夜中のオアシス」が同じく全米チャートで6位になった。全編を通して、カントリーやブルースといった伝統の上に成り立っている、これぞ“アメリカン・ミュージック”といった楽曲が並ぶ。個人的な好みでいくつかの曲を見てみよう。1.「エニー・オールド・タイム」はカントリー色が強く、伸びやかなヴォーカルが印象的。上述のシングル曲2.「真夜中のオアシス」の軽やかで円熟のヴォーカルは貫禄すら感じさせる。6.「ドント・ユー・フィール・マイ・レッグ」や10.「ヴォードヴィル・マン」は、全然もろブルースということではないのだけれど、アメリカ音楽の伝統としてのブルースを実はうまく引き継いでいるのが印象に残る。あと、アルバム末尾にさりげなく収められている11.「マッド・マッド・ミー」は、隠れた名唱だと思う。 クレジットに目を向けると、いろんな人物のサポートが目に付く。1.のライ・クーダー(アコギを担当)を筆頭に、2.のジム・ゴードン(デレク・アンド・ザ・ドミノスのドラマー)、2.のギター・ソロなどで参加のエイモス・ギャレットなんかがいる。さらには、ジャズ畑のミュージシャンの参加も含まれていて、代表格は7.に参加のレイ・ブラウン。他には、6.,9.,10.では、ドクター・ジョンがキーボードに加えてホーン・アレンジも行なったという。 結果、仕上がった盤は、円熟のヴォーカルを示す1枚というだけでなく、古き良きアメリカ音楽の伝統を消化し、当時のポップ感覚を適度にもった、貫禄の1枚になったと思う。きっと21世紀に入った今のアメリカ人が聴いても、ちゃんと懐かしさや郷愁が感じられる、要は時代を超えた名盤に仕上がっているのだろうと思ってみたりする。[収録曲]1. Any Old Time2. Midnight at the Oasis3. My Tennessee Mountain Home4. I Never Did Sing You a Love Song5. The Work Song6. Don't You Feel My Leg (Don't You Get Me High)7. Walkin' One and Only8. Long Hard Climb9. Three Dollar Bill10. Vaudeville Man11. Mad Mad Me1973年リリース。 Forever YOUNG::オールド・タイム・レイディ [ マリア・マルダー ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年12月28日
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12月初旬からだいぶ間が空いてしまいましたが、INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。2017年もあと1週間を切りましたので、年内最後のINDEXページの更新になると思います。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-L)・つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-C)へ → つづき(D-H)・つづき(I-L)・つづき(M-R)・つづき(S-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー (どちらか一方でもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2017年12月26日
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有名クリスマス曲のカバー2選 前回、前々回と紹介済みのクリスマス盤から2曲ずつ取り上げましたが、それとは別にこのナンバーも聴きたくなり、追加で取り上げることにします。先日、クリスマス気分のBGMが流れている街中で耳にしてふと気になった、ジョン・レノンの有名曲のカバーです。 その曲というのは「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」ですが、歌っているのは、2010年デビューの女性シンガーソングライター、クリスティーナ・ペリー(Christina Perri)です。2012年にミニアルバムでこの曲を取り上げています。 せっかくですので、女性シンガーによるこの曲のカバーをもう一つ。カナダ出身の歌姫セリーヌ・ディオン(Céline Dion)によるものです。1998年発表の彼女自身のクリスマス盤(『スペシャル・タイムス(These Are Special Times)』)に収録されています。 今日はクリスマス・イヴ、そして明日はクリスマスです。どうか素敵なひと時をお過ごしください。[収録アルバム]Christina Perri / A Very Merry Perri Christmas(2012年)Céline Dion / These Are Special Times(1998年) 【メール便送料無料】Christina Perri / Very Merry Perri Christmas (輸入盤CD)(クリスティーナ・ペリー) スペシャル・タイムス [ セリーヌ・ディオン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年12月24日
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クリスマス盤からの曲紹介(その2) 続いては、1年前に取り上げたケニー・バレル(Kenny Burrell)のクリスマス・アルバム『ハヴ・ユアセルフ・ア・ソウルフル・リトル・クリスマス』から2曲ほどピックアップしてみたいと思います。“ブルースで迎えるクリスマス”の次は、“ブルージーなジャズ・ギタリストで迎えるクリスマス”です(笑)。 まずは、有名曲の「ザ・クリスマス・ソング」。このアルバムではやり過ぎではないかと思うほどに定番曲が取り上げられていますが、概ね演奏パターンがあるようです。冒頭は原曲メロディにかなり忠実に演奏し、曲半ばから一気にインプロヴィゼーションを繰り広げるというパターンです。前半でジャズが特に好きではない人も満足し、ケニー・バレルの本領発揮を聴きたい愛好者は後半で満足できる、といったところでしょうか。 もう1曲は、クリスマス曲ではないけれど、筆者お気に入りの同盤収録のものです。この「マイ・フェイヴァレット・シングス」はこの盤の中でもベストの演奏と言っていいように思います。 [収録アルバム]Kenny Burrell / Have Youself A Soulful Little Christmas(1966年録音) 【輸入盤】Have Yourself A Soulful Littlechristmas [ Kenny Burrell ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2017年12月22日
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クリスマス盤からの曲紹介(その1) さて、間もなくクリスマスということで、2回に分けて、いくつかの曲を映像(音声)付きで取り上げてみたいと思います。 まず、今回は、先に紹介したアルバム『ア・クリスマス・セレブレイション・オブ・ホープ(A Christmas Celebration of Hope)』から、B・B・キング(B. B. King)によるクリスマス曲を2つほど取り上げてみます。 1曲目は、有名曲の「メリー・クリスマス・ベイビー」です。1947年発表の有名なR&Bナンバーで、いろんなアーティストによって取り上げられているクリスマス曲です。もちろん、ブルースらしさ全開の演奏と歌唱です。 もう1曲は、同盤所収の自作曲です。「クリスマス・セレブレイション」というナンバーで、こちらも彼らしさが存分に発揮されたナンバーです。 前回記事にも書きましたが、たまにはこういったブルースでクリスマス気分も演出してみる(?)というのも、いいかもしれません。[収録アルバム]B. B. King / A Christmas Celebration of Hope(2001年リリース) ア・クリスマス・セレブレイション・オブ・ホープ +1 [ B.B.キング ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年12月20日
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今は亡きブルース界のキングによる唯一のクリスマス盤 クリスマスが近づいてきたということで、今回は少し風変わりなクリスマス盤を1枚。B・B・キング(B.B.King)は1925年生まれのブルース・ギタリストで、2015年に89歳で亡くなっている。1949年に初めての吹込みを行ってから晩年まで活躍し、1956年から2008年までに50枚を超えるアルバムを世に送り出したブルースの巨匠である。R&Bやブルースだけでなくロックやポップを含む何度ものグラミー受賞歴のほか、生前にブルースの殿堂、ロックの殿堂に殿堂入りしている。 そんな彼が21世紀に入ってすぐに“ホリデー・アルバム”を出した。2001年リリースの『ア・クリスマス・セレブレイション・オブ・ホープ(A Christmas Celebration of Hope)』である。当時76歳にして、本盤は二重の意味で“新しい挑戦”だった。 まず、本盤はその収益を生命の危機に晒されている人のための研究所(シティ・オブ・ホープ)に寄付するというもので、それに因んでアルバム名も『…オブ・ホープ』となっている。B.B.キング自身がこのアルバムタイトルを決めたという。もう一つは、本人も“長年の夢”と語っていた、クリスマス曲集(ホリデー・アルバム)という点である。 定番のクリスマス曲が並び、キング節のブルースで演奏される。いくつか挙げてみると、1.「プリーズ・カム・ホーム・フォー・クリスマス」(参考過去記事)、3.「バック・ドア・サンタ」(参考過去記事)、5.「アイル・ビー・ホーム・フォー・クリスマス」、8.「メリー・クリスマス・ベイビー」(参考過去記事)といった有名曲が並ぶ。アルバムを締めくくるのは、インストの13.「蛍の光」である(ただし日本盤ではその後にボーナス曲が続く)。“おしゃれな雰囲気”しか演出されない日本のクリスマスにはそぐわないかもしれないが、音楽好きとしては、偉大なるキングを思い出しながらブルースで迎えるクリスマスというのもまた一興ではないだろうか。[収録曲]1. Please Come Home for Christmas2. Lonesome Christmas3. Back Door Santa4. Christmas in Heaven5. I'll Be Home for Christmas6. To Someone That I Love7. Christmas Celebration8. Merry Christmas, Baby9. Christmas Love10. Blue Decorations11. Christmas Comes But Once a Year12. Bringing in a Brand New Year13. Auld Lang Syne(蛍の光)14. What a Wonderful World *日本盤ボーナス・トラック2001年リリース。 [枚数限定][限定盤]ア・クリスマス・セレブレイション・オブ・ホープ+1/B.B.キング[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2017年12月19日
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再評価を切に望む1枚 ジョージ・ラッセル(George Russell, 1923-2009)は、米国オハイオ州出身のジャズ・ピアニストおよび作曲・編曲家。1950年代以降に様々な作品を残しているが、今回取り上げるのはその中でもわりと初期に当たる1959年の『ニューヨークN.Y.(New York, N. Y.)』という盤である。 本盤を酷評する人もいるようなのだけれど、ニューヨークの断片を切り取った、という意味では見事な仕上がりだし、もっと注目されていい盤ではないかと個人的に思ったりもする。ナレーション(ナビゲーター役)を担当しているのは、ジョン・ヘンドリクスで、ヴォーカリーズの創始者と言われたりする人物。この人の存在がメインというわけではないものの、小気味よいテンポで曲を導入しているのは個人的にはいい感じだと思う。もちろん、メインコンテンツはあくまでも演奏それ自体であり、ニューヨークの情景を切り取ったかのような聴き手の想像をかき立てる演奏がテンポよく繰り広げられていく。 確かに、不測の展開というよりは、ある意味で計算ずくの“アレンジ・ジャズ”的であることは否定しがたい。つまるところ、本盤の評価は、この部分を肯定するか否定するかで大きく変わるような気がしてならない。そして、ここまでの文章を読んでいただいた方はきっとご推察のように、筆者はどちらかというと肯定派なわけである。 メンバー一覧(下記参照)を少し見ると気づくように、錚々たる顔ぶれが参加しているのも凄い。アート・ファーマー(トランペット)、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、ビル・エヴァンス(ピアノ)と、ジャズ愛好者じゃなくても耳にしたことがあるほどのビッグネームが並んでいる。そんな個性豊かな演奏者群をものの見事にまとめているのが、アレンジャーのジョージ・ラッセルというわけである。 そんなわけで、ストーリー性も重要な要素になっているように思える(無論、それを先導するのが上記のジョン・ヘンドリクス)。1.「マンハッタン」で“さあ、ニューヨークへ行こう”みたいなワクワク感が出され、続く2.「ビッグ・シティ・ブルース」では、実際にニューヨークに着いてで会った光景を想起させる。3.「マンハッタン・リコ」は、少々間延びした感じがなくはないのだけれども、この町の華やかさと成功せずに消えていく人々の対比が描き出される。そして、メドレーになった4.「イーストサイド・メドレー」では、そういう喧騒とは少しかけ離れたイメージのニューヨークが演出される。でもって、最後の5.「ア・ヘルヴァ・タウン」では、冒頭のモチーフに戻り、“さあニューヨークへ”のイメージが繰り返される。少々長文になってしまったけれど、何ともよく出来たストーリー性ではないだろうか。[収録曲]1. Manhattan2. Big City Blues3. Manhattan Rico4. East Side Medley: Autumn in New York/How About You?5. A Helluva Town[パーソネル、録音]George Russell (arr, conductor)Art Farmer (tp)Doc Severinson, Ernie Royal, Joe Wilder, Joe Ferrante, Bob Brookmeyer (tb)Frank Rehak, Tom Mitchell, Jimmy Cleveland, Hal McKusick, Phil Woods (as)John Coltrane, Al Cohn, Benny Golson (ts)Sol Schlinger, Gene Allen (bs)Bill Evans (p)Barry Galbraith (g)George Duvivier, Milt Hinton (b)Charlie Persip, Max Roach, Don Lamond (ds)Al Epstein (bongos)Jon Hendricks (vo, narration)1958年9月12日~1959年3月25日録音。 ニューヨーク、N.Y./ジョージ・ラッセル[SHM-CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2017年12月16日
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12歳のデビュー盤 スティーヴィー・ワンダー(スティービー・ワンダー,Stevie Wonder)は、11歳でモータウンと契約し、67歳の現在まで半世紀を優に超えるキャリアを誇る。当初は“リトル・スティーヴィー・ワンダー”の名で親しまれた。11歳で録音したシングル曲は先に発表していたものの、アルバムとしてデビュー盤になったのが、1962年リリースの本盤『ジャズ・ソウル~スティーヴィー・ワンダー・ファースト・アルバム(The Jazz Soul of Little Stevie)』であった。 このアルバムの特徴は、何よりもスティーヴィーが“歌っていない”ことにある。要はインストルメンタルの演奏盤で、彼が担当している楽器は、ボンゴ(1., 3.)、ハーモニカ(2., 5., 8., 9.)、ドラムス(4.)、オルガン(5., 7.)、ピアノ(8.)である。大半の楽曲はプロデュースを行なったヘンリー・コスビーとクラレンス・ポール(後者は“リトル・スティーヴィー・ワンダー”という芸名の名付け親だという)による。とはいえ、2曲(7., 8.)ではスティーヴィー自身も共作者として作曲に名を連ねている。 結局、この盤はこれといったチャートアクションを見せることはなかったが、幼くもハイレベルな才能は十分に発揮されていたと言えるだろう。本盤リリース後、同年の末にはモータウンの一員として全米ツアーに参加し、その際のステージは翌1963年に『12歳の天才』としてアルバム化され、全米1位を獲得することになる。同盤収録の「フィンガーティップス」(これも1963年に1位のシングル・ヒットとなった)や「ソウル・ボンゴ」のオリジナルは、本デビュー盤『ジャズ・ソウル』に収められていたものだった。 個人的な好みをいくつか挙げると、スティーヴィーの演奏という面では、2.「ザ・スクエア」のハーモニカ、5.「サム・アザー・タイム」の後半のオルガンがかっこいい。あと、4.「マンハッタン・アット・シックス」ではスティーヴィーはドラムを担当していてこれも聴きごたえがある。それから彼自身の共作曲の8.「セッション・ナンバー112」は、本盤中で有名曲の1.と並んで聴きどころになっていると思う。時代が時代なので総収録時間30分ほどというのは仕方ないのかもしれないが、1曲1曲がもう少し長ければ文句なしといったところだろうか。[収録曲]1. Fingertips2. The Square3. Soul Bongo4. Manhattan at Six5. Paulsby6. Some Other Time7. Wondering8. Session Number 1129. Bam1962年リリース。 【輸入盤】Jazz Soul Of Little Stevie Wonder [ Stevie Wonder ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2017年12月14日
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特徴が凝縮されたサード作 ライ・クーダー(Ry Cooder)は、1947年ロサンゼルス生まれのギタリスト、ミュージシャン。1970年にデビューし、70年代~80年代に主要ソロ作を制作したが、本盤『流れ者の物語(Boomer's Story)』は三作目に当たり、1972年にリリースされた。これといったセールスを上げることはなかったが、後から振り返ってみれば、ライ・クーダーの基本となるスタイルや特徴がうまく詰め込まれた名盤だと言える。 ライ・クーダーは、自分で作詞作曲して演じる(シンガーソングライター)というタイプではなく、既存のものを取り上げてきて、得意のスライド・ギター演奏も含め、アコースティック・ギター、エレキ・ギターの音で独自の解釈を示すのを得意とした。1970年代に差し掛かり、多くのアーティストがルーツ音楽やブルースなどに根ざして現代的解釈をしようとしていたが、ハード・ロックの流れに顕著にみられるのとは全く逆の解釈の仕方もあったことをライ・クーダーは体現していた。この盤はそのスタイルが如実に示された1枚である。 注目曲をいくつか挙げてみたい。インストルメンタルの2.「チェリー・ボール・ブルース」は、デルタ・ブルースの曲であるが、べったりブルースなのではなく、さらりと聴かせる巧妙な解釈を見せる。また、同じくインスト曲として演奏される6.「ザ・ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」では、スライド・ギターの演奏が聴きどころとなっている。 4.「アクス・スウィート・ママ」は、1930年代に活躍したテネシー出身のブルース・シンガー、スリーピー・ジョー・エスティス(1899年?生まれ、1977年死去)のナンバーで、マンドリン演奏が印象的。なおこの人物は9.「ケネディ大統領(プレジデント・ケネディ)」でヴォーカルとギターで参加もしていて、同曲でもライ・クーダーはマンドリンを披露している。 表題曲の1.「流れ者の物語(ブーマーズ・ストーリー)」は、放浪癖が身に沁みついた男の物語で、アメリカを旅してまわり、死んだ際には汽車の行き交う線路脇に葬ってほしいとさえ願う男の物語が余裕たっぷりに演奏される。そして、アルバムの最後を飾る10.「グッド・モーニング・ミスター・レイルロード・マン」も、ゆったりとした雰囲気の中、列車で放浪する男をテーマとした詞の内容の曲の演奏で締めくくられているのが興味深い。[収録曲]1. Boomer's Story (流れ者の物語)2. Cherry Ball Blues 3. Crow Black Chicken (ブラック・チキン)4. Ax Sweet Mama (スウィート・ママ)5. Maria Elena 6. The Dark End of the Street 7. Rally 'Round the Flag (旗のもとに集まろう)8. Comin' in on a Wing and a Prayer (翼と祈りに支えられ)9. President Kennedy (ケネディ大統領)10. Good Morning Mr. Railroad Man (ミスター・レイルロード・マン)1972年リリース。 Forever YOUNG::流れ者の物語 [ ライ・クーダー ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2017年12月11日
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有名曲オンパレードの没後ライヴ盤 周知のように、ジョン・レノン(John Lennon)は1980年12月8日(日本時間では9日に相当)、凶弾に倒れ、40歳で帰らぬ人となった。ビートルズ解散後、ジョンは10年ほどの間にいくつものアルバムを残したが、ライヴを行うことは多くなかった。実際、ソロとなった後、亡くなるまでに発表されたライヴ作はというと、初期の『平和の祈りをこめて~ライヴ・ピース・イン・トロント1969』だけであった。 死後5年と少しが経過した1986年初頭、2枚目となるライヴ盤が発表された。それが本作『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ(Live in New York City)』である。収められているのは、1972年8月30日、ニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデンでのライヴの演奏。オノ・ヨーコがプロデュースを務めており、ヨーコ自身の歌唱部分などはカットされて編集されている。 上述のようにソロ時代の貴重なライヴ音源であり、曲目(下記参照)から一目瞭然のように、ジョンの代表曲、有名曲のオンパレードといったナンバーが並ぶ。ビートルズ時代の7.「カム・トゥゲザー」もあれば、8.「イマジン」をはじめとする代表曲の数々、E・プレスリーで有名な10.「ハウンド・ドッグ」も収録されている。ライヴそのままの音源を出すのではなく、作品として提示しようという意図は、末尾の11.「平和を我等に(ギヴ・ピース・ア・チャンス)」に如実に表れていて、コーラス部分が1分ほどだけ編集されて収められている。 このライヴの映像(かつて1990年代にはビデオとしても発売された)は、今ではユーチューブなどでも見られるので、全編を見ることもできるだろうが、それとは別に本作は編集を経たライヴ盤として出来上がっていると思う。それともう一つ、あらためて聴くたびにジョンの声が若かったという印象を抱く。ライヴ当時、ジョンは31歳だったので当たり前と言われればそれまでなのだけれど。[収録曲]1. New York City2. It's So Hard3. Woman Is The Nigger Of The World(女は世界の奴隷か!)4. Well Well Well5. Instant Karma (We All Shine On)6. Mother(母)7. Come Together8. Imagine9. Cold Turkey(冷たい七面鳥)10. Hound Dog11. Give Peace A Chance(平和を我等に)1986年リリース。 【中古】 ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ /ジョン・レノン 【中古】afb 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年12月09日
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最初に聴いてよかった盤の一つ ランディ・ウェストン(Randy Weston)は、1926年ニューヨーク生まれ(御年91歳!で存命中)のジャズ・ピアニスト。彼が紹介される時によく目にする気ワードとして二つあるように思う。一つは、“アフリカ”、そしてもう一つが“セロニアス・モンク”である。 前者については、アフリカ音楽を知り尽くしたとか、アフリカ音楽への回帰を目指した、などといった言い方がよく用いられる。つまりは、ピアニストであるものの、リズムやパーカッションといった方面の意識が強く、ジャズの中でもアフリカン・ルーツへの志向が強いイメージである。他方、後者の“モンク”の方は、作曲のセンスという文脈で、変人セロニアス・モンク並みだった(あるいはモンクの流れをくむ)というような評価を目にする。よくよく考えれば、これら二つの側面は半分くらいは重なり合っている。というのも、モンクのピアノは奏でるというよりは“叩いている”という要素が強いためである。 ともあれ、筆者はそういう背景をよく知らぬまま、最初にこの作品を聴いた。結果として、それはよかったのだと思う。後者の“モンク的”な部分は多少感じたが、変にアフリカンな先入観を持たずに聴けたのはラッキーだった。管楽器がケニー・ドーハム(トランペット、4.以外)、コールマン・ホーキンス(テナー)という馴染みのメンツだったのも入りやすかったのかもしれない。 多少ヘンテコな感じのするピアノに、バップ/ハード・バップを代表する感じの奏者が絡む。結果、一人の聴き手としては、何ともワクワクする演奏が楽しめる。トランペットやテナーがなければ、入りづらいし、このピアノがなければありきたりに終わっていたかもしれない、そんな微妙なバランスの上に楽しめる盤に仕上がっているのではないだろうか。 私的なお気に入りは、ジャズ界の名曲になった1.「ハイ・フライ」、そして、ビリー・ストレイホーン作の5.「スター・クロスト・ラヴァーズ」。あと、6.「リサ・ラヴリー」は上で述べたような、ヘンテコな部分とモダン・ジャズらしさとのバランスが抜群によい1曲だと思う。 正直、この盤の感想や評価をうまく言葉にできているか自信はない。けれども、まだ聴いたことのない聴き手には、妙に勧めたくなる(それも他の盤もいくつか聴いたけれども、なぜか最初の1枚にはこれを勧めたくなる)、そんな1枚だったりする。[収録曲]1. Hi-Fly2. Beef Blues Stew3. Where4. Star Crossed Lovers5. Spot Five Blues6. Lisa Lovely[パーソネル、録音]Randy Weston (p)Kenny Dorham (tp, 4.を除く)Coleman Hawkins (ts)Wilbur Little (b)Clifford Jarvis (ds, 6.のみ)Roy Haynes (ds)Brock Peters (v, 3.のみ)Melba Liston (arr)1959年10月26日録音。 ランディ・ウェストン|フォー・クラシック・アルバムズ・プラス [ ランディ・ウェストン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2017年12月07日
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品のよさが際立つ初リーダー作 MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)のピアニストであり、音楽監督としての役割を担ったジョン・ルイス(John Lewis)。MJQ解散後に吹き込んだ彼にとって“初リーダー作”となったが『グランド・エンカウンター(Grand Encounter)』という作品である。同じMJQでも、ミルト・ジャクソンのソロ作はMJQの活動中か否かを問わず多数存在し、名盤としてよく見かけるものも多い一方で、ジョン・ルイスの方は枚数も決して多くなく、注目度もはるかに低い。 彼の作り出す音楽は“室内楽”、“ヨーロッパのクラシック音楽”などのタームで解説されることが多い。MJQのそういう部分は確かに彼の志向性だし、本盤でもその色合いは強く出ている。演奏メンバーにMJQ当初のベーシストだったパーシー・ヒースがおり、ギターにジム・ホールが招かれているあたりは、その辺の意図が的中しているように思う。 他方、本盤のもう一つのテーマは、ルイス自身のペンによる4.「2度東3度西(2ディグリーズ・イースト、3ディグリーズ・ウェスト)」に象徴される“東西の構図”である。当時、“ウェスト・コースト(西海岸)・ジャズ”という言葉が普及し、これに対する“イースト・コースト(東海岸)”という言い方もなされたが、これに準えて、“東側2人”(ジョン・ルイスとパーシー・ヒース)、“西側3人”(ビル・パーキンス、チコ・ハミルトン、ジム・ホール)とジャケットに大きく表示されている。この問題は、何が西で何が東かと突き詰めると実態は訳がわからなくなるように思うのだけれど、“西側”のビル・パーキンスの特色が上記のルイスの特色にうまく組み合わされているように感じる。 結局のところ、アルバム表題の“偉大なる邂逅”というのは、売り込み方としては“東/西”だったのかもしれないが、“黒人的/白人的”(演奏者が黒人か白人化というのにはとらわれない)、“クール・ジャズ的/クラシック的”など複数の側面での“エンカウンター”だったのではないか。そしてそれはジョン・ルイスがMJQの時から試みてきたことの延長線上にあり、MJQとソロでスタンスがしばしば変わるミルト・ジャクソンとは大きく対照をなしていたということなのかもしれない。[収録曲]1. Love Me or Leave Me2. I Can't Get Started3. Easy Living4. Two Degrees East - Three Degrees West5. Skylark6. Almost Like Being in Love[パーソネル、録音]John Lewis (p)Bill Perkins (ts)Jim Hall (g)Percy Heath (b)Chico Hamilton (ds)1956年2月10日録音。 【中古】グランド・エンカウンター/ジョン・ルイスCDアルバム/ジャズ/フュージョン 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2017年12月05日
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2017年12月03日
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MTVアンプラグドとツェッペリン再結成? 日本では“ジミー・ペイジ&ロバート・プラント”のアルバムと表記されているけれども、“ジミー・ペイジ&ロバート・プラント・アンレデッド”というのが本盤の正しい名義のようだ。もちろん、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)とロバート・プラント(Robert Plant)というのは、あのレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の元メンバーである。 そもそも本盤に掲げられていて、MTVの特別番組のタイトルにもなっていた“アンレデッド(Unledded)”とは何なのか。レッド・ツェッペリンの“レッド(Led)”は“鉛(Lead)”の綴りを変えたもの(読み間違えられないように変えたと言われる)。そして、この盤の“アンレデッド”も同じように“Unleadded”が通常の綴りで、綴り字を変えてはあるものの、“鉛を取り除いた”を意味する。つまりは、“非ツェッペリン化した”ペイジ&プラントという意味合いでわざわざこう記されているということなのだろう。 そのようなわけで、結局のところ、彼らはツェッペリンに戻る気はなかったということになる。要するに、本盤の演奏も“ツェッペリンの復活”ではなく、あくまで“ツェッペリンの新解釈(カバー)”という形で過去の楽曲に向かい合っていたと思われる。とまあ、本人たちの意図はそうであったにせよ、あまりに大きな過去の遺産に引きずられるのはやむを得ないといったところか。本人たちが演奏している以上、聴き手の側はツェッペリンを思い出さないわけにはいかない。演奏自体は優れているが、今になって冷静に見れば、作り手にとっても聴き手にとっても、何とも微妙なスタンスのアルバムになってしまったという感じだろう。 とはいえ、この二人の合流は、次の段階のアルバム制作(1998年の『ウォーキング・イントゥ・クラークスデイル』)へとつながった。その点では悩ましい位置づけの本盤も、一歩引いて前後の経緯を見据えれば、必要なステップだったと評価できるのかもしれない。[収録曲]1. Nobody's Fault but Mine2. Thank You3. No Quarter4. Friends5. Yallah6. City Don't Cry7. Since I've Been Loving You8. The Battle of Evermore9. Wonderful One10. Wah Wah11. That's the Way12. Gallows Pole13. Four Sticks14. Kashmir1994年リリース。 ノー・クォーター/ジミー・ペイジ&ロバート・プラント[SHM-CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2017年12月01日
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