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CCR名曲選・第2弾(その3) CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)名曲選の第3回です。今回は、よき時代のよきナンバーをCCRが巧妙にカバーした、とでも言えそうな曲を取り上げたいと思います。彼らにとって第4作となった『ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ』(1969年)に収められた「コットン・フィールズ(Cotton Fields)」という曲です。 この曲は、レッドベリー(Lead BellyもしくはLeadbelly,1888年生まれで1949年死去のフォーク/ブルース・シンガー)のナンバーです。ちなみに、これとほぼ同時期にビーチ・ボーイズもこの曲を吹き込んでいて、1970年にシングルとしてリリースされています。 そんなわけで、レッドベリーの「コットン・フィールズ」、そしてビーチ・ボーイズによる「コットンフィールズ」(こちらの方はCottonfieldsと一語で表記されています)をそれぞれお聴きください。 [収録アルバム]Creedence Clearwater Revival / Willy and the Poor Boys(1969年)The Beach Boys / 20/20(1969年) 【メール便送料無料】クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル / ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ(40周年記念盤)[CD][初回出荷限定盤] Beach Boys ビーチボーイズ / 20 / 20 + 2 【SHM-CD】HMV&BOOKS online 2号店 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2018年03月30日
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CCR名曲選・第2弾(その2) CCR名曲選の第2回です。今回はど真ん中、ストレートなお気に入りナンバーを取り上げてみようと思います。CCRの活動期間は決して長くはありませんでした。デビュー盤は1968年発表、最後のアルバムとなった『マル・ディグラ』は1972年の作品です。その限られた活動期間の中では活動の後半期に制作されたアルバム『ペンデュラム』に所収のナンバーで、「モリーナ(Molina)」です。 残念なのは、メンバーのトム・フォガティが早くに亡くなったこと(1990年死去)と、訴訟や何やかんやでジョン・フォガティと残るメンバーが分裂してしまっていることです。そんなジョン・フォガティも今年で72歳になります。残された年月は長くはないかもしれませんが、できることなら本来のCCRとしての演奏を見てみたいと思いつつ、往時の姿の映った映像をご覧ください。 [収録アルバム]Creedence Clearwater Revival / Pendulum(1970年) 【メール便送料無料】Creedence Clearwater Revival / Pendulum (w/Bonus Tracks) (輸入盤CD) (クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2018年03月29日
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CCR名曲選・第2弾(その1) もう1年以上前になりますが、“CCRの短編芸術性”と題していくつかの曲をピックアップしました(過去記事(1) ・(2) ・(3) ・(4) ・(5) )。その際、わけあって選から漏れてしまった曲を含めて今回、同じく5回のシリーズとして曲紹介をしていきたいと思います。 まずは代表曲の一つとしてよく挙げられる「スージーQ(Suzie Q)」です。この曲はCCRの演奏で知られていますが、元々は1957年にデイル・ホーキンスという、チャート入りしたロック/ロカビリー歌手の最初の世代に当たる人のナンバーでした。ともあれ、1968年にCCRがカバーした「スージーQ」をお聴きください。 ご存知の方も多いでしょうが、CCRのこの曲は、彼らにしては長いのです。上記は4分半ほど(これでも2分台の曲が多かった彼らにしては長い方とも言えます)。しかもシングルB面は同じ曲の“パート2”でした。実際、アルバム収録のヴァージョンは8分超えです。 そんなわけで、せっかくですので、長い方もお聴きください。ファースト作の『クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル』(日本盤のアルバム表題は『スージーQ』)に収録されています。 こういう風に見ると、“代表曲”が実は“異色曲”でもあるのかなと思ってみたりしますが、それはそれで面白い現象と言えそうです。[収録アルバム]Creedence Clearwater Revival / Creedence Clearwater Revival(スージーQ)(1968年) 【輸入盤】Creedence Clearwater Revival - 40th Anniversary Edition (Rmt) [ Creedence Clearwater Revival (C.C.R.) ] 【輸入盤】Chrinocle [ Creedence Clearwater Revival ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月28日
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2018年03月26日
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2018年03月25日
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過渡期の1枚 1970~74年に当たる時期は、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)にとって危機と変化の時代だった。1968~69年にかけて、ピーター・グリーン時代を擁するブルース・ロックど真ん中とも言えるバンドが、1975年以降のポップ・ロック的なバンドへと変容する過程での模索を代表する1枚が本盤『神秘の扉(Mystery to Me)』だと言える。 メンバーの変化を少し整理しておこう。ピーター・グリーン離脱後、音楽面をリードしたジェレミー・スペンサーも間もなくバンドを離脱。ボブ・ウェルチらが加入し、ダニー・カーワンが音楽面で引っ張っていく時期を経た。しかし、カーワンもまた『枯れ木』を最後にバンドを去ることになった。そのカーワンの代わりに加入したのがボブ・ウェストンだった。他方、ボブ・ウェルチは1974年にバンドを脱退することになる。簡単にまとめると、本盤『神秘の扉』は、カーワン脱退・ウェストン加入後で、ウェルチも在籍中の時期の作品ということになる。 上で述べたように、フリートウッド・マックはブルース・ロックから次第にポップな方向に進んだと言われ、総論的にはそうなのだけれど、その過渡期にはジャズ・ロック的でポップというよりはややシリアスで職人的な方向性も見せた。この『神秘の扉』はそうした方向性が含まれた1枚である。 そのようなわけで、クリスティン・マクヴィーの2.「ビリーヴ・ミー」や3.「ジャスト・クレイジー・ラヴ」、あるいは10.「感じるままに」のように近未来のポップな方向性を予感させるナンバーもあれば、それとはまったく異なる雰囲気を醸し出すいくつかの曲の演奏も見られる。個人的に注目と思う曲をいくつか挙げてみたい。ラジオでよくオンエアされたという4.「ヒプナタイズド」のまったり感は捨てがたく、これが本盤の色と言えるわけではないのだけれど、筆者の中では『神秘の扉』といえばこの曲という方程式のようなものが出来あがってしまっている。同じくまったりした雰囲気なのが、クリスティン・マクヴィーの12.「ホワイ」。これもまた中毒性のあるナンバーだと思う。他方、ロック・バンドとしての面目躍如は7.「ザ・シティ」が抜きんでている。他のウェルチの曲(例えば9.「サムバディ」)も捨てがたい。あと、注目したいのは、11.「フォー・ユア・ラヴ」。ヤードバーズで知られるかの有名なナンバーをカバーしている。 余談ながら、本作発表後のツアー中、ボブ・ウェストンにはミック・フリートウッドの妻との不倫騒動が発覚した。ウェストンはバンドをクビになり、残るツアーはキャンセルしたが、次は“偽フリートウッド・マック騒動”(ツアー中止を恐れて偽のバンドをフリートウッド・マックとしてステージに出させた)が勃発する。作品の内容がよかっただけに、何とも後味の悪い展開となった。[収録アルバム]1. Emerald Eyes2. Believe Me3. Just Crazy Love4. Hypnotized5. Forever6. Keep On Going7. The City8. Miles Away9. Somebody10. The Way I Feel11. For Your Love12. Why1973年リリース。 【輸入盤】FLEETWOOD MAC フリートウッド・マック/MYSTERY TO ME(CD) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2018年03月24日
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流暢に流れるサックスを堪能 “スコット・フィッツジェラルドこそが小説(the Novel)であり、スタン・ゲッツこそがジャズ(the Jazz)であった”とは、村上春樹の言である。英語で定冠詞のtheをつけるわけだから、ニュアンス的には“これぞ小説、これぞジャズ”といった感じだろうか。さて、そんなわけで、今回はスタン・ゲッツの神髄とはどこにあるのだろうかを考えるための1枚(と筆者が思う盤)を取り上げてみたい。 少々突き詰めてスタン・ゲッツの本質を考えてみるならば、“クール”という語で簡単に済ましてしまうのではどうも不十分なように感じる。ボサ・ノヴァのブーム(参考過去記事)とかにも変に振り回されないようにする方がいいかもしれないと思ったりする。そんなわけで、今回取り上げてみたいのは、時代をさかのぼった1956年録音の作品『ザ・スティーマー(The Steamer)』である。 本盤は、彼の愛称であった“蒸気機関(スティーマー)”を表題としている。1940年代から演奏活動に従事し、1950年頃からはリーダーとして活躍する中、彼は“クール・ジャズ”を代表するテナー奏者となる。そこでの“クール”というのは、“ジャズ=黒人が演る音楽”という図式を崩したものとしてはともかく、“黒人じゃない=熱くない”ということにはならないことを証明していたように思う。実際、本盤のゲッツの演奏は、明らかに“クールな顔をした熱さ”を持っていると形容するに相応しい。滑らかでありながらも、タイトルに違わずスティーム(蒸気)でポンポンと楽器から音が押し出されてくるようなのが、何より印象に残るのである。 おすすめの演奏として、個人的な好みでいくつか挙げておきたい。1.「ブルーズ・フォー・メリー・ジェーン」は、わずかに陰を湛えつつも、この滑らかさがよい。けれども、本盤の本領は、同じく滑らかでありながら、スタン・ゲッツがより饒舌に一音一音を投げかけてくる部分にあるという気がする。この観点からのベスト曲は、2.「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」と6.「ハウ・アバウト・ユー」ではないだろうか。ちなみに、リロイ・ビネガーのベースとスタン・レヴィ―(リーヴィー)のドラムは安定感抜群で、ルー・レヴィのピアノはなかなか日本人受けしそうな間合いのピアノ演奏(例えば1.のピアノ・ソロなんかはその典型のように思える)を随所で見せてくれる。[収録曲]1. Blues For Mary Jane2. There Will Never Be Another You3. You're Blase4. Too Close For Comfort5. Like Someone In Love6. How About You?[パーソネル、録音]Stan Getz (ts)Lou Levy (p)LeRoy Vinnegar (b)Stan Levey (ds)1956年11月24日録音。 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ ザ・スティーマー [ スタン・ゲッツ・カルテット ]
2018年03月22日
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インペリアル第1弾 ソニー・クリス(Sonny Criss)は、テネシー生まれだが、ロサンゼルスを拠点に活躍したアルト・サックス奏者。パーカー・スタイルと言われるが、その独特のサックスの音色が特徴である。少々わかりやすく言うならば、良くも悪くもべったりしていて、さらには独特の泣きが入る彼のサックスで、筆者は特に気に入っている。 さて、彼がリーダーとして作品を録音し始めたのは1956年のことだった。インペリアル・レコードと契約し、ロスで吹込みを行なった。こうして最初に制作されたのが、この『ジャズU.S.A.(Jazz-U.S.A.)』という盤である。 収録された演奏のうち、特に聴き逃せないと思う曲をいくつか挙げておきたい。1.「柳よ泣いておくれ」と2.「ディーズ・フーリッシュ・シングス」は、のっけからソニー・クリス節が全開である。正直言って、人によって好みはあるだろうけれど、このわざとらしいとすら言われかねないベタな感じが個人的には中毒症を引き起こし病みつきにさせる原因だと思っている。他方、4.「サンデイ」に代表されるあっけらかんとした爽快なアルトもまた、彼の魅力である。それから、10.「クリス・クロス」は、この曲自体が筆者のお気に入りで、緊張感ある展開がいい。 この後、本盤を含めていわゆる“インペリアル三部作”と呼ばれる残り2枚の盤が出揃うことになる。その1枚は本ブログではずっと前に取り上げた『ゴー・マン』。そして、もう1枚は『プレイズ・コール・ポーター』である。後者の方も機会を見て取り上げることにしたいと思っている。[収録曲]1. Willow Weep For Me2. These Foolish Things3. Blue Friday4. Sunday5. More Than You Know6. Easy Living7. Alabamy Bound8. Something's Gotta Give9. West Coast Blues10. Criss-Cross11. Ham's Blues12. Sweet Georgia Brown[パーソネル・録音]Sonny Criss (as), Kenny Drew (p), Barney Kessel (g), Bill Woodson (b), Chuck Thompson (ds)1956年1月26日、2月24日、3月23日録音。【中古】 Sonny Criss ソニークリス / Go Man! 【CD】 【中古】 ゴー・マン! /ソニー・クリス,ソニー・クラーク,リロイ・ヴィネガー,ローレンス・マラブル 【中古】afb 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2018年03月20日
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70年代初頭、スリー・サウンズのピアニストによる過去・現在・未来(後編) (前編からの続き) ザ・スリー・サウンズで一世を風靡したピアノ奏者ジーン・ハリス(Gene Harris)の1973年の録音盤『イエスタデイ・トゥデイ&トゥモロー』は、前述のように、2枚組の作品だが、CDでは『Vol.1』と『Vol.2』の2枚に分けてリイシューされている。 さて、2枚目の内容を見ていくことにするが、こちらの方は“現在(今日)から未来(明日)”がテーマとなっている。1.「ハウ・インセンシティヴ」はのっけからスペイシーでフリーな即興演奏で聴き手は何事かと思うかもしれない。こういうジーン・ハリスのイメージにはそぐわない部分は意図的に“未来”志向が出ていると言えるが、16分を超える長尺のこの演奏を聴き続けると、ピアノ演奏自体は案外彼らしい演奏が繰り広げられ、温かな音色が存分に活かされている。 その後に続く2.「ジュディ・ジュディ・ジュディ」、3.「アフター・アワーズ」、4.「ソーイン・ウッド」、5.「リル・ダーリン」、そしてラストの6.「モンクス・チューン」(うち2.と4.はジーン・ハリス自身の曲、かつ5.はスリー・サウンズで取り上げたナンバーの再演)へと至る流れを一聴すると、今度は“過去”へ戻っていくのかと感じる人もいるかもしれない。けれども、細部に耳を傾ければ、スタンダードな演奏で終わろうとしない部分が気になり始める。何よりも4.の演奏は、プログレッシヴさとスタンダードな演奏が意図的に組み合わされた印象がする。さらに、6.はファンキーなベースに、ピアノ演奏もエキサイティングな雰囲気を醸し出す。 結局のところ、“未来”という要素にはベースのジョン・ハットンがかなり大きな役割を果たしているように思える。1970年代のジーン・ハリスはあまり評価されないようだけれど、これはこれで、前半(1枚目)だけでも楽しめるし、前半と後半を通して2枚組分でも楽しめるという、面白い作品になっていると思う。[収録曲](1枚目=Vol.1)1. On Green Dolphin Street2. Hymn to Freedom3. Trieste4. Love for Sale5. Something(2枚目=Vol.2)1. How Insensitive2. Judy, Judy, Judy3. After Hours4. Sawin' Wood5. Lil' Darling6. Monk's Tune[パーソネル、録音]Gene Harris (p, arr), John Hatton (b, elb), Carl Burnett (ds, per)1973年6月14~15日録音。 CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.2 (期間限定盤)/TOCJ-50570 CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.1 (期間限定盤)/TOCJ-50569下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月17日
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70年代初頭、スリー・サウンズのピアニストによる過去・現在・未来(前編) ジーン・ハリス(Gene Harris)は、1933年ミシガン州出身のジャズ・ピアニストで、2000年に66歳で没している。1950年代後半、ザ・スリー・サウンズというピアノトリオを結成し、人気を博した。スリー・サウンズとしての活動期間は長く、様々な奏者との共演も吹き込んでいるが、代表的な作品は1959~60年前後に特に集中している。 本盤『イエスタデイ・トゥデイ&トゥモロー(Yesterday, Today & Tomorrow)』はだいぶ後の1973年に吹き込まれたもの。ブルーノートへの吹込みだが、かつてのブルーノートではなく、アルフレッド・ライオンが引退し、フランシス・ウルフも死去後のリバティ傘下(さらにリバティはUAに吸収された)でのブルーノート(それゆえBNLAと呼ばれる)の作品である。現行CDではVol.1とVol.2として分売されているものの、本来はLP2枚組として発表されたものだった。ジャケット写真は10歳前後の子供の写真(Vol.2として分割された方では20歳ぐらいの若い兵士の写真)で、いずれも本人の若い頃ということなのだろうか。 作品の表題は“昨日、今日、明日”という意味になっているが、これは2枚組の内容そのままがこのコンセプトに沿ったものである。まず、1枚目は“過去(昨日)から現在(今日)”に該当すると言えそうである。1.「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」は、スリー・サウンズの有名盤『ムーズ』にも収められていたナンバーの再演。個人的にはこの曲がお気に入りなので、どんな解釈もたいてい気に入ってしまうのだけれど、この演奏と2.「自由への讃歌(ヒム・トゥ・フリーダム)」は、比較的スタンダードに演奏され、ジーン・ハリスにとっての“過去”を想起させるものである。 少し雰囲気が変わってくるのは、カルロス・ジョビンの曲の3.「トリステ」辺りではないかと思う。特に、4.「ラヴ・フォー・セール」は上記1.と同じく過去にも演奏した曲の再演だが、少々やり過ぎな感じもするジョン・ハットンのベースも含め、“現在”を意識したものになっている。さらに、5.「サムシング」は、言うまでもなくビートルズの1969年のヒット曲で、こうしたモチーフも録音当時の“今”を感じさせる選曲と言えるような気がする。 長くなってしまいそうなので、2枚目については次回更新の後編で続きを書くことにしたい(曲目等のデータも次回更新します)。 CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.1 (期間限定盤) CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.2 (期間限定盤) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月16日
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時代のアイコン、エアプレインの旅立ち 1966年にリリースされたジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane)のデビュー盤が、この『テイクス・オフ(Takes Off)』という作品である。“対抗文化(カウンター・カルチャー)”や“サイケデリック”などの動きの核となっていったバンドの最初の第一歩で、“エアプレイン(飛行機)”のバンド名に相応しく、“テイク・オフ(離陸する)”という表現がアルバム名になっている。 本盤リリースの翌年に当たる1967年の『シュールリアリスティック・ピロー』がバンドの代名詞となる一方、本盤はまったくと言っていいほど注目されない。何よりも全盛期のメンバーと顔ぶれが少し違っており、バンドの看板となるグレース・スリックはこの時点ではまだメンバーではなく、ドラムスのスペンサー・ドライデンも未加入である。よって、バンドの全盛期から遡って聴こうという向きには、そもそも期待される盤ではないかもしれない。 とはいえ、『シュールリアリスティック~』で発揮されることになる音楽的素地を存分に見られる作品という点ではなかなか興味深い。以前、筆者は同盤を取り上げた際に、フォーク・ロックの流れもうまく取り込んでいて、“軽薄なポップでもなければ、コアなロックでもなく、ありがちなフォーク・ロックでもない”という風に書いた。この『テイクス・オフ』を聴けば、そうした彼らの音楽的素地と言えるものが、その前の段階で既にかなりの部分出来上がっていたということがよくわかる。わかりやすいよう、例として人名・バンド名を挙げるならば、ボブ・ディランがいたがゆえに、ザ・バーズがいて、だからこそジェファーソン・エアプレインが存在しえたと言えそうな気がする。 あと、サウンド面では、この時点で厚い音になっている点も注目に値する。特にステレオミックスとモノミックスを両方収めたもので本盤を聴くとそのことが一層よくわかるように思う。詞の面では、いろいろと問題含みの盤であった。6.「ラニン・ラウンド・ザ・ワールド」については、当時のレコード会社(RCA)側が歌詞が不適切と見なし未収録になってしまった。他にも性的な内容やLSDに関わると解されるという理由で、2.「レット・ミー・イン」や8.「ラン・アラウンド」のように、リリース当時にはバンド側が詞の変更を余儀なくされた箇所があったという。 最後に、個人的にお気に入りのナンバーをいくつかだけでも挙げておきたい。1「エアプレインのブルース」や5.「タバコ・ロード」は、決して派手さはないものの、この辺りが本盤をよく表している曲であるようにも思う。2.「レット・ミー・イン」は外せない好演奏。あと、9.「ゲット・トゥゲザー(レッツ・ゲット・トゥゲザー)」もさらりとした感じだが何気に気に入っている。[収録曲]1. Blues from an Airplane2. Let Me In 3. Bringing Me Down4. It's No Secret5. Tobacco Road6. Runnin’‘Round This World7. Come Up the Years8. Run Around 9. Let's Get Together 10. Don't Slip Away11. Chauffeur Blues 12. And I Like It1966年リリース。 【メール便送料無料】Jefferson Airplane / Jefferson Airplane Takes Off (輸入盤CD)(ジェファーソン・エアプレイン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月14日
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2人のスペイン人シンガーの軌跡+多彩なゲストの名作ライヴ盤(後編) 前編で見たように、本ライヴ盤『ムチョ・マス・ケ・ドス』は、アナ・ベレンとビクトル・マヌエルのキャリアの集大成的なものであると同時に、関連するアーティストが次々とゲスト出演(共演)するというのが特徴である。この数年後に『エル・グスト・エス・ヌエストロ』で共演するジョアン・マヌエル・セラーやミゲル・リオスも本録音のゲストとして迎えられている。 2枚組31曲というヴォリュームの本盤は、その当時にアナ・ベレンがヒットさせたI-1.「コンタミナメ」で幕を開ける。この曲ではアナ・ベレンとビクトル・マヌエルが共演し、その後はどちらか一方、もしくはどちらか一方とゲストの共演、2人の共演が続く。1枚目でいちばんの聴きどころは、ビクトル・マヌエルとパブロ・ミラネス(キューバ出身のシンガーソングライター)の共演部分ではないかと思う。I-6.「アイ・アモール」、I-7.「ソロ・ピエンソ・エン・ティ」、I-8.「エル・ブレべ・エスパシオ」の3曲が連続して収められている。他にアナ・ベレンの絡むものとしては、ジプシーの血を引くシンガーソングライターのアントニオ・フローレスとのデュエットのA-3.「ソロ・レ・ピド・ア・ディオス」、ビクトル・マヌエルと歌うI-9.「バナナ・リパブリック」、伸び伸びとした歌唱が印象的なI-12.「エスパーニャ・カミサ・ブランカ」が特にいい。 2枚目は、ジョアン・マヌエル・セラーを迎えてアナ・ベレンとのデュエットでのII-1.「地中海(メディテラネオ)」から始まる。以下の後半16曲は、総じて主役2人の歌のうまさが光るナンバーと盛り上がりのある場面とのいわば緩急がうまく組み合わされているという印象である。アナ・ベレンの歌唱で特に注目したいのは、II-4.「私も53年生まれ(ジョ・タンビエン・ナシ・エン・エル・53)」、II-13.「デスデ・ミ・リベルター」。ビクトル・マヌエルの方は、II-3.「ソイ・ウン・コラソン・テンディード・アル・ソル」、II-7.「エル・アブエロ・ビクトル」、II-14.「アストゥリアス」といったあたり。その一方で、盛り上がる場面としては、ミゲル・リオス、ホアキン・サビーナらが加わったII-6.「ブルース・デル・アウトブス」、ビリー・ジョエルの有名曲をアナ・ベレンがスペイン語で歌うII-8.「エル・オンブレ・デル・ピアノ(ピアノ・マン)」、オールスターのゲスト陣をバックに往年の名曲を熱唱するII-15.「アルカラの門(ラ・プエルタ・デ・アルカラ)」といったナンバーが収められている。ついでながら、II-15.でただ盛り上がってアルバムが終わるのではなく、最後にもう1曲、少し落ち着いたII-16.「ラ・ムラージャ」が収録されているのもいい。 気がついたらもう20年以上もこのアルバムを聴いていることになるが、何度聴いて(時には映像で楽しんで)も飽きない。筆者にとって、スペインのロック・ポップス分野では、この盤が未だにナンバー1のライヴ作品であり続けている。[収録曲]〔Disc 1〕1. Contamíname (Ana Belén & Víctor Manuel) 2. A dónde irán los besos (Víctor Manuel)3. Solo le pido a Dios (Antonio Flores & Ana Belén)4. Nada sabe tan dulce como tu boca (Víctor Manuel)5. Lía (Ana Belén)6. Ay amor (Víctor Manuel & Pablo Milanés)7. Solo pienso en ti (Víctor Manuel & Pablo Milanés) 8. El breve espacio en que no estás (Víctor Manuel & Pablo Milanés) 9. Banana Republic (Ana Belén & Víctor Manuel)10. Faltando un pedazo (Ana Belén & Juan Echanove)11. La Planta 14 (Víctor Manuel)12. España camisa blanca de mi esperanza (Ana Belén) 13. A la sombra de un león (Ana Belén & Joaquín Sabina)14. Bailarina (Víctor Manuel)15. Derroche (Ana Belén)〔Disc 2〕1. Mediterráneo (Ana Belén & Joan Manuel Serrat) 2. La Paloma (Ana Belén & Joan Manuel Serrat)3. Soy un corazón tendido al sol (Víctor Manuel) 4. Yo también nací en el 53 (Ana Belén)5. Luna (Víctor Manuel & Miguel Ríos)6. Blues del autobús (Miguel Ríos, Joaquín Sabina, Ana Belén, Víctor Manuel, Juan Echanove y Joan Manuel Serrat)7. El abuelo Víctor (Víctor Manuel) 8. El hombre del piano (Ana Belén) 9. La madre (Víctor Manuel)10. Marilyn Monroe (Manolo Tena & Ana Belén)11. Cruzar los brazos (Víctor Manuel)12. Quiero abrazarte tanto (Víctor Manuel)13. Desde mi libertad (Ana Belén)14. Asturias (Víctor Manuel) https://plaza.rakuten.co.jp/blogmusica/diary/201412140000/15. La puerta de Alcalá (Ana Belén, Víctor Manuel, Juan Echanove, Antonio Flores, Pablo Milanés, Manolo Tena, Joaquín Sabina, Miguel Ríos y Joan Manuel Serrat) 16. La muralla (Ana Belén & Víctor Manuel)1994年リリース。 Mucho Mas Que Dos【中古】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月13日
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2人のスペイン人シンガーの軌跡+多彩なゲストの名作ライヴ盤(前編) アナ・ベレン(Ana Belén)とビクトル・マヌエル(Víctor Manuel)は長年デュオを組み、時にはそれぞれ別に活動し、時には寄り添って活動してきた。そんな2人の軌跡がぎっしり詰まっていて、なおかつその交友関係と活動の幅を感じさせる名盤がこの『ムチョ・マス・ケ・ドス(Mucho más que dos)』というライヴ・アルバムである。タイトルは、日本語に訳しにくいのだけれど、“2人よりもずっと多い”といった意味合いで、つまりは、2人の存在は前提としながらも、それ以外の多彩なゲストの共演や力添えといったものを表現していると思われる。 録音がなされたのは、1994年の春で、2日間連続のコンサートだった。場所はスペイン北部のヒホンという町である(ちなみにビクトル・マヌエルはこの町が位置するアストゥリアス州の出身である)。2人と共演したのは、ジョアン・マヌエル・セラー(参考過去記事)、フアン・エチャノベ(スペインの俳優)、アントニオ・フローレス(スペインのシンガーソングライター、1995年に33歳で急死)、ホアキン・サビーナ(参考過去記事)、マノロ・テナ(スペインのシンガーソングライター、2016年逝去)、パブロ・ミラネス(キューバ人シンガーソングライター、参考過去記事)、ミゲル・リオス(スペインのロックシンガー)という豪華な面々。当然ながら内容もヴォリュームたっぷりで、2枚組全31曲のアルバムとして発売された。スペイン国内だけで60万枚を売り上げ、他のスペイン語圏(北米・南米)でもヒットし、コンサート映像もリリースされた(今はDVDを見ているけれど、その当時に筆者が購入したのがVHSであったのも懐かしい)。 表題でアナ・ベレンとビクトル・マヌエルのことを“スペイン人シンガー”と表現したけれども、それは正確ではない。アナ・ベレンは有名な大女優として活躍してきたし、ビクトル・マヌエルも音楽・映像のプロデュースを長年手掛けている。それでいて歌手としての大成功は、“天は二物を与えず”に完全に反してしまっている。本盤はそんな彼らがカリスマとなっていく瞬間を収めたものであるとも言えそうな気がする。ともあれ、スペイン・ポップスを聴いてみようと思う人には、二重丸どころか三重、四重の丸印をつけたくなるほどの、超おすすめ大名盤である。 今になってだから言えるのかもしれないが、アナ・ベレンは1951年生まれ、ビクトル・マヌエルは1947年生まれ。本盤リリース時には40歳代で、シンガー、パフォーマーとして実にいい感じの円熟の時期にあった。スペインという国も、彼らが若かった頃はフランコ独裁やその影が残っていたが、急速に近代化し、欧米の音楽界に割って入るような演出やパフォーマンスが可能になっていった時代ではなかったかと思う。 長くなってきたので、曲の紹介は記事を改めて後編ということにしたい(収録曲のデータ等も後編に掲載します)。 Mucho Mas Que Dos【中古】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月12日
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2018年03月10日
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偉大なる“指揮者”のラスト作 オリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)は、1932年にミズーリ州で生まれ、1975年に心臓発作で43歳の若さで亡くなっている。サックスやクラリネットを演奏したが、何よりも作編曲家としての才能を生かして活躍した。結果的に、上述の死によって最終作となってしまったのが、本盤『ストールン・モーメンツ(Stolen Moments)』である。 彼がリーダーとして吹き込みを始めたのは1959年のことだったが、1950年代のその経歴は興味深い。1952年に兵役で海兵隊に入り、日本や朝鮮で演奏したというから、ちょうど日本は戦後復興、朝鮮半島では朝鮮戦争の時期に来て、軍の音楽隊にいたということになる。日本で東京フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴く機会があり(本人曰く、故郷のセント・ルイスでは黒人がこうしたコンサートに行くことはできなかったので、これが初めてだった)、作曲家になろうと目覚めたという。帰国後は大学・大学院で音楽理論を学び、その後に一連のレコーディングが始まったというわけだ。 最後の吹込みとなった本盤『ストールン・モーメンツ(Stolen Moments)』も、自らのアルト・サックスの演奏に加え、アレンジャーもしくは全体の“指揮者”としての才能が余すところなく披露されている。ジェローム・リチャードソン(ソプラノ・サックスほか)やシェリー・マン(ドラム)を含む9人編成での演奏で、管楽器のアンサンブルを巧みにまとめていて、さながらオーケストラを率いているかのような迫力すら感じさせる。 注目の演奏としては、代表曲として名があげられることも多い1.「ストールン・モーメンツ」が冒頭に収められている。この演奏は『ブルースの真実(Blues And The Abstract Truth)』で披露されたものの再演だけれども、本盤の演奏ではテンポがやや軽快になり、音の面ではオーケストレーション的な比重を高めた演奏になっている。これ以外で個人的に注目したいのは、2.「セント・トーマス」と7.「ストレート・ノー・チェイサー」。前者はソニー・ロリンズ(参考過去記事)、後者はセロニアス・モンクの有名なナンバー。7.の方はモンク自身の盤でもアレンジの経験(過去記事)があるが、本盤ではさらに高速でかつあっという間(収録時間はたった39秒!)に終わるという、なかなか面白い収められ方をしている。[収録曲]1. Stolen Moments2. St. Thomas3. Three Seconds4. Mission Accomplished5. Midnight Blue6. Yearnin'7. Straight, No Chaser[パーソネル、録音]Oliver Nelson (as, arr, conductor)Bobby Bryant (tp, flh)Jerome Richardson (ss, piccolo, fl)Bobby Bryant Jr., Buddy Collette (ts, fl)Jack Nimitz (bs)Mike Wofford (elp, p)Chuck Domanico (elb)Shelly Manne (ds)1975年3月6日録音。 CD/ストールン・モーメンツ (完全生産限定盤)/オリヴァー・ネルソン/UCCJ-9144 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月09日
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1作目を聴くか、本盤を聴くか ザ・ポール・ウィナーズ(The Poll Winners)というのは、人気投票1位獲得者のことで、当時、人気を集めていた3名の奏者を集めて1957年に吹き込みが行われた。その成果が、『ザ・ポール・ウィナーズ』だったわけだけれど、その3人とは、ギターのバーニー・ケッセル(Barney Kessel)、ドラムのシェリー・マン(Shelly Manne)、ベースのレイ・ブラウン(Ray Brown)という面々だった。 案の定とでも言えばよいのだろうか、この企画は大成功に終わった。そうなると、商売としては、“2匹目のドジョウ”である(実際には、2匹目で終わることなく、4枚のアルバム+後年に再会盤と合わせて5枚が録音された)。翌年に2作目が録音されることとなったが、それが本盤『ザ・ポール・ウィナーズ・ライド・アゲイン(The Poll Winners Ride Again!)』であった。 でもって、普通は“2匹目のドジョウ”は当たらないものなのだけれど、本盤は1枚目と比肩する好盤に仕上がった。実際、ポール・ウィナーズを聴いたことがないという人にどの盤を勧めるかと尋ねられたとすれば、正直、1枚目かこの2枚目かで迷ってしまう。1枚目の「ジョードゥ」も、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」も(ついでに「ナガサキ」も)、捨てがたいのだけれど、本作も劣らぬ秀逸な演奏が繰り広げられている。 いちばんの注目曲としては、2.「ボラーレ」が挙げられる。後に(1989年)、ジプシー・キングスが取り上げたことで知っているという人も多いかもしれないこの曲は、1958年に発表されたイタリア人アーティスト(ドメニコ・モドゥーニョ)によるナンバーで、当時としては意外性のある選曲だったと言えるだろうか。あと、この面々が素晴らしいと改めて感嘆してしまうのは、様々な曲を取り上げながら、心地よく引き込まれる彼ら独自の演奏の世界へ聴き手を引き込んでしまうところだ。ジャズ・スタンダードとなったミュージカル曲の4.「飾りのついた四輪馬車」、レイ・ブラウン作のブルースの5.「カスタード・パフ」、マット・デニス作のバラード曲の8.「エンジェル・アイズ」なんかの演奏からはそのことが存分に感じられる。 時にポール・ウィナーズの演奏は、バーニー・ケッセルが主役のように扱われたり評されたりするけれども、やはり、レイ・ブラウンのベースの牽引力と、シェリー・マンの繊細なドラムのプレイで色づけられていると思う。そして、もちろん、この3人の演奏は単に技術的に高度だとか、単に聴きやすいというのではなくて、聴けば聴くほど、予定調和には終わらない緊張感の上に繰り広げられているプレイだというのは、前作と同様であると思う。上に書いたように、1作目と2作目とどちらも甲乙つけがたい。“両方とも聴く”というのがひとまずの結論ということになるだろうか。[収録曲]1. Be Deedle Dee Do2. Volare (Nel Blu, Dipinto di Blu)3. Spring Is Here4. The Surrey with the Fringe on Top5. Custard Puff6. When the Red, Red Robin (Comes Bob, Bob, Bobbin' Along)7. Foreign Intrigue8. Angel Eyes9. The Merry-Go-Round Broke Down[パーソネル・録音]Barney Kessel (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)1958年8月19・21日録音。 【メール便送料無料】BARNEY KESSEL/SHELLY MANNE/RAY BROWN / POLL WINNERS RIDE AGAIN (輸入盤CD)(バーニー・ケッセル) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2018年03月06日
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アルト4人のプレスティッジ企画盤 プレスティッジの企画でアルト奏者を4人集めての競演盤として吹き込まれたのが、この『フォー・アルトス(Four Altos)』という盤である。集った4人のアルト・サックス奏者とは、フィル・ウッズ(Phil Woods)、ジーン・クイル(Gene Quill)、サヒブ・シハブ(Sahib Shihab)、ハル・ステイン(Hal Stein)という面々である。当時の彼らはいちばん若いウッズが25歳、最年長のシハブは31歳という年齢であった。リズム隊には、プレスティッジのハウスピアニストだったマル・ウォルドロン、チャーリー・パーカーのもとでも演奏したベーシストのトミー・ポッター、そして当時まだ19歳だったルイス・ヘイズがドラムを担当した。 サックス4人だからといって激しいバトルなのかというと決してそうではない。どの曲もアンサンブルあり、その後にソロありで入れ代わり立ち代わり演奏するのだけれど、4人はある種、正統派の、チャーリー・パーカー(愛称はバード)の切り開いた、スウィング感いっぱいの流れるような演奏を披露している。そんなわけで、聴いていてもどれがだれだかわからないほど、4人のスタイルが似ている。このことは、本盤のジャケットにも表現されている。一見すると、横に複数の線が走っているだけのように見えるが、これらは電線で、いちばん上の電線には4羽の鳥がいる。つまりは“今まさに飛び立たんとする4羽のバード(鳥)”というのが本盤のテーマというわけである。 そのようなわけで、激しいバトルやスタイルの違いを期待してはいけない。全体の、4人もいるにもかかわらず調和しているこの感覚が演奏の要となっている。その中でも特に注目曲を挙げるとすれば、ウォルドロンのペンによる1.「ペダル・アイズ」と6.「スタッガーズ」。前者はゆったりとした感じ、後者は少々スピード感のある感じで上述の特徴がよく出ているように思う。 この録音の後、フィル・ウッズが4人の中では出世頭となったと言っていいだろう(個人的にはジーン・クイルも好きだけれど)。サヒブ・シハブとジーン・クイルは1980年代末に、ハル・スタインは2008年に、そしてフィル・ウッズは2015年にそれぞれ鬼籍に入った。今となっては、いずれも亡き奏者たちの若き日の1ページとなってしまったわけだけれど、ジャズ演奏の楽しさを伝える好盤に変わりはないと思う。[収録曲]1. Pedal Eyes2. Kokochee3. No More Nights4. Kinda Kanonic5. Don't Blame Me6. Staggers[パーソネル、録音]Phil Woods, Gene Quill, Sahib Shihab, Hal Stein (as)Mal Waldron (p)Tommy Potter (b)Louis Hayes (ds)1957年2月9日録音。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年03月03日
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リーダーに関わらずローランド・カークが注目されてしまう盤 ロイ・ヘインズ(Roy Haynes)率いるカルテットの名義ながらも、ローランド・カーク(Roland Kirk)ばかりについつい注目が集まってしまう(無論、そっちを目当てに聴くというのも一つだとは思うのだけれど)…。そんな盤が1962年吹き込みの『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン(Out of the Afternoon)』である。メンバーは、リーダーのロイ・ヘインズとそのローランド・カークに加えて、トミー・フラナガン(ピアノ)、ヘンリー・グライムス(ベース)のカルテットの演奏である。 ご多分に漏れず、ここでもローランド・カークのことから書き始めるが、この人は1935年生まれで盲目のミュージシャンで、1977年に亡くなっている。サックスやトランペットのほかフルートやオーボエ、マンツェロ(マンゼロ)やストリッチなど様々な楽器を扱い(しかも複数を同時に吹くという離れ業をやってのける)、ジャズの枠にとどまらない黒人音楽に根ざした演奏をする人物だった。本盤での彼の演奏は、わかりやすさと複雑さの同居という特徴がある。1回聴いたら忘れなさそうなシンプルかつ親しみやすそうなフレーズに、抽象的な演奏(さらには複数楽器を使いこなす器用さ)が加わり、しかもその演奏を楽しんでそうな姿が目に浮かぶ。 上に書いたとおり、本盤のリーダーはロイ・ヘインズである。そのようなわけで、ローランド・カークだけ聴いて過ごすわけにはいかない。ヘインズは、1925年生まれ(御年92歳!)のドラマーで、リーダー作がそれなりにあるにしてはあまり取り上げられない。その意味ではもっと評価されていいと思ったりもする。実際、本盤をドラム中心に聴いてみると、立体的なドラミングに耳を奪われる(そもそもこの盤に限ったことではなく、それがロイ・ヘインズの特徴ということなのだけれど)。それでもって、いま述べたような“立体性”という観点から聴くと、ドラミングだけでなく、実はこの作品の演奏全体が“立体的”に仕上がっているように思う。つまりは、注目を集めやすいローランド・カークの演奏も実際のところはその“立体性”を構成している一部でもあるということだ。そう考えると、やはりロイ・ヘインズのリーダー作ということが明瞭に出ている気がする。 そんなことを考えながら聴くとすれば、必ずしもローランド・カークの見せ場が大きな比重を占めるわけではないかもしれないが3.「ラウル」なんかが興味深い。同じように“立体性”の中で、トミー・フラナガンが機能している点(例えば4.「スナップ・クラックル」の冒頭のピアノ)に注目するのもいいかもしれない。ついでながら、5.「イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー」におけるローランド・カークの哀愁あるフレーズは個人的にお気に入りだったりする。[収録曲]1. Moon Ray2. Fly Me to the Moon3. Raoul4. Snap Crackle5. If I Should Lose You6. Long Wharf7. Some Other Spring[パーソネル、録音]Roy Haynes (ds)Roland Kirk (ts, manzello, strich, nose-fl)Tommy Flanagan (p)Henry Grimes (b)1962年5月16日、5月23日録音。 アウト・オブ・ジ・アフタヌーン/ロイ・ヘインズ[SHM-CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2018年03月01日
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