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技術と洗練度の高いピアノ+アルバムとしての完成度の高さ マリアーノ・ベッロペーデ(Mariano Bellopede)は、1983年、イタリアのナポリ出身のピアノ奏者、作曲家である。音楽ジャンルで言うとジャズに分類されるということになるのだけれど、地中海や南米の音楽に影響を受けた作品を世に送り出している。目下のところ、筆者が唯一聴いている彼の作品が、2015年発表の『ディ・アルトリ・ズグアルディ(Di altri sguardi)』という盤である。 この盤には副題がついていて、“Racconti dal Mediterraneo”とある。上記の表題と合わせると、イタリア語で“別の見方:地中海のストーリー”といったような意味合いである。つまりは、既存の概念にとらわれず、なおかつ地中海をキーワードとして紡いだ音楽、といったところだろうか。 個人的な好みからいくつか聴きどころになりそうな演奏をピックアップしておきたい。まず、1.「ジャスミンズ・エレジー(ジャスミンの哀歌)」は、雄大な雰囲気を保ちながら、次第にピアノを中心とした演奏に収斂していくのが、本盤の特徴をよく表しているように思う。地中海らしさを感じさせるという点では、4.「ラ・メール・ヴェルス・リタリエ(イタリアに向かう海)」に注目したい。 この“海”をテーマにした演奏は、激しさも静けさも併せ持つ。続く5.「フオッコ・ア・マーレ(海の火)」も海をテーマにした曲で、筆者的には特にお気に入り。ジャズ的な枠組みに拘らず、大胆なコーラスを含む勇壮な演奏は、本盤の中でいちばんの効きどころという風に思う。同じく意表をついたナンバーとして、9.「ウナ・カンツォーネ・ビアンカ(白い歌)」にも触れておきたい。アレッシオ・アレーナなる人物がヴォーカルを務めている曲である。曲ごとに言及していると見落としてしまいがちなのだけれど、本盤は曲の並びもよく考えられているようで、通して聴いて飽きない工夫があるという風に思う。この曲のような“歌もの”も流れの中に取り込んでしまうあたりは、アルバム全体としての作りのよさを反映しているようにも思う。 何だか誉め言葉のようなコメントばかり並べてしまったけれど、実際のところ、飽きずに聴き続けられる(それどころか、聴くたびに惹き込まれてしまう)50分間の演奏と言えるように思う。何か確信があってこのアルバムを手にしたわけではなかったのだけれど、筆者の中では、今となっては、本当に買ってよかったと思えるアルバムになっている。[収録曲]1. Jasmine’s Elegy 2. Paquito 3. Till The Rain 4. La Mer Vers L’Italie 5. Fuoco A Mare 6. Dormi Ancora Un Po’ 7. Sabir 8. Springtime Revolution 9. Una Canzone Bianca 10. Song for My Sister’s Son[パーソネル、録音]Mariano Bellopede (p), Alessandro Anzalone (b), Davide Esposito (ds), Gigi Patierno (sax, fl), Carmine Marigliano (fl, 2.と5.), Ciro Cascino (hammond, 7.), Gino Evangelista (oud), Federico Luongo (g, 4.), Gabriele Borrelli (perc, 5.), Michele Maione (perc, 7.), Alessio Arena (vo, 9.), Francesca Colapietro (vo, 5.)Ondanueve String Quartet (9と10): Paolo Sasso (vln), Andrea Esposito (vln), Gigi Tufano (viola), Marco Pescosolido (cello)Chorus: Viviana de Angelis, Raffaela Carotenuto, Daniela Fiorentino, Martina Mollo, Caterina Bianco, Mariano Bellopede, Carmine Marigliano, Simone Spirito, Davide Esposito, Lele D’Alessio 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援くださると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月31日
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ロンドンに渡り成功を収めた一枚 ボブ・マーリー(Bob Marley)は、1945年に生まれ、1981年に36歳で没したジャマイカのミュージシャン。レゲエの先駆的アーティストの一人で、ザ・ウェイラーズというバンドを率いて活動した。そんなボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley &The Wailers)の代表作の一つが、1977年発表の『エクソダス(Exodus)』という盤である。 1970年代に入ってから、アイランド・レコードでアルバムを出すようになり、順調に音楽活動を繰り広げていた彼は、本盤発表の前年に当たる1976年に襲撃事件に巻き込まれている。ジャマイカの大統領を中心に、当時の政治的対立を和らげようと企画されたコンサート(“スマイル・ジャマイカ”)の2日前に、ボブ・マーリーは自宅を襲撃され銃撃を受けた。妻とマネージャーは重傷を負ったが、彼はコンサート当日、90分間の演奏を敢行した。 その後、彼はイギリスへと渡り、本盤を発表する。アルバム表題および表題曲の“エクソダス”(旧約聖書に由来し、“国外脱出”の意)は、当時の彼の状況そのままのものであった。アルバムはセールス面でも成功し、イギリスでは56週連続でチャートインし、アメリカのビルボードでも20位を記録。アイランド・レコードのアルバムとしては初のゴールド・ディスクとなった。 注目したい曲をいくつか挙げておきたい。表題曲の5.「エクソダス」は、古代の歴史を題材にしつつ、自身の時代と重ね合わせていて、重々しいテーマ。この曲を含めてイギリスでは本盤からいくつかのシングルがヒットしたが、6.「ジャミング」もその一つで人気の高いナンバー。さらに、同じくシングルとしても発売され、後々もボブ・マーリーの代表曲として知られていったのが、10.「ワン・ラヴ/ピープル・ゲット・レディ」。ただ単に「ワン・ラヴ」の表題でも知られるが、カーティス・メイフィールド(ジ・インプレッションズ)の「ピープル・ゲット・レディ」を引用しているため、このようなタイトル表示になっている。また、この10.は、マーリー死後の1984年にもシングルで再発売された。[収録曲]1. Natural Mystic2. So Much Things to Say3. Guiltiness4. The Heathen5. Exodus6. Jamming7. Waiting in Vain8. Turn Your Lights Down Low9. Three Little Birds10. One Love/People Get Ready1977年リリース。 エクソダス +2 [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ] ↓こちらは40周年記念エディション↓ EXODUS 40 - THE MOVEMENT CONTINUES(2CD)【輸入盤】▼/BOB MARLEY & THE WAILERS[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月29日
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21世紀を迎え、衰えぬメキシカン・ロックの王道 アレックス・ローラ(アレハンドロ・ローラ、Alejandro Lora)を中心とするメキシコのロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)。彼らにとってスタジオ第15作となったのが、2002年発表の『ノ・テ・オルビーデス・デ・ラ・バンダ(No te olvides de la banda)』という盤である。 1980年代にメジャー・デビューし、1990年代を通じてメキシコ国内や米国で支持されるスペイン語のトップ・バンドの地位を築いたEL TRIだが、本盤でも攻めの姿勢は変わらなかった。大物らしい貫禄のあるロック・ナンバーを軸にしながら、奇抜だったり、意外だと思えるようなことも随所に織り込もうとしているというのが、本盤全体の印象と言えるだろうか。 冒頭の1.「チランゴランディア」は、“チランゴの国”(チランゴはメキシコシティっ子のこと)の意味で、メキシコシティへの愛着を歌にしたもの。シングルとしてヒットした3.「ソラメンテ・ディオス(神のみぞ)」は、勢いのあるストレートなロック調のナンバー。表題曲の4.「ノ・テ・オルビーデス・デ・ラ・バンダ」も、EL TRI節全開のロック・ナンバーである。筆者的には、以上3曲が本盤で必聴のベスト3といったところだったりする。 少し変わった注目のナンバーとしては、アルバムの最後に収められた11.「デ・ラ・ラサ・パ・ラ・バンダ」がある。出だしの曲調としてはアルバムの冒頭曲にした方がふさわしいんじゃないかという気が聴くたびにするのだけれど、10分越えの長尺の演奏が続くうちに民族楽器まで出てきて、気がつくとアルバムの終わりらしい終わり方になっているという、何とも不思議なナンバーだったりする。[収録曲]1. Chilangolandia2. Volvimos a perder3. Solamente Dios4. No te olvides de la banda5. El amor neto6. Los espermatozoides7. El calzón8. Tu sonrisa9. A partir de hoy10. Lo demás me vale11. De la raza pa' la banda2002年リリース。 ↓別盤(こちらのアルバム)です↓ 【中古】 【輸入盤】Hoyos En La Bolsa /ElTri 【中古】afb ↓こちらも別盤(ライヴ盤)です↓ 【中古】 El Tri / Sinfonico 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月27日
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ジャジーで都会的なAORの超定番作 マイケル・フランクス(Michael Franks)は、1944年カリフォルニア生まれのシンガー。1970年代に入ってデビューし、1990年代までコンスタントにアルバムを発表し続けた。21世紀に入っても、何年かおきに継続して新作を発表していて、現役を続けているようである。 ジャンルで言うと、AOR(大人向けロック)、あるいはクワイエット・ストームの代表格ということになるのだろう。実際、このマイケル・フランクスという人は、とっつきやすく、聴きやすく、安定したシンガーである。そして、彼の代表盤と言えば、1977年発表の本盤『スリーピング・ジプシー(Sleeping Gypsy)』とういことになる。 マイケル・フランクスの魅力は、大きく次の二点に集約されるように思う。一つは、甘く柔らかくて漂う感じのヴォーカル。音楽を評するときに、よく“メロウな”という表現が使われるけれど、この言葉はこういう人のためにあるのだとすら思えてしまう。 二点目は、現代風に言えば“ジャジー”な部分と言えるだろう。ヴォーカルに限ったことではなく、バックにジャズ的要素やボサノヴァ風味(6.「アントニオの歌」は彼の代表曲とされる)を積極的に取り込んで都会的な雰囲気の演奏に仕上げている。もしもチープな演奏にこの声だったとしたら、すべてが軽薄に聞こえてしまったかもしれない。けれども、しっかりアレンジをやって作り込んで、腕のいいミュージシャンでその演奏をやっているからこそ、安心して聴ける音楽になっているのだと感じる。 特大のヒットに恵まれたわけではないので、いくぶん埋没した存在に見られがちな部分もあるようだけれど、過去に置き忘れるにはもったいないアーティストである。AOR系などと言われる音楽が苦手な人はともかく、未体験に人もぜひ試してほしいという勧め方をしたくなる一枚だったりする。[収録曲]1. The Lady Wants to Know2. I Really Hope It's You3. In the Eye of the Storm4. B'wana-He No Home5. Don't Be Blue6. Antonio's Song7. Chain Reaction8. Down in Brazil1977年リリース。 スリーピング・ジプシー [ マイケル・フランクス ] ベスト・オブ・マイケル・フランクス/マイケル・フランクス[SHM-CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月24日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その7・最終回) 不定期で更新してきたアルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の名曲選の7回目(ひとまず最終回)です。第1回から第7回に達するまで3か月以上かかってしまいましたが(過去記事(1) ・(2) ・(3) ・(4) ・(5) ・(6) )、86歳の高齢だったとはいえ、惜しくも新型コロナで昨年(2020年)末に亡くなった、メキシコを代表する作曲家です。 締め括りの今回は、ずばり“幸福”というタイトルの曲、「フェリシダー(Felicidad)」です。まずは、アルマンド自身のオリジナルの歌唱をお聴きください。 この演奏だけを聴くと、懐メロのようなものかという風に理解する人もいるかもしれません。けれども、アルマンドの懐は深く、彼の楽曲は様々なアレンジやカバーによって容易に現代風なものにも化けてしまうところです。そんな側面を垣間見るという意味で、この「フェリシダー」がいかにもポップ風になったものと、クンビア風の仕上がりになったものをお聴きいただこうと思います。 1つ目は1990年代から活躍しているポップ・シンガーのアランサ(Aranza)による「フェリシダー」です。2019年にリリースされたアルマンドに捧げた盤(『ソロ・マンサネーロ』)に収録されたものです。 2つ目は、3人組のクンビア・ペドレガル(Cumbia Pedregal)とアルマンド本人の共演による「フェリシダー」です。コロナ禍が始まってから録音されたもので、生前のアルマンドの姿が収録されています。 あらためて、偉大なる作曲家だったアルマンド・マンサネーロのご冥福をお祈りします。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月20日
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最大のヒット作にして聴き継ぎたい好盤 ジェファーソン・エアプレイン、ジェファーソン・スターシップ、スターシップ、ポール・カントナー主導の再結成ジェファーソン・スターシップ、ミッキー・トーマス中心のスターシップ…。同じバンドではないことは明らかなのだけれど、メンバーの一部が流れを汲み、分裂したり、時にはバンド名の使用で争ったり、ややこしいことこの上ない。とはいえ、これら一連の関連バンドの作品の中で、いちばんヒットしたものははっきりしている。それがジェファーソン・スターシップ(Jefferson Starship)による、1975年発表の『レッド・オクトパス(Red Octopus)』である。 当初のジェファーソン・エアプレインの解散の一方、別バンドとして結成されたジェファーソン・スターシップは、1970年代半ばから後半にかけて成功を収めたバンドとなった。本盤は1974年のファースト作(ドラゴン・フライ』)に続くセカンド作で、全米1位のヒット盤となった。 ジェファーソン・エアプレインの中心人物と言えば、ポール・カントナーとグレイス・スリックということになるのだろうけれど、このバンドの成功のカギはマーティ・バリンの存在だった。バリンはゲスト・メンバーながら先のファースト作でヴォーカルとして1曲参加しており、この『レッド・オクトパス』では、スリックと並んで、バンドの顔としてその声を聴かせている。収録の全10曲から2つのインスト曲を引いた8曲中、リード・ヴォーカルは、バリンが4曲(2.,5.,7.,10.)、スリックが3曲(1.,4.,6.)、カントナーが1曲(8.)といった具合である。 注目曲としては、2.「ミラクルズ」が筆頭だろう。アルバムに先行してシングルとして発表され(ただしシングル・ヴァージョンは3分半ほどなのに対し、アルバム収録のヴァージョンは7分近い尺になっている)、全米チャート3位を記録した。マーティ・バリンの本領発揮といった感じの甘口バラードの秀逸曲である。 とはいえ、バリンのカラー一色のアルバムでないところが本盤の魅力でもある。グレイス・スリックのナンバーとしては、アルバム冒頭の1.「ファースト・バッグ・フレディ」、それから、シングルにもなった6.「愛を奏でよう(プレイ・オン・ラヴ)」がいい。インストの2曲(3.と9.)は、アルバムの流れの中でも絶妙な曲の配置で、個人的には3.「ギット・フィドラー」のパパ・ジョン・クリーチのヴァイオリンをはじめとする各楽器の競演は、本盤を聴くうえで特に楽しめる部分だと思っている。最後に、唯一ポール・カントナーがリード・ヴォーカルとなっている8.「もう一つの世界(アイ・ウォント・トゥ・シー・アナザー・ワールド)」の、厚みのあるややハードな演奏も聴き逃せない1曲。なお、余談ながら、4.「アイ・ガリマス」は「愛ガアリマス」の邦題や原題のカッコの中(ゼア・イズ・ラヴ)を見ての通り、おかしな表記になっているが、日本語のタイトルの曲ということらしい。[収録曲]1. Fast Buck Freddie2. Miracles3. Git Fiddler4. Ai Garimasũ (There Is Love)5. Sweeter than Honey6. Play on Love7. Tumblin'8. I Want to See Another World9. Sandalphon10. There Will Be Love1975年リリース。 ↓ジャケット・イメージ(リンク先はLP盤)↓ 【送料無料】 Jefferson Starship ジェファーソンスターシップ / Red Octopus (レッドヴァイナル仕様 / 180グラム重量盤レコード / FridayMusic) 【LP】↓こちらは中古CD↓ 【中古】レッド・オクトパス/ジェファーソン・スターシップCDアルバム/洋楽↓ベスト盤です↓ 【輸入盤CD】Jefferson Starship / Platinum & Gold Collection (ジェファーソン・スターシップ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月18日
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カーティス・フラー追悼(後編) 前回記事に続き、ジャズ・トロンボーン奏者、カーティス・フラー(Curtis Fuller)追悼の後編です。彼の精力的な吹き込みは、特に1950年代後半から1960年代初頭に集中しており、筆者のお気に入りもそのあたりに集中していますが、2000年代に入っても演奏を続け、70歳代後半や80歳過ぎになっても、亡くなって妻に捧げたアルバム(2011年の『ストーリー・オブ・キャッシー・アンド・ミー』)などに見られるように吹き込みを残しました。 つい先日(2021年5月8日)、デトロイトの介護施設で息を引き取られたとのことですが、以下、一気に半世紀以上(というか60年超ですね)の時をさかのぼり、在りし日の演奏に耳を傾けてみたいと思います。 まずは、「ジュディフル(Judyful)」です。これが収録されているのは、『イメージズ・オブ・カーティス・フラー』という1960年のサヴォイ盤です。実に彼らしい演奏で、「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、「12インチ」など『ブルースエット』に含まれる複数のナンバーと並んで、個人的に好きな演奏の一つです。 続いては、少し趣向の異なる「べサメ・ムーチョ(Bésame Mucho)」というラテンの有名曲です。カーティス・フラーは、1961年にズート・シムズを迎えて『サウス・アメリカン・クッキン』というラテン風味盤を吹き込んでいるのですが、その中に収められているものです。 最後は、「オスカリプソ(Oscalypso)」という曲です。ブルーノートから出された最初のリーダー作品『ジ・オープナー』(1957年吹き込み)に収録されています。 年齢を考えれば、天命を全うしたということなのかもしれませんが、カーティス・フラー死去というのが悲しい報せであることに変わりはありません。偉大なジャズ・トロンボーン奏者のご冥福をお祈りいたします。R.I.P. 【中古】 ジ・オープナー /カーティス・フラー,ハンク・モブレー,ボビー・ティモンズ,ポール・チェンバース,アート・テイラー 【中古】afb [期間限定][限定盤]サウス・アメリカン・クッキン/カーティス・フラー[CD]【返品種別A】 【中古】イメージス / カーティス・フラー ブルースエット [ カーティス・フラー ] Curtis Fuller カーティスフラー / Eight Classic Albums 輸入盤 【CD】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月15日
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カーティス・フラー追悼(前編) ジャズ・トロンボーン奏者、カーティス・フラー(Curtis Fuller)の訃報が伝えられました(外部記事)。死因は不明ですが、生まれ故郷のデトロイトにて亡くなったとのことです。1934年生まれで、2021年5月8日に86歳で逝去ということだと思いますが、一部報道では1932年生まれで88歳で亡くなったとも報じられています。ジャズ・トロンボーン奏者と言えば、J.J.ジョンソン(1924年生まれ、2001年没)という人物がいましたが、J.J.と並んでジャズ界にトロンボーンの存在感を根づかせたのが、カーティス・フラーでした。 お気づきの方もいるかもしれませんが、これまで本ブログでは彼の作品を割と多く取り上げています(例えば、参考過去記事(1) ・(2) ・(3) ・(4) ・(5) )。その理由はと言うと、筆者が気に入っているからということになってしまいますが、そんな事情もあり、カーティス・フラーの追悼ということで、前・後編の2回に分けて何曲かお聴きいただきたいと思います。 まずは、彼の残した作品の中でも特に個人的な愛聴盤『ブルースエット』に含まれている曲からです。「マイナー・バンプ」というナンバーですが、テナーはベニー・ゴルソンです。そしてお聴きいただくとわかるように、ドラムス(アル・ヘアウッド)の存在感とピアノ(トミー・フラナガン)の演奏も光る1曲だと思います。 続いては、ブルーノートでの2作目となった『ボーン・アンド・バリ』に収録された表題曲の「ボーン・アンド・バリ(Bone and Bari)」です。タイトルの通り、ボーン(トロンボーン)にバリ(バリトン・サックス)を加えた演奏で、バリトン奏者はテイト・ヒューストンです。 次は、ピアノ奏者ハンプトン・ホーズとの共演によるもので、フレンチホルンとも一緒の演奏です。『カーティス・フラー&ハンプトン・ホーズ・ウィズ・フレンチ・ホーン』に収められている「ロニーズ・チューン」をお聴きください。 カーティス・フラーのトロンボーンに思いをはせながら、もう少しほかの曲も聴きたいということで、項を改めて次回の後編に続きます。 ブルースエット/カーティス・フラー[CD]【返品種別A】 【輸入盤CD】Curtis Fuller / Eight Classic Albums【K2020/3/13発売】 【中古】 ボーン・アンド・バリ /カーティス・フラー(tb),テイト・ヒューストン(bs),ソニー・クラーク(p),ポール・チェンバース(b),アート・テイラー(ds 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月14日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月12日
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1970年代、ソロシンガーとなったサイモンの代表盤 サイモンとガーファンクルは1960年代に様々なヒットを残し、1970年に解散した。その後、ポール・サイモン(Paul Simon)はソロとしての活動を展開していった。1972年、1973年にそれぞれソロとしてのアルバムを発表したのに続き、1975年にリリースされたのが本盤『時の流れに(Still Crazy After All These Years)』であった。 本作は、全米1位となり、最優秀アルバムに加え、男性ポップ・ボーカル部門でグラミーを受賞した。これはサイモンとガーファンクルとしての受賞以来、ソロで初めての受賞であった。1980年代には『グレイスランド』という大きなヒットとなった盤を出しているが、1970年代の彼の活動としては、この『時の流れに』が代表作だと言えるだろう。 この盤に収められた中で有名曲といえば、4.「恋人と別れる50の方法(フィフティ・ウェイズ・トゥ・リーヴ・ユア・ラヴァ―)」である。全米のほかカナダでも1位を記録したほか、全米では年間のシングルチャート8位となった。シニカルな詞、淡々とした歌いくちといった特徴は、後のスティングに影響を与えたんじゃないかと思ったりする。もう一つ、本盤で大きな注目を集めたのは、アート・ガーファンクルとの共演の2.「マイ・リトル・タウン」。1970年に袂を分かった二人だったけれど、この曲だけは“サイモンとガーファンクル”の名義で録音され、それぞれのソロ・アルバムに収録されることになった。 上記の2曲以外に外せないナンバーとしては、まずは、表題曲の1.「時の流れに(スティル・クレイジー・アフター・オール・ジーズ・イヤーズ)」。そして、7.「ある人の人生(サム・フォークズ・ライヴズ・ロール・イージー)」。どちらもじっくり染み入るタイプの曲と詞がいい。筆者的には、上で触れた4.「恋人と別れる~」とこれらを合わせて、本盤のベスト3曲という気がしている。[収録曲]1. Still Crazy After All These Years2. My Little Town3. I Do It For Your Love4. 50 Ways to Leave Your Lover5. Night Game6. Gone at Last7. Some Folks' Lives Roll Easy8. Have a Good Time9. You're Kind10. Silent Eyes1975年リリース。 時の流れに [ ポール・サイモン ] 【輸入盤】Still Crazy After All These Years [ Paul Simon ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月09日
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熟年に達したアルの密かな名作 アル・クーパー(Al Kooper)は1944年生まれで、ロックという音楽が確立されていった時代の生き証人の一人である。そんな彼のソロ作は決して多いわけではなく、しかも1960年代末から1970年代に集中している。1980年代には“指揮者”的な役割のアルバム(『チャンピオンシップ・レスリング』)、1990年代にはインスト盤(『リクーパレイション』)とライヴ盤(『ソウル・オブ・ア・マン』)をリリースしていたが、本格的なスタジオ作品は、30年近くという長い時を経て2005年に出された。それが本盤『ブラック・コーヒー(Black Coffee)』である。 久々の復活盤ともいうべきこの作品は、派手な新作でもなければ出涸らしの駄作でもなかった。まさしくアル・クーパーの世界、それも年月の流れを経て、円熟味が加わっている。そもそも彼の音楽は、基本的にはホワイト・ソウルなどと分類されがちだけれど、アップテンポもあればスローバラード系もあり、ロック色ありと一本調子ではない。本作でもその音楽的な幅というか多様さは十分に生かされており、2000年代の洋楽の密かな名作の一つに数えられてもいいのではと思ってみたりする。 個人的な好みで注目曲をいくつか挙げておきたい。アルの味がよく出ているナンバーとして、1.「マイ・ハンズ・アー・タイド」、9.「アナザー・マンズ・プライズ」が筆者的にはお勧めである。あと、いくつか共作のナンバーが含まれているが、4.「ゴーイング・ゴーイング・ゴーン」は要注目。R&Bやソウルの有名な作曲家ダン・ペンとの共作曲で、本盤収録曲のうち、1、2を争う出来のナンバーだと思う。 他方、全14曲(日本盤ではボーナス・トラックがあるので15曲)のうち自作ではないナンバーが5曲あるのにも注目されたい。筆者が特に気に入っているのは、まずはライヴ演奏(2001年のライヴとのこと)の8.「グリーン・オニオンズ」。言わずと知れたブッカーT&ザ・MG’ズのナンバーだが、アルのオルガン演奏は健在。11.「ガット・マイ・アイオン・フー」は、ダイアー・ストレイツのギタリストを務めたハル・リンデスのナンバーだが、見事にアルのカラーに仕上がっている。これと、同じことは、レイ・チャールズで知られる12.「ジャスト・フォー・ア・スリル」なんかにも言える。[収録曲]1. My Hands Are Tied2. Am I Wrong3. How My Ever Gonna Get Over You4. Going, Going, Gone5. Keep It to Yourself6. Get Ready7. Imaginary Lover8. Green Onions (Live)9. Another Man´s Prize10. Childish Love11. Got My Ion Hue12. Just for a Thrill13. Goin´Back In A Cadillac (Live)14. (I Want You To) Tell Me the Truth15. Test Drive [日本盤ボーナス・トラック]2005年リリース。 【輸入盤CD】AL KOOPER / BLACK COFFEE (アル・クーパー) ブラック・コーヒー / アル・クーパー 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月06日
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初期の熱きコステロを聴くなら本盤かデビュー盤から エルヴィス・コステロのデビュー・アルバムは名曲「アリソン」を含む『マイ・エイム・イズ・トゥルー』(1977年)であった。そして、その翌年になって発売されたセカンド作がこの『ディス・イヤーズ・モデル(This Year’s Model)』である。その当時、日本では上記デビュー作の日本盤は発売されなかったため、本邦初紹介となったのがこの作品だったということになる。 ファースト作と本セカンド作の大きな違いは、バックバンドの存在である。エルヴィス・コステロのバックバンドは、彼自身がデビューした後にようやく形成され、本作で初めてジ・アトラクションズが姿を現した(ただしアルバムそのものには、まだ“エルヴィス・コステロ”とだけ記されている)。この後、コステロは長らくこのアトラクションズとの演奏を続けていくことになる。ちなみにデビュー盤でバックの演奏をやっていたのはクローヴァー(後のヒューイ・ルイス&ザ・ニューズに発展)で、このセカンド作でアトラクションズに含まれることになるメンバー数名もレコーディングに参加していた。 本盤『ディス・イヤーズ・モデル』の特徴は何よりも前作の勢いをそのまま保ちつつも、ややパンク色の強い曲調・演奏が増えている点である。ファーストとセカンドでなかなか優劣がつけがたいのだが、ニューウェーブ的なノリを求める人なら、おそらくはこのセカンド作の方がより気に入るのではないかと思ったりもする。ちなみに、英国チャートでは、前作は14位だったが、本作は4位に躍進した。 私的な好みの曲をいくつか挙げておこうと思う。1.「ノー・アクション」はデビュー当時のコステロのイメージの一つである勢いのある好曲。同じ流れでは、米盤にのみ収録された11.「レイディオ・レイディオ」がいい。やや偏った感じかもしれないけれど、筆者的には、この2曲が本盤のコステロを象徴するナンバーだったりする。これらに次いで注目したい曲としては、2.「ジス・イヤーズ・ガール」、4.「パンプ・イット・アップ」、7.「ハンド・イン・ハンド」、8.「リップ・サービス」なんかが挙げられるだろうか。繰り返しになるが、デビュー盤と並んで、“怒れる若者”何て呼ばれたりもしたエルヴィス・コステロの若いパワーと勢いが伝わってくる盤だと言える。[収録曲]1. No Action2. This Year's Girl3. The Beat4. Pump It Up5. Little Triggers6. You Belong to Me7. Hand in Hand8. Lip Service 9. Living in Paradise10. Lipstick Vogue11. Radio, Radio*英盤・米盤・日本盤それぞれで曲目の異動あり(上の曲目は筆者の手持ちの米盤による)。1978年リリース。 THIS YEARS MODEL[輸入盤]/ELVIS COSTELLO[CD]【返品種別A】 ディス・イヤーズ・モデル +1 [ エルヴィス・コステロ ] 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月03日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その6) 600万アクセス記念のシリーズですっかり間が空いてしまいましたが、こちらの記事の続きということで、第6回をお届けします。 昨年末、新型コロナ感染症で亡くなったメキシコの有名アーティスト、アルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の名曲選の続きです。今回は、「ノ・エクシステン・リミテス(No existen límites)」、直訳すれば、“限界はない”、つまりは、“愛にはここまでというラインがない”といったような意味合いの詞と言えるでしょうか。 まずは、定番と言えそうな、メキシコの有名女性シンガー、ルセーロ(Lucero)とのデュエットのものをお聴きください。 他にも様々なシンガーとの共演が残されていますが、まずは、スペインの女性シンガー、リディア(Lydia)とのデュエットをどうぞ。なお、このリディアというシンガーは、2008年からプレスントス・インプリカードス(参考過去記事)のヴォーカルを務めているアーティストです。 今回はさらにもう一つ。キューバ人シンガーのアイラ・モンピエー(Haila Monpié)による「ノ・エクシステン・リミテス」です。アルマンドも共演しているのですが、彼女のソンやティンバといったキューバ音楽風のサウンドが特徴的な吹き込みです。 ↓ベスト盤↓ 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / LO MEJOR DE LO MEJOR 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年05月01日
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