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バンド黄金期の超名盤 そもそも、ザ・キンクス(The Kinks)は、ビートルズやローリング・ストーンズのように音楽ファン以外にまで広く知られるわけでもなく、“不当に過小評価を受けてきたバンド”の典型例だと言える。それゆえ、忘れ去られぬよう広く聴き継がれ、その評価が長期的には変わっていってほしいと切実に思う。それでもって、聴き継がれるには、初めてこのバンドを聴く人にとって入口となる盤はどれか、という話は重要であろう。なんだか回りくどくなってしまったけれど、要するに本盤『マスウェル・ヒルビリーズ(Muswell Hillbillies)』は、キンクスを初めて聴くという場合の最初の一枚としてお薦めの最有力候補の一つではないかという話である。 キンクスの最盛期は、1966~67年頃から1972年と言われる。アルバム作品で言うと、『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』(あるいはその前作の『サムシング・エルス』)から『マスウェル・ヒルビリーズ』ということになる。筆者個人としては、1970年代の残りの期間の作品にも愛聴盤が複数あり、キンクスの隆盛はまだまだ続くと言いたくなることもあるのだけれど、世間的にはこのように言われるのが一般的である。つまるところ、この作品は、キンクスが最も才能を発揮していた時期の最後を飾る盤で、なおかつバンドの最高傑作と称される盤というわけである。 一言でいえば、ブルースやカントリーといった米国音楽の英国的アダプテーションということになるだろうか。音楽的には米国風なものが随所に見られるのだけれど、トータルでは英国風なのである。かつキンクスらしいコンセプト・アルバムになっているうえ、現代社会を風刺的に描き出すレイ・デイヴィスのソング・ライティングが光る。これほど成功する要素がうまく揃うことは、長く広い音楽業界でもそうそう簡単に起こることがない。そう思えるほど、こうした諸要素が調和し、一つの作品に昇華している。 筆者のお気に入り曲を少し挙げておきたい。まず、20世紀から逃避したいと歌う1.「20世紀の人」。この曲のように、現代社会の生きづらさの嘆きやそこからの逃避といったテーマを皮肉っぽく詞にするレイ・デイヴィスの真骨頂は、本アルバムのあちらこちらに顔を出す。6.「複雑な人生」は、厄介事を切り捨ててシンプルに生きようという、21世紀の現在においても、忙しい現代人には必聴のナンバー。こんな内容をこういう風にまったり演奏してのけるところが何よりの魅力だと言える(ちなみに、まったりした演奏という点では、2.「パラノイア・ブルース」も筆者のお気に入りだったりする)。あと、何が何でも聴き逃がせないのは、アルバムのラストを飾る表題曲の12.「マスウェル・ヒルビリー」。カントリー・ロック風の曲調にのって、ロンドン郊外のマスウェル・ヒルビリーという小さな箱の中に閉じ込められても、画一化されたゾンビーなんかになるものか、という詞の内容。これもまた、“みんな平等”という名のもとの画一化が幅を利かせ続けている今の日本社会への批判としても聴き継がれたいと思うナンバーだったりする。 すっかり長文になってしまったが、最後に、本盤のジャケット・ワークが秀逸なことにも触れておきたい。収録曲の内容とともに、ジャケット(表面・内面とも広げた形の写真)もまたロック史上、最高レベルのものだと個人的には思っていたりする。[収録曲]1. 20th Century Man 2. Acute Schizophrenia Paranoia Blues3. Holiday4. Skin and Bone5. Alcohol6. Complicated Life7. Here Come the People in Grey8. Have a Cuppa Tea9. Holloway Jail10. Oklahoma, U.S.A.11. Uncle Son12. Muswell Hillbilly~以下、CDボーナス・トラック~13. Mountain Woman14. Kentucky Moon1971年リリース。 マスウェル・ヒルビリーズ+2/ザ・キンクス[SHM-CD]【返品種別A】 マスウェル・ヒルビリーズ +2 [ ザ・キンクス ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月30日
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音楽的豊かさと多彩さが際立つ記念碑盤 1965年。この年は、ボブ・ディランが『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』と『追憶のハイウェイ61』を発表した年である。フォークとロックの垣根が取り壊され、その間が埋まっていくという音楽的には重要な転換期だった。ただ、そうは言っても、フォークとロックの距離が狭められていくという動きは、何もディラン一人に限った話ではなかった。例えば、“フォーク・ロック”の始まりは前年のイギリスのアニマルズによる「朝日のあたる家」と言われたりすることもある。 1960年代半ばのこうした音楽的胎動に関して、忘れてはならないアーティストが、このティム・ハーディン(Tim Hardin)と言えるように思う。ディランと同じ1941年の生まれで、フォーク畑のシンガーソングライターである。彼のデビュー盤となった本作『ティム・ハーディン1(Tim Hardin 1)』は、1966年に発表されたものであるが、録音時期は1964年の5月と11月、および1965年12月というから、まさしくこうした動きの真っただ中である。結論から先に言ってしまうと、フォーク・ロックの誕生と確立に携わった功績は、ディランのそれと同じと言えるほど評価されていいように思う。 レコーディングの参加メンバーとしてまず目につくのは、ジョン・セバスチャン(ハーモニカ)である。本盤発表時点では彼はラヴィン・スプーンフルのメンバーとして活躍していたわけだが、録音時期はちょうどラヴィン・スプーンフルのデビューと前後する時期であり、ブルース・ハープの腕を磨いていった頃だった。さらに付け加えると、セバスチャンは同じ時期にボブ・ディランの『ブリンギング~』のレコーディングにも参加していたとのこと。さて、他のメンバーにも目を向けると、ゲイリー・バートン(ヴィブラフォン奏者)やジミー・ヒースのバンドでプレイしたボブ・ブッシュネル(ベース奏者)などジャズ寄りのミュージシャンが参加している。こうしたメンバーの取り合わせ自体が既にただのフォークではない方向を向いていたことを示しているように思われる。 注目点としては、後に様々なミュージシャンにカバーされることになる楽曲が複数含まれていることが挙げられる。7.「リーズン・トゥ・ビリーヴ」はそうした楽曲として有名だけれど、他にも1.「ドント・メイク・プロミセズ」、11.「ミスティ・ローゼズ」や12.「ハング・オン・トゥ・ア・ドリーム」が収められている。とはいえ、この点だけでは、ソングライターとしての評価にしかならない。冒頭で述べたフォーク・ロックの展開という文脈からは、サウンド面にも注目したいところである。あちらこちらでストリングスが効果的に使われ、各曲のテンポに緩急がつけられ、シンプルなフォークやブルースから意図的に乖離していこうとしてるかのように見える。3.「スマグリン・マン」や10.「エイント・ゴナ・ドゥ・ウィズアウト」のようなナンバーと、6.「ネヴァー・ハプン・アゲイン」や12.「ハング・オン・トゥ・ア・ドリーム」のような曲調が同居する不思議さ。そして、筆者はこういうヴァラエティの中ではどちらかといえば中道的と位置づけられそうな1.「ドント・メイク・プロミセズ」や11.「ミスティ・ローゼズ」が気に入っている。[収録曲]1. Don't Make Promises2. Green Rocky Road3. Smugglin' Man4. How Long5. While You're on Your Way6. It'll Never Happen Again7. Reason to Believe8. Never Too Far9. Part of the Wind10. Ain't Gonna Do Without11. Misty Roses12. How Can We Hang on to a Dream?~以下、CDリイシューのボーナス・トラック~13. While You're on Your Way (alternate version)14. It'll Never Happen Again (alternate version)15. She Ain’t Home16. You Say You Love Me17. How Time Flies1966年リリース。 ティム・ハーディン1 [ ティム・ハーディン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年11月27日
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少々マイナーな楽器による「枯葉」 毎年、秋が深まり、冬の足音が近づくと、自然と「枯葉(Autum Leaves)」という曲を思い出してしまいます。 そんなわけで過去には本ブログでも、毎年というわけではないですが、11月頃にいろんな奏者の「枯葉」を取り上げることになるのですが、どうしても名演を探し出すと、トランペットにサックス、あるいはピアノ・トリオでの演奏など、ポピュラーな楽器がメインの「枯葉」に落ち着きがちです。 そんなこともあり、今回は、ジャズ界ではややマイナーな楽器が登場する「枯葉」というのをテーマに、2つほどビデオ付きでお聴きいただきたいと思います。 まずは、今回一押しの、“マイナー楽器といえばこれでしょ”的な、クラリネットによる「枯葉」です。ジャズ・クラリネットの名手、バディ・デフランコによる抒情性たっぷりの秀逸な演奏です。正直なところ、この演奏は、個人的にかなりお勧めです。 さて、続いてもう一つお聴きいただきたいと思います。ヴァイオリンをフィーチャーしたこの曲の演奏です。ジャズ・ヴァイオリンでは有名なステファン・グラッペリ(Stephane Grappelli)というフランス人がいますが、その彼がオスカー・ピーターソンと共演している「枯葉」です。1973年、パリにおけるカルテットでの演奏です。 秋は過ぎゆき、冬の到来といった感じがだんだんとしてきています。ご体調には気を付けつつ、冬支度をお進めください。 Buddy De Franco / Autumn Leaves 【CD】 【中古】 枯葉/CD/UCCM-3025 / オスカー・ピーターソン&ステファン・グラッペリ / ユニバーサル ミュージック クラシック [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年11月24日
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西海岸ジャズの代表として忘れてはならない奏者の本領発揮盤 バド・シャンク(Bud Shank)は、1926年オハイオ州生まれのジャズ・ミュージシャンで、2009年に82歳で亡くなっている。幼い頃にクラリネットを始め、やがてサックス奏者として活躍していった。アルト・サックスのほかに、テナー、バリトンも演奏し、さらにはフルートの名手だった。ウエスト・コースト(西海岸)・ジャズのサキソフォン奏者と言えば、アート・ペッパーが代名詞のようになっているが、バド・シャンクも忘れてはならない存在である。 本盤『ザ・バド・シャンク・カルテット(The Bud Shank Quartet)』は、1956年にロサンゼルスで録音されたパシフィック盤である。表題の通り、ピアノトリオ+アルト・サックス(およびフルート)というワンホーン盤であるが、クロード・ウィリアムソンがピアノ奏者というのも目を引く点で、バド・シャンクを生かそうとする演奏がとりわけ妙である(ジャケットには“フィーチャリング・クロード・ウィリアムソン”の表現も見られる)。 さて、肝心のバド・シャンクの演奏であるが、アート・ペッパーのような天才的閃きといった感じとは大きく異なる。クールさを装いながら熱い演奏をするというのが、筆者の感じている彼のアルト演奏の全体的な印象である。このような印象に特によくあてはまる曲の一つが、1.「バッグ・オブ・ブルース」である。いかにも西海岸クール風な演奏から始まり、曲が進むにつれて次第に盛り上がってホットな演奏へと移行していく。同じような特徴を持った演奏としては、10分近くに及ぶ長尺の7.「ウォーキン」もいい。 一方、バド・シャンクのフルート演奏にも注目したい。2.「ネイチャー・ボーイ」はフルートとピアノが一体となって醸し出す抒情感がいい。6.「ノクターン・フォー・フルート」は、ピアノのウィリアムソンのペンによるナンバーで、ノクターン(夜想曲)の表題通り、夜の静寂を思い起こさせる美しい演奏を披露している。 最後に、ゆったりとしたバラード曲をやったらどうなるかという意味では、3.「オール・ジス・アンド・ヘヴン・トゥー」が面白い。とにかく優しいバド・シャンク節は、聴き手を病みつきにさせる魅力を存分に持っているように思うのだけれど、いかがだろうか。[収録曲]1. Bag of Blues2. Nature Boy3. All This and Heaven Too4. Jubilation5. Do Nothing till You Hear from Me6. Nocturne for Flute7. Walkin'8. Carioca[パーソネル、録音]Bud Shank (as, fl) Claude Williamson (p)Don Prell (b)Chuck Flores (ds)1956年1月25日録音。 Bud Shank バドシャンク / Bud Shank Quartet Featuring Claude Williamson 【CD】 CD/ザ・バド・シャンク・カルテット (解説付) (限定盤)/バド・シャンク/UCCQ-9386 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年11月22日
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ピアノ演奏と“声”に徹した異色盤 チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)は、1922年、米国アリゾナ州出身のジャズ・ベース奏者(1979年没)。単にベーシストとしてだけではなく、作曲家、バンド・リーダーとしての才能を発揮していたものの、そんな彼が1962年に発表(録音はその前年)した本盤『オー・ヤー(Oh Yeah)』では、ベースを弾かずにアルバムの吹き込みを行うという、思い切った行動に出た。 本盤でミンガスが担当しているのはピアノとヴォーカル。したがってミンガスの作品としては、本職(ベース)の代表作というよりも、“異色作”という方が適当だろう。収められた7曲は、いずれもミンガス自身の作で、基本的にブルース曲である。 アルバム全体として、演奏は奥行きや厚みがあるもので、ミンガスの作曲能力の高さと、曲によっては彼のヴォーカルの妙なドスの効いた勢い(?)が妙に耳につく。そう、“ヴォーカル”というより“声”と呼んだ方が適切なような気すらする。そして、この“声”というのが、本盤を“ねちっこい”ものにしていると表現してもいいように思う。 とはいえ、その“ねちっこさ”の理由は、ミンガスの声と同時に、もう一つにあるように思う。それは、ブッカー・アーヴィンのサックスである。アーヴィンは筆者お気に入りのテナー奏者でこれまでもリーダー作(参考過去記事(1) ・(2) ・(3) )を取り上げているが、彼の存在がその“ねちっこさ”に拍車をかけているのである。 聴きどころはと言われると、全体を通して聴くのがよいと思うのだけれど、敢えてこれはという収録曲を挙げるなら、1.「ホッグ・コーリン・ブルース」と2.「デヴィル・ウーマン」。後半になるとさらにハチャメチャな部分を含むが、個人的には5.「神よ原子爆弾を降らせ給うな」が気に入っている。[収録曲]1. Hog Callin' Blues2. Devil Woman3. Wham Bam Thank You Ma'am4. Ecclusiastics5. Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb on Me6. Eat That Chicken7. Passions of a Man[パーソネル、録音]Charles Mingus (p, vo)Rahsaan Roland Kirk (fl, siren, ts, manzello, strich)Booker Ervin (ts)Jimmy Knepper (tb)Doug Watkins (b)Dannie Richmond (ds)1961年11月6日録音。 【輸入盤CD】CHARLES MINGUS / OH YEAH (チャールズ・ミンガス) 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年11月19日
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パリでのピアノ・トリオとの共演 1929年生まれのチェット・ベイカー(Chet Baker)は、1950年代半ばには、ジャズ・リスナーから大きな人気を得ていた。まさしくその時期に相当する1955年に録音されたのが、この『サマータイム(Plays Standards)』である。現在は“ジャズ・イン・パリ”シリーズの1枚としてリイシューされているが、元々はフランスのバークレイ(Disques Barclay)というレーベルから発売されたLPだった。 1955年秋、チェットはフランスにいた。バークレイ・レーベルで6枚のアルバムを録音したいとの申し出に応えたものだった。この際、チェットはスイスやドイツでも演奏したとのことだが、フランスで最初に録音したメンバーと本作のメンバーには異動がある。本盤で共演しているピアノ・トリオのうち、ベースのジミー・ボンドは、最初のセッションでも一緒だった人物である。一方、ドラムスのバート・ダーランダーは、チェットと揉めて出ていったピーター・リットマンに代わって加わっていた。さらに、先に共演したピアノのディック・ツワージクは、この間に薬物の過剰摂取によってホテルで急死するという運命をたどっていた。代役を務めたのは、バークレイと契約したばかりの若手ピアニスト、ジェラール・グスタンだった。 このように、突然のパーソネル変更の中、“スタンダード”が共通項となって本盤は録音された。要するに、ジャズ・ミュージシャンが慣れ親しんでいる定番曲をレコーディングの曲目にするというわけである。結果的に、チェットが普段あまり演奏していなかったスタンダードも本盤には収録されることになった。 肝心の演奏内容だが、まず、ベースの安定感が光り、ドラムスもこれによく合っている。そして、代役だった若きピアニストの活躍も目立つ。このピアノ・トリオをバックに“歌う”のがチェット・ベイカーのトランペットである。個人的にとくにお勧めな演奏としては、1.「サマータイム」、5.「ゼアズ・ア・スモール・ホテル」、6.「ニューヨークの秋」、8.「アイル・リメンバー・エイプリル(4月の思い出)」といったところか(いや、他にも捨てがたい曲が複数あったりする…)。ともあれ、日常ではない環境の中、当時のチェット・ベイカーがトランペットで本領を発揮した盤なので、“そもそもチェットのトランペットってどんなの?”と思う人にも聴いてもらいたい盤だと思う。[収録曲]1. Summertime2. You Go To My Head3. Tenderly4. Lover Man5. There's A Small Hotel6. Autumn In New York7. These Foolish Things8. I'll Remember April[パーソネル、録音]Chet Baker (tp)Gérard Gustin (p)Jimmy Bond (b)Bert Dahlander (ds)1955年10月24日録音。 【中古】 Chet Baker チェットベイカー / Plays The Standards 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月17日
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2021年11月16日
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若きディランの偉大なる金字塔 1962年にデビューしたボブ・ディラン(Bob Dylan)は、まもなく“フォークの貴公子”の枠を飛び出し、エレクトリック楽器を用い、フォーク・ロックの確立(それは従来のフォークの立場からすると、“裏切り”とも揶揄された)へと動いていくこととなった。この流れが如実に出たのは、1960年代のちょうど半ばのことで、1965年には、『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』と本作『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)』が発表された。『ブリンギング~』も十分に革新的だったけれども、これらの流れが“歴史”となった現在から振り返ると(なおかつ筆者自身の個人的好みも含め)、この『追憶のハイウェイ61』のインパクトは、50年以上が経過しても色褪せることのない強烈な輝きを特に放ち続けているように思う。 アルバムは全米チャートで3位、全英チャートで4位を記録した。シングルとしても1.「ライク・ア・ローリング・ストーン」が全米2位、全英4位のヒットとなった。アルバム表題(かつ7.の表題)の“ハイウェイ61”というのも、フォークという枠には収まらず、ブルースからロックに至るまで、様々な逸話の残る場所(道路)を題材にしている。ベッシー・スミスが事故で亡くなったのも、ロバート・ジョンソンが“悪魔に魂を売り渡したクロスロード”も、プレスリーが育った場所も、このハイウェイ61だった。 アルバム全体として、フォーク色よりもエレクトリック・サウンドが中心となっていて、フォークらしいサウンドが展開されるのは、唯一、9.「廃墟の街」に過ぎない。注目曲としては、ずば抜けて存在感が強いのは、有名な1.「ライク・ア・ローリング・ストーン」。言わずもがな、ボブ・ディランの代表曲であり、この時期のロック音楽の変革、フォーク・ロックの確立を象徴するナンバーである。 この「ライク・ア・ローリング・ストーン」の演奏にも顕著に表れているように、このような“革新”の立役者は、ボブ・ディラン本人だけでなく、それを支える演奏陣に追うところも大きかった。その代表が、オルガン演奏を披露しているアル・クーパー、そしてギタリストのマイク・ブルームフィールドであった。本盤のベストは、この1.「ライク・ア・ローリング・ストーン(転がる石のように)」と、続く2.「トゥームストーン・ブルース(墓石のブルース)」、そして、表題曲の7.「追憶のハイウェイ61」(もちろん、他の曲が聴くに値しないなどというつもりはこれっぽっちもないが、それでもなお、この3曲は必聴という意味だと理解されたい)。“すべてが起こってしまった後”からすると、これがフォーク・ミュージシャンの作品とは全く思えないだろう。無論、当時は新たな音楽に向けた胎動とか、伝統的なフォーク・ファン側の反発(ディランに対する“裏切者”扱い)もあったわけだけれど、半世紀以上経った今から見れば、やはりこれは若きボブ・ディランの輝かしき金字塔として燦然と輝く盤ということになるのだろう。[収録曲]1. Like a Rolling Stone 2. Tombstone Blues3. It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train To Cry4. From a Buick 65. Ballad of a Thin Man6. Queen Jane Approximately7. Highway 61 Revisited8. Just Like Tom Thumb's Blues9. Desolation Row1965年リリース。 NICE PRICE!::追憶のハイウェイ61 [ ボブ・ディラン ] 【輸入盤CD】Bob Dylan / Highway 61 Revisited (ボブ・ディラン) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月13日
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急ですが、聴きたくなってたまらない曲を… このブログをご覧の方は、過去に他でも読まれているかもしれませんが、音楽好きな人たちの間には、“あの曲を聴きたい”と無性に思い始めたらどうにもならないということがあります。もちろん筆者にもそういうことは時々あって、数日たったら収まるので毎度記事にするようなことはしないのですが、今回は何だかやけに“発作的”ということもあり、曲紹介として取り上げたいと思います。 さて、その曲は、ブルース・スプリングスティーンの「ソウル・ドライバー(Soul Driver)」というナンバーです。1992年、『ラッキー・タウン』と同時リリースとなった『ヒューマン・タッチ』に収録のものです。 まずは(とういか、筆者が急に聴きたくなったのは、まさしくこのヴァージョンだったわけですが)、オリジナルのアルバム収録のものをお聴きください。 続いて、アルバム発表前のライヴでのソロ(弾き語り)ヴァージョンをお聴きいただきたいと思います。この頃は、ちょうどE・ストリート・バンドといったんは袂を分かち、独自に活動していた時期でした。 その後、E・ストリート・バンドは再結集・復活して現在に至りますが、どういうわけかこの曲が取り上げられることはあまり多くないようです。筆者的には、E・ストリート・バンドとしての、「ソウル・ドライバー」のこれぞというライヴ・ヴァージョンにいつかで会いたいなと密かに期待していたりします。[収録アルバム]Bruce Sprinsteen / Human Touch(1992年) 【輸入盤CD】Bruce Springsteen / Human Touch (ブルース・スプリングスティーン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年11月10日
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世界的なヒットとなった貫禄の一枚 マナー(Maná)は、ソンブレロ・ベルデ(Sombrero Verde)というバンド名での活動歴の後、1987年にこの名前でデビューしたメキシコのロック・バンド。これまでに、グラミー賞、ラテン・グラミー賞を何度も受賞している。中心人物であるフェル・オルベーラ(ヴォーカル)に加え、セルヒオ・バジン(ギター、1994年に加入)、フアン・ディエゴ(ベース)、アレックス・ゴンサレス(ドラム)というのが現在のラインアップである。 本盤『カマ・インセンディアーダ(Cama incendiada)』は、2015年に発表された彼らの9枚目のスタジオ作である。アルバムのタイトルは“火をつけられたベッド”の意味で、収録曲(2.)の表題であるが、アルバム・ジャケットには文字通り炎と煙を上げて燃え盛るベッドの写真となっている。出身国メキシコのチャートで2位のほか、アルゼンチンや米国ラテン系チャートで1位、さらには全米ビルボードのチャートでも15位という結果を残した。 この作品の全体的な印象としては、“落ち着き”と“安定感”である。1980年代や1990年代のような勢いが感じられないのは事実である。けれども、マナー節全開の曲が多く、独特のフェルのヴォーカルも健在である。そして何よりも、貫禄十分とでも言えるような、完成度の高い演奏が並ぶ。 いくつか聴きどころと思う曲を挙げておきたい。4.「イロニーア(アイロニー)」は、マナー得意のバラード調のナンバー。6.「ミ・ベルダー(我が真実)」は、コロンビア出身の有名女性シンガー、シャキーラと共演したもので、アルバムに先行してシングルとして発売された曲である。7.「スアベシート」は、筆者的にはこういう曲こそいかにもマナーらしくて好みといったナンバー。ついでに、面白い曲としては、10.「ソモス・マス・アメリカーノス」がある。“俺たちの方がずっとアメリカ人”という表題の曲だが、自分たちが移動(移民)したのではない、国境が動いてきたのさ(米墨戦争でメキシコ領がアメリカ領に変わったことを指す)、と歌うこの曲は、米国で人気を集めるこのバンドが、メキシコ人であることにアイデンティティを感じ続けていて、なおかつ、米国内のラテン系オーディエンスも意識している結果ということを示しているようで面白い。[収録曲]1. Adicto a tu amor2. La cama incendiada3. La prisión4 Ironía5. Peligrosa6. Mi verdad [con Shakira]7. Suavecito8. La telaraña9. Electrizado10. Somos más americanos11. La telaraña [Remix]2015年リリース。 【輸入盤CD】Mana / Cama Incendiada (マナ) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月07日
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短命ながら着実な影響を後世に残した米国バンド ザ・レフト・バンク(The Left Banke)は、キーボード奏者のマイケル・ブラウンを中心とした米国のバンド。1964年に結成されたバンドを母体とし、1966年にシングル「いとしのルネ」のヒットでデビューを果たす。そして、その翌年にリリースされたファースト・アルバムが、この『いとしのルネ(Walk Away Renée / Pretty Ballerina)』という盤であった。 このバンドの音楽は、ビートルズなどのブリティッシュ・サウンドの影響を受け止めた演奏スタイルが基本となっている。加えて、クラシカルなストリングスのアレンジから、“バッハ・ロック”とか“バロック・ロック”などとも形容される。 本盤は、リリース前年のシングル曲(とそのB面)を軸にアルバム化されたものと言える。1.「プリティ・バレリーナ」は、やはり本盤の前にヒットしたセカンド・シングルで、全米チャートでは、ビルボードで15位、キャッシュボックスで12位を記録した。同じく本盤の前のシングルとしては、上記のデビュー・シングル、7.「いとしのルネ」が、ビルボードで5位、キャッシュボックスで2位という大きなヒットとなった。さらに、2.「シー・メイ・コール・ユー・アップ・トゥナイト」は、本盤リリースの後にシングル・カットされた。 これら3曲が本盤の代表曲で、レフト・バンクスの魅力を象徴してはいるのだけれど、他の曲がこれらに及ばないというわけではない。収録曲の質の高さは、本盤の大きな特徴だと言え、おそらくはこういうところが後世のアーティストに影響を残す要因になったのではないかと思ったりする。個人的な好みでは、4.「アイヴ・ゴット・サムシング・オン・マイ・マインド」や9.「シャドウズ・ブレイキング・オーヴァー・マイ・ヘッド」、さらには、11.「レイジー・デイ」なんかがお勧め曲である。 ちなみに、本盤リリースの翌年に当たる1968年にバンドはセカンド作を発表しているが、バンドの中心となっていたマイケル・ブラウンが完成前に脱退してしまった。その後、再結成もあったが、オリジナル・メンバーが揃っての新作が制作されることはなかった。その意味では、本盤は、レフト・バンクの真の姿を後世の私たちに見せてくれる唯一の盤がこのアルバムだという風にも言えるのかもしれない。[収録曲]1. Pretty Ballerina2. She May Call You Up Tonight3. Barterers and Their Wives4. I've Got Something on My Mind5. Let Go of You Girl6. Evening Gown7. Walk Away Renée8. What Do You Know9. Shadows Breaking Over My Head10. I Haven't Got the Nerve11. Lazy Day1967年リリース。 いとしのルネ [ レフト・バンク ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年11月04日
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これぞハード・ブギーの代表盤 フォガット(Foghat)は、英国のブルース・ロック・バンド、サヴォイ・ブラウンから脱退したメンバーを中心に結成された。1971年のデビューの後、大きなヒットには恵まれなかったが、そんな彼らが注目を集めた盤と言えば、1975年発表の『シティ・ロックン・ロール(Fool for the City)』(当時の邦題はこのようになっていたが、現行では、邦題も原題通りに『フール・フォー・ザ・シティ』となっている)である。本盤は、それまでの4枚のアルバムと比べて最も上位となる全米チャート23位にランクインした。また、シングル曲にもなった3.「スロー・ライド」の全米20位、全カナダ14位は、フォガットの歴史の中でシングル・ヒットとしては最高位である。 そんなフォガットの代名詞は“ハード・ブギー”あるいは“ブギー・ロック”である。そしてそんな彼らのブギー・サウンドが如実に表れた盤という意味で、上のセールスとは別に、本盤は彼らの代表盤だと言える。全7曲、全編で35~36分というコンパクトな収録時間ながら、当時のフォガットが確立していった音楽の形がよく表れている作品だという風に感じる。 1.「シティ・ロックン・ロール(フール・フォー・ザ・シティ)」は、勢いと盛り上がりで一気に聴かせる曲。この曲もシングルとして発売されたそうだが、全米45位とのことで、もっと売れても不思議ではなかったように感じる。曲調もギターもとにかくカッコよく、聴き手に元気をくれるナンバーだと思う。上述の3.「スロー・ライド」は、スライド・ギターの聴かせ所と抑揚のついた曲調が絶妙に組み合わさった好ナンバーである。4.「テラプレイン・ブルース」は、これまた絶対に外せない本盤の注目曲。かのロバート・ジョンソンのブルース曲を彼ら風にアレンジして演奏しており、これぞブルース・ロックという、デビュー盤以来の彼らの腕前が存分に発揮されている。7.「テイク・イット・オア・リーヴ・イット」は、少し他とは作風が違っているが、これは、ベースのニック・ジェイムソンが唯一曲作りを担当したナンバー(ロンサム・デイヴとの共作)。フォガットというバンドのイメージからは少し外れるかもしれないが、こういう路線の続きも聴きたかったと思わせてくれる(ジェイムソンがフォガットに在籍したのは一時だけで、残念ながら実現はしなかったのだけれど)。[収録曲]1. Fool for the City2. My Babe3. Slow Ride4. Terraplane Blues5. Save Your Loving (For Me)6. Drive Me Home7. Take It or Leave It1975年リリース。 【中古】 フール・フォー・ザ・シティ /フォガット 【中古】afb 【輸入盤CD】FOGHAT / FOOL FOR THE CITY (フォガット) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年11月01日
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