月夜

onpu02月夜  

  心が泣いて 眠れない夜は
  車を走らせて、
  ひとりきり 周防灘の海へ行く
  美しい月夜に 逢いにいく

  入り江の奥の 防波堤に座り込むと
  月夜は ただ黙って 迎えてくれる

  煌々と輝る月
  好きなのは 満月・・・  満月に近い 煌々とまんまるの月 

  周りはそこら中に広がる、漆黒の闇と 静寂
  黒光りした 濡れた岩場は 
  一度踏み入れば 地獄にも似た 底の見えない怖さ
  孤独とともに 闇に引きずりこもうとばかりに 佇んでいる 

  ただそんな中、煌々と照る月の
  淡く そして真っ直ぐな光が 救い手を差し伸べるかのように
  水面に降り立ち、ゆらゆら揺れている
  遠く先まで照らして、手招きしている

  その残影が・・・ 語ることができないぐらい 幻想的な美しい月夜

  恐怖も孤独もいつの間にか立ち去り
  あるのは、静かに打ち寄せる波音
  岩肌と海砂の上を 静かに 
  ただ 繰り返し 繰り返し 小波が押し寄せるばかり・・・

  煌々の月夜は 語りかける
  “人は 海から生まれて そして最後は 海に帰っていくのだから・・・”
   と・・・

  “でも まだ海に帰るのは はやいから・・・その時がきたら 
   ちゃんと 道しるべをしてあげるから・・・” と・・・

  安堵なのか、心は泣きやみ 母のその胸に抱かれるが如く。

2002.07




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