・・・僕の好きな禅のお話です・・・
ある寺で和尚が高価な壺を手にしながら
弟子に言った。
「わしは困っておる。おまえの力を借りたいのじゃ。
実はこの壺には、まだ小さな雛だったときに入れた
雉が入っておる。もう随分大きくなり
壺も
狭くなったので出してやりたい。
だが、困ったことに出口が小さくて
出そうにも出せない。
壺を割ればよいが、この寺に伝わる価値ある壺じゃ。
壊したくない。
そう
かといって、雉をこのまま閉じこめておけば
やがて動きがとれず死んでしまう。
どうか、壺を壊さずに雉を外に出す方法はないものかのう?」
弟子は、愛する和尚のため、なんとかしようと
その日から四六時中解決策を模索した。
だが、何日、何ヶ月経っても方法が思いつかない。
そんな間にも雉は成長し
どんどん大きくなってしまうと思うと、弟子は焦った。
だが、諦めるわけにはいかない。
弟子は模索し続けた・・・。
ある朝、弟子はついに思いついたのか
満面に笑みを浮かべ
外にかけ出し、こう叫んだ。
「おお!雉は初めから外に出ていたんだ!」