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『 瓢箪 』
『ふるさともとめてはないちもんめ』
初夏 上弦の月を背に
どこからともなく流れて来る
童唄を聞いたような・・・
瓢箪は
思念のしずくを
一心に凝らせて
今日も
一回り大きくなった
そもそも
この瓢箪の出自は草莽
千成瓢箪を
旗指物に押し立てた
太閤秀吉も
尾張中村の百姓あがり
とはいえ
へちまでもない
きゅぅりでもない
そのことが瓢箪の誇りなのです
金ピカピカの
太閤の馬印を
カンラカンラと響かせた
それが瓢箪のご自慢なのです
-瓢箪鯰などと虚仮にされてもー
でもね
孔子さまのご本にも登場する
この誇らしさ
『 賢哉回也。
一箪食、
一瓢飲、
在陋巷。
人不堪其憂。
回也不改其楽、
賢哉回也。』
思念のしつらえが
ようように二千年を遡ったとき
上弦の月は
耿々として
瓢箪の面を
照らすのでした