アオイネイロ

March 26, 2010
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カテゴリ: 小説
暫くずっとそうしていると、不意に難しい顔をして書類を見つめる紅亜の手からその紙が抜き取られた。

「え?」
「もう3時ですが、明日は何時に起きるつもりなのですか?」

きょとんとする紅亜に、白露のそんな声がかかる。
「あ、5時……ってか白露。寝ていいんだケド?」

慌ててそう答えて時計を見れば、丁度3時を回ったところだった。
今までずっと傍に直立不動で立っていた事にびっくりする。

「いえ、私は大丈夫です。けれど、体に障りますよ?」
「あ……うん。今日はもう起きてるから、白露は寝るといいよ」


「お傍に居てはいけませんか?」
「……構わないケド」
白露のそんなセリフに、紅亜が小さく眉を寄せて返すと再び書類に目を落とす。
少しして白露が出て行き、寝るのか……とそれだけ思って仕事の方に集中した。
「隣国の寄付も、そろそろ潮時かな。だいたいニンゲンが土地をどんどん侵蝕していくから、防壁でも張らないと……」
ぶつぶつと呟きながら書類をチェックしてため息を吐き出す。
目の前に、すっとカップが出た。
「は?」
ぽかんとしてそのカップを見つめる。
湯気が出ていて、ほのかに良い香りの、ハーブティーお思われる液体が入っていた。
「どうぞ、気持ちがリラックス致します」

「あ、ありがと」
慌ててそれを受け取って、口をつけた。
体がじんわりと温まって、口からは小さな息が漏れる。
だいぶ疲れていたのだと思いながら、紅亜はそのゆっくりと飲み干した。

「は、白露ももう寝な?」


カップを受け取って出て行こうとする白露の背中に慌ててそう声をかけると、白露は少し沈黙を置いた後に小さく頷く。
部屋に一人になってから、紅亜はほうと息をついた。
優しくされる事には慣れていない。だから、変な気分になってしまって
「はあ、何か調子狂うなぁ」
ぼそりと呟いて、紅亜は再び書類に目を落とした。


朝、鳥の囀りでふと我に返った。
時計を見れば既に5時を過ぎている。
「やば、おフロ入って着替えないと」
慌てて立ち上がると部屋から出た。
風呂で体を洗い流すと、温かさにほっとする。
肩より下になった髪を軽く結うと、紅亜は早々に部屋へと戻った。
そこで服を脱ぐと、髪を下ろす。
「今日は議会だけだし、簡単な服装でいいか……」
濡れた髪を拭いて、着替えを出しながらそう一人ごちていると
扉が軽くノックされ、白露の声がした。
「起きていらっしゃいますか? 入りますよ?」
そう声がかかり、紅亜が何か言う暇もなく部屋のドアがガチャリと開いた。
「あ……」
まだ着替えを済ませておらず、身に何も纏っていないままに紅亜は抜けた声をあげた。
いつもは冷静沈着な白露が一瞬で慌てたような表情へと変わり、次の瞬間には顔が真っ赤になっている。
「し、失礼しましたっ」
掠れた声でそれだけ言って、ドアをバタンと閉めると出て行った白露。
ポカンとしていた紅亜はそれを見て、クスリと笑みを零した。
急いで着替えを済ませて、ドアを開けるとそこにはしゅんとした白露の姿。
「も、申し訳……御座いません」
消え入るような声で謝ってきた白露に、紅亜は声をたてて笑った。

「あの、紅亜様?」
「ふふふっ。別にアタシは気にしてないよ? それに、慌てふためく白露の姿も見れたし」

困ったような目で見つめてくる白露に、紅亜はクスクスと笑いながらそう返す。
そうして笑っていると、やがて白露も小さく微笑んだ。
「やはり紅亜様は、笑っておられた方がずっとお美しい」
「なッ」
笑顔でそう言ってくる白露に、今度は紅亜が顔を赤くした。
「よ、余計なコトはいいから行くよっ? 面倒で長ったらしい議会が待ってるんだから」
ふいと顔を逸らして、歩き出しながらそう言った紅亜に白露は笑顔のまま付いてくると楽しそうに言った。

「はい、可愛らしい姫様?」
「っ………からかわないで」

そんな軽口を交わしながら向かう会議部屋は、いつもよりも少しだけ気分が穏やかだった。



やっと少し恋愛っぽく持ってこれた、かな?
難しいですね。。。
う~ん……しかもお姫様なんて、書いてると合ってるのか間違ってるのか^^;
仕事なんて何してるか分からないし、でも一応国の女王だから
何してもいいような気もするんだけどどうなんだろう;
パソコンで調べてもあんましそういうのは載ってなくてわからんとです><





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Last updated  March 26, 2010 09:57:58 PM
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緋色の姫が消える時 続  
黄門ちゃん さん
一国の姫が書類整理?

なんか雑務整理で残業してるサラリーマンかと思ったよ~

姫の仕事!

映画の史劇の女王とか見たらわかりやすいかもよ~

女王様は威厳があって傲慢でムチ持ってて、
仮面被って革の服着てお仕置きだべ~みたいな!

エッサホイサ~

ドロンジョ様~。゜

情けない家来も面白いしね~

銀魂のハタ王子(魔神ブー似)みたいなのもオススメだよ~ (March 27, 2010 10:32:48 AM)

→黄門ちゃん  
書類に目を通してサインをするのは
一応国の王様の仕事らしいので(笑)

そんな女王様はいやですね~ww

ハタ王子!!
あのひと、いつもペット集めぐらいしかやってないですよね。。。w
(March 27, 2010 10:41:26 AM)

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