人生やだとはいえない by やだもん

人生やだとはいえない by やだもん

The Fog of War アメリカ国防長官の映画



昨日は友人に久しぶりに誘われて、映画を見に行った。もう少しで断るとこだったけど、行ってよかった、見てよかった。これは今年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門をとった。ケネディーとそのあとのジョンソンの時代に国防長官で、そのまえはフォードの社長(すぐやめた)、そのあとは世界銀行の総裁だった、Robert McNamaraをErrol Morrisという有名なドキュメンタリー映画監督がインタビューして作った映画。

彼のことは詳しく知らなかった、名前だけ。インタビューは28時間行われたそうだが、85歳とは思えない声のはり、いかにも賢い人のしゃべり、アメリカ人らしい手振り、昔の映像はけっこうかっこいい(ああいうのがタイプなんです・汗)。

キューバ危機、ベトナム戦争、とアメリカの重要なイベントに参加した人。彼が今の年になって、振り返って与えられるレッスン、11個を挙げながら、それぞれのイベント(彼が参加した第2次世界大戦や、フォードでビジネスマンをしてたときのことなど)を振り返る。

いろいろ新しい発見があった。たとえば、第2次世界大戦で「いかに効率よく攻撃できるか」というのを彼がアナライズして、レポートを書いたりしたんだけど、今までそんな観点があるなんてこと、思いついたこともなかった。この一人の飛行機がどれだけ破壊力があって、要するに何人殺せるか、みたいなのも表やグラフになって表示されていた。彼は戦争をproportionalityの観点から考える、というのをレッスンの中の1つにあげていたけど、それはたとえば、ニューヨークと同じくらいの大きさの東京の半分が破壊された、(そのあと、はっきり覚えてないけど、横浜はサンフランシスコと同じでどれくらい破壊された、というようなのが何個の都市も挙げられた)というようなことで、「そんなにたくさんの町を、しかも、広島と長崎に原爆を落とすために破壊することが必要だったか(いや、必要じゃなかった)」というようなことを言っていた。あたりまえや。

ベトナム戦争では、McNamaraが何年もたって1995年だったかにベトナムにいって、当時のトップの人と話したら、「誤解」が原因だったというのがわかったといっていた。アメリカはcold warの一部としてとらえていたけど、ベトナムはもう何百年もたとえば中国に対して自由を勝ち取るために戦っていたのと同じようにとらえていた。「そんな自由なんて戦争しなくて、与えられました」とMcNamara。まったく何年も何万人も亡くなったのに、なんのために戦っていたのがすれちがっていたなんて、はっきりいって意味不明。

それにしても思ったのは、あんなにたくさんの人々に影響する大きな出来事の中心人物として生きてきて、たくさん責任も押し付けれるし、arrogant egoist, ignorant, とかもう数え切れないくらいの悪口を言われてきた人だけど、それを全部受け止めて、考えて、ものすごい大変な人生だ、ということ。ベトナム戦争については最後まで明言を避けて、けっこうしつこくinterviewerに聞かれても「わたしのポリシーは、don’t answer the questions that you are asked, but answer the questions that you wish that you were asked. Quite frankly, I follow that rule.」といっていた。わたしと友達は笑ったけど、やっぱりきっと責任の重さ(人の命、しかもたくさんに関わる)を実感していて、それを抱えて生きていくのは、想像もできないことなんやな、と思う。

彼は大学で哲学なんかも勉強したそうだ。フォード、いかにも近代のefficiencyを追求した中で、戦争でもそのefficiencyを改善するための任務にいた人だけど、いつもわたしが批判的に見ているアメリカ政府の像とは少しちがうところも見れて、また新たに考える種になった。

わたしのしょぼいこの日記の感想では意味不明、と思われちゃうだろうが、機会があれば、ぜひ見たらいいですよ!という映画でした。久しぶりにじーーーーっくり見ました。前にはいちゃいちゃしてるカップルがいたけど、こんなにまじめで考える映画やのに、なにしにきてんねん、と頭をはたきたくなりました(笑)。

サイトに行けば、ビデオも見れるし、わたしのしょぼい説明ではなくて、しっかりした説明が読めます(See synopsis)。英語しかないですが、it is worthwhile to take a look!!

2004/04/05


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