やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2020年09月22日
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カテゴリ: 読書メモ
日蓮の予言「外敵襲来」を確かめるために、千葉安房からはるばる九州西の島対馬まで旅をした見助。いよいよ対馬でその情報を見聞きしていくのが下巻。

「見助」というネーミングがうまい。侍でもない職人でもない、ただ海で舟をこぐのとタイ釣りがうまい漁師。だから西海に出て、果ての島に渡っていくのも得意である、まじめで勤勉な好青年、というのも見知らぬ土地での活動ができるということ。

そんな彼が「蒙古襲来」にまつわる事実関係を把握していく様は、一緒に歴史をひも解いて見ていくようだ。「元寇」が神風で終わったでは済まない、小さな島の逃げ道のなさは残酷な侵略と犠牲的な戦いの現実。その敵も味方もすさまじく容赦がないということをつぶさに見ていく見助。

7世紀前の出来事ではあり、小説という形ではあるけれども、現代にも通じるものがある。日蓮という思想家の宗教も絡んではいるが、日蓮宗の解釈は重要ではなくて、人間としての生き方のやさしい解き明かしになっているのが好感。







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最終更新日  2020年09月22日 08時51分59秒
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Re:『襲来』(下)帚木蓬生(09/22)  
todo23 さん
帚木さんの歴史物の中では、余り好きでは無い小説です。勿論、個人的好み。


ただ、対馬のシーンは凄まじく。印象に残ります。
実は読了したばかりの恒川光太郎の『金色の獣、彼方に向かう』にも同じようなシーンが出てきましたよ。 (2020年09月25日 13時50分59秒)

Re[1]:『襲来』(下)帚木蓬生(09/22)  
todo23さんへ

>また、日蓮も他宗を攻撃する預言者的で宗教者の様に思えません。

そうそう、「南無阿弥陀仏」の念仏ばかりでは救われなくて、「南無妙法蓮華経」を唱えればいいなんて、同じことじゃないかと突っ込みたくなりますね。

日蓮を脇役にしたせいで、手抜きしたのかなと思ったりもしましたが(笑)、宗教家を描くのは並大抵なことではないでしょう。

>恒川光太郎の『金色の獣、彼方に向かう』

そうですか。恒川光太郎さん未読ですが、前から興味はありました。
(2020年09月25日 18時13分23秒)

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