2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全6件 (6件中 1-6件目)
1
![]()
三浦展『下流社会 新たな階層集団の出現』光文社新書やはり意識のもち方は重要である。三浦氏が指摘する下流を要約して説明すると、人生への意欲が低く向上心のない人ということになる。本書に疑問を呈する人は、今の社会はすでに階層化されており努力しても「上」にはいけないという諦めはやむをえない、との主張をするようである。確かに努力が必ず実るわけではないのかもしれないが、努力せずに成功を勝ち得ることは絶対にありえない。下流であるから意欲を持てない、意欲が持てないから下流になる。これらはすでに表裏一体となってしまっている。しかし、どこかでこの悪循環を断ち切らなければいけない。意欲を持てない限り下流は下流のままで終わることは間違いないのである。努力をしてその結果が出ずに意欲を失うというならばまだわかる。しかし、努力する気さえしないという忍耐力の欠如は問題である。私も、学習塾での講師の経験から、勉強の出来る奴出来ない奴の違いは勉強する意欲がある否かから生じている、ということを感じ取っている。これはやはり、勉強に限らずすべてのことに当てはまるようである。私も向上心を持って意欲的に物事に取り組まなければいけない。しかし、すでに社会が豊かになってしまった先進国では怠けてもそれなりに生きていくことは出来るようになった。向上心が強くない人は、やはり安易な方向に流れてしまうだろう。これからの課題は、「怠けたい。現状でいいではないか」という甘えを如何に克服していくかとなるだろう。現状が維持できなくなってから、努力しておけばよかったと後悔したのでは、もう遅いのである。しかしどうも将来のことを考えないのが下流だそうだ。コミュニケーションを苦手とし、人と交わるよりも一人でいることを好む。自分らしさを追求し、どこへも進めなくなる。本書で指摘されている下流像のうち印象的なものを挙げてみたが、いわれてみると確かにそのような人が増えているということはあちらこちらでよく聞く。私の大学は、学力レベルはそう突出してよいわけではない中堅大学である。しかし、関西において企業からの受けはよいそうだ。実際、雑誌等に掲載されるランキングによると、大学の総合評価のランキングは偏差値の割にかなり上位にある。その結果はOB、OGの健闘によるところが大きいそうだが、我が大学の学生の特徴は、明るく元気で社交性がある。前向きに頑張ればそれなりに結果は出るのだろう。私も、前向きに頑張りたく思う。第1章で提案される新たなビジネスモデルや、第2章で分析される階層化による消費者の分裂は、学生である私が読んでも非常に面白かった。しかし、学生が本書を読む上での最大のポイントは、「下」にはなりたくない「上」を目指そう、と思わせるものを本書は秘めていることだ。大学の進路指導か何かで「フリーターやニートになっては駄目ですよ。いいところに就職しなさいね」といわれるよりも、本書を読んで価値観や生活スタイルに差がここまではっきりと存在するという事実をデータとして突きつけられたほうが、真面目に頑張ろうという意欲を持てるだろう。本書を読んでも「下」でいいやと思った者は、間違いなく「下」になるだろう。ただ、そのような思考回路の持ち主が本書を読むかどうかは疑わしい。
2006.01.29
北杜夫『マンボウおもちゃ箱』新潮文庫中学時代勉強に疲れたら、北杜夫の本を読んで笑い転げたりしみじみと感じ入ったりしていた。もっとも中学時代はアルバイトなんてしていなかったためそうたくさんの本を買うことも出来ず、エッセイは定番の『どくとるマンボウ航海記』と『マンボウ周遊券』の二冊、小説は『船乗りクプクプの冒険』『父っちゃんは大変人』の二冊と計4冊しか持っていなかった。しかし、それぞれ五回以上は繰り返し読んでいることは確かである。『夜と霧の隅で』『幽霊』『楡家の人々』といった名作は読まずにユーモアモノばかり読んでいたところがなんとも私らしい。最近古本屋にてこの『マンボウおもちゃ箱』を見つけ、久しぶりに北杜夫のエッセイを読もうと購入した。発行は昭和五十二年とあるので私が生れるよりも前からこの本は存在していたことになる。古本屋はある種のタイムマシンだといえよう。タイムマシンといえば、この本に収録されている「買物」という短編小説は洒落ていて面白かった。中学時代勉強のふりをして北杜夫の作品を読んでいたということは冒頭に書いたとおり。実は今日は、大学の定期試験の前日である。我ながら中学のときから成長していないな。
2006.01.22
![]()
和田哲哉『文房具を楽しく使う(筆記具篇)』早川書房文房具の使い方教えます。優雅で知的な文房具ライフへの手引書。私がこれまで読んできた文房具本は、文房具をプロダクトとして紹介するパターンの物が大半だった。この本ではここの製品の紹介はまったくない。本書では、鉛筆、シャープペンシル、油性ボールペン、水性ボールペン、万年筆など種類ごとに、仕組みや使用方法、使用場面などを紹介していく。これまでこのblogで取り上げてきた文房具本はすべて趣味のカテゴリーに分類してきたが、この本は教養・実用に分類したい。この本は、文房具を楽しく使うという実用上の課題に対する一つの解答を提案する実用書だろう。何気なく文房具を使っていた人には文房具を楽しく使うためのノウハウが書いてある教科書になりうるだろうし、文房具の使用法に一家言あるマニアにとっても文房具界のスペシャリストの文房具使用例として参考になるところが多い。私も結構な数の筆記具を持っているが、意識して使い分けいるわけではなかった。本書でも指摘されている通り、先生(塾講師)としての業務で使う赤ペンには結構こだわってはいるが、まだ最高の一本にはめぐり合っていない。万年筆は実用よりもコレクションとして購入している気がする。普段よく使うのは、最も新しく購入したもの、常に持ち歩くラミーのサファリ、気軽に使うペリカンのM600の三本か。それ以外はたまに取り出すくらいでほとんど使わない。手帳にはボールペンとの固定観念を持っていたため、これまではカランダッシュのレトロの油性ボールペンを使っていた。しかし本書で万年筆やシャープペンシルでも問題なさそうだとわかり、これからどうするか改めて考えてみようと思っている。本の感想というよりも、私の文房具の使用状況報告といった様相を呈し始めてきたので、ここら辺で終了。
2006.01.21
![]()
Heart Line Project『万年筆の本 ありがとうと、思っていないわけではない。ためているのだ。』宣伝会議Heart Line Projectが年に一度出す万年筆の本の二冊目。前作よりも濃い内容。いわゆる泣ける本ではないが、結構泣ける本でもある。多くの応募作品の中から選ばれた優秀なメッセージやポストカード、フォトが掲載されるのだが、どれも作者の想いが伝わってくる。思わず泣きそうになる傑作も多数。「活字よりも手書きの方が想いが伝わる」というのは本当だ。作家でも有名人でもない見ず知らずの人が、見ず知らずの人に宛てたメッセージ。しかし手書きの文字を見ていると、その人の姿まで見えてくる気がするのだから不思議だ。手書きの素晴らしさ、万年筆の魅力を再確認させてくれたこの本に「ありがとう」と言いたい。前作は万年筆ブランドの紹介に結構なページ数を占めていた。この本を買うような人にはすでに当たり前の情報も少なくなかったのではないだろうか。でも、Heart Line Projectを運営しているのが国内外の筆記具メーカーの集まりであることを考えると仕方がないことだとも言える。しかし今回はストレートなブランド紹介のかわりに、万年筆に関する洒落た物語が載っていた。このお話の中でブランドを紹介している。すでに知っている情報でも物語の形にすれば楽しめる。ただ、残念なのは話で紹介される万年筆と、横に掲載されている万年筆の写真がリンクしていないこと。面白い企画だっただけに惜しい。「手書きでものを書く楽しさ、万年筆の魅力を広く伝える」Heart Line Project。今年は優秀作品を読むだけではなく、私もなにか応募してみようかな。
2006.01.06
![]()
瀬名秀明 『Brain valley』(上・下)新潮文庫 脳科学や人工生命といったアカデミックな香りがする要素と、幽体離脱やアブダクションといったオカルティックな要素が次々と登場し渾然一体となって一点に収束する。神とはいったい…上巻の小難しい科学の説明は少々退屈だが、下巻は興奮の連続。話の勢いのよさに引き込まれ一気に読み終えた。何でもかんでも脳内メカニズムと結論づけたらもっともらしくても、話としてはつまらなくなると中盤では少し心配していたのだが、あの凄まじいラストにそのような心配は不要だった。むしろ映像化したら陳腐に見えるほどのぶっ飛び具合。実際に登場人物の一人であるテレビのディレクターが、話の佳境のところで繰り広げられる凄まじい光景について、欲しいのはリアルな幻想で、笑い出したくなるお粗末な茶番とコメントするのがなんとも面白い。本当に活字だから楽しめる話なのだと思う。漫画にもなりそうだが、私は漫画を読まないのでそこはよくわからない。一見、ぶっ飛んだ話がもっともらしく違和感なく楽しめるのは、前半の科学の説明とよく練られた話の展開の仕方が素晴らしいからにほかならない。このような話こそ映画にはない読書の醍醐味なのかもしれない。神、聖書、怪しげな伝承がいまも受け継がれる村、死後の世界、エイリアンによるアブダクション、複雑系、脳科学、人工生命、チンパンジーの言語習得能力が本書のキーワードなのだが、改めて書き出してみるとその多さに改めてびっくり。話の内容についてはここで書くとネタバレになり興ざめだろうから書かないでおく。
2006.01.05
![]()
土橋正『やっぱり欲しい文房具~ステイショナリー評論家がえらんだ普段使いの傑作たち~』技術評論社 あけましておめでとうございます。今年紹介する一冊目も例によって文房具本。これだけの数の文房具関係の本を読んでいると、登場する製品は大体すでにどこかで知っているものばかりになる。その製品の客観的な紹介や説明はもう飽きた。でもこの本は、かの有名なるステーショナリー評論家土橋正氏がどのように使っているのかなど主観的な説明が盛りだくさんなので読んでいて楽しい。カタログ本としてではなく、文房具エッセイとしてマニアにもお薦めできる一冊だ。
2006.01.02
全6件 (6件中 1-6件目)
1

![]()
![]()