私が大学3、4年生の頃は、いわゆるバブルの時で、自分の友人や同級生たちは、一人で20社近くの内定をもらったりという (すごい) 時代でした。 でも、 出版社への就職を目指していた私には、 そうした話は全く無縁でした。 大手の新聞社など一部のマスコミ企業を除いて、大学の就職相談室 (資料室) に求人募集の情報を送ってくるところはなく、 就職指導の担当の方からも 「出版業界を目指すのであれば、自分の力で探しなさい」 と意見されたことをよく覚えています。
時代はバブルであったのですが、 残念ながら出版業界は当時も非常に狭き門で、 私にとっては (おそらく、出版社を目指す多くの学生にとって) バブルはほとんど関係ありませんでした。 とても短期間でしたが、小さな出版社でアルバイトをしてみたり、大学3年生のときに編集の学校に半年間通ったのも、そうした背景があったからで、このまま不安に思ったままで何もしないでいるよりも、自分から何か動いていかなければいけないのかもしれない、と思ったからでした。
もちろん、編集の学校に通ったからといって出版社への就職が保証されたわけでもなく、将来への不安は抱えたままでした。でも結果的には、この半年間が、自分にとっては大きな転機となりました。夜学には自分と同じように現役の大学生もいましたが、その多くが、営業部から編集部への配置転換に備えて編集の勉強に来ていた出版社の現役社員の人たちであったために、夜の講義が終わって皆で居酒屋に繰り出しては、出版業界の生の声や励ましの言葉を頂くことができたからです。
ときには、忙しいなか貴重な時間を割いて私を会社に招待して下さり、編集部を始め、社内をいろいろと見学させてくれたり、編集部の方々の飲み会に同席させて頂けることもありました。こうした経験をさせて頂いた方々にはとても感謝していますし、今でも決して忘れることのできない大切な思い出となっています。
こうした経験によって、当時の自分の就職活動の厳しさが解消されたわけではありませんでしたが、「自分は絶対に編集者になる!」という強い気持ちを持ち続けるための大きな原動力になったことは確かでした。
編集者を目指している学生の皆さんにとって、 出版業界は今も昔も、 そして、 きっとこれからも、厳しい狭き門であることは変わらないだろうと思います。ここで自分が伝えたかったことは、私自身が就職活動を前にどんなことをしてきたかということではなくて、狭き門であることがわかっているのであれば、何となく出版業界への憧れの気持ちを持ったまま就職活動を迎えるといった待ちの姿勢でいるのではなくて、(それがベストな選択かどうかはわからないにしても) 自分から積極的に一歩踏み出してみることが大切なのではないか、ということです。
厳しい就職活動のなかで頑張っている、 頑張らなければならない皆さんを、 陰ながら応援しています。
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