著者の執筆が進んでいない理由には、例えば、
1.編集者が著者に対してほとんど催促をせず、日頃からコミュニケーションをとっていない。
2.著者がアイディアやストーリーに煮詰まってしまい、筆が前に進まなくなってしまっている。
3.他の原稿や仕事と重なって多忙を極め、お願いした原稿に取り組む時間がとれない。
4.健康上の理由
などがあるのですが、1番目については、著者に執筆依頼をした後はすべて著者任せというものであって、編集者としては失格とも言えることだと思います。
これは2番目とも繋がっていくことなのですが、編集者は単に原稿催促をするだけではなく、著者の良き相談相手となることがとても大切であり、執筆が前に進まず著者が悩んでいるときには、(時には盃を交わしながら) いろいろと話をしたり、精神的な支えとなることも求められます。
したがって、 原稿をお願いした後はそれっきりというのではなく、 “タイミングをはかりながら” 著者とコミュニケーションをとって、
・ 原稿が予定通りに進んでいるかどうか
・ 著者が悩んでいること、困っていることはないか
といったことに注意を払っていくことが必要です。
そして、4番目の理由においては無理なお願いはできないことは言うまでもないことですが、著者が3番目の状態に置かれている場合には、何としても書き上げてほしいという編集者の粘り強い姿勢が求められ、その力量が試される場面でもあります。
私が原稿催促において難しいと感じていることは、 上に記した “タイミングをはかりながら” という点であり、こればかりは公式のようなものが適用できず、どういうタイミングで著者に原稿催促をするかというのは、まさに一人一人異なっていると経験的に理解しているからでもあります。
著者によっては、執筆依頼の段階で 「頻繁に催促してほしい」 と言う方もいれば (原稿をいくつも抱えている方に多いように思います)、 「あまりプレッシャーにならないように、スローペースで」 と言う方もいたり、・・・。 でも、多くの方は催促のペースを事前にリクエストしてくることはないので、「前回催促したのはいつで、そのときはこんな進捗状況だったから、そろそろ次の催促をしてみようか」 と、毎回ドキドキしつつも期待感を持って原稿催促をしています。 (催促する時間も、著者によって異なってきます。)
編集者は原稿の割付や校正などの編集実務上の進行管理と同時に、著者の進捗状況をきちんと把握して、著者と二人三脚で原稿の完成に向けて進めていくことが大切となっています。
新しい取り組みに向けて 2011.07.10 コメント(1)
紙の書籍と電子書籍の同時発売のこと 2011.06.25
何事もチャンスを大切に 2011.06.12