社内の他の編集者たちの様子を見ていると、本が刊行されると、それほど間をあけずに、その本の校正刷りを整理する人もいるのですが、自分の場合はすぐに整理ができなくて、年末にまとめて整理するようになってしまいました。
一つには、整理の時間がとれなくて (面倒に思ってしまって) ついつい後回しにしてしまっているということもあるのですが、やはり一番の理由は、たとえ本になって用済みとなってしまった校正刷りとはいえ、いろいろと思い入れがあって、本ができたからとデスクの脇からすぐに整理してしまうのは気が引ける、というところにあったりします。
通常 (私の場合)、1冊の本を刊行する間に、
初校 ⇒ 再校 ⇒ 三校 (⇒ 必要に応じて念校)
と3回の校正をしていて、初校と再校の際は正校正 (せいこうせい) と控校正 (ひかえこうせい= 正校正のコピー) の2通を印刷所から出して頂いています。 そのため、1冊の本が完成するまでに、
初校 (2通) + 再校 (2通) + 三校 (1通) = 合計 5通
の校正刷りができることになるので、 ボリュームのある本が数点あったりすると、 1年後には校正刷りの立派な山が出来上がります。
そんな校正刷りですが、編集者が単に著者の原稿との照らし合わせをするだけのものではなく、著者と編集者とが何度も何度も 「読む・書き込む・議論する」 場とも言えるものであり、傍目には単なる紙の束であっても、1冊分の校正刷りには、著者と担当編集者の格闘の跡がいっぱい残っています。
「デスクの脇に、すでに本になった校正刷りをいつまでも置いておくのはだらしがない」 と言われてしまいそうなのですが、この山積みの校正刷りを整理しながら、 「このときは、著者とこんなやりとりをしたなぁ」 と思い出しながら1年を振り返ることが、 私にとって年末の楽しみの一つとなっています。
新しい取り組みに向けて 2011.07.10 コメント(1)
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