Bird Cage

【フルメタルジャケット】



監督 スタンリー・キューブリック
上映時間 116 分
製作国 アメリカ
初公開年月 1987/03
ジャンル ドラマ/戦争


天才監督の作品です。はい(笑)
キューブリック作品はどれも異色ですね。もちろんこれも例に漏れず。
数あるベトナム戦争映画の中でも特に異彩を放っている。
閉ざされた空間を描くのは、本当に巧妙。
前半の海兵隊訓練所は見所満載。
ハートマン軍曹役の方は、実際に軍隊に所属していたとのことなので、その辺りも妙な迫力がある。

プラトーンは戦場で鍛えられていく新兵が主人公だったが、こちらは訓練所で『兵器』になっていく若者が描かれている。
徹底的に人間性を剥奪し、固体として無価値化する。
命令を厳守し、疑問を抱かせない。そうして高性能の殺戮マシーンへと造り変えられていく様には、言葉を失うほどの衝撃を受ける。
ハートマン軍曹のスラング暴言は圧巻。
ハートマン軍曹に負けず、ほほえみデブの存在も鬼気迫るものがあって、ある意味前半のみでこの物語は完結しているのではないかと疑いたくなる。
前半ラスト。ほほえみデブが深夜のトイレで銃を実装しているシーン。
「full… metal… jacket……」
人間はどこまで壊れることができるのか。
ほほえみデブは兵器になることができず、人間として死んでいった。
そして残った若者たちはFULL METAL JACKET(完全鉄鋼被覆弾)になる。
実際にベトナム戦争では、他の部隊に比べ海兵隊の死亡率が抜きん出て高い。
いかに海兵隊が勇猛で獰猛であったかが、よく分かる。

後半はベトナム戦争に送り込まれた兵器が、いとも容易く消費されていく様が描かれている。
前半の訓練部分がかなり精神を消耗されるので、それに比べればわりとアッサリしているような感じさえある。
ベトナム戦争映画にしては珍しく市街戦が主体。
まるでドキュメンタリー番組を見ているかのような演出が随所にみられる。
それでもやはりラストは衝撃的。
まだ面影に幼さの残る少女が、銃を握って振り返ったシーンは忘れることができない。
ミッキーマウス・マーチを歌いながら終わるラストは、ちぐはぐのようで戦争という残虐な行為を揶揄しているようにも思える。
とにかく考えさせられる作品。


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