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春雷
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気がつくのが遅かった。
予感はしていたのにこうなるときはこうなるもんなんだなとテツトはえらく醒めていた。
衝撃を受けて1、2秒経ってから左の腕から生ぬるいものが溢れ出してきた。
テツトを切りつけた男はその一撃を加えたあとニヤリと笑い
「久しぶりだな」と言った。
「それが挨拶かよ。礼儀正しいな」
テツトは血が滴る左腕を押さえながら言った。
「相変わらずクチの減らないヤツだな」
男は酷薄そうな顔をしている。しかし女からみたらいい男かもしれない。
「オマエ、知りすぎてるからな、いろいろ」
「オレはサツにタレこんだりしねぇよ」
「どうだかな」
「オレはアンタたちがやってることには興味はないんだ」
「オマエになくてもサツにはあるのさ」
「アンタ、オレにふられたのがそんなに悔しいのか?」
「なにをっ?」
男は気色ばんだ。
口の端がヒクヒクと動いた。
「下っ端がオレをなかなか捕まえてこないんでとうとう出てきたったわけだ。アンタ名乗りをあげたんだろ、上の連中に。
オレに任せてくださいとかなんとか」
「オマエ頭いいなぁ。その通りだよ。捕まえたら好きなようにしていいって言われたぜ」
男はくちびるを舐めた。
「変態野郎」
テツトがそう吐き捨てると男はテツトの顔面を殴りつけた。
壁に叩きつけられてもテツトは「顔はやめてくれよ、オレの価値が下がる」とヘラヘラと言った。
「オマエはもう商品じゃねぇんだよ」
男はテツトの胸倉を掴むと喉もとにナイフをあてた。
「調子にのるなよテツト、これ以上怒らせるな。時間がないんだぜわかってるのか、このままだと死ぬだけだぞ。痛いだろ?え?」
男はなんだか嬉しそうに言った。
痛いという感覚はなかった。いやな寒気がするだけだ。腕から出血しても死ぬんだろうか。そうだろうな。
やっぱりここが死に場所かよ、オレに似合ってるかもしれないが、シャレになんねぇな。
「ちゃっちゃと喉掻き切れよ」
「それじゃおもしろくない。その前に楽しませてもらわないとな。オレはオマエがひいひい言って泣くとこが見たいんだ」
(下司野郎)
それが聞こえたのか、いきなり男は右腕も切りつけた。
「いっ!・・」
左よりも浅くだろうが、だがそのときよりもテツトにはこたえた。
「怒らせるなって言っただろ。おとなしくズボン下げな」
「わかったよ」
もうどうにでもなれ。
足元から頭のほうに向かって、さ~っと血の気がひく音がする。まるでマンガのようだな、テツトはふとそんなことを思った。
「だけどいくらオレだっていきなりはごめんだな。優しくしてくれないと」
と言ってテツトは目を閉じた。
「聞き分けがよくなったじゃないか」男は自分の薄いくちびるをテツトのくちびるに押し付けた。
今だ、とテツトは男の股間を膝で思い切り蹴り上げた。
「ぐ・・・」
男は鈍く唸りうずくまった。
今まで感じなかった両腕の痛みが一気に襲ってきた。
テツトはここで初めて荒い息を吐いた
男は動かない。
オレは幸いにも経験はないがさぞかし両腕を切られたほうがよっぽどマシなことだろう。
「オマエなんかにヤラレてたまるか」
床に血溜まりがあちこちにできている。
自分の体がどうなっているのかテツトにはわからない。
今なにをしているのかもわからない。
多分歩いているんだろう。
ドアが目の前に現れたのでテツトは押した。
これは自分の腕なのか?
外に出たとき、稲妻が光った。
それに呼応するようにまた痛みが貫いた。
外は大雨だった。
テツトはやぶれかぶれついでにそこに踏み出した。
血まみれの男がびしょ濡れになっている姿を見た通行人は一瞥しただけでそそくさとそこから逃げ出した。
寒い。なにかおぞましいものに摂りつかれたように悪寒がする。
左腕はかなりさっくりやられたようだ。激痛が走る。
いつかこうなるとわかっていたのに、死ぬのはやっぱり、いやだ。
オレの死体の引き取り手は3人はいるなと思ったが、みつけてくれなかったら仕方ない。
身元もわからないヤツは解剖されて灰になってお終いだ。
せめて泣いてくれるヤツが欲しい。
オレも案外たいしたことはないな、とテツトは思った。
逢いたい。最後に。
テツトはあの下宿屋に向かって歩き出した。むちゃくちゃだ。でもそんな理屈は本能があっさりと打ち負かした。
★
焼き鳥屋の店主は雷が苦手だった。
もちろん誰にも言ったことはない。あたりまえだ。
こんな格好の悪いことがあるもんか。
店の2階で女房と小学生の子供と布団を並べて寝ているが、眠ってはいない。
眠れないのだ。
稲光がするたびに心臓に悪い。
店主は下に下りて酒を飲むことにした。
飲んで酔った勢いで寝つきたいのだがこれがやたらと強いので酔うという事がない。
まったくやっかいなこった。
とぶつぶついいながら飲んでいると玄関の前でがたっと音がした。
「泥棒だとしたら、ここに入るとはとんでもないアホだ」と言いながらそれでも注意深く戸を開けた。
先に目に入ったのは真っ赤な水溜りだった。
とっさに凶器になるものを探ろうとしたがその必要はなかった。
それをつくった本人は虫の息で倒れていた。
顔は蝋のように真っ白だ。
「テツト?」
店主は呟いた。
「よぉ、おっさん」
返事が返ってくるとは思わなかったので店主は驚いた。
イヤというほど修羅場をくぐってきたがこれが1番驚いたことかもしれない。
「オマエ、、」
とにかく救急車だ。
「待ってろテツト」
「いらねぇよ」
「なんだ?」
「どうせ死ぬんだ」
「バカ言え」
店主はタオルで応急処置をしようとした。
「手遅れだよ、おっさん、タオルがもったいないぜ」
「喋るな」
ぱっくりやられてる。もうこれ以上出ようがないってほど出血してる。
今日のことが心底悔やまれた。
あのひょろっとしたぼっちゃんになんで教えてやらなかったのか。
くそ!
テツトはなにやらつぶやいている。
「なんだ?」
聞き取れない。
「おい、なんだ!」
「・・帰りたい・・」
「え?」
「連れていってくれよ、アンタしか頼むひとがいないんだおっさん」
店主はすぐにすべてを了解した。
「わかった待ってろ」
テツトは願いが聞き届けられたことに安心したのか反応がなくなった。
「おい!しっかりしろ、ばかやろう!」
ダイヤルを回す手がもどかしい。
なんてこったオレとしたことが。
呼び出し音が聞こえる。
「早く出やがれ」
店主は罵った。
受話器の向こうから寝ぼけた声がきこえると店主は怒鳴った。
「運んでもらいたいモンがある、すぐ来い」
つづく
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