◆ビリッ?◆2   (2002.12月)




この痺れは・・・
あの時と同じ感覚?

違うよね、だってだって治っていたじゃない!!


◆2002年12月までの私◆

仕事を始めて。

以前とは内容も全く異なった職種。’誰かの役にたちたい’と思い始めた仕事は、初めての事だらけ。
OL事務職しか知らなかった私は、企画をしたり、営業したり、目先が変わった仕事に忙しい毎日を送っていたが
元来、色んな人とおしゃべりする事も、楽しくワイワイ食事をする事も大好きだったから忙しさの中での楽しさも見つけつつ、すっかり元気になった私に「社会に復帰して正解だったじゃない!」と周りの友人達にも言われ、嬉しかった。

そして、仕事というものに対しても’楽しい’という「以外な自分」を感じていた。

残業があって遅くなる日も多いが、やはり変わらずに激務に追われている夫と待ち合わせをして深夜のデートもできる。
2人で過ごす時間。
それだけで幸せな気分。

しかし、少し変わった職種に就いた私の休日は、不定期休日。

夫が休みの日でも私は出勤。週末を『ひとり』で過ごす事も無くなった代わりに、一緒に遠出をすることも少なくなった。
それでも、職に就いてからは、以前よりも外で仕事をする夫の気持ちがよく分かるような気がしたし、何より2人のバランスが取れている生活に満足していた。


1年後、夫が仕事の関係で数ヶ月単身赴任することになった。

元気な体となったものの、正直、不安は隠しきれなかった。また『ひとり』になる。
しかし、仕事をしていたその時の私は、彼の気持ちを、仕事というものを理解できる!
私は大丈夫と思っていた。
実際、仕事をしているお陰で以前のような『ひとり』の孤独を抱かずにすんだが、やはり寂しいという気持ちに変わりはなかった。
彼のいない部屋を避けるように仕事に集中し、久し振りに会えると連絡があった日は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
しっかりと休みも調整し、少し風邪気味だったが、愛する人に会えると思うと心も躍る。

しかし、夫が帰ってくる丁度その日に会社から連絡が入る。

「ちょっと来てもらえないだろうか?」

今考えれば、私でなくてもいい事。休みを返上してまで会社に従順である必要はない筈なのに『会社のいい子』である私は、あんなに心待ちにしていた彼との時間を割き、仕事へと向かった。

「君が行く必要はないじゃないか!」

本意では無い仕事を体調不良を押してまで果たした結果は、40℃もの高熱を導いてしまった。

私だってあなたに会える日を心待ちにしていたのよ!本当に心から待ち望んでいたのよ!ただ、私は一生懸命しているだけ。
・・・それだけなのに。

自分が情けなく、そして、夫の落胆の表情がただ悲しかった。


私の病の原因は判明していない。しかし、こういった私の『いい子』なひとりよがりも起因しているのではないだろうか?振り返る、今、そう思ったりしている。


そして、2002年。
この仕事も4年目となっていた。
当初は病気を乗り越え、新たな人生の始まりという気持ちと、夫とのバランスの取れた生活が楽しくて仕方がなかったのに、仕事も年を重ねるうちに悩みばかりが増え始めた。
夫との会話も私の仕事の話ばかりで彼の話を聞く余裕も無くしていた。
一番厄介なのは、その事に気付いていない私だったのだろう。

4年目と言えば、新卒で入社していればやりがいを感じる頃。しかし、中途採用の私は年齢的にも上でもなく下でもない半端な立場になっていた。

「主任にならないか?」

こんな言葉も自然と私にプレッシャーを与えていたのかもしれない。
私はそんな器では無い。けれど、後輩は可愛いし、会社がもっと居心地よく、皆がやりがいを持てる様にするにはどうしたら良いのだろう、などと大それた事を考えていたのも事実だった。

完全でなければ気が済まず、相変わらずの『いい子』な私に嫌悪感を持つ人も多かっただろう。


12月に入ると、家に帰るなりバタンと倒れこむように寝てしまう日が多くなった。目の下の隈が少し濃くなった気がして、化粧品でカバーしようとあれこれと試したりしていた。
この時、すでに私の体は限界まで近づきつつあったのだろう、自分では気付かないうちに。


年末も間近となったある日、上司に呼ばれ「はい」と頷いた瞬間
首筋に ビリッ と痺れが走った。

心臓がドクンと波立つ。
頭から血が引くような恐怖。

もう一度、首を前に倒してみる・・・ビリッ・・・

そんな筈はない。
あれからもう5年。そんな筈はない! 絶対に違う

ただの疲れよ、私は大丈夫!

自分に言い聞かせるように宥める様に2002年は過ぎて行った。







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