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宇宙から森林調査 信州大や森林組合が衛星利用(日本経済新聞)信州大学などは21日、宇宙から森林を調査する実証研究を開始すると発表した。人工衛星の画像から松枯れの被害状況などを精密な地図にまとめる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の委託を受けて2020年度にJAXAが打ち上げる衛星で実用化を目指す。これまで難しかった松枯れ被害の全容を初めて解明できるようになり、森林資源の保全対策に役立つ。JAXAと信州大学、長野県や松本市、伊那市、北信州森林組合の連携という大掛かりな取り組み。確かに森林のような広域を網羅的に観測するのは衛星のセンサーがもっとも得意とするところだ。まずは海外の衛星の観測用センサーで撮影した画像データを解析することで、長野県内を対象に樹木の種類ごとの区分や、松枯れ被害の状況を調査できたりすることを実証するところから始める。樹木は1本単位で解析され、樹種ごとに精密な分布図が作成可能。さらに赤外線から近赤外線の波長帯(レッドエッジ)の画像を解析することで、松食い虫によって感染した木や、葉が茶色または葉が落ちた枯れ木に細かく分類することも可能になるという。JAXAが打ち上げる「先進光学衛星」も同様の波長で観測できるセンサーを搭載する予定で、今回の検証を基に実際の森林調査に活用する予定。また、伊那市と信州大はJAXAに搭載するセンサーと同様の機能を持つ装置を小型化してドローンに搭載し、松食い虫の被害状況を調べる実証試験を行う。ドローンの場合は衛星と異なり観測範囲は狭くなるが、高精細な松枯れ被害状況の地図を作成できる可能性がある。森林は広域なうえ、地形等の影響もあり網羅的に調査することは簡単ではない。センサーを使うことで網羅的、かつ効率的な観測が可能になる。さらに衛星とドローンということなるプラットフォームを使い分けることで、より幅のある観測体制を築くことができれば、林業従事者の高齢化や人材確保の難しさを考えても、今後のスタンダートになっていく可能性が高いのではないか。
2017.09.21
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平成29年7月22日からの梅雨前線に伴う大雨に関する情報(国土地理院)国土地理院は7月22日からの梅雨前線に伴う大雨に関する雄物川周辺の被害状況を把握するため、7月24日に空中写真(斜め写真)の撮影を実施した。地理院地図にて閲覧可能。また、雄物川周辺の詳細な地形を把握することができるデジタル標高地形図を公開している。平成29年7月 秋田県豪雨災害(国際航業)国際航業も7月24日に一時的に雨が止んだ時間を利用して航空写真の撮影を行い、速報版の斜め写真を公開している(雄物川河口部周辺及び大仙市周辺)。【風水害】平成29年7月22日降雨に伴う防災情報(国土交通省東北地方整備局)
2017.07.25
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【海外発!Breaking News】隣人へGoogleマップを利用して空から見える嫌がらせ(米)(Techinsight)このほどアメリカでSNSに投稿されたGoogleマップの航空写真が話題になっている。広い庭の芝生上に「ろくでなし」とあり、隣人宅に向けて矢印が描かれているのだ。ご近所同士のいざこざは世界共通の問題のようだが、ここまで大々的に嫌がらせをするとはよほど腹に据えかねたことがあったに違いない。『CBS Detroit』などが伝えている。近隣の諍いはどこの国でもあるものですな。記事の場所はこちら。我々日本人からするといたずらというか、嫌がらせそのもののスケールの大きさに驚かされるわけだが、こういう仕掛けができるのもGoogleの航空写真がインフラとして認知されているからこそ。それはそれですごいことかもしれない。ちなみにストリートビューで周辺を見ようとすると、家々の敷地の広さに圧倒される。どんな家か見てやろうと思っても距離があってよく見えない。さすがアメリカ…(というか引いてみるとシアトル郊外のカナダとの国境近くで海のそばであることに気づく)
2017.07.22
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6月30日からの梅雨前線に伴う大雨及び平成29年台風第3号に関する情報(国土地理院)九州北部の豪雨災害について、国土地理院は既に公開していたUAV(ドローン)による動画に加えて、撮影したUAV動画から土砂崩壊地及び道路損壊を判読して整理した判読図と、国交省災害対策用ヘリコプターで7月7~8日に撮影したオルソ画像、さらにその画像から土砂崩壊地・道路損壊・洪水流到達範囲を判読したオルソ画像判読図、被災前後の比較、撮影した画像からSfM/MVSで自動処理した3Dモデルの動画をウェブサイトで公開した。すでにさまざまな機関の現地調査が行われているが、空からの情報は被災地全体の状況を把握できる貴重な資料になる。特に災害前後の差分を面的に捉える意味では有効。今後は現地調査の結果と併せて災害状況が整理されていくことになる。
2017.07.10
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前日紹介した国土地理院によるドローン撮影動画に続いて、地理空間情報系の会社や国土交通省から新たに画像等の情報が公開されているので以下に一部を紹介する。パスコ:斜め写真画像および「TerraSAR-X」による合成開口レーダ画像公開パスコでは独自開発の「携帯型斜め写真撮影システム」(撮影と同時にカメラ位置と被写体の中心位置、撮影方向などが記録され迅速にGISに展開可能)により撮影された斜め写真を公開。同時に、天候の影響を受けにくい合成開口レーダ衛星「TerraSAR-X」による撮影を行い、過去のデータとの比較により地形の変化を解析して公開している。中日本航空:斜め写真画像公開公開されているのは7月7日 14:30~15:30に撮影された速報画像。国土交通省九州地方整備局:筑後川水系小野川 大分県日田市小野地区で発生した土砂災害のドローンによる調査映像国土交通省九州地方整備局:朝倉市・東峰村周辺通れるマップの公開国土交通省九州地方整備局:梅雨前線の活発な活動による豪雨への対応アジア航測:7月8日に撮影した斜め空中写真の一部を公開国際航業:7月7日に一時的に雨が止んだ時間を利用して撮影した航空写真を速報版として公開
2017.07.08
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夏だ、地図Tだ! 好きな場所の衛星画像をTシャツにできるサービス「WEAR YOU ARE」登場(INTERNET Watch)日本国内の衛星画像の中から好きなエリアを指定し、そのエリアの衛星画像をプリントしたTシャツやスマートフォンケース(iPhoneケース)を作成できるファッションブランド「WEAR YOU ARE」を、GMOペパボ株式会社、dot by dot inc.、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)、株式会社フューチュレックの4社が提供開始した。RESTECも手広くやっているなあ、という印象なのだけど、2011年に運用を終了した「だいち」の画像は、陸域観測衛星としてはいわば賞味期限切れ(もちろんアーカイブデータとしては重要な意味を持っている)でもあり、こうしたデザイン的な利用はアリだと思う。自分で気に入った場所を選んで、色合いの調節やテキストの入力ができるのもこの手の企画ではあまりなかっただけにインパクトがある。何よりもデザインとして目立つのはいい。どこの場所を選ぶかで自己主張することもできるし、色合いでTシャツとしてのセンスを演出することもできる。スマホケースにするのも手軽でいいかもしれない。値段はTシャツとしては微妙だけど、たとえばどこかの市町村が自分たちの町をアピールするのにまとめて発注するというような使い方もあるのでは。作るとすればどこがいいだろう。結構迷うな。
2017.07.06
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戦前の東京23区が見渡せる空中写真を地理院地図上で初公開(国土地理院)国土地理院は「地理空間情報ライブラリー」のサイトで1枚単位で公開していた東京23区内の空中写真519枚を、現在の地図と重なる形でつなぎあわせて地理院地図から公開した。これらは国土地理院が保有し、撮影時期が判明している空中写真ではもっとも古い年代のものとなる。閲覧はこちらから。なお、一部の場所が空中写真が面的に白や黒で塗りつぶされて、状況がわからないようになっているが、元の空中写真に由来するもので、どうも皇室の施設に加工が施されているようだ。見始めるとなかなか止まらない。個人的には第1回日本ダービーの開催された目黒競馬場の名残に萌える。現在の駒沢オリンピック公園がゴルフ場らしき姿であるのも興味深い。かつての東京ゴルフ倶楽部(1932年に朝霞に移転)の名残で、ここは摂政宮時代の昭和天皇が英国の皇太子、プリンス・オブ・ウェールズ殿下との親善ゴルフを楽しまれたコースとして知られる。色々と発見があって面白い。大型連休のお供に是非。
2017.04.28
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新しくなった Google Earth へようこそ(Google Japan Blog)2017年4月18日、Google Earthが生まれ変わった。開発に2年の歳月を費やしたという新バージョン、個人的には登場時に近い衝撃を受けた。ひとつはブラウザ(Chrome)で動くこと(スマホではAndoid版がリリースされており、iOS版や他のブラウザは今後順次追加予定とのこと)。これだけでも使い勝手はずいぶんいい。そしてこれまで以上に3D機能が凄い。鳥瞰表示はこれまでも可能だったが、新バージョンは地形はもちろん、都市部のビルや家々も3Dモデルになっている。我が家のように都心を外れた場所でも鳥の目で街並みを楽しむことができる。驚いたのは我が家の部屋のベランダに干してあった洗濯物が3Dモデルにちゃっかり反映されていたこと。恥ずかしいじゃないか(笑)もちろんストリートビューとの受け渡しもできる。2Dモードでも、これまでと異なるのは投影の中心が移動していくこと。つまりドラッグで異動している中心に位置する建物は正射影となり、側面は見えないが、中心から外れると側面が見えるようになる。これはちょっと感動ものだった(ただその分マシンの負荷も大きく、我が家の貧弱なデスクトップPCは唸り声を上げ続けていたが)。また、「Voyager」と呼ばれるガイドツアー機能も追加されている。さまざまな専門家によって選ばれたツアーで、インタラクティブにバーチャルな冒険旅行ができ、さらにいえば学びが得られるのも特徴。すでに 50 以上のストーリーが用意されており、今後も新しいストーリーが追加されていくという。さすがGoogleというべきか。これだけやられると正直なかなかかなわない。
2017.04.18
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ドローン社会実現のための安全飛行インフラ構築に向けた業務提携について~「ドローンハイウェイ構想」の実現に向けて~(ゼンリンプレスリリース)東京電力とゼンリンが保有する設備・地図情報などのインフラデータを組み合わせて、ドローンの安全飛行をインフラ側から支援する「ドローンハイウェイ構想」の実現に向けた業務提携に基本合意した。高機能化や法制度の整備に伴い、今後ドローンは長距離飛行や都市部での自律飛行が可能となり、物流や警備など、これまで以上に多様な分野への普及拡大が期待される。その一方で、自律飛行のためには飛行空域に存在する構造物の位置や高さを認知して衝突回避を行うことや、中長距離飛行に対応するためのバッテリーの確保、さらに複数のドローンが飛行する場合に衝突を回避するための運行管理などが課題として挙げられている。そこで、東京電力グループが保有する変電所や送電鉄塔、電柱、送電線などのインフラデータと、ゼンリンが開発を進めている「空の3次元地図」を組み合わせる「ドローンハイウェイ構想」実現に向けて取り組むこととなった。ドローンの自律飛行の最大の障害は鉄塔と送電線と言われているだけに、こうした構造物の位置情報が3次元でデータ化され、ドローン専用の飛行空域・空路が設定されることは大きな一歩になることは間違いない。また、障害物となる構造物、つまり「張り巡らされた電力ネットワーク」を逆に「空から見える道しるべ」として活用することで、目的地まで安全に自律飛行が可能な空域をつくりだすことができるというのがこの構想のユニークな点。さらに、ドローンハイウェイに付帯する形で、機体の充電や点検・整備・修理サービスを提供するための「ドローンポート」(自動車でいえばサービスエリアのようなものだろうか)を整備する予定があるという。ドローンビジネスが拡大しつつありながらも、安全の観点からこれまで運行には規制が先行してきた経緯があるだけに、こうした飛行を前提にしたインフラ整備の構想が動き出したことは大きな一歩といえる。
2017.03.29
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驚きの実話映画に、25年間迷子の男がグーグルアースで再会(AFP)5歳の男の子がインドが長距離列車で眠り込んでしまったことで迷子になり、タスマニアで養父母に育てられるが、25年後にかすかな記憶を頼りに、グーグルアースを使って故郷を探すという映画「ライオン~25年目のただいま〜(LION)」。これが実話に基づいているというから驚きだ。インドからどういう経緯でタスマニアなのかは本編を見てみないと何ともいえないが、いい養父母に巡り合えたのだとすれば、それは幸運だったということでもある。それにしても記憶を頼りにGoogleEarthで探すというのは相当な空間認識力がないと難しいはず。というのも、5歳の記憶であれば当然子どもの目線での風景であり、それを空からの景観に頭の中で変換することは決して容易ではない。自分に置き換えて考えてみても、5歳の時に見た景色で記憶に残っているものはかなり断片的で、それを空から見て探せるのかと言われれば多分無理だ。ストリートビューのようなサービスを組み合わせればあるいは、とは思わなくもないが、そもそもストリートビューに至るまでその場所を空から推測しなければならないわけで、まして25年間の経年変化もあるし、記憶も徐々に薄くなる。それをGoogleEarthだけで見つけるのはやはり奇跡と言うほかない。まあだからこそ映画になったともいえるわけだが…
2017.03.21
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長期飛行できる小型無人機 諏訪東京理科大の研究室が開発進める(信濃毎日新聞)諏訪東京理科大で1週間以上無着陸で飛行できる小型無人機の開発が進められている。太陽光発電でプロペラを回して自律飛行する仕組みだという。開発を手掛けているのは工学部で航空宇宙工学を専門とする雷忠教授。上空7000mで一定範囲を旋回させることで土砂災害危険箇所の監視や遭難者の捜索などへの利用が想定されている他、無線の中継の用途での活用もあるとのこと。既存の太陽光パネルと電池を用いた場合には約16時間の飛行が可能とのことだが、今後の電池の能力向上や機体の飛行性能の向上などを見込んでおり、将来的には1週間程度の連続飛行が想定されている。普及すれば画期的な技術で、さまざまなモニタリングでの活用が期待できる。上空からの連続観測はこれまで人工衛星に頼るほかなかったが、小型無人機は新たな常時観測プラットフォームとしての確かな可能性を持っている。後は小型ということなのでどれくらいのセンサーを積めるかもポイントになりそう。
2017.01.04
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ハリケーン観測衛星で風速を計測、予報精度向上へ NASA(CNN)NASA(米航空宇宙局)が小型衛星によるハリケーン観測を目的として、「サイクロン・グローバル・ナビゲーション衛星システム」(CYGNSS)を進めている。ロケットは航空機で上空へ運び、高度1万2000mに達したところで放出するという。ロケットはその後ブースターを使って宇宙へ送り込まれ、小型衛星8基を軌道上に展開する。それぞれの衛星は互いに連携しながら海洋上のハリケーンや台風などの風速を観測し、予報の精度向上に役立てるという。従来の衛星は、熱帯低気圧の位置や降雨の状況を継続的に観測することはできたが、雲の下の風までの観測はできなかった。CYGNSSではハリケーンの中までの観測が可能となり、上陸時の強さを予想できるようになる。衛星は海面の波の様子を測定し、それぞれのデータを比較する。熱帯低気圧が発生する北緯35度~南緯35度の範囲で地球の軌道上を周回しながら、最大で毎秒32回の風力測定を行う。現在の気象観測衛星がハリケーンの上空を通過するのは1日にわずか1~2回であるのに対して、CYGNSSでは12分ごとに風力の測定が可能になるという。小型衛星はさまざまな用途で運用され始めているが、ハリケーンの観測のような特化した目的には最適の観測プラットフォームといえる。一般的に気象衛星は高軌道だが、こちらは小型なので低軌道衛星ということになるのだろうか。プロジェクトが成功すれば日本のような台風が多い国では恩恵が大きそう。
2016.12.14
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グーグル、地球上の川や湖の変化を地図上で視覚化--32年分のデータを公開(CNET Japan)Googleと欧州委員会共同研究センター(EC JRC)が、地球上の川や湖といった水域について、32年間にわたる変動情報を地図上で視覚化、研究成果として公開した。研究グループは米地質調査局(USGS)と米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「Landsat」で取得した約1.8ペタバイトのデータを解析することで、1984年から2015年まで、月単位で地表の水を視覚化(地上分解能30m)した。成果は水源確保や農業計画、水害対策、気象研究などにさまざまな分野の研究に活用できるように無償で提供している。解析結果からは、川や湖の細かな変化が一目で分かるようになっており、例えばミシシッピ川のデルタ地帯では、ダムと堤防の整備が進められた結果、上流から運ばれてくる土砂の量が激減したことで1万3000km2もの陸域がメキシコ湾に飲み込まれつつあるという。また、アジアではアラル海の減退が目立って分かる。日本ではこれらの地域ほどのスケールではないものの、諫早湾での変化がよく分かる。研究プロジェクトのサイトでは、解析結果の確認とGoogle Earthエンジン用データのダウンロードが可能になっている。
2016.12.12
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真田丸 守りの半円か、攻めの四角か 実像めぐり異説(朝日新聞)今年の大河ドラマのタイトルにもなっている「真田丸」。1614年の大坂冬の陣で真田信繁が立て籠って徳川方に大きな打撃を与えたされるこの出城の形状について、さまざまな論争がある。従来知られていた真田丸の形状は半円形だった。大坂冬の陣の配陣図や豊臣時代の大坂城の図面には、総構の堀から突き出すような半円形が描かれているものが多い。しかし奈良大学の千田嘉博教授は、真田丸は四角かったとしている。千田教授は広島藩主の浅野家に伝わった城郭の図面集「諸国古城之図」着目、大坂城全体を描いた「大阪惣構」では真田丸が半円形に描かれている一方で、「摂津真田丸」では破壊後の真田丸跡が方形に描かれているのだという。主郭に描かれている3軒の寺は現存し、それらと大阪明星学園の土地は今でも周囲より数メートル高まっている。千田教授は方形の真田丸の痕跡は現在の地形にもよく残っているとみている。大阪歴史博物館の松尾信裕研究主幹は真田丸半円形説を支持する。その根拠は真田丸は冬の陣講和後に完全に破壊され、地形も大きく変わったはずていう点だ。これに対して千田教授は自身のTwitterで「現在は帯状の低地や道路になっている真田丸の堀跡は、地中レーダー探査で科学的に規模や断面形状もつかんでいます。そうした成果を無視して、『真田丸は冬の陣の後に破壊され、元の地形はわからなかった』と発言する『専門家』が、今だにいるとは。真田丸の堀は冬の陣の数十年後に見えなくなったどころか、元禄4年の『大坂絵図』は真田丸の輪郭を描き、『加賀築山』を記し、つい70年前の航空写真は、帯状の低地や道路として堀を写していました。ごく最近まで真田丸は見えていたのです。基礎資料を無視したコメントは、本当に残念です。」と反論している。また、国土地理院の坂井尚登氏は、絵図と第2次大戦直後に米軍が撮影した航空写真を比較した結果、正方形に近い五角形という画期的な説を発表している。大河ドラマの影響もあり、この論争は大いに注目を集めるところとなっている。古い絵図や米軍撮影の航空写真を素材としてどう評価すべきかという点でも興味深い。
2016.12.04
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東京23区の全建物をフルテクスチャ化したフォトリアリスティックな精巧3Dマップ「REAL 3DMAP TOKYO」、キャドセンターが販売開始(INTERNET Watch)キャドセンターが東京23区の3D都市データである「REAL 3DMAP TOKYO」の販売を開始した。「REAL 3DMAP TOKYO」は「MAPCUBE」(インクリメントPとパスコと共同開発)のデータにキャドセンター独自のCG処理を加えたもの。主として法人向けで4×4km単位の領域から購入可能とのこと。「MAPCUBE」は航空測量のデータを基にした3次元モデルであることから精度も高い。「REAL 3DMAP TOKYO」は東京23区すべての建物をフルテクスチャ化しており、さらに窓ガラスの反射まで適用していることからリアリティが高いうえ、ランドマークを毎年更新しており、最新の東京の姿を再現できる。さまざまなシミュレーションはもちろん、ゲームや映像など用途は広そうだ。
2016.10.12
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地球の表面、30年前より陸地が増えた(NIKKEI STYLE)40年以上にわたるランドサットの衛星画像とグーグルアースエンジンを使って、地球のどこが水に覆われ、どこが乾いた陸地になったのかを示した地図の記事。オランダの独立研究機関である「デルタレス」のゲナディ・ドンチス氏が主導する研究チームがこの地図を「アクア・モニター」として公開している。地球温暖化が叫ばれる中、氷床の融解により水没する陸地が増えていると思いがちだが、実は陸地が30年前よりもわずかに増えていることが分かったというもの。端的にいえば、温暖化による氷床の融解VS砂漠化という構図でどちらも進んでいるということなのだろう。もちろん陸地の増加には海面の埋立などの人工的要因もあるので単純に比較はできない。画像を見る限りでは撮影した時季やコンディションの影響もありそう。例えば大河の河川敷などは大きく経年変化しているが、大陸の大河、例えばシベリアの河川や南米のアマゾン川などは撮影時の水量に大きく左右されるのではないか。広大な水田地帯があったとすれば、水が張られている時季であれば水部と認識されてしまうこともあるだろう。日本を見ると、東日本大震災で水没した地域があるのが生々しい。もっとも、多少の誤差はあったとしても、こうしたモニタリングを続けていくことでわかることもある。有意義な成果であることは間違いない。
2016.09.27
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人工衛星画像で農地管理業務の効率化を支援 ~「農地利用状況調査支援サービス」の提供を開始~ (パスコプレスリリース)パスコがた人工衛星を活用した「農地利用状況調査支援サービス」の提供を開始しました。同サービスは人工衛星で撮影したの2時期の画像(地上分解能1.5m)と、農政機関の農地地番図を重ね合わせた調査用の基礎資料を提供するもの。この基礎資料にはリモートセンシング技術を利用している。人工衛星による近赤外画像で植生を抽出した資料も提供することで利用状況調査の効率向上を支援する。同社では4~8月に日本全国を人工衛星で複数回撮影した成果をアーカイブ化しており、あらたに撮影する画像と合わせて作付前の状況と作付後の状況を比較、農地利用マップを自動で作成する。農業の高度化といえば位置情報を利用したロボット化やドローンの利用などによる効率化が注目されがちだが、このサービスのようにセンサーによるモニタリングを通して作付状況や作柄を管理するのも地理空間情報の重要な役どころ。定期的・網羅的に撮影できる人工衛星の良さを活かし、撮りためたアーカイブを有効活用できる点でも優れている。特に耕地が広域に及ぶようなケースではポテンシャルを発揮しやすそうだ。
2016.08.09
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地図上の地形的特徴でクェリすると各都市のマッチ結果(野球場、テニス場、etc.)を返してくれる画像検索エンジンTerrapattern(TechCrunch Japan)Terrapatternは衛星画像を対象とした画像検索ツール。地図上の任意のスポットをクリックすると、それに似た形状パターンを持つ他の場所を検索する。通常の地図では示されない形状を抽出し表示させることができるのが特徴で、同サービスのサイトでは例としてゴルフコースのバンカーや、スクールバスの配置、紫のテニスコート、空港の滑走路のマーキング、野球場のダイアモンドなどが紹介されている。ニューラルネットワーク(人間の脳の神経回路の仕組みを模したモデル)が使われ、AIのようなプログラムで画像からあらゆるデテールを取り出し、さまざまな構造体の中に相似パターンを探す。特定のエリアの衛星画像を舐めるように見て、特徴と類似性の巨大なデータベースを作り、ユーザーが小さな矩形の形状で照会すると、ニューラルネットワークはそこで考えるのではなく、データベースのデータ集合を照合することで相似物が直ちに返されるという仕組みだ。現時点で公開されているのはピッツバーグ、サンフランシスコ、ニューヨーク、デトロイトの4都市だが今後サービスは拡大されそう。なおこの作品はCreative Commons 4.0のライセンスにより無料で利用でき、コードはGitHubで公開されている。
2016.05.27
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福井県が県独自の人工衛星の打ち上げに向けて動いている。飛べ!福井発人工衛星 県や企業、6月に組合設立(中日新聞)県や民間企業などで技術研究組合を設立し、2019年度の打ち上げを目指すというもの。通常の大型衛星をつくろうと思えば数百億円のコストが必要で、とてつもない話のように思える。しかし最近は数億円のコストでつくる超小型衛星(50cm3程度)で成功例が出ており、民間でもウェザーニューズ社が自社独自の衛星を持っているし、アクセルスペースのような民間で衛星をつくる企業も出てきている。福井県の取組も十分に射程圏内ということはできる。目的は災害モニタリングや農業・漁業での利活用、固定資産台帳の更新にも役立てるという。既存の衛星画像を買えば全県だと数百万円レベルになるので、自由に使える独自衛星であればコストは見合うというわけだ。打ち上げにはJAXAが衛星を打ち上げる際に相乗りできる枠がある。もちろん相乗りである以上は安全面などで高い信頼性が求められるが、これまでの成功事例があるため技術的なハードルは下がってきている。また、国も打ち上げコストを下げるべく法整備に乗り出していることも追い風になるだろう。今後民間企業の独自衛星は増えると思うが、県が独自に衛星を上げようという取組は福井県が初めてであり、今後の動きが注目される。
2016.03.19
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東日本大震災が5年を迎えるのを前に、Googleが被災地のストリートビューを更新している。最新の画像は2015年6月~2016年1月に撮影されたもので、岩手県・宮城県・福島県・茨城県の59市19町4村が対象になっている。2011 年に開始した「東日本大震災デジタルアーカイブプロジェクト」の一環として行っている取組で、ストリートビューの目線から5年間の復興の様子を見ることができる。発災直後から復興へのプロセスの客観的な記録として意義のある取組といっていいだろう。Googleマップから普通にペグマンを操作してストリートビューを立ち上げて、左上の時計アイコンをクリックすると小さなウィンドウと時間軸のスライドバーが現れる。これを左右にスライドすることで2011年から2015年までのアーカイブを見比べることができる(核大ボタンでメイン画像も切り替わる)。この成果は別サイトで展開しているアーカイブ「未来へのキオク」でも共有されている。なお、未来へのキオクではこれまで通り震災前のストリートビューも見ることができる(整備されていた地域のみ)。これで震災の前後の変化と、その後の復興のプロセスがストリートビューで確認できることになる。作年 9 月に避難指示が解除された楢葉町は、町の復興、再生に向けた取組みの一環として、「ストリートビューパートナープログラム」に参加し、職員たちがトレッカーを担いで上繁岡溜池や、楢葉町立楢葉中学校、天神岬スポーツ公園など 8ヶ所を撮影したという。また、岩手県宮古市から宮城県石巻市、宮城県亘理郡亘理町から福島県双葉郡広野町にかけての沿岸部については、航空写真も更新されており、ストリートビューと併せて見比べることが可能になっている。このプロジェクトに限らないが、Googleのアーカイブ力には驚愕するばかりだ。こうした取組を続けていくことで後世に確実に何かが残せるという意味でも評価すべきことだと思う。
2016.03.07
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フェイスブック(Facebook)が、世界のどの地域にどの程度人間が居住しているかを詳しく記した地図作りを進めていることを、米国時間22日に明らかにした。同社ではこの成果をInternet.orgの取り組みに役立てたい考えで、また今年中には解析データを一般公開する考えだという。フェイスブックの「Connectivity Lab」部門では、人工衛星やドローンなどを利用しながら、インターネット接続環境のない世界の各地域に接続サービスを提供するInternet.orgの取り組みを進めている。人口居住の分布をマッピングした詳細な地図は、どの地域にどの技術を使って接続環境を提供するのが最適かを判断する上で必要とされるもの。なお、フェイスブックは昨年この地図作成プロジェクトの存在を明らかにしていたとBBCは記している。BBCによると、フェイスブックのConnectivity Labは、社内のデータサイエンス部門、インフラ担当部門、マシン学習/AI研究グループの力を借りながら、すでに世界20か国、2億1600万平方キロメートルの範囲を撮した146億枚の衛星写真データを解析。この結果得られたデータの量は350テラバイト(TB)に上るとされている。さらに、これまで画像中の顔認識などに使われてきた自動画像認識技術を応用することで、建物の輪郭などを特定することにも成功しているという。フェイスブックは今年中にこのデータを一般公開するとしており、またコロンビア大学の国際地球科学情報ネットワークセンターと協力しながら新たな人口データセットを作成する予定もあるという。なお、この話題を採り上げたBBC.com記事中には、同プロジェクトの潜在力を前向きに評価する英国赤十字関係者の見方や、プライバシーの侵害につながりかねないとする専門家の見解が紹介されている。(WirelessWire Newsより)------------------------------地図の公開そのものをサービスとして考えているのではなく、人口分布の把握が企業としての明確な目的を持ったプロジェクトであり、その手法として衛星画像とAIに関するノウハウが蓄積されているという意味では有望だと思う。企業内プロジェクトありきで、その結果として得られたデータはサービスとして公開し、そのプロセスにおける技術的ノウハウも手にするというのはある意味理想的な事業展開。ただ、一つ分からないのは、衛星画像から建物を認識してマッピングしていくことはできても、それが人口分布にはならないのではないかという点。衛星画像に写っている建物に居住者がいるのかどうかは判断できないし、ましてその世帯が何人なのかも当然分からないはずだが。あるいは別データを重ねて特定するのだろうか。建物の自動抽出はこれまでも写真測量系のツールで機能としてはあったが、どうしてもパラメータ依存になる。そのあたりがノウハウを重ねて洗練されているのであれば、ツールとして色々な応用が可能なはずで、その点では色々と楽しみ。プライバシーの問題は画像の分解能が上がれば当然出てくるだろう。かつて航空写真用のデジタルカメラの地上分解能が高まって10cm程度まできた時に(写り込んだ鳩を認識できたという話がある)は、例えば外に干してある洗濯物が見えるのでそれがプライバシー侵害になるのでは、という議論はあった。航空測量業界としては、撮影した高分解能の画像はデータ作成には利用しても、元の解像度のまま公開はしないというガイドラインをつくっていた。今回のケースでプライバシー侵害がどの程度のものなのかは判断がつかないが。
2016.02.24
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国土交通省は17日、無人飛行機(ドローン)の飛行ルールを定めた省令を公布した。有人機が飛行する高さ150メートル以上の空域や、人口密度が1平方キロメートルあたり4千人以上の「人口集中地区」上空は、原則として飛行禁止となる。国交省の許可があれば飛ばすことができる。省令では、改正航空法の施行規則が定められた。規制する対象を重さ200グラム以上の機体とし、人や建物との間に30メートル以上の距離を保つこととした。人口集中地区は、東京23区や地方の主な都市が該当する。原則として飛行禁止となる空域では、国交省が機体の性能や安全対策を審査し、許可が出れば飛行できる。重さ25キロ以上の機体には飛行データの記録機能の搭載を求める方針だ。改正航空法や施行規則は12月10日に施行される。(朝日新聞より)------------------------------ドローンの規制が盛り込まれた省令。規制とはいえ比較的妥当な線で収まった印象。DID地区の禁止はある意味当然ともいえるし、飛行禁止空域でも国土交通省の許可で飛行できる点は、測量や環境調査、災害調査など、いわゆる専門分野のセンシングを考慮したものと思われる。また、国土地理院のWeb地図サービスである地理院地図では、総務省統計局による平成22年人口集中地区のエリアを公開した。飛行禁止となるDID地区が一目で確認できるので利用したい。
2015.11.18
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昨今、空撮や災害調査、農薬散布など、民間用途でも活躍の場が多様に広がっているドローン(無人航空機・UAV)。amazon.comの「Amazon Prime Air」やGoogleの「Project Wing」など、商品配送にドローンを活用しようとする動きも活発になってきた。そこで、より安全で快適なドローン飛行をサポートすべく開発されているのが、ドローン専用ナビゲーションアプリ「Hivemapper(ハイブマッパー)」だ。「DJIファントム3」など、中国のドローンメーカーDJIの一部の機種に対応しているほか、2015年11月5日、Android対応アプリとしてもリリースされた。すでに、サンフランシスコ・シカゴなどの大都市圏を対象に、建造物や橋、アンテナといった障害物のデータ2000万件と、空港をはじめとする1万6000地点の飛行禁止区域の情報を収集。リモートコントローラーやスマートフォンの画面では、ドローンの進行方向の眺望が、これらの情報とともに、三次元マップで、リアルタイムに映し出される仕組みとなっている。Hivemapperの先進的な取り組みは、ベンチャー投資の対象としても高く評価。TwitterやTumblrらも参画する「Spark Capital」が300万ドルを出資したほか、グーグル傘下のGoogle Venturesなどが、資金を投じている。米連邦航空局(FAA)によると、米国では、2015年のクリスマスシーズンだけで、ドローンの販売台数が100万台を超える見込み。ドローン本体のみならず、Hivemapperのような、ドローン飛行を安全に楽しむためのツールが整うことで、ユーザーの裾野がさらに広がっていきそうだ。(Techableより)------------------------------ドローンが急速に普及しているとはいえ、ナビアプリが登場するのは驚きだ。果たしてどれだけの需要があるのだろうか。日本国内では4月の首相官邸事件以来、さまざまな法規制が進められており、飛行禁止エリアと飛行可能エリア、許可申請が必 要なエリアなどを正確に把握する必要があるため、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)がゼンリンとブルーイノベーションとともにドローン専用飛行支援地図サービスの共同開発を行っている。規制が強まったことで支援地図が必要になった格好だ。記事にあるHivemapperは空港をはじめとする1万6000地点の飛行禁止区域の情報に加えて、大都市圏を対象に、建造物や橋、アンテナといった障害物のデータ2000万件の情報を提供する形。ドローン専用ナビゲーションアプリといっても、カーナビのようなルート案内というよりは、避けるべき場所を避けると考えた方がコンセプト的には近そう。米国のようにドローン販売台数が100万台を越えるようなことであれば、アプリの需要は十分にありそうだが、日本についてはそもそも飛ばせる場所が少ないという事情もあり、こうしたサービスが商業ベースに乗るのかどうかは未知数。
2015.11.16
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一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、株式会社ゼンリンとブルーイノベーション株式会社とともにドローン専用飛行支援地図サービスの共同開発に着手した。ドローンの飛行を巡って、4月の首相官邸事件以来、さまざまな法規制が進められている。例えば、国会議事堂や首相官邸など重要施設周辺を飛行禁止とする議員立法や人口密集地を飛行禁止エリアとすることなどを含む航空法の一部改正、更には各地の自治体が条例で定める飛行禁止ゾーンも相次いで発表されているのが、現状だ。 ドローン利用者にとっては、飛行禁止エリアと飛行可能エリア、許可申請が必 要なエリアなどを正確に把握する必要がある。そういう背景を受け、今回のプロジェクトが立ち上がったと言う。JUIDA が提供するドローン専用地図サービスは、空港周辺や人口密集地などの飛行許可 申請が必要な空域や飛行が禁止される国の重要施設等の最新情報を収録するほか、飛行許可申請に必要な情報の提供なども行う予定。本サービスは、PC、スマートデバイス(iPhone、iPad、Android端末など)のブラウザ(IE、Chromeなど)から閲覧可能。<本サービスで提供予定の情報>■飛行禁止施設・エリア情報・航空法により飛行許可を必要とする空域(空港、DID 等)・議員立法のドローン規制法※1 により飛行禁止とされている施設等・民間航空機の航空路(※1:国会 議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律案)■飛行可能施設情報・JUIDA が認定している飛行可能施設このドローンに特化した、わが国初の飛行支援地図サービス。来年度からのサービス開始を目指すという。(DRONEより)------------------------------何とドローン用の地図の開発という話。こうした地図が必要になるのも、様々な規制が混在して分かりにくいことが一因にあるわけだが、これをエリアで捉えて地図として整理するのはユーザーにとってはありがたいこと。禁止エリアは施設名や地先等で指定されることが多いはずなので、住宅地図データベースを持つゼンリンにとっては情報が確かに生きるステージといえる。後は利用者側がこうした規制をどう捉えてどう意識するのか、という点だろう。測量用のドローン(UAV)利用については、写真測量学会が細かく規定を定めた「測量調査に供する小型無人航空機を安全に運航するための手引き」を公開しており、業界内ではこれに準拠する方向で動いているが、今後さらなる法規制がかからないようにするためにも、利用者全体のリテラシーが問われることになる。ドローン技術は様々な分野への利活用が期待されているだけに、例えば全面禁止のような強い規制がかからないように記事の地図など使えるツールを上手く使って節度のある運用して欲しいところだ。
2015.09.26
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東京都調布市の民家に小型機が墜落した事故で、調布飛行場を管理する都は28日、一部の運航再開を9月1日から認めると発表した。事故後に運航自粛を求めてきた測量や空撮などで飛ぶ事業機が対象。事業者が事故防止の講習会を開くなど安全対策が図られたと判断したという。都によると、墜落機は自家用機だったため、自家用機については、事故原因と安全対策が確認できるまで、運航自粛の要請を続ける。調布飛行場を拠点とする事業機は約40機。事故後、全機の事業者が機体の安全点検を終え、人為的なミスを防ぐための講習会を開催。国土交通省東京航空局が26、27日に実施した安全監査でも問題はないとの結果だったという。都は10月と来年1月にも事業者に安全点検を求め、「安全対策と運航ルールの厳守を徹底する」としている。(朝日新聞より)------------------------------事故以降事業機も運航自粛対象となっていたため、航空写真撮影や測量業務には大きな支障をきたしていた。地図作成は多くの場合航空写真の撮影から始まる。空中三角測量や現地調査、図化、数値データ編集、構造化といった一連の作業の流れも、撮影された画像が出てこないことには作業ができない。公共系の測量業務(地図作成)は年度内納品が基本で、毎年のようにタイトなスケジュールで進行するが、こうした事情でスタートが遅れることで後続作業はますますひっ迫するだけに、まずは運航再開が決まって関係者もホッとしたことだろう。安全運航で航空事業の信頼を何とか早期回復してもらいたいもの。国土変遷アーカイブで1948年の調布飛行場付近の空中写真を見ると周辺にはほとんど家屋がなく、現在とはまったく異なる環境だった。その後調布はベッドタウン化して飛行場周辺も住宅地へと変貌した。こうした例は調布に限らず大阪の八尾でも同様だろう。運航の安全はもちろん、こうした飛行場周辺の環境の変化についても考えていくべきタイミングが来ているのかもしれない。
2015.08.29
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ロボット開発ベンチャーのZMPとソニーモバイルコミュニケーションズは2015年8月24日、自動運転のドローン事業を手がける共同出資会社「エアロセンス」の事業戦略を発表した。ZMPの自動運転やロボット、ソニーグループのカメラや各種センサー、通信といった技術を活用。自動運転のドローンを独自開発し、土地の測量や調査、農地の管理、設備の点検など法人向けサービスを2016年に始める。「ZMPはこれまで、家庭用のロボットや自動車の自動運転を開発し、応用事業を展開してきた。これらは全て陸上のもの。空へとフィールドを広げて、陸上ではできなかった新たな価値を提供する」。会見したZMPの谷口恒社長は、新会社の意義をこう述べた(写真1)。ZMPとソニーモバイルは8月3日付けでエアロセンスを設立した。資本金は1億円で、出資比率はソニーモバイルが50.005%、ZMPが49.995%。ZMPの谷口社長が新会社の社長も兼務する。共同出資会社エアロセンスのサービスは、独自開発する自動運転ドローンを使った全自動の撮影、撮影データの蓄積と分析、用途に応じた2次元地図や3次元モデルの制作などだ。撮影データはクラウドサービス上に蓄積し、エアロセンスの顧客企業が自由に分析できるようにする。この分析システムの開発やデータの運用といったサービスも提供する。具体的な用途の一つが農地の観測。水田の上を低空飛行させて、稲の生育状況の調査や収穫時期の予測に役立てられるという。このほか資源採石場で採石量を推測したり、土木測量で土質を測ったりできる。「既に大手マンションデベロッパーやゼネコンと、事業モデルを作っている」(谷口社長)。開発するドローンはヘリコプター型と航空機型の2種類。航空機型は垂直離着陸の性能を持つ。自動運転にする利点は安全性と低コスト化という。「交通事故のほとんどはヒューマンエラーが原因。自動化することで安全性を高められる」。飛行エリアを事前に設定すれば自動的に飛行、撮影するため、操作担当者の人件費もかからない。課題は自動運転の精度向上と法整備という。墜落や誤動作など、「事故につながるおそれがないとは言えない」(谷口社長)。同社は当面、建設現場や農地といった私有地でサービスを提供することを想定。「一般の人がおらず、作業員がヘルメットをかぶっているような現場の上空を飛ばす」(同)。将来的には私有地を超えて、物流などにも使えるようにしたいとの意向を示す。その場合には現行の法規制が壁になる可能性が高い。谷口社長は「ドローン活用範囲を広げるため、実績と信頼を積み重ねていきたい」と語った。(ITproより)------------------------------ソニーのカメラ技術とZMPのロボット技術による航空撮影事業新規参入。あらかじめ設定したコースに従って離陸ボタンひとつで自動飛行する自立型UAVを使用。人為的なミスやも防げ、操縦技術を持つオペレーターも不要。指定した範囲を撮影するとデータをクラウドサービスにアップロードして、2D・3Dの地図データやモデリングデータなどを提供することができる。航空測量業界にとっては脅威ともいえるエアロセンスの参入。基本的にはUAVの自動飛行による撮影なので範囲が限られるため、広域を効率的に撮影するのは従来の航空測量に及ばないが、低空で高解像度のデータを取れることでこれまでにないような目的でのセンシングが可能になる。例えば農業でいえば、狭い水田の中での育成状況や食味の調査などはこれまでは解像度的に困難だったが、エアロセンスのサービスでは実現できる。目的による使い分けは当然確立されてくるだろうが、多目的化でセンシング全体の需要はこれまで以上に高まりそう。課題は規制との兼合いか。政府が法整備を進めていることもあり、その内容によって活躍の範囲が限定されてしまうのはもったいない。正しく(目的や飛行主体など)使うことでドローンの安全性や社会へ寄与が理解されれば業界にとって追い風になるのだが。
2015.08.25
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DigitalGlobeは自前の衛星艦隊を保有して解像度の高い衛星写真を企業や政府機関などに提供している上場企業だが、画像がデベロッパに提供されるのは主にそれらのユーザ企業(Googleなど)からであり、DigitalGlobe自身がスタートアップなどに画像データを提供することはなかった。しかし今度から同社は、デベロッパ向けにAPIをベータでローンチし、デベロッパたちが自分のアプリケーションでその画像を利用できるようにした。これまでDigitalGlobeはサードパーティとはうまくやってきたが、これからはデベロッパのコミュニティにも接近して、これまでの同社に足りなかったものを補おうとしている。DigitalGlobeの新製品担当ディレクターLuke Barringtonはこう語る、“最近では、自分のアプリケーションの目的に会った衛星地図が欲しい、一定のライセンス条件のもとで画像データをもっと自由にコントロールしたい、という声が高まっている。そこで弊社は弊社のコンテンツを直接、デベロッパにお渡しするようにしたいのだ”。今回のデベロッパ向け事業でDigitalGlobeは、二つのバージョンの衛星地図を提供する。ひとつはもっとも最新の画像で、もうひとつは(”Vivid”と呼ばれ)、同社が色補正や雲の影の除去などを行ってきれいにした画像だ。当然ながら後者は、それほど最新の画像ではない。DigitalGlobeの衛星画像は、最高で画像1ピクセルの実長が30センチと高精細だが、デベロッパが求めるものはそれだけではない。街路データなど、そのほかの情報も欲しい。そこで同社はOpenStreetMapベースのマッピングサービスMapboxとパートナーし、デベロッパにはそこからDigitalGlobeの画像を、SLAを伴うサービスとして提供することにした。このコラボレーションについてMapboxのCEO Eric Gundersenはこう語る: “これまでの彼らのやり方は、顧客自身のハードディスクに転写した画像を宅急便で届ける、という、すごいレトロなやり方だった。宅急便がAPIとは、ひどい話だから、うちのプラットホームがAPIの提供を引き受けることにしたのだ。彼らの写真は、宇宙から厚さ200万フィートの地球の大気を貫いて撮影され、1時間弱で送られてくる。それにふさわしい現代的なAPIがあって、当然だ”。DigitalGlobeのBarringtonによると、Googleなどのマッピングサービスを利用するよりも同社提供のAPIを利用した方が、画質が良い。また“Google提供”などの刻印がつかないから、デベロッパが自分のロゴなどを衛星地図に刻印でき、画像のオフライン利用もでき、またその地図データからさまざまな情報を自由に取り出すことができる。彼によると、Google経由で利用すると画像が鮮明でないし、最新の画像でない場合が多い。これがDigitalGlobeにとって大きな変化であることは、Barringtonも認める。これまで彼らは、大企業(やお役所)ばかりを相手にしてきた。“でも、これからは違う。変わる努力をしていく”、と彼は語る。DigitalGlobeの大量の歴史的データは、同社のGBDXプラットホームからデベロッパにも提供されていたが、でも多くの場合デベロッパが自分のアプリケーションで使いたいのは、今の衛星地図だ。今はまだベータのDigitalGlobe Maps APIは、料金すらまだ決まっていないが、Barringtonによると、最適料金もこのベータの経験から決めたい、という。ただし、ある程度の制約つきで、無料プランも提供される。(TechCrunchより)------------------------------非常に興味深いニュース。衛星事業者が独自にサービスを提供すること自体はもちろん歓迎されるだろうし、ライセンス次第とはいうものの最新の画像を見ることができるAPIが提供されるとすれば非常に魅力的であり、多くのデベロッパーが乗ってくる可能性は高い。意外なのは提供されるサービスは画像だけでなく、Mapboxと協力する形ということは地図データも含めたものになるということか。その場合、彼らのクライアントであるGoogleマップと競合する形になってしまう。その辺りにクライアントとの間に何らかの調整はあるのか、気になるところだ。元々が画像の撮影と提供が同社の主たる業務であり、APIなど新たなサービスを起すとなればまた違うノウハウが必要になる。コンテンツは魅力的だけに、いい形でサービスが提供されることを望みたいが。
2015.08.16
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火山活動が活発化している浅間山や箱根山の火口上空で、小型無人機「ドローン」が活躍している。浅間山では民間人が約2.7キロ離れた黒斑(くろふ)山から飛ばして撮影。噴火後に浅間山がドローン空撮されたのは初めてとみられる。箱根山では群馬大の早川由紀夫教授が火山学者としては初めてドローン撮影に成功した。研究者自身が必要に応じて最新の状況を把握できるため、噴火警戒や情報発信にも役立つと期待されている。浅間山で撮影したのは、埼玉県川口市の杉本智彦さん(48)。三次元地図ソフト「カシミール3D」の開発者で、これまで草津白根山や志賀高原を空撮してきた。浅間山では12日朝、噴煙の出ている様子と出ていない様子を1回ずつ撮った。火口縁からの高さは約100メートル。杉本さんは「好天の無風で、噴煙も少ない好条件だった。バッテリー残量に気をつけ、無事に往復できた」と話す。浅間山は6月16日に約6年ぶりに噴火し、気象庁や東大地震研は24日に県防災ヘリから空撮した。杉本さんのドローン画像では、防災ヘリの空撮画像と同様に火口中心にある噴気孔から噴煙が出ており、新たな噴気孔が形成されていないことが確認できた。早川教授は7月11日、箱根山の大涌谷(おおわくだに)を自前のドローンで空撮した。映像を分析した静岡大の小山真人教授(火山学)は「火山活動がよくつかめる。火口周辺に新しい噴気孔が10カ所ある」と指摘。気象庁が2日に発表した「3カ所」より多くの噴気孔を確認できたという。10万円台の市販ドローンで、機体価格が1億円以上するヘリからの空撮よりブレが少ない動画を撮影できるとあって、火山観測での有効活用が見込まれる。早川教授は「風向きや天候も整い、全体像がわかりやすく撮れた。専門家自身が構図を決めてシャッターを切れるのは従来のヘリ空撮と大きく違う。住民や観光客にとっても自ら火山を観察するきっかけになる」と話している。(毎日新聞より)------------------------------官邸ドローン落下事件やドローン少年の事件など、ドローンに対する世間の目が厳しくなっていた中、ここのところ火山観測においてドローンの効果的事例のニュースが増えてきた。ドローンは測量をはじめとして鉄塔や橋梁といった施設の点検管理や、農業への応用などさまざまな分野で有効活用がされてきたのだが、なかでも災害時には大きな強みを発揮する。人が近づけない場所、さらにはヘリで接近するのも困難な場所へも近づいて画像や映像を取得できる利点が大きい。土砂災害現場や火山などはその代表例。また福島第一原発周辺でも活躍した。昨年の御嶽山噴火以降、多くの人々が火山活動に関心を示すようになった。箱根や浅間もそうだが、活動が活発化すると近づいての観測が難しくなる。GNSS(衛星測位)や衛星SAR(合成開口レーダー)、あるいは熱赤外センサーなどでモニタリングはされているものの、記事にあるような噴気孔の数などはやはり映像や画像がないと分からない。早川さんも積極的にドローンを活用しているが、今回の杉本さんは2.7kmも離れた地点からの飛行に成功した点が特筆される。撮影された映像を専門家が見ることで、これまで以上の情報が得られることはもちろん、早川さんが指摘するように一般の人が火山の姿や性質を知るきっかけにもなり得る。今回の観測のような「分かりやすい」有効事例が報道されることで、何かと逆風が強かったドローンのツールとしての有用性が一般に認識されることも重要なのではないか。
2015.07.20
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御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで行われたSARカンファレンスを聴講した。近年、災害時にSAR(合成開口レーダー)による観測が地殻変動の検出をはじめとしたさまざまな情報をもたらしてくれるようになった。カンファレンスは事例を紹介しつつSARの有用性を知ろうというもので、どの発表も興味深かった。基調講演は防災科学技術研究所観測・予測研究領域の小澤拓氏による「火山活動把握における合成開口レーダーの有用性」。SARの特性を解説しつつ、新燃岳の事例等でのSARの活用成果を紹介した。天候や噴煙の影響を受けない点や面的な変化抽出ができる点などの長所や観測方向が限られるなどの弱点にも言及しつつ、SARだからできることを示した。続いて事例紹介でイタリアのNationalInstitute of Geophysics and VolcanologyからDr.Simone Atzori氏が「Operational InSAR exploitation in Geophysics」っと題して干渉SARの事例を紹介した。2010~2011年のニュージーランドにおける地震での地震断層の相互関係や、死海のシンクホールによる地表面の沈下や崩壊について、SARからの検出を行った話を中心に、SARの特性をレビューした。もう一つの事例紹介は長野県林業総合センターの戸田堅一郎氏による「干渉SARと航空レーザー測量データを用いた微地形判読(CS立体図)」という講演。これが凄く面白かった。前提となるのが戸田氏が考案したCS立体図と呼ばれる地形表現手法で、等高線の標高、傾斜、曲率(尾根や谷が分かる)を取得してそれぞれの色を割り当てて透過して重ねることで地形の凹凸を再現したもの。干渉SARから得られた隆起エリアとCS立体図から判読できる地形を重ねることで、進行中の地すべりが検出出来たという事例は非常に画期的だった。SARの利用は災害に限ったことではないが、現在運用されているALOS2(だいち2号)をはじめとしてさまざまな衛星のデータが使用できる中で、今後ますますSARの利用が広がっていくことを期待させるカンファレンスだった。
2015.07.10
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新型の気象観測衛星「ひまわり8号」の運用が7日、正式に始まった。センサーなどの性能が先代の7号より大幅に向上。「カラー撮影」にも対応する世界最高の実力で、台風の進路予想の精度向上やゲリラ豪雨などの異常気象の監視に役立つと期待されている。「8号の解像度は7号の2倍。カラー画像が撮影できるため、「白黒では雲と判別しにくかった黄砂の飛散状況も分かる」(気象庁)。」これまで雲と見分けることが難しかった火山灰も、高度や温度で区別できる。実際に試験運用中の5月29日、口永良部島(鹿児島県)の爆発的噴火で火山灰が広がる様子をとらえた。「日本付近」「台風周辺」などの狭い範囲であれば、撮影間隔がこれまでの30分から2分30秒に短くなり、台風の渦の動きなどをリアルタイムに近い形で観測できる。日本近辺と台風の発生地点など特定の2つのエリアを同時並行できめ細かく観測できるため、急速に発達する積乱雲などを素早く見つけることも可能だ。赤道上空3万6千キロメートル先から気象状況を最小500平方メートル単位で観測するが、例えるなら800メートル先から11ミリのパチンコ玉を見極める眼力に等しい。地球に送られるデータ量は7号の実に50倍にも達する。8号が現役として活動する予定の15年の間、わずかなブレや太陽熱によるひずみを防ぐ必要がある。そのため、衛星で使うモーターの振動を小さくし、センサーを置く台座も太陽熱に強い部材を採用。センサー近くに加速度計も設置し、地上で加速度を加味して画像のブレを補正できるようにした。ひまわり8号と16年度にも打ち上げ予定の「9号」を製作したのは三菱電機。合計約340億円で気象庁と契約した。地上からの管制業務が、運営コスト削減のために初めて民間に委託されたのも特徴だ。(日本経済新聞より)------------------------------ひまわり8号運用開始ということで今日は色々なところで取り上げられていた。気象観測という身近なミッションを持ち、天気予報でも登場することもあって、色々な衛星の中でも「ひまわり」はもっとも知名度が高い。分解能の高さはもちろん、撮影間隔が大幅に短くなったことで雲の動きがグッとわかりやすくなった。またカラー画像で火山灰や黄砂の観測が容易になったことも大きい。問題は世界最高とうたわれるその実力をどう使いこなしていくか、という点につきる。今後の気象防災はまさに試されることになりそう。関係者は気を引き締めていることだろう。それにしても来年度にはもう次のひまわり9号が打ちあがるとのこと。そのサイクルの早さにも驚くわけだが…
2015.07.08
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日本では、「厄介者」のイメージが強くなってしまった小型無人飛行機(ドローン)ですが、活用方法を探る動きは活発化しています。東京大学のチームは、ドイツであったコンテストでドローンを使ったバードストライク対策を発表。自治体でも、山梨県が富士山の雪崩を観測したり、和歌山県吉野町が吉野山の桜情報を発信したり、ドローンの出番を求める声は強まっています。東大チームが参加したコンテスト「Fly Your Ideas」は、欧州の航空機メーカー大手「エアバス」が2009年から2年おきに開催しています。約100カ国の大学から518チーム(学生約3700人)が応募。日本からも東京大学チームをはじめ12チームが参加しました。これまで日本から幾多の大学が応募し、いずれも2次選考止まりでしたが、今回初めて東大チームがその壁を乗り越え、最終選考に進みました。バードストライクの多くは、空港周辺に生息する野鳥の群れと離着陸する航空機との遭遇で起きます。東大チームのアイデアは、ドローンを何十機も飛ばして野鳥の群れを「誘導」し、生息しやすい営巣地まで案内するというもの。リーダーの大学院工学系研究科(修士2年)の宮谷聡さんは「ドローンを使うアイデアは、牧羊犬が羊の群れをグルグル回って誘導するのがヒントになった」と話します。学生たちは、実際に野鳥の群れにドローンを飛ばしてみて、鳥が逃げるタイミングや距離などを測定。詳細なデータをコンピューターに入力し、何度もシミュレーションを重ねました。ドローンの専門家として参加した大学院新領域創成科学研究科(修士2年)の木村元紀さんは、「最近は私物のドローンを持っているだけで人目が厳しい。屋外で自由に飛ばすこともできなくなり、体育館を使うなどしてデータを集めた」と振り返ります。審査でドローンの危険性や規制の必要性についての質問は出ませんでした。工学部システム創成学科4年の中村友哉さんは「回答を準備していたけど、肩すかしをくった感じ。ドローンの規制で海外と日本では温度差があると分かり、勉強になった」と話しています。コンテストで優勝したのは、航空機が飛行する際に羽などに生じる「振動」を電気エネルギーに変え、機内の電源に利用するシステムを発表した、オランダのチームでした。東大チームは惜しくも入賞を逃しましたが、リーダーの宮谷さんは「来年、ぜひリベンジしたいです」と、手応えを感じていました。山梨県富士山科学研究所などは、富士山で起きる雪崩のメカニズムや予兆現象を探って防災に役立てる研究を始めています。雪崩の危険が高い場所を予測し、ドローンで観測装置を設置。いち早く警報を出せるようにするのが目標です。雪崩が起きそうな場所に機器を置き、予兆や発生直後の振動を検知したら即座に警報を出す仕組みを開発します。設置の際に人が雪崩に巻き込まれないよう、ドローンで装置を運んで雪上に投下する方法を考えています。奈良県吉野町は、ドローンで吉野山の桜などの観光情報を発信するため、ドローンの活用に詳しいNPO法人・SEC(麻畠浩子理事長、橿原市)と包括協定を結びました。吉野山の桜の開花情報や周辺道路の渋滞状況、花火大会など、町のPRにドローンを活用していきます。遺跡や寺社などの文化財調査▽地域の運動会や祭りの撮影▽山火事などの災害や山岳遭難者の捜索など幅広く使っていく予定です。 日本では屋外で飛ばしにくくなっているドローンですが、様々な場面での活用が期待されているのも事実。防災や観光など、ドローンが活躍する場は今後も広がりそうです。(ライブドアニュースより)-------------------------------何かとドローンへの風当たりが強くなっている昨今。とはいってもこちらの測量業界にいると、ドローン(というよりUAVと言った方がしっくりくるが)の利用は普通のことなので、あまりそんな感覚もない。コンテストの優勝こそならなかったものの、東京大学チームのアイディアは非常に実践的なものだ。ドローンの強みは低空ならではの高解像度と航空機を使った場合に比べて費用が抑えられる点だろう。広範囲のセンシングには向かないものの、逆に線状のデータ取得にはめっぽう強い。また、人や航空機が近づけない斜面や橋梁の下、鉄塔の近くなどでもデータがとれるので災害時の調査やインフラのメンテナンスといったシチュエーションではこれまで取れなかったようなデータが得られる。そうした条件を諸々考えると、実はドローン(UAV)は日本向けのセンシングプラットフォームなのでは?などと思わなくもない。業界や学会ではこうしたドローンの良さをきちんと具体的な事例として社会に示すことで信頼を回復することも必要になる。「私たちはプロなので任せてください」くらいのことを言っていくべきなのではないか。
2015.07.06
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警備大手セコムは11日、無人機「ドローン」を使った警備サービスを6月から始めると発表した。工場などに不審な人や車が侵入すると、敷地内を自動で追いかけ、車のナンバーや人相を撮影する。固定カメラによる従来のサービスより警備の精度が高まるという。セコムが開発した警備用ドローンは高精度のカメラやLED照明を備え、夜の侵入にも対応できる。外壁などに設けたレーザーセンサーが人や車の侵入をキャッチすると、警備員が現場に急行するとともに、工場の屋上などに格納しておくドローンも自動で出動。対象を一定の距離をとりながら追いかけ、撮影する。送られてくる映像を見たスタッフが犯罪の可能性が高いと判断すれば、警察に通報し、映像も提供する。工場などにドローンが侵入してきた際の対応は今後の課題という。既存の警備サービスを利用している企業や団体を対象に月5千円ほどでドローンを使ったサービスを追加する予定。すでに100件以上の引き合いがあるという。セコムは無人飛行船を使った警備サービスも2016年に始める。20年の東京五輪を見据え、大型イベント向けにドローンと飛行船を組み合わせた警備サービスも売り込む。(朝日新聞より)------------------------------ここのところ何かと話題が多いドローンだが、これを警備に応用しようという記事。これまでも様々なセンサーが警備に応用されているが、いずれも据え置き型。新サービスはセンサーが不審者をキャッチするとドローンが追いかけるというもの。据え置き型センサーとドローンによるセンサーを組み合わせることで警備精度を高めようとする取組。グループ傘下には航空測量大手もパスコもあるのでノウハウは豊富だろう。ドローンはこれまでの据え置き型センサーにはなかった機動力がある。実際に追跡することで効果を上げることはもちろん、評判が高まれば抑止力にもなりそう。
2015.05.12
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首相官邸の屋上に落下しているのが見つかった小型無人飛行機「ドローン」。国内でも普及が進む一方、空港周辺などを除けば、地上から250メートルまでの高さであれば飛行に規制はない。誰が何の目的で飛ばしたのか。不安が広がった。ドローンは元々、敵地の偵察など軍事目的で開発され、米軍などはイスラム過激派に対する攻撃などにも使用している。しかし、近年は研究・商業目的での利用や開発の機運が高まっており、ネット通販大手「アマゾン」は無人機を使った商品の宅配をテストしているほか、IT大手のグーグルも開発を進めている。日本では自衛隊のほか、長野県警がテロ対策と警備目的で利用するために導入。総務省は遠隔操作する電波の混信トラブルを防ぐため、用途に応じて無人機用の周波数を割り当てることを検討している。現行の航空法ではドローンは用途に関係なく「模型飛行機」に該当し、航空機の運航に危険を及ぼす空域でのみ飛行が禁止されている。空港周辺などを除けば地上250メートル、航空路内でも地上150メートルまでの高度であれば、届け出なしに飛ばすことが可能だ。しかし、安価な小型ドローンの急速な普及で、民間企業によるドローンを活用した事業参入が増加しており、トラブルの多発が予想されることから、国土交通省は航空法改正によるドローン運用を規制するためのルール作りを進めている。(毎日新聞より)------------------------------衝撃が走った首相官邸へのドローン落下のニュース。先日ホワイトハウスでも敷地内にドローンが落下した事件があったが、警備の網を張っても空に向けてはどうしても無防備になりやすい。昨年の4月には名古屋市内の繁華街でドローンが墜落する事故があった(幸いにもケガ人なし)。今回の件も同様だが市街地での飛行は危険であり、ルールづくりをはじめとした何らかの対策が必要であるとの声は以前から上がっており、昨年の地球惑星科学連合大会のUAVセッションでも議論がされていた。ドローンはCMやドラマなどでも多用されるなど現在では様々な用途で使用されている。特に測量やセンシングの世界では以前から使用されており、低コストであることも相まって利用は広がりつつある。災害現場など人が近づけない場所でもドローンであれば撮影可能なことから、昨年の広島土砂災害や御嶽山噴火災害の現場でも使われた他、2011年の東日本大震災の際に福島第一原発でも使用されている。また、福島では放射線量計測にも投入されており、急斜面など人力では観測が難しい場所を中心に使われている。今回の件を受けて今後何らかの規制がされる方向へ進んでいくことになるだろうが、災害現場も含めた測量・センシングにおけるメリットを放棄するような規制にならないことを願いたいが。
2015.04.23
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衛星による地球観測と地表での監視データを利用して、マラリアなどの寄生虫やそれに関連した病気の予測、調査、管理を行う方法が登場するかもしれない。オーストラリア国立大学を中心とする研究グループは、カリフォルニア、サンノゼで開催された米国科学振興協会(AAAS)年次総会で、2015年2月14日に報告した。●感染症などの病気は環境変動の影響を受ける。衛星や地表での観測データから、自然環境または人の関係している環境、温度、降水量、湿度、雲量などの気候と天候、土地の人工物で覆われている状況、土地の利用、植物の生育状態、土壌、標高などに関する情報を得ていく。●その上で、環境要因と病気の発生パターンの関係を分析して関係を割り出す。データをリスク予測やアウトブレイクの早期警告、気候変動による健康に対する影響の予測などに活用可能としようという動きを進めているようだ。今回の学会発表では、例として、コウモリが媒介しているエボラ出血熱を含めて、生物が媒介する人獣共通感染症のデータを使いながら、地球観測データを病気の監視と管理に用いる最新の手法を説明している。監視予測システムを構築するためには、気象学者、地理情報専門家、生物統計学者、疫学者、健康政策研究者、政策決定者などが分野を超えて協力する必要があるという。(Medエッジより)------------------------------ちょっと奇想天外にも思えるけどアプローチとしては面白い。病原菌と環境の因果関係を解明できれば様々な対策にもつながることになる。実際に気温の上昇などが病原菌に影響を与えることは自然なこと。それ以外にも因果関係を解くカギは観測データの中に隠れているのかも知れない。記事にもあるように、さまざまな学術分野が垣根を越えて知見を出し合うことが必須になる。そしてGISはその中でも重要な解析ツールであることは間違いないだろう。ただ、(アーカイブデータを使うにしても)データの集積にはそれなりに時間はかかりそう。長い目で見る必要はありそうだ。
2015.03.02
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都内在住の会社員・Sさん(仮名・45才)は、放置していた虫歯が悪化して歯科クリニックを受診した。レントゲンを見た若手の歯科医は、「これはひどい。早く抜いてインプラントにしましょう」と早口で言った。インプラントとは、顎の骨にチタン製のフィクスチャー(ネジ)を打ち込み、その上に人工歯をのせる治療法のこと。基本的に保険がきかない自由診療で費用は1本30万~500万円と幅広い。いきなりの提案に戸惑うSさんに歯科医は畳みかけた。「『通常は1本50万円ですが、今回は特別に値引きしますよ。40万円で処置します』と言われました。その後も、『じゃあ検査日を予約しましょうか』と一方的に話を進めるんです。私は『予約は電話でします』と言ってその場から逃げ出しました」(Sさん)悩んだSさんは友人に相談して後日、腕がいいと評判の歯科医を訪ねた。「初老の医師は口のなかを丁寧に診察し、『インプラントなんてとんでもない。充分、残せる歯です』と言いました。それで歯医者を変えて現在も治療を続けています。危うく最初の医師の営業トークに騙されるところでした」(Sさん)一部の悪徳歯科医はあの手この手で治療費アップをねらう。『この歯医者がヤバい』(幻冬舎新書)の著者でサイトウ歯科医院(東京・渋谷)の斎藤正人院長の知り合いにはこんな歯科医がいる。「初診で来た患者さんの自宅を『グーグルマップ』の航空写真で検索し、住んでいる地域や自宅の外観から患者さんの収入や暮らしぶりを推測するんです。お金持ちなら高額の自由診療を勧められますからね。彼は『小さなマンションだとガッカリだけど、一戸建てだと俄然、やる気が出るんだ』とうそぶいてますよ」(斎藤さん)一方でこんなもの哀しいケースもある。「とくに競争が厳しい東京や大都市近辺では歯医者が夜逃げすることがあります。歯科技工士や歯科材料問屋の営業マンが電話しても、営業時間内なのに誰もでない。不審に思って駆けつけると医院は見事にもぬけのカラです。高額の診療機器やレントゲン機器、細かな備品にいたるまで何もかもリサイクル業者に売り払い、すべての支払いを踏み倒して姿を消すんです」(斎藤さん)(NEWSポストセブンより)------------------------------週刊誌の記事なので誇張はあるとしても、こういうことがあるだろうなと考えてしまうくらい自分も歯医者についてはハズレが多い。ヤブ医者と言っては失礼かもしれないが、実際に「これは失敗した」と切実に感じた歯医者は多いし、そういうところは後で評判を聞くと「あそこはヤブだよ」ということも多々ある。そして治療技術以上に不思議なのが治療費。歯医者によって全然違うのはなぜだろう。などと考えてこの記事を読むと妙に納得してしまうのだが(もちろん自分が当たった中でもいい歯医者さんも何人かいます)、地図や衛星画像のこういう使い方があったのかというのは発見だった。というか、地理空間情報がこういう形で利用されるのであれば個人情報を守るといっても限度はある。気をつけようもないが、生活というのは見られたくなくても見えてしまうということか。
2015.01.12
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チンギス・ハンが死後、埋葬された場所は国家の最重要機密とされた。埋葬場所が特定されぬよう、埋葬に関与した兵士は埋葬後に自害したと言われているほどだ。埋葬されたとされるブルカン・カルドゥン山は、現地の反対などから現在でも発掘調査などは行われていないという。しかし、考古学的に考えればチンギス・ハンの墓は重要な役割を持つ。「現代のインディ・ジョーンズ」とのあだ名を持つAlbert Yu-Min Lin氏は、墓をひっくり返すことなく、また何も触らずに墓を探す方法を考え出した。超高解像度の衛星や航空写真、モンゴルの測量データなどを組み合わせて当時の3Dイメージマップを作成し、多くのボランティアによる視覚的分析で人間がアクセスしやすい場所を見つけ出すという手法であるようだ。墓を具体的に見つけ出す手法については発表されていないものの、発掘せずに調査を進める手法は他の調査でも有効となる可能性がある。(slashdotより)------------------------------衛星画像とクラウドソーシングによるボランティア捜索といえば昨年のマレーシア航空機捜索が記憶に新しいが、まさか墓探しとは…もっとも、国内ではレーザー測量と赤色立体地図を使って発掘することなく古墳の調査を行っており、空間情報技術が墓探しに使われた例がないわけでもないが。ただ、一方でモンゴル政府や地元の人々が探されたくないと考えているのだとすれば、いくら手法があるとはいってもあまり気が進むものではない。今回提案された方法は昨年のマレーシア航空機の例でも分かるように、ボランティア心をくすぐるやり方ではある。墓に限らず、衛星画像+クラウドソーシングでボランティアによる様々な捜索が可能であることは確かで、今後様々なユニークな試みが出てくるのかも知れない。かつては(画像やツールが高価だったこともあり)こうした作業は専門家の領域だった。それが今では多くのボランティアが気軽に参加できるようになったのだから、空間情報技術が社会で普及・浸透していることの表れなのかもしれない。
2015.01.10
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日本の人工衛星の観測データを、途上国の感染症対策に生かす試みが始まり、途上国や世界保健機関(WHO)の期待が高まっている。宇宙からとらえた地形データをもとに、ウイルスを含む可能性のある水の流れを把握することによって、感染源の調査などに活用できるという。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は昨年7月、WHOの要請を受け、陸域観測技術衛星「だいち」(2011年運用終了)の観測結果から作成した西アフリカの地形データを提供した。だいちは、災害時の被害把握にデータを利用したほか、地球全体の地形データを収集した。WHOから求められたのはナイジェリアのデータ。同国では、下水を採取してポリオウイルスの有無を調べ、感染源や流行地域を推定している。しかし、下水道が整備されていないため、下水は地形に沿って流れ、採取地点の選定や排出源の把握が難航していた。WHOは、5メートル単位で高低差などを見分けられるだいちに着目。地形データから下水の排出源や流れを割り出し、効率的な採取地点を探せるようになった。排出源の面積が、従来の分析より5倍広がった地域もあったという。WHOは「地形が入り組んだ都市部でも役立つ」と評価している。JAXAは今後、エボラ出血熱などの患者を医療機関に搬送する最短ルートを決める際にも、データ活用を提案する予定だ。JAXA衛星利用推進センター国際業務推進室の矢部志津・主任開発員は「衛星データは、標高図や航空写真が整備されていない途上国で需要が高まっている。今後も、公衆衛生分野での活用を提案したい」と話す。(毎日新聞より)------------------------------「だいち」の成果が思わぬところで利用される。クライアントはWHOで使用されるのは画像ではなく全球地形データ。記事のタイトルから「下水?」と思ったのだが、我々がイメージする下水でなく、下水道が整備されていないゆえ下水が地形に沿って流れる、という意味。確かに自然に流れるのであれば、下水網すなわち地形による水系ということになる。水質調査と地形を組み合わせることで感染元や感染経路を特定しようという試みは異分野における地理空間情報データ利用の可能性を示す事例になる。運用が終了してからもこうした利用例が出てくる(それも海外で)のは「だいち」のプロジェクトとしての評価を高めることになるだろう。今後はこうした事例をベースとして、異分野利用を呼びかけていくことも大事。
2015.01.05
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気象庁は18日、10月に打ち上げられた静止気象衛星「ひまわり8号」が初めて撮影した画像を公開した。静止気象衛星から地球を撮った画像では、世界で初めてのカラー画像となる。気象庁によると、10月7日に打ち上げられたひまわり8号は、赤道上空約3万6千キロを地球の自転にあわせて周回する静止軌道に入り、現在、機能確認の試験を続けている。現在運用している「ひまわり7号」はモノクロ画像。8号ではカラーになり、解像度が2倍に向上する。2015年7月ごろ、7号から観測業務を引き継ぐ予定という。(朝日新聞より)------------------------------カラーになったこと、解像度が上がったことも含めてか、今までの気象衛星の画像とはまた違う印象。筋状の雲が見事で、雲から日本列島の形を何となく読みとれるのも面白い。カラー化によって黄砂と雲の区別がつきやすかったり、火山灰のモニタリングなども行いやすくなる。撮影間隔も10分間と現在のものより3倍速く(狭い範囲なら2分半ごとに撮影可能)、急速に発達する積乱雲などの観測精度の向上も期待できるという。観測の強化で少しでも減災が進んでくれたらいい。もちろん、そこには得られた気象情報の伝え方も大きく関わってくるのだが。
2014.12.19
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日本の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が世界各地の大都市の人為的な二酸化炭素(CO2)高濃度排出量を捉えた。2009年6月~12年12月の3年半に観測した「いぶき」データを解析して、世界の大都市などでその周辺よりCO2濃度が高い傾向を明らかにした。衛星からの監視が、地球温暖化対策の基礎になるCO2排出量の観測に有効なことを実証した。国立環境研究所と環境省、宇宙航空研究開発機構が12月5日発表した。気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP10)が開かれているペルーのリマでも同時に公表した。「いぶき」は世界初の温室効果ガス観測専用の衛星で、CO2とメタンの濃度を宇宙から全球で観測して、炭素循環の将来予測の高精度化への貢献を目指して09年1月に打ち上げられ、現在も観測を続けている。今回、3年半にわたる観測データを蓄積して、世界各地の大都市で高いCO2濃度を確かめた。化石燃料消費データから算出した排出量との間に強い相関があったことから「いぶきは化石燃料消費によるCO2濃度上昇を捉えている」と結論づけた。CO2の大気中濃度は産業革命前に比べて1.4倍の約400ppmに達して今も増え続けて、温暖化をもたらしている。火力発電所や大都市での化石燃料消費がその主因と考えられており、こうした大規模発生源での人為的なCO2排出量を精度よく監視することが必要になっている。CO2は、植物による光合成や森林火災、海洋による排出・吸収などの影響も受けるため、人為的な排出量を自然の排出量と区別しなければならない。そこで、「いぶき」観測・解析チームはまず、地上の火力発電所などのデータから、人為起源CO2排出によるCO2濃度の時空間分布を推定して、「いぶき」によるCO2排出データと照合した。人為起源CO2排出の影響を受けていると判断された大都市のデータと、その周辺で影響を受けていないと判断されたデータの差の平均値を求め、さらに森林火災や植物の影響などを除いた数値を人為起源CO2濃度として、世界地図上にプロットした。その結果、北米とアジアの大都市で高いCO2排出量が浮かび上がった。2ppm程度のCO2排出増加が観測された大都市が中国や北米に点在していた。人為起源CO2の最大値が最も高かったのはロサンゼルスの4.5ppmで、中国の天津やハルビンなどの3.8ppmが続いた。ただ、課題もある。「いぶき」は晴天でないと観測できないため、雲が多い日本や欧州のデータは十分に取得できず、人為的CO2排出量に関して「衛星観測の空白域」が残された。国立環境研究所で「いぶき」の後継機(GOSAT-2)を担当する松永恒雄(まつなが つねお)室長は「今後も観測を継続して精度を上げ、日本や欧州などのデータの空白域を減らす。また、2017年度に打ち上げる予定の『いぶき後継機』では、性能をさらに上げ、宇宙からCO2などの温室効果ガスの大規模排出源を定常的に監視できるようにしたい」と話している。(ハフィントンポストより)------------------------------大都市の人為的なCO2高濃度排出量を捉えたことは大きな成果。環境問題についての定量的な評価の道が開けたことは非常に意味のあること。化石燃料消費データとの相関が確認されたことも重要だ。一方で空白域の問題は大きな課題でもある。衛星での観測なので、雲量の影響を受ける地域はどうにもならない。別の方式と併せたハイブリッド観測のような形が評価ができるかどうかが今後の課題のひとつか。もちろんこうした定量的モニタリングは、継続的にデータをとり続けることが重要。精度を上げることはもちろん大事だが、それ以上にデータの蓄積に意味があるのではないか。地球温暖化との関係の検証や今後の対策を導く上でも、モニタリングの継続とその評価手法がひとつのポイントになりそうだ。
2014.12.12
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地上の動きが即座にわかる「衛星動画」を提供するSkybox Imaging社は今年8月、グーグルに買収された。両社は、非営利団体向けに一部の画像を提供し、一般にも無料公開を開始した。グーグルは2014年8月、Skybox Imaging社を傘下に収めた。Skybox社は、人工衛星によるHD映像データと、地図APIとを組み合わせ、地上の動きが即座にわかる「衛星動画」サーヴィスを提供している。グーグルはこのほど、Skybox社によるHD衛星画像の一部を、非営利団体向けに提供し始めた。これは、Skybox社がすでに行ってきた人道支援分野での活動の一部を、グーグルが正式化したものだ。新たに立ち上げられたスキーム「Skybox for Good」は、環境問題や戦争、難民の保護等のために、状況とその変化をモニタリングできる最新の画像を必要とする各種団体のニーズに応えることを目指している。2013年11月に打ち上げられたSkybox社の人工衛星「SkySat-1」は、それから1年も経たないうちに、例えばグリーンランドのヘルヘイム氷河のような場所の観測を通じて、気候変動などの問題の理解に不可欠な画像を数多く撮影してきた。また、同社はハーヴァード大学による人道支援イニシアティヴ「シグナル・プログラム」にも協力し、東アフリカや中東の国内避難民キャンプを管理する団体等向けに衛星画像を提供している。同社の衛星画像を利用したいと願っていた人々にとって、これは朗報だろう。パートナーへの提供を目的として収集された画像は、すべてクリエイティヴ・コモンズのライセンシングのもとで無料公開もされるからだ。ただし、現時点ではまだベータ版で、一部の限られた団体と、どのような画像が有用かを検討中で、近い将来、さらに拡大されることになっている(「Google Earth」から「Skybox for Good」の公開エリアをクリックすれば、数MBのTIFファイルをダウンロードできる)。真の意味でオープンソースな地図とストリートヴューのデータを求めるのであれば、「OpenStreetMap」や「Mapillary」を利用したほうがいいだろう。だが、重要な変化のモニタリングに役立つ最新のデータを必要とする人道活動団体にとって、Skybox for Goodが欠かせないものになるのは間違いない。(WIREDより)------------------------------これは…現時点では非営利団体へのいわば条件付きオープンデータというところだろうが、将来的に広がっていく可能性はある。これだけの分解能で画像が提供されれば様々な調査解析に使用できるだろう。衛星画像の強みでもあるモニタリングという面でも研究者にとってはありがたいことなのではないか。もっとも衛星画像ビジネスにとっては衝撃的な展開でもある。記事にある「重要な変化のモニタリングに役立つ最新のデータを必要とする人」も今後広がって来るのかも知れない。誰もが手軽に地球をモニタリングできる時代…になるのだろうか。
2014.10.31
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株式会社NTTデータとNTT空間情報株式会社は20日、商用としては世界最高の解像度で画像撮影が可能な米DigitalGlobeの地球観測衛星「WorldView-3」の衛星画像を提供開始した。WorldView-3は、地上分解能31cmの「パンクロマチック画像センサー」を搭載し、航空写真と同精度の衛星画像が撮影可能。建物や車の車種の識別のほか、施設・設備の状況、樹木一本一本を判別できるという。また、商用世界初の16波長帯の「マルチスペクトル画像センサー」を搭載。一般的な衛星で観測できる青、緑、赤、近赤外の4つの波長帯に加えて12の波長帯を観測できるため、土地利用の変化の検出、農作物の生育状態の把握、資源鉱物の検出などに利用できる。薄雲などの影響を軽減し、鮮明な画像に補正する「大気補正センサー」も搭載。異なる天候下で観測された複数の画像を比較できるようになるため、土地種類の識別や変化の検出がより容易になるとしている。両社は、WorldView-3衛星を含む衛星画像提供サービスについて、2016年までの累計で50億円の売上を目指す。価格は、31cm解像度パンクロマチック画像の場合で1平方キロメートルあたり5200円(税別)から、40cm解像度で3000円(税別)からとなっており、解像度、波長帯の数、新規撮影の有無で変動する。また、斜めからの撮影の場合、31cm解像度を活かせないため40cm解像度での提供となる。NTTデータの画像処理技術や「全世界デジタル3D地図提供サービス」、NTT空間情報の電子地図サービスなどの組み合わせにより、日本企業の海外進出時の地理空間情報のほか、地図作成、自然災害への対応、資源探査、森林や農地の管理などの利用を想定している。(INTERNET Watchより)------------------------------ほんの少し前まで、光学衛星の地上分解能はパンククロマチックで1mを切れば凄いことだった。実際に日本の「だいち」は2.5m。それでも2万5千分1の地形図作成に利用されていたし、1mを切ればかなり詳細なところまで図化が可能だった。いわゆる空中写真によるデジタル図化においても、縮尺3万分1の写真を一般的な20ミクロンでスキャンした場合の地上分解能は60cm程度。それで2万5千分1レベルの地図には十分な分解能だった。それだけに31cmであったり40cmであったりという数字は衝撃的であり、より大縮尺への適応も可能になる。加えてパンクロマチックセンサーだけでなく、16波長帯(一般的には4波長帯)のマルチスペクトルセンサーを利用すれば情報量は膨大で、さまざまな応用的な利用シーンが考えられる。衛星は同一軌道で地球を周回できるので、同じ場所をモニタリングするようなミッションでは強さを発揮する。これは撮影の都度航空機を飛ばさなければならない空中写真に比べて有利な点で、災害時などに発生前の状況と比較することが容易だ。また、NTTデータやNTT空間情報のサービス群との組み合わせによる様々なソリューションが提供可能な点も大きい。ネックを挙げるならば値段か。これは商業衛星である以上仕方がないが、1平方km2あたり5200円ということは、2万5千分1地形図1面分(おおよそ100km2)なら52万円。それなりのプロジェクト規模がないと利用は難しいかもしれない。ともあれ、商業衛星による画像でこれだけの分解能が実現したことは大きな一歩。今後どのような利用シーンへ営業展開がされていくのか、興味深い。
2014.10.22
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福島大は17日、NTTデータ、イバラキ・エアポート・エンタープライズと共同で、国内で初めて開発した自動操縦の無人飛行船を報道陣に公開した。上空から空間放射線量を詳細に計測できる。 飛行船は同大環境放射能研究所の渡辺明特任教授が考案。全長約15メートル、最大幅約5メートルの大きさで、バッテリーやガソリンエンジンにより約2時間の連続飛行ができる。予定したルートを自動で飛行し、地上から高さ1メートルの空間放線線量を計測する。 従来のヘリコプターや航空機を使った計測に比べ、低空をゆっくりと飛行するため精度の高い観測ができる。船体に穴などが開いた際にもゆっくりと降下していく仕組みを採用し、重さは10キロ程度と住宅街などの上空を飛行する際の安全性も高い。 飛行船は今後、これまで詳細な放射線量が観測されていなかった森林域の計測や、高線量地域からの放射性物質の飛散状況を分析するために活用する。(福島民報より)------------------------------世の中はちょっとしたUAVブームだが、機能性と安全性を兼ね備えた飛行体はもっと注目されてもいい。測量プラットフォームとしての飛行船の可能性はどうなのだろうと検索してみたら最初に自分の記事がヒットした(笑)かれこれお7年前の記事だ。飛行体としてのメリットはこの時の記事でも紹介しているが、この頃からそれなりに時間が流れて、光学衛星は代替わりして進化しているが、飛行船を使った測量はその後も目立った事例が出てきていない(というより汎用化していない)。放射線量測定という、特殊なミッションの中ではそのポテンシャルを発揮することができるのだろうか。機能面や安全面はもちろん、コスト面も含めて可能性のある成果がでることに期待したいが。
2014.10.19
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無線操縦の小型無人ヘリコプターによる写真・動画の空撮が急速に広がっている。安価で高性能な機体が普及し、災害時の情報収集やインフラ施設の点検、遺跡発掘現場の測量などで実用化が進む。ほかの分野でも活用が期待される一方、事故防止や安全確保に向けたルールづくりを求める声が専門家の間から上がっている。(峰大二郎)複数のプロペラを備え、「マルチローターヘリコプター」などと呼ばれる。機体を制御する技術が向上し、衛星利用測位システム(GPS)で飛行経路を自動的に決められるなど操縦も容易になったという。8月中旬に兵庫県丹波市を襲った豪雨災害では、産業用無人ヘリの指導資格を持つ前田太陽さん(46)=同市柏原町=が幅35センチ、重さ1キロの機体に小型カメラを載せて撮影。「冠水した場所が一目瞭然だった」といい、動画投稿サイトで被害状況を発信した。測量関連機器を販売する「神戸清光システムインスツルメント」(神戸市中央区)は太陽光発電施設や高速道路の建設現場などの撮影に無人ヘリを活用。今年5月に同社展示会で撮影機器などを紹介して以降、問い合わせが相次いでいるという。企業、個人を問わず利用が広がる中、安全性の確保が課題になる。名古屋市では今年4月、事前許可が必要な地域を飛行中の無人ヘリが墜落。けが人はなかったが、操縦の男が航空法違反容疑で書類送検された。国土交通省航空局によると、小型無人ヘリは航空法上は模型航空機と同じ扱いになる。同局は「民間での導入事例や動向をみながら、法整備が必要かどうか検討する」としている。マルチローターヘリコプターを研究する野波健蔵・千葉大特別教授(65)=ロボット工学=は「危険な場所を避け、プライバシーに配慮するなど操縦者のモラルが求められる。法律で厳しく規制するのではなく、講習や訓練を受けた人が飛ばせるような仕組みにするなど、自主的に基準を定めていくことが望ましい」と話す。小型無人ヘリ 「ドローン」「無人航空機(UAV)」などの呼称もある。米インターネット通販大手アマゾンが昨年末、機体に商品を取り付け、配送する計画を発表したことで一気に注目を集めた。機種は10万円以下で購入できる個人向けから、数百万円の業務用まで幅広い。航空機の安全のため空港周辺に設けられたエリア外で、航空路内は地表・水面から高さ150メートル未満、航空路外は250メートル未満であれば事前の届け出なく飛行可能とされている。(神戸新聞より)------------------------------今やさまざまな場面で利用されるUAV。普及が進めば諸々の問題が出てくるのは仕方のないところ。とはいえ、空を飛ぶ以上は安全面に大きく関わること。こうした問題はこの春に行われた日本地球惑星科学連合大会のUAVリモートセンシングセッションで千葉大学環境リモートセンシング研究センター近藤昭彦教授も指摘していた(名古屋の事故の直後だったこともあるだろう)。実際に墜落実験等も行いその影響を解析していたので印象に残っている。UAVには測量・リモートセンシングからアプローチするグループと、名古屋で事故がそうであるように操縦からアプローチするグループがあり、両者を包括する形でガイドライン等のルール作りを行う必要がある。今後ますます利用が広がる分野でもあり、早い段階で自主的なルール作りに着手したいところ。このあたりがクリアされないと一般の人の指示を得られないのではないか。
2014.10.14
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東北芸術工科大東北文化研究センター(山形市)は、東日本大震災の津波被災地などの集落の様子を空中写真で紹介するウェブサイト「空から見た東北」の公開を始めた。一般的な航空写真と異なり、垂直方向ではなく斜めから撮影しているのが特徴で、地形などを立体的に把握できる。センターは「集落の全体像を理解する一助にしてほしい」と呼び掛ける。公開している津波被災地の写真は、宮古市田老地区から塩釜市まで約400枚。山形県内の集落を写した約340枚も載せた。主に2012年11月から昨年6月にかけて、センターの研究員らが小型飛行機に搭乗し、高度1000メートル付近から撮影した。被災地の市街地や、小さな漁村集落などを細かく写した。斜め方向から捉えることで、リアス式海岸に多い斜面に形成された集落や、土地利用の状況などが視覚的に理解しやすくなったという。写真はセンターのホームページ(HP)のアーカイブスのコーナーで公開。地図上をクリックすると同じ場所の写真が表示され、自分の住む地域の様子などを手軽に見られるようになっている。同センターは12年度から、東北地方の集落の形成や変遷をテーマとした研究プロジェクトを展開。今後、数年ごとの定点撮影などを行い、随時、写真を公開する予定だ。センターの蛯原一平講師(生態人類学)は「今後、高台移転などで集落の姿が大きく変わる。地域の変遷や復興の記録として多くの人に利用してもらい、震災の風化防止につなげたい」と強調する。連絡先は東北文化研究センター023(627)2168。(河北新報より)------------------------------記事では「津波被災地の写真を公開」と書かれているが、HPを見るとアーカイブス自体は被災地に特化した目的ではなく、東北各地の集落の現状を把握するためとある。集落の景観は人々の自然利用や生業形態など、地域の暮らしを理解する重要な手がかりであるが、その場所に立っても集落の全体像をつかむのは難しい。そこで、空から(航空機または高台から)俯瞰して景観を理解するために撮影・アーカイブ化を行ったという。東北では震災復興はもちろん、過疎化が進む中で集落再編や地域再生のあり方が問われていることもあり、そのベースとなる集落の現状を知ることは第一歩となる。どの写真も集落とその環境を把握する資料として優れた写真。地図上から写真に飛ぶことができて、写真には撮影ポイントの経緯度の情報が記されている(ただし撮影ポイントを示す経緯度で、写真に写っている場所を表していないので注意)。定点観測的に時期を変えて同じ場所から撮っているものもあり(いずれも高台からの写真)、経年変化や季節の変化が追える。一つ残念なのが公開されている写真がオープンデータとして複製・引用・再配布等が認められていない点。申請して許諾をもらえれば可能なのかも知れないが、著作権は当然尊重されるものととして、研究機関だけに、自由に利用できればそこから派生する取組も出てきそうだが。
2014.08.31
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急速に人気が高まりつつあるドローン(無人機)の飛行禁止区域を示した双方向地図が登場した。空港や軍事施設、国立公園など、飛行できない場所は赤で示されている。ドローン(小型無人航空機)の人気は、企業や政府、市民の間で急速に高まりつつある。だが、ドローンを飛行させていい場所、時間、目的に関するルールは明確になっていない。米連邦航空局(FAA)は、ドローンの管轄権を強めようとしており、すべてのドローンの操縦者にライセンスを義務づけるべきだと主張しているが、ドローン・ユーザーと一部の法律専門家は、ドローンはFAAの管轄外だと主張している。FAAは最近、ヴァージニア大学で空中撮影を行っていたドローン操縦者に10,000ドルの罰金を課したが、国家運輸安全委員会(NTSB)の審判所は2014年3月、現在のFAAにはドローンに関する規定が無いとして、この罰金を取り消した。またFAAは、行方不明になった人を捜索する際にドローンを利用していた非営利団体に対して、ドローンの利用を禁止。この団体は2014年4月に、禁止取り消しの申し立てを行った。ドローンの飛行の合法性に関して曖昧な状況や対立が続く中、Mapboxは、ドローンを合法に飛ばせる場所はどこなのかという人々の疑問に答えるため、わかっている範囲でのドローンの飛行禁止ゾーンを双方向地図にまとめた。地図上の赤いゾーンのほとんどが、空港、軍事施設、国立公園の近くだ。Mapboxは、収集したデータを誰にでも使用できるようにしている。また、地図に載っていない飛行禁止区域を知っている人は、同社が「GitHub」で開始したパブリック・リポジトリに、そのデータを追加できる。ただし、この地図の情報は限られている。例えば、米国の核兵器研究所のひとつであるローレンス・リバモア国立研究所の周囲には、禁止ゾーンとしてマークされた区域はない。しかし、ドローンを持っている人は、この研究所が2006年にガトリング砲を入手したことを知っておいた方がいい。射程距離はおよそ1.6kmで、1分間に4,000発を発射できる。わたしが直接確認したところ、ローレンス・リバモア研究所は、周辺でのドローン飛行は許可していないと述べた。わたしは現在、ほかの施設について、エネルギー省への問い合わせを行っている。なお、『WIRED』の前編集長であり、現在は3D Roboticsの最高経営責任者(CEO)でDIY Dronesの創設者でもあるクリス・アンダーソンは、2007年に、ローレンス・バークレー国立研究所のサイクロトロンをドローンで撮影しようとして失敗し、敷地内の木にドローンを激突させて騒動になった。ローレンス・バークレー国立研究所は核兵器とは無関係だとはいえ、ドローンの操縦者が巻き込まれうる危険はあらゆる場所にあるのだ。(WIREDより)------------------------------飛行を禁止する理由として考えられるのは・(飛行の)安全面・プライバシー等・機密情報など様々な視点がある。記事の最後のくだりのクリス・アンダーソン氏の騒動はスパイの嫌疑とのこと。これは研究機関や軍事施設など、機密を扱う場所という意味が強い。アメリカではこのケースが最も多いだろうか。日本でもUAVにからんで様々な課題が出てきているが、現状まだルール作りが追いついていない。名古屋の市街地での墜落事故(幸い人的被害なし)もあり、安全面からの飛行禁止エリアの設定は急いだ方がよさそうだが。低空を飛ぶことが多いわけだから、プライバシーも重要な論点になる。個人宅の詳細が撮影されるのはあまりいい気がしないし防犯セキュリティーの面でも問題だろう。Googleストリートビューが登場した頃は車のナンバーや干してある洗濯物が写ることも抵抗された経緯がある。また、例えば温泉の露天風呂を撮影するようなケースも考えられないわけではない。このあたりどこで線を引くのかが難しい。ガチガチに縛ってしまうと仕事にならなくなってしまう。安全面や機密についてはある程度ルール化した上で、プライバシー面には業界等でガイドラインを設けるような自主規制が妥当な線か。
2014.07.31
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航空写真を防災に役立ててもらおうと、千葉工業大工学部の小泉俊雄教授(67)らが、液状化被害と土地の性質の関連について分析した書籍「航空写真で現在(いま)の土地を読む」(彰国社、税別1850円)を出版した。過去と現在の航空写真を比べることで、土地の変遷とともに災害時の危険性が見えてくるといい、「居住地の安全性の確認や土地選びの参考にしてほしい」としている。小泉教授は測量学が専門。航空写真や人工衛星の技術を駆使した測量方法の研究開発などに取り組んでいる。過去には、原爆投下前後に米軍が撮影した広島市街の航空写真を基に、焼失した建物のデータや被害分布の詳細を明らかにした。平成23年の東日本大震災では大学のある習志野市などで深刻な液状化被害が発生。「地震との関わりが深い日本に住み続ける上で、大切なのは自分たちの足元を見つめ直すこと」と感じ、表面的には見えづらい土地本来の性質と液状化の関連を探るため、過去の航空写真や地形図を使った調査を行うことにした。浦安市や千葉市美浜区など液状化被害のあった地域に赴いて作った被害分布図を、地形図や海を埋め立てる前の昭和20~30年代の航空写真と重ね合わせると、かつての海の深さや、埋め立てた時期・工法によって被害に差がある傾向が浮かび上がった。香取市など内陸部では、水田や川があった場所にできた住宅地に被害が集中したことも判明した。小泉教授は「土地の過去の状況を知ることで、ある程度災害に強い場所かどうかを判読できる」と指摘する。本には航空写真の読み方や活用方法、地形や地図に関する知識を豊富に盛り込んだ。「まずは、自分の住んでいる土地と防災に興味を持って航空写真を見てほしい」と話している。(MSN産経ニュースより)------------------------------小泉先生は測量の世界では大変な有名人だが、こういう形で航空写真利用の啓発に取り組まれているのは知らなかった。実際、防災に関して古い航空写真が有効であることは様々な事例で実証されているし、土地条件図の作成にもこうした手法は使われている。もっとも古い航空写真で液状化箇所や浸水箇所の土地の特性が言われるのはどうしても事後(災害が起こってから)というケースが多いのも事実。調べればある程度分かることのなのだから、自らの住む土地の特性を知ることももっと啓発されてもいい。東日本大震災以降は住宅購入者が事前に古い地図や航空写真を調べるようなケースは増えた。それでもまだまだ土地の性質を知ることの重要性を知る人は少ない。こうした書物が少しでも関心を集めればいいのだけど。
2014.07.06
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ソフト開発のファン・タップ(京都市上京区)は、有名マラソン大会のコースを音声や地図で案内し、利用者同士でタイムを競うスマートフォン用アプリを3日から提供する。第1弾として、京都マラソンのデータを販売する。応募者が集中し参加できないマラソン大会が多く、「出場できなくて残念」とのランナーの声に応えて開発した。スマホの衛星利用測位システム(GPS)を使い、交差点や折り返し地点などのポイントで「次の信号を直進してください」「1キロ先を右折です」などと音声で指示する。ランナーの位置や走る速度を分析するという。信号待ちの間は計測時間を止め、最寄りのトイレやコンビニを示す機能も備えた。同じコースの走者の中で年代別、男女別の順位を確認できる。利用料は1コース300円。今後、北海道マラソンやつくばマラソンなどのデータ化を予定している。(京都新聞より)------------------------------疑似マラソン大会に参加するイメージだろうか。アプリでそれを実現する発想は面白い。「応募者が多くて参加できない人の声に応えて」という開発動機がいじらしい。利用者同士でタイムを競うというのもゲーム的だけどモチベーションにはなる。ユーザーに妄想力があればなおいいだろう(笑)この手の疑似大会であれば市民マラソンだけでなく、有名な競技マラソンのコースをやってみても面白いかも。トップランナーに挑戦する兵がでてきたり。このアプリからオリンピック選手を輩出、なんてことになれば楽しいけど。
2014.07.03
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みなさん、goo地図って使ったことありますか? 意外と知られてないんですが、goo地図では「昭和22年地図」や「昭和38年地図」など古地図(というか航空写真)を表示することができるんです。東京の一部に限りますけど。 他にも明治時代の地図(こちらは普通の地図です。さすがに)、江戸時代の切地図もありますが、そちらはまたの機会に。 で、その古地図、どんな感じかというと、 昭和22年地図を見て見ますと……白黒です。意外としっかりと見えています。 昭和22年(1947年)といえば、太平洋戦争が終わってわずか2年後。 ここは千代田区の内神田なんですが(元記事参照)、空襲で焼けたんでしょうか、東京駅まで徒歩圏内の一等地なのに、でっかく空き地になってます。 ちなみに、現在の地図表示を重ね合わせて表示することもできます。 で、で、何をしたいかというと、この昭和22年地図と昭和38年地図という2種類の古地図と、現在の地図を比較して、東京の街の移り変わりを見ていこうじゃないかと思うわけです。 では早速、、、 ●まずは日本橋 東京を代表する有名な橋のひとつです。 Wikipediaによると、 “東京都中央区の日本橋川に架かる国道の橋。日本の道路元標があり、日本の道路網の始点となっている。橋梁としては現在19代目にあたる。石造二連アーチ橋で橋の長さ49m、幅27m……” 1603年に架けられてから、度重なる火事により何度も架け替えられ、現在の19代目の橋は明治44年(1911年)に架けられたものなんだそうです。 で、ご存じのように、現在では橋の上を首都高速が通っていて、 航空写真では、ほぼ見えない状態になってます(冒頭の画像左側)。 しかし、同じ場所を昭和22年地図で見てみると、 じゃ~ん。全開。。。上空から日本橋が丸見えです(冒頭の画像右側)。車道が5車線(現在)あるだけに、幅広い。全然クルマ走ってないけど。 そして、次は昭和38年(1963年)、 おっと、これは……。日本橋川の上で何か工事中のようです。 そうなんです、ちょうど首都高速の建設工事が行われているところだったようです。日本橋の直上に首都高速が架かったのが、この昭和38年。翌年の昭和39年(1964年)に開催される東京オリンピックに備えて、街が急ピッチで整備されたころでした。 ●続いては、お台場です お台場といえば、レインボーブリッジが架かり、球体がシンボルのフジテレビ本社ビルがあったり、アミューズメント施設やショッピングモールなどがある、おしゃれスポットとして知られています。 でも、本来のお台場というのは、 四角や六角形の台場と、細長い防波堤からなる江戸時代の建造物のことですよね。 米国のペリー率いる黒船艦隊が、江戸湾へ入港してくるのを阻止しようと大砲を設置した人工島がこの台場です。結局はほとんど無用に終わってしまいましたが。 それでは、このお台場周辺、昭和38年当時はどうだったかというと、 写真がちょっと見づらいですが、埋め立て地が現在よりだいぶ少ないですね。もちろん、レインボーブリッジはまだ存在してません。 そして、中央やや下、防波堤に接して五角形の“何か”があります。 なんでしょう? よく分からないので拡大してみると、 どうやら、材木を浮かべてるっぽいですね。材木を保管する貯木場ってヤツです。 調べてみると、「第三台場貯木場(お台場貯木場とも)」というらしく、昭和30年代前半に作られ、昭和58年(1983年)まであったそうです。 では、さかのぼって昭和22年はどうだったかというと、 なんと、台場がたくさんある……。 資料によると、現在残る台場は、右から「第三砲台場」、「第六砲台場」の2つですが、昭和22年当時は、左から「第一砲台場」、「第五砲台場」、「第二砲台場」と計5つの台場が残っていたんです。 ちなみに、第二砲台場は昭和36年に航路を広げるために消滅、第五砲台場は昭和37年に、第一砲台場は昭和38年に埋め立てのため消滅したそうです。 いかがでしたでしょうか? 地図を見比べるだけで、いろいろなストーリーが浮かび上がってきて、結構面白いですよね。みなさんもぜひ!(マイナビニュースより)------------------------------実はこのサービス、結構古くからやっている(たぶん2007年頃?)のだが、あまり知られていない。今でこそ地理院地図をはじめとして複数の年代の写真を比較することや、各種アプリでも異なる年代の地図を重ねたりというサービスが当たり前になっているが、goo地図のサービスが始まった当時はまだほとんどなかったはず。地図と航空写真でそれぞれ年代がことなることや、範囲が東京の中心部に限られるということはあるものの、江戸、明治、終戦直後、高度成長期、平成と大きく年代をまたいだ比較ができるサイトという意味では貴重。老舗店舗の検索なんてサービスもある。ただ、公開当時からほとんどコンテンツが変わっていないので、もしかするとgooの内部でも忘れられた(?)サービスなのかも知れない。もったいないと言えばもったいないと思う。
2014.06.18
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米グーグルは10日、高解像度の衛星画像サービスを手掛ける米新興企業スカイボックス・イメージング(本社・カリフォルニア州マウンテンビュー)を現金5億ドル(約512億円)で買収することで合意した。グーグルは新たな情報源と一層多くの人々に情報を伝える方法を求めて宇宙分野への進出を進めている。ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソースによると、2009年に設立されたスカイボックスは米ベンチャーキャピタル(VC)のコスラ・ベンチャーズ、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ、ノーウエスト・ベンチャー・パートナーズから9400万ドルを調達した。スカイボックスのウェブサイトによると、創業者らはスタンフォード大学大学院の起業家コースで初めて事業計画書を執筆した。グーグルは地球の画像・動画を収集する小型人工衛星を手掛けるスカイボックスの買収について、少なくとも当初は画像性能が目的だと述べた。グーグルは気球、無人機、衛星を使った空からの高速インターネット接続で地球を網羅する取り組みも進めている。同社は世界中の人々にインターネットを提供することでグーグル検索の件数を増やし、広告収入の拡大を図るほか、電子メール「Gメール」や地図サービス「マップス」などその他のサービスの利用を押し上げたい考え。グーグルの広報担当者は「同社の衛星の最新映像は当社の地図の精度を保つのに役立つ」と述べた。また「われわれはスカイボックスのチームと技術がやがてはネット接続と災害救助の向上に寄与すると期待している。これはグーグルが前々から関心を持っている分野だ」と語った。スカイボックスのチームは当初、グーグルのマップス事業部門と協力する。グーグルは現在、マップスで約1000の情報源の画像を利用しており、そうした画像の大半は数カ月あるいは数年ごとに更新している。スカイボックスがグーグルの画像更新頻度を毎日にすることができれば、災害など事故への対応を早められそうだ。スカイボックスの技術は、より長期的にはネット接続の一層の普及というグーグルの目標の実現に役立つ可能性がある。グーグルは買収金額について「調整する可能性がある」と述べたが、詳しくは説明しなかった。また、同買収案件は完了しておらず、米当局の承認を得る必要がある、と続けた。(ウォール・ストリート・ジャーナルより)------------------------------この大型買収は色々な可能性(あるいは思惑)を秘めていそう。情報の迅速な更新による地図の時間精度の担保はもちろんだが、衛星画像そのものも随時最新に更新することが可能になる。突き詰めると、将来的には自前の地図データベース(現在は例えば日本ではゼンリンの地図データベースを利用している)、あるいは画像データベースを運用・更新することもあり得る話で、まずはための準備段階を踏む、という見方もできる。そうなると地図の世界は大きな再編を迫られることになるだろう。また、「ネット接続と災害救助の向上に寄与する」とうのは、通信もある程度自前で行える環境を作ることを意味することになる。災害時の様々な仕組みもしかりだ。Google Crisisに必要な多くのコンテンツを自前で調達することも視野に入れているのではないか。様々な情報の収集・解析・視覚化・配信など多様な事業を集約する形で拡大するグーグルを象徴する買収劇ともいえる。ビジネスモデルも含めて、今後の情報流通のあり方を考えさせられるニュースでもある。
2014.06.12
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コンサルティング事業などを手がけるブルーイノベーションは、小型無人飛行機(ドローン)を使った360度パノラマ撮影サービス「Blue Sky Pano」を開始した。同社開発の無人飛行機を使った360度パノラマ写真・動画の撮影に加え、360度コンテンツを閲覧するiOS/Androidアプリの制作を請け負うサービス。観光施設のPRや各種エンターテインメント演出、建造物の点検調査など、さまざまな用途を見込んでいる。採用の第1弾はヤフーのアプリ「Yahoo!地図」。「福岡ヤフオク!ドーム」の俯瞰(ふかん)コンテンツや観客席からのパノラマ画像に同サービスが使われているという。(ITmediaニュースより)------------------------------Yahoo!地図が始めたパノラマ画像サービスの技術的な背景がこの記事。「ストリートビューに対抗するサービスか?」として注目を集めたが、方法論としてはかなり異なるものであることが分かる。ストリートビューがいわゆるグーグルカーにより収集された地上からの目線であるのに対して、こちらはUAVパノラマ撮影による俯瞰。独自性のある視点はこのためだ。面白いサービスだが、ストリートビューに比べると費用も含めた撮影負荷は大きそうで、網羅的整備は難しそう。むしろストリートビューを補完するようなサービスとして独自の立ち位置を築いていくことになるのではないだろうか。
2014.06.10
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