ChooChooTrainの部屋

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VIVA NERUDA!


今年はパブロ・ネルーダの生誕100周年。ネルーダは1971年にノーベル文学賞を受賞しており、世界的に知られるチリの詩人である。彼の誕生日である7月12日にはチリを始めとする世界各地で詩の朗読や各種記念行事が盛大に開催された。

詩人の出身地であるチリでは、全国の学校で15分間、教師により作品の朗読が行われ、公共施設、街頭や広場など国中のいたるところで討論会、朗読会、作品展、踊りや歌や演劇などのイベントが繰り広げられた。政府主催の公式記念行事には、ラゴス大統領をはじめ300人もの各界著名人が参加した。首都サンティアゴのモネダ宮殿(大統領府)前の広場には4トンもの赤いリンゴを使って大きなハートが描かれた。ラゴス大統領は8月末にはアルゼンチンを訪れ、同国の公式記念式典にも参加したほか、9月には詩人の墓地を参拝している。

詩人としてのネルーダは世界中の人々にその名を知られているが、彼が同時にアジア諸国にも駐在経験をもつ外交官であり、政治家であり、大統領候補にまでなった人物であることはどれほど知られているだろうか。

ネルーダはスペイン市民戦争で反フランコ派を支持したのを機に本格的な政治活動に乗り出し、チリ共産員として労働者を味方し、平和と人権擁護のための活動に精を出した。大統領選出馬を要請された際には、対立候補が親しい友人であるサルバドール・アジェンデであったことを理由に候補者を辞退した。1973年の軍事政変で暗殺されたアジェンデ大統領の後を追うかのようにこの世を去った詩人の葬儀は、ピノチェト将軍の軍事独裁政権に対する最初の公な抗議集会をも兼ねた。

中南米人なら一度は聞いたことのある恋愛詩の定番ともいえる作品Veinte poemas de amor y una canción desesperada(「20の愛の詩と1つの絶望の歌」)や国境を超えた偉大なる中南米の大地と歴史とそこに住む人々を礼賛したCanto General(「大いなる詩」)など、秋の夜長に是非一度、チリ人の魂の言葉ともいえるネルーダの詩を読まれてみてはいかがだろうか。


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