farm living - homeschooling #2




wood stove, 焚き木を焚いて暖めるストーブが好きだ

マッチを擦って火がゆっくりと薪の間をつたり渡っていくと 心も体も瞬く間に温まる
火には 生命でもあるのかもしれない
冷たく沈んだ心を一瞬にして癒してくれる


大きな黒鉄の wood stove が私達の牛小屋ハウスの唯一の暖房だった
よくその前でマシュマローを焼いたり 本を読んだり 深夜遅くまで話をしたりしたものだ

今住んでいる家には暖炉があるが 熱がそのまま煙突を渡って外に出てしまうので暖房としての能率は遥かに悪い


雪が降り始める前に焚き木を出来る限り沢山蓄えるのだが、
焚き木一つにも木によって燃え方、煙の出方、出す熱の性質など 色々種類が違う

私達の住んでいた地方には hedge apple という 形も大きさも人間の脳みそにそっくりな実をもち、
10cm以上の太くて鋭いとげが幹のあちこちから突き出している とても悪徳このうえない木があって、 
この焚き木は1-2本ストーブにつっこんでおくと 一晩中家全体を暖めてくれる

時には熱くなり過ぎて 真冬の吹雪の中 窓を開けなければならない程、焚き木としては優秀だった


子供達が寝静まった夜 パチリパチリと静かに燃える火の前で聖書を読むのが好きだった




理由はどうあれクリスチャンだった私が家族と一緒に行っていた教会の
ほぼ7割の子供達が homeschool されていた

全米でも年々増えている homeschool kids だが、こんな保守的な田舎で若い夫婦が我も我もとホームスクールを始めた理由は 
やはり牧師夫婦の子供達 J君とKちゃんだろう


smart という頭の良さではなく  wise という形容詞がしっくりくる、
16と14にしてすでに 人生を悟った様な余裕ある構え、
それでいて色んな事に興味深々といった感じの輝いた目
もちろん礼儀と言葉遣いはアメリカの子供とは思えないほど きちっとしている

オマケに兄のJ君はヴァイオリンとピアノ、妹のKちゃんは歌がとても上手だ
親ならば誰でも、我が子も彼らの様に育って欲しい と切願せずにはいられない
ため息の出る様な兄妹だった



もちろん牧師婦人が彼らをホームスクールしていた訳だが
親戚一同 近所(といっても一家一家かなりの土地をもっていたので目と鼻の先と言う訳ではない)
に住んでいて 教科によっては従兄弟同士集まってやっていた

一口でホームスクールと言っても色々method(やり方)とphilosophy(考え方)がある
彼らがどれ を使用していたかは知らないが
私がとても感心した 田舎住まいの利点を上手く使った教育法をここに幾つか書いてみよう




・毎年春に麦を植え 夏の間こまめに手入れをして育て 秋に収穫する
 麦を挽き小麦粉にし、パンを作る (勿論牛乳と卵も自家製だ)
 このパン一つが食卓の上に乗るまでに子供達は。。。
 agriculture, science, social study, physics, biology, mathematics といった教科
 patience (忍耐)、 gratitude & appreciation (感謝の心)といった道徳面

 その他 栄養学や歴史なんかも取り入れて 学ぶことができる




・子供達に子牛を一匹ずつ与える(ペットとして可愛がる訳ではなく所有するという意味)
 日替わりに世話をし、大きくなった牛をどうするかは彼らの自由だ

 売って一匹分のお金にするのも良いし、子供を生ませて2匹3匹と増やしていくのも良い
 (うちの甥はホームスクールされていた訳ではなかったが 長年育て増やした牛を売って
 学費にして大学へ行った: 一頭4-5万円として10頭で40-50万、20頭あれば80-100万にもなる!)

 このプロセスによって彼らが学べる事と言えば。。。
 上のパン作りで学ぶ教科は勿論その他 経済や生きる物の生・死(子牛が病気で死ぬことだってある)
 あと忘れてはいけない 「選択」 といった生きてくうえで避けて通れない大事なレッスンなどを身体で学ぶことができる






これらは数多くある例のごく一部だが こうやって考えてみると
ごく普通の生活の中から学べることは沢山あるものだ

でも 牛一頭、麦一掴みなんかを与えて ボケーっと能無しにやらせるわけではない

親は子供達がこういった体験を通して ”学んで欲しいアジェンダ” みたいなものを予め決めておき
彼らが(予定通り)興味を持ち(自然に)発見していける様 毎日の学習を進めていく
かなりの努力、労力、計画 (その他いろいろ)を必要とする。。。訳だ
(書いてるだけで疲れてしまった…汗)



上にも少し述べたが ホームスクールにも色々ある
この牧師一家の様に五感全てで学んでいく pioniorタイプの教育法から
最新のテクノロジーを使った on-line, cyber schooling など


田舎での自給自足的な生活を好んでいた私には
この牧師一家のホームスクールがとても魅力的に見えた

この憧れに追い討ちをかける様に 牧師婦人から薦められたアーミッシュによって書かれた一冊の本、
ADD & drug (落ち着きの無い子供達に与えられるドラッグ)、teenage pregnacy(十代妊娠)、media & violence, etc...
アメリカの学校を取り巻く様々な問題。。。



パンツ一丁で元気に外で遊ぶまだ幼稚園前の幼かった息子達を眺めながら
ホームスクールへの道を密かに考え始めた私だった




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