戦争のこと


日本が戦争できない国ではなくなることが現実化して来ました。

「自分たちから戦争を仕掛けることはしないが
 仕掛けられた場合の備えはしておくべきだ」
「世界平和を脅かすような国や集団があったなら止めるべきだし
 日本も世界の一員としてしっかりと協力をすべきなのだ」
というような意見の人たちが賛成派なのではないでしょうか。

この意見って「日本はどうすべきか」という視点で考えてますよね。
自分自身ではなくて「日本」の立場で考えている。
そりゃそうですよね。
議題が「日本はどうすべきか」なわけだし。
全体について考える時は自分(個)は抑えるべきだという良識もありますしね。

だけどこれって落とし穴です。

私たちは「日本」であると同時に「個人」で、
しかも現実的な比重でいったら断然「個人」だからです。
そして「個人」にとっての脅威となる対象には「日本」も含まれるからです。

代表的なものは国の権力と全体の空気です。
どちらも非常時には平時よりも強大になります。
戦争は非常時です。

国としてどうすべきかって考えた時、
冒頭に書いたような意見が正しいんだろうなと思うんです。
平和を愛しているからこその意見ですよね。

攻撃されないように、攻撃されても撃退できるように、強い軍を持つ。
と同時に、国際警察的に他国と協力しあって世界の平和を守る。

だけどこれ、実現困難です。
過去の日本を振り返ってみてください。時代が違うから今度は大丈夫と私には思えません。
というか、昔より今の方が更に困難と思います。

今の日本は原発という弱点を全国各地に抱えています。
第二次世界大戦の頃とは比べものにならないくらい工業大国になってますから
原発じゃなくてもミサイル落とされたらたいへんなことになる施設がわんさかあります。
この時点で弱点多過ぎだろと思いますが、強い軍というのも果たしてどうなんでしょうねと思います。
兵器の面でも人間の面でもかなり出遅れてるわけだし。
自衛隊は自衛隊として優秀な人たちだと思いますが今まで殺すための訓練をしてきてないですから。
それでも強い軍を持つことができるとしましょう。
しかし、そうだとしても、これまでのパターンからいって、
強い軍を持ってても戦争を仕掛けられる時は仕掛けられます。
攻撃される時はされます。この時点で見通しは暗いです。
「仕掛けられて攻撃されてる」からです。
これは日本が戦場になっているということです。
戦場になってしまったら殆ど勝ち目はないです。
過去における日本が勝った戦争は仕掛けられて攻撃された戦争じゃないし、相手国が戦場です。
後攻で自国が戦場というかなり不利な状況で勝てるとしたら
民衆も武器を持って、なおかつ、他の国が助けてくれた場合ぐらいなものでしょう。

まあでも、勝てなくても撃退できればいいですよね。
占領されるという最悪の事態を回避できれば。
再びこれまでのパターンを持ちだしますが、民衆が粘り強く抗って、なおかつ、他の国が助けてくれた場合にのみ可能です。

いざという時に助けてもらえるように他の国と強い絆を結んでおかなくては。
そのためにも集団的自衛権が必要。
という理屈はわかります。
他の国と強い絆があれば敵も攻めずらいだろうしね。
(怖いバックがいるから攻めるのやめとくかパターンと、
 友達の友達だから争うのはやめとくかパターンがありますね)
っていうか、たぶん、これが一番の理由なんだろうな。

具体的にいうと、
絆を結んでおく国っていうのはアメリカですよね。
それとオーストラリアですかね。

それで想定している敵国は中国。あとロシアに北朝鮮。韓国もかな。
これらの国々って日本では「国際的に嫌われ者国家」なイメージですが、
実際のところ、そんなこともないんですよね。
中国は世界中にたくさんの中国系の人がいますよね。アメリカにもね。
各国の政治や経済の中枢にしっかり入ってたりします。
それはそれとしても、経済的な理由で中国と仲良くしてたい国もいっぱいありますね。

おそらく中国政府は日本との戦争を望んでないですよ。
その方が得だから。
中国の場合、問題なのは中国内の世論です。
世論が爆発したら政府は止められないかもしれない。
だけど中国内の世論の日本に関する火種って「日本が再び軍国主義になること」なんですよね。
だとすると、自衛隊を軍にするとか、戦争放棄をやめるとかすることが、逆に不安要素になってしまう。
現時点では中国人は一部の人々が煽るほど日本を嫌ってないです。
というより好きですよね。

ロシアも別に嫌われ者国家じゃないですね。
プーチンさんはアメリカの有能な政治家ランキングでオバマさんをおさえてトップだったりもするし。
ロシアは国際的な場で武力行使反対、平和的解決をしよう、という発言をしている国だったりもしますね。
とはいえ、攻めると決めたら米軍がバックにいても攻めて来る国だと思います。
ロシアに日本を攻める理由ができるとしたら、日本がアメリカと軍的な意味で一蓮托生化した時ではないでしょうか。
ロシアからしたら「アメリカにうちが攻められる」って不安が大きくなってしまうわけだから。
それ以外は攻める理由がないと思います。

韓国の日本に対する感情は中国と似ていますね。
政府は戦争を望んでいなくて国内世論がって所もその理由も。
もっとも韓国は中国以上に日本と深い繋がりがありますが。
北朝鮮に対しては米軍とのより一層の絆はそれなりに効果があると思います。
だけど、そもそも北朝鮮は、たいして反日じゃない気がします。
あと、嫌われ者国家でもないです。
北朝鮮と国交を結んでいる国、貿易してる国は、ふつうにたくさんあります。

どっちにしろ、結局、アメリカと軍的な結びつきを深めるのって
メリットもあるんだろうけどデメリットの方が大きいと思うんですよ。

他国と一緒になって世界平和を守るというのも、どうなんでしょう。
これからの時代、対象になるのは国よかテロ組織になりそうですね。

これって既に他の国々がやってきてることですよね。
大体アメリカだけど。
それで世界の平和は守られましたかね。
憎しみが新たな憎しみを生んでループですよね。

これなら日本がしてきたやり方の方が良かったのでは?
誰の命も奪わずに、その国のやり方に干渉することもせずに、
ただ困っている人を助けるためだけに動く。
橋や学校を作る、食べ物や薬を配る。
それを見て育った子供は日本人に好意を持ちます。
好意を抱いた日本人が暮らしている日本という国に興味を持つ。
日本を知って、自分もああいう国に生まれたかったと憧れる。
自分たちの国を日本のような国にしたいと思う。
そんな子供がやがて大人になり憧れを形にして行く。
そんなふうに世界中に平和の輪を広げるという道もあるんじゃないですかね。
というより、日本は、実際に、何十年も、
こういうやり方で平和のための貢献をして来たわけで。
戦うという方法で協力していないことを恥じる必要なんてないです。
だってこの方法は、戦わないからこそ意味があるのですから。
戦争をしない国がやってるということにね。

今、世界の国々は戦争を避けています。
少なくとも自国を戦場にすることを避けています。
科学が進んだため、
とんでもないことになってしまうということがあるからです。
核を飛ばし合うことになったら地球がたいへんなことになるというのは勿論ですが
核じゃなくてもかつて以上にひどいことになる兵器がたくさんあります。
というか核以上のものも開発されているようです。

それだけではなく、経済的にも文化的にも
国の垣根を越えての交流が拡がっていて
もはやなくてはならないものになってますから
戦争することのメリットが昔より小さくなってしまったんです。
人権、環境保護、道徳、あらゆる面から反戦意識を持つ人が増えたということも当然ありますしね。

つまり、戦争はもう、時代遅れになっているんです。
その意味で日本は今、せっかく最先端なのに
わざわざ時代遅れになろうとしている。もったいないです。

時代遅れの国が日本を攻撃してくる可能性はゼロではないですが
強い軍を持ってたってやられる時はやられるし
どうせ先に仕掛けられた時点で不利なんですから
だったら、完全な平和路線で、国際世論を味方につけるやり方の方が
助かる確率が高いと思います。

テロ組織に関しては、私は外国に行って武力行使するのは、やっぱりなんか違うんじゃないかなと思います。
日本国内でテロ行為をされた場合は(されないようにするのが大事ですが)
現状の警察や自衛隊で対処する方法でいいわけなので法律を変える必要はないです。

戦争には戦争を利用して利益を得ようとする人たちが存在します。
政府の中にいることもあります。
この人たちは純粋な戦争(って言い方も変だけど)だと信じて必死で戦う普通の人々を食い物にしているんです。
この人たちは戦争になってほしいわけですからそのための画策をします。

純粋な戦争だとしても政府や軍が暴走することもあります。
結局みんな人間で、いろんな考え方があるしいろんな性格の人がいるってことです。

九条がなくなったら
私たちはこの人たちから身を守ることができなくなるんです。

「もちろん普通の人間は戦争を望まない。
 しかし最終的には政策を決めるのは国の指導者であって
 民主主義であれファシスト独裁であれ議会であれ共産主義独裁であれ、
 国民を戦争に参加させるのはつねに簡単なことだ。
 とても単純だ。
 国民には攻撃されつつあると言い、
 平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、
 国を危険にさらしていると主張する以外には何もする必要がない。
 この方法はどんな国でも有効だ」

ナチスのヘルマン・ゲーリングの言葉です。

長々と書きましたが私が一番言いたいことは、国の指導者に大きな権限を渡してしまうことの危険性を知っておくべきだということです。






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