真実一路

真実一路

2023.06.26
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カテゴリ: 映画

街の灯 City Lights【Blu-ray】 [ ヴァージニア・チェリル ]

AFI(American Film Institute)の11位(2007年)にあるこの名作を、ようやくの初鑑賞。
この作品には音楽と効果音があるものの、やはりサイレントは観るのに根気がいる。

放浪者と盲目の花売り娘、あの二人の出会いと再会の場面がなんといってもハイライトですよねぇ。ラストの再会後あの二人はどうなったのか気になってしまうわけだけど、実はそれはどうでもいいのだろうと思う。なぜなら、この映画の真のテーマはあの二人のラブロマンスではないから。

この映画が製作された時代、アメリカは株の大暴落(「暗黒の木曜日」)を契機とする世界恐慌に襲われていた。労働者や失業者による暴動が頻発するなど、ひどく不安な社会状況にあったのだ。ところが、そんな状況下でも富裕層は日々レストランでの飽食やパーティーに興じて豪奢な暮らしを送っている様子が作品で描かれている。富はいつの時代にあっても偏在しているのだ。今のアメリカでも「1%の富裕層が国富の99%を独占している」などと言われたりする。娘は姿の見えぬ紳士(実は放浪者)からの大金によって貧困を脱し、目に光も得られたが、その大金は彼自身のカネではなかった。それは、にわかに彼の友人となった富豪の金だったのだ。
チャップリンはこの後共産主義者の疑いをかけられアメリカを追放されるが、当時の為政者には、少なくともかなりの体制批判者に見えたのでしょうねぇ...

ところで、チャップリンの作品にはコントのルーツがいっぱい。放浪者と富豪が波止場で互いに助けようとして海中に落ちるシーンや、パーティーで泥酔した放浪者が足腰が崩れて立てない演技などは、亡くなった志村けんさんがあのヒット番組『だいじょうぶだぁ』のなかでよく使っていた。志村さん、天国でチャップリンに会ってコント談議に花を咲かせてるといいなぁ。





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Last updated  2023.06.26 14:42:46
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