栗のモラセスロール

栗のモラセスロール

 自家製酵母のパンにも慣れてきた頃、様子を見ながら適当に生地作りをすることの楽しさを覚えました。分量が適当なので出来上がりの味もいつも違うのですが、気軽に作れておいしいのでやめられなくなります。そもそもがつかみどころのない天然酵母のことですから、こちらもざっくばらんに構えていれば意外とウマが合う相手なのかもしれませんね。ここでは、どのくらい適当に作ったかがわかるように、ほとんどメモの通りに書き出してみました。何かのヒントになれば幸いです。


 <材料> いちおう12個分
レモン酵母の中種 適当にひとつかみ
水 中種と合わせて、トロトロになるくらい
卵 1個
ダークモラセス 適当に甘くなるくらい
スキムミルク 大さじ2
強力粉 適当な硬さになるくらい
塩 ふたつまみ
バター 25g
むき甘栗 適宜

 <作り方>
①元気のなさそうな冷蔵庫の中の中種。もしや発酵力が落ちたのではないかと、試しにトロトロになるくらいの水を加えて一晩室内放置してみました。
②まあまあ使えそうなので割りほぐした卵を加え、なめてみて少し甘すぎると感じる程度にモラセスも加えてトロトロに指先で混ぜました。
③はるゆたか(強力粉)を100gほど加え手木べらで混ぜました。少し抵抗がある感じでしたが、まだ足りないので1カップほど追加。スキムミルクと塩も加えてこねました。硬めの生地になり、あとでバターを入れるのでその分も考慮しながら適当に水も足しました。
④なめらかになってきたので、レンジでやわらかくしておいたバターを、3~4回に分けて生地に塗りつけては折りたたむようにして練り込みました。生地量が多くて硬かったので膜ができるところまではいかなかったけれど、表面がつるんとしていい感じになりました。こねている間中、モラセスのいい香りが…。
⑤甘栗を丸のまま生地に混ぜ込み、ボールの中で丸くまとめてラップをかけました。ボールの内側と生地の表面に薄くバターを塗っておきました。
⑥これを発泡スチロールの箱に密封して直射日光の下へ置いたのが午前10時15分。2時間でかなり膨らみ、1時半にはラップにくっついてしまいました。まだ膨らみそうだったけど密封できないので、すぐにパンチして2~3分そのままに置きました。
⑦パンマットの上に生地を出し、栗をよけながら12等分にしてベンチタイムをとりました。ひとまわりふっくらしたらふんわりと丸め直して天板に並べ、発泡スチロールの本体をかぶせて2次発酵させました。これは天板がスチロールの中に入らないため。
⑧15分たってからオーブン予熱に入りました。まず180度に予熱し、焼いてもよさそうなのがあったので200度に上げました。
⑨よさそうなのを選んで1枚目の天板に並べ直し、軽く霧を吹いて180度で17分焼きました。はじめにバター、次いでモラセスのいい香りがしてきて、焼き上がりは風船のように大きく軽くまん丸に。少なくとも2倍は釜伸びした感じで、表面がつやつやして栗がポコポコのとても可愛いパンになりました。
⑩2枚目も同様に焼きましたが、試しに2個だけを蒸してみました。十分に湯気の上がった蒸し器に、ホイルケースに1個ずつ乗せた生地を入れて中火で7分。竹串チェックをして取り出し、網の上に乗せて冷ましました。取り出した直後はしわが寄っていましたが、冷めるにつれて表面がつやつや。でも味はイマイチ。モラセスの発酵臭のようなものが鼻につく感じでした。ふわふわだっただけに残念。

 適当に作ったわりには一番よく釜伸びして、材料を計量していなかったのが悔やまれました。それまでのものは焼き立てに多少の酵母臭があったのですが、今回のものは熱々を食べても違和感がなく、意外にももちもち感が少なくてふんわりしていました。焼いたものにはモラセスの発酵臭もなしです。甘さは少し足りない感じでしたが、丸ごとの栗が入っていたのでおいしく食べられました。
 元気のない中種だと思っていたのですが、パンにしてみると立派なものです。出来立てのレモン酵母の中種にあったさわやかな香りがなくなった代わりに、パンの種としての熟度が増していたのかもしれません。

 ◎2002年5月5日製作


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