コナンのタワゴト

コナンのタワゴト

消えた親友

箱を回る

9年前、地下鉄サリン事件があったその年の3月1日。

忘れもしない、3月の雪は珍しいというニュースで明けたその日、東京は大雪でした。

それまで10年以上のつき合いで、仕事の仲間で、公私ともに仲良く、まるで本当の姉妹のようにしてきた4歳年下の彼女が姿を消しました。

毎日深夜まで一緒に仕事をし、朝からまた顔を合わせ、休日は一緒に買い物をしたり、ウチの家族の中に入って食事をしたり、泊まったり、と友人というより本当に家族のように毎日楽しく寄り添っていたのでした。

私は家族がいて、彼女は独身で一人暮らし。
私の家はどっち?ってほどよねぇ。なんて言いながらよくウチに泊まっていました。

その雪の日の前日、仕事が終わり帰ろうとしたとき、カラオケ行かない?と彼女が誘ってきたのだけれど、その日私はなぜかその気になれず、ただ何となく、今日は止めとく、今度にしよ。と言って分かれました。

結局それが最後。

3月1日には何の連絡もないまま仕事を休み、次の日でも家に様子を見に行こうと思っていると、翌日の朝、会社の郵便ポストに手紙が一通。
実家のある北海道に帰ります、落ち着いたら必ず連絡するから探さないで。
とだけ書かれたものでした。

数日後、チビ(今8歳の)がお腹にいることが発覚。

彼女が消えたことで私の仕事は単純に2倍になっていました。
自分の体のことと、その状態で仕事に穴が開かないようにすることなどで、
当時の私は精一杯、数日後、今度は切迫流産、入院、などで本当に情けないけど自分の事だけでいっぱいいっぱいでした。

彼女を探すことをしませんでした。

心のどこかで、そのうちケロッと帰って来るかな? 来れば、なぁ。。。 なんてのんきに思っていたのかもしれません。

やはり彼女を探しませんでした。

そのうちにお腹はどんどん大きくなり、仕事はますますたいへんになり・・・・出産、で、保育園の手続きやら、仕事の段取りやら・・・仕事、家事、子育て・・・と振り回されつつ、繰り返される毎日、気が付けば、大事な大事な友だちを失ってから、9年。

とうとう探しませんでした。

本当の姉妹のように10年間も一緒にいた彼女なのに。
落ち着いたら連絡する、という彼女からの連絡もとうとうなし。

もしかしたら、このまま一生会えないのかもしれない、と最近よく思うようになりました。

そして、いまでも、月に1回くらい彼女の夢を見ています。
登場するのは以前の彼女ではなく、戻ってきた彼女という設定で、
前のように仲良くしているのに、「もしかしたら、また居なくなっちゃうカモ・・・」って不安に思っている私もいる、という夢。

正直な気持ち、とても会いたい。



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