ことさくらの 気の向くまま、いつもゴキゲン

2004年6月



■伊豆の踊り子・・・川端康成

こんなに色っぽい作品だったのか。
女性というものがあまりにも生々しく美しく描かれている。

■ツァラトゥストラはこう言った(上)(下)・・・ニーチェ(氷上英廣訳)

神は死んだ、ということが、
明確な宗教を持たない私(たち)に、本当に理解できるんだろうか?
一部と二部、特に二部はものすごく腹が立った。
挑発的であることに、それほどの意味があるのかなあ。
全体としては面白かったけれど、
これだけ世の中に論評が溢れている作品だと、
素直に読めない。

■こんな夜更けにバナナかよ・・・渡辺一史

感動作ではない。福祉政策への問題提起でもない。
ここにあるのは、ただ人間として生きるということ。
生きる実感て?人と関わるって?
ワガママと責任はセットでないと嘘だよね。
そして「私はこう生きる」と主張するから違いが分かり、
違いがあるから自分が分かる。

講談社ノンフィクション賞受賞作。
主人公である鹿野氏のキャラクターもさることながら、
著者の切り込み方も素晴らしい。
ここまで近しくなってしまったら、それも相手が障害者なら
距離のとり方がかなり難しかったろうと思う。
考えて、考えて作られたものとの出会いは、
本当に貴重だ。

■卒業式まで死にません・・・南条あや

これを手にとってしまったかああ、という感じ。
あまりに同化しすぎて感想も出てきやしない。
これ読むとクスリについては詳しくなるね。
リタリンやばい、ぐらいしか知らなかったし。
しかも、ネットで買えちゃいそうなんだよなあ。

うーん。自傷行為バリバリ&クスリ漬けのこういう日記って、
どうなんだろう。役に立つのだろうか。
もし今が、高校生の私だったら、
自分だけではないんだ、と安心したのだろうか。
大人になった私が
読み終わった冷静な目(本当はちっとも冷静でない)で見ると
浸るきっかけになるだけのような気がする。
アブナイ。

本を買わずとも、実はネット上で読める。

■インタビュー術!・・・永江朗

インタビューという手法が安易に扱われがちだ、
という著者の言葉に納得する。
後半で多くのインタビュアーの例をひき、
インタビューが実現できること、できないこと
について明らかにしようという努力が見られる。
それが面白かった。

私も多くのインタビューをしてきたけれど、
基本的には「その会社の今」について明らかにすることが主目的で、
つまりはその場の雰囲気や相手の人となりを表現するのは
後回しになることが多い。
ただ、インタビュー記事の体裁をとっている場合には、
もう少し何かできるかもしれない、と思った。
なぜ人は、人の話を聞くのかについて考えるのは
面白いテーマだと思う。
それを考えたときの、聞き手の距離の取り方も実験したい。

ノウハウ本というものは同業者から見ると
著者がよっぽどの大家でないと鼻につくもの。
でもこの本は不思議なほど、それを感じさせない。
「オレはこうやっている」で終わらないからだと思う。

■日本人は思想したか・・・吉本隆明、梅原猛、中沢新一

まだ読み途中。終わらない~。
いかに最近、考えることをさぼっているかを実感させられた。
これが読み終わったら哲学の本を読み漁ろう。
タイトルどおり、日本人の思想について語った本。
仏教、古典文学、マルクス、ヘーゲル的なものとの比較、
などなどを通じて
日本人の思想についてあぶりだそうとしている、のだと思う。
知識のない私にはついていけない。
「源氏物語」が日本の四季を決定付けてしまったという話とか、
いくつか面白いものもあった。

■人間ぎらい・・・モリエール

喜劇です。私って脚本を読む力はないんだな。
どうも読み方が分からない。やっぱり舞台で見たい。

ただ、これって17世紀に書かれたものでしょう。
今でも正論にしがみついている人っているし、
時代が移っても人間は変わらないんだな、と思う。
最後のセリフはさすが。

■一瞬の光・・・白石一文

白石氏の小説は初めて読みました。
もっとちゃらちゃらしているのかと思っていたので、
結構良かった。600ページ近く読む価値はあった。
ただ評価しがたいーと思ってしまうのはなぜなんだろう。
すごく構成が上手い!と思う部分もあれば、
これはあまりにありがちなのでは、と思う部分もあり。
エリートサラリーマンが現実に絡めとられる感じ、というのが
私に実感できなかっただけかも。
もう少し他の作品も読んでみよう。

■夏と花火と私の死体・・・乙一

小学生を取り巻く夏の風景の中で、
異様なできごとが異様でなく進行していく。
物語る視点の意外さと、無駄のない構成。
これはなかなかすごいでしょう。
ハラハラしたり、ほっと息をついたり。
くやしーと思っても乗せられてしまう。
作家である必要があるひとなんだ、と思う。

■友情・愛と死・・・武者小路実篤

正直言って、あまり面白くなかった。
何でだろー。昔はそんなこと思わなかったのにな。
全然ヒットしなかったよ。



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