小さな パンドラの箱

小さな パンドラの箱

開華 恋色8 NEW



花束といっても、大げさなものではなく

数本のチューリップとかすみそうでまとめられたもの。

「男子にバラって感じじゃないでしょ」と楓はもらした。


事前に個々それぞれに向けてメッセージカードを作っておいた。

渡すときにそのカードを花束に添える。

「探し出して渡して歩く時間はないから

式が終了後帰りがけ部室によってもらうように声かけておいた」

と楓はいった。

「だったら私はいなくても」

「集中したらどうにもならないでしょ、

アシスタントがいないと」

私は諦めてさつきと二人部室に向かった。


今3年生は式も終わり教室で最後のホームルーム中だ。

「早いね…もう一年たった」

「本当に…後の2年もあっと言う間かも」

「とくに楓はそう感じるかもね。

マネージャーとしてフル稼働。

今までもこれからもそれは変わらないでしょ」

「確かに、3年のマネージャーが引退したあとはバタバタ無我夢中。

未知の助っ人は心強かった」

そんなことを話していると、

部室に向かってくる卒業生の姿に気が付いた。

「楓、お疲れ様」

「先輩…」

近づいてきたのは卒業生であり楓とともにマネージャーをしていた二人

「手伝いにきた。部員ともしっかり挨拶して分かれたいし」

するともう一人の先輩が未知に話しかける。

「杉森さんありがとう。楓を手伝ってくれて。

私達も気にはなってはいても余裕がなくて。


新堂君から聞いていたわ、

一人で大変なはずなのに、楓は頑張ってくれていると。

あなたが手伝ってくれて新堂君もほっとしていたわ」

「弱音を吐かない楓のことを、新堂君はよく分かっているから、心配だったでしょうね」

「そうそう。

だから、どんなに周りから声をかけられても、楓にかなう子はいなかったし

目に入らないわ。新堂君は」

そう言って二人の先輩は微笑んだ。

隣の楓は先輩たちの気配りと、新堂さんの優しさにふれ

少し瞳を潤ませていた。

「ほら、元気な楓が湿っぽくなってどうする。

さあ、そろそろ部員がくるから準備しよう」

「…はい、スミマセン。わかりました」


部員が現れはじめる。

そこにはいつもの楓がいて、祝いの言葉を掛けている。

部員たちは、マネージャーとして頑張ってくれた楓や

同じ3年の二人に、それぞれ感謝の気持ちを述べている。

私はここにいて

送り出す者と去りゆく者、それぞれの優しさを強く感じていた。

一生懸命な楓の頑張りは

ここにいる全ての部員が認めわかっていた。



© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: