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2023年01月19日
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カテゴリ: 横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今回のお題は『2022シーズンで競馬場を去った馬たち』。昨シーズンをもって引退した馬の中から何頭かをピックアップさせていただいて、その馬達を振り返ってみよう・・・というお話をしたいと思います。
 そういう馬はもちろんたくさんおりまして、クラスの上下を問わず印象に残っている馬もたくさんいるわけですが、敢えて数頭に絞って採り上げさせていただく事にします。


 まず最初は タイセイブラスト(水沢・佐藤雅彦厩舎※現役時・以下同様) 。2020年の5月12日に岩手での初戦を迎えた同馬は3シーズンの間A級から降級する事無く戦い続け、昨年9月26日の盛岡11R「金木犀特別」優勝をもって引退。勝ってキャリアを締めくくる見事なラストともなりました。


★22年9月26日『金木犀特別』。ラストレースを見事勝利で飾った タイセイブラスト

「調子の波があまりなくて、レース数としては結構な数を走ってきましたが、常に頑張ってくれる馬でした」 と、同馬を管理していた佐藤雅彦調教師は振り返ります。

 タイセイブラストのデビューは2015年7月のJRA福島、ダート1150m戦。2年あまりのJRA時代は1勝に留まったものの、南関東に移籍してから6勝を挙げ、2020年春に岩手に移籍後はさらに13勝もの勝ち星を積み重ねました。
 通算勝利数は20勝。岩手では転入当初から引退までA級を守り続けたので、つまり岩手での勝ち星は全てA級かオープン特別以上でのもの。2021年の栗駒賞で重賞制覇、同年のすずらん賞で準重賞も勝ちました。短距離王として活躍したラブバレットとも何度も矛を交え、最終的には四度破ってもいます。その頃はラブバレットの好敵手と言っていい存在でしたね。




★21年栗駒賞優勝時。口取り後に皆によしよしされるタイセイブラスト


「展開が向いた時は本当に良い脚を使ってくれた馬。そういう時はこちらが思った以上の走りを見せてくれてもいましたね。
 9歳になった2022シーズンはどうしても年齢を感じさせる走りになっていたように感じました。良い頃のような脚が使えなくなっていた。馬の状態自体は決して悪くなかったですし、休養してもう少し・・・とも考えましたが、そうすると良い成績を求めてしまいたくなる。今以上に状態を良くしよう、良い成績にしようと思って馬に負担をかけてしまうかもしれない。だったら勝って引退させてあげるのがいいのかな、と(佐藤雅彦調教師)」

 常に上級の条件で走っていた馬ですから自分もいつも注目していましたが、昨年は絶好の展開になって、あるいは絶好の位置を獲れていて、でも以前のような伸びが無い・・・というレースぶりに、だんだんとなっていったように感じていました。

 2022年に挙げた2勝はいずれも早め先頭から粘り込む形。かつてのような上がり最速の末脚で突き抜ける勝ち方ではありませんでしたが、それでもラストレースでしっかり勝ちきって見せたのは間違いなくタイセイブラストの地力、底力のなせる技だったでしょう。


★20年5月12日、岩手転入初戦を制したシーン

「“こんな良い成績を残してきたんだ”と、改めて振り返るとそう感じさせる馬でしたね(佐藤雅彦調教師)」


マイネルエメ(水沢・畠山信一厩舎) もタイセイブラストと同じ2020年の春に岩手に移籍してきた馬。岩手で挙げた勝利数も奇しくも同じ13勝でした。こちらは昨年12月12日の水沢9R、9着のレースを最後に引退となっています。


★マイネルエメの最後の勝利となった8月23日盛岡11Rでの勇姿



 マイネルエメのデビューは2017年6月4日のJRA阪神競馬場、2歳新馬戦。そこでは5着だったものの2戦目の未勝利戦を勝ち上がり、翌1月にはシンザン記念にも出走しています。
 結果的にJRAではその1勝のみ、転じた南関東では掲示板も厳しい結果が続きましたが、2020年4月19日の転入初戦で久しぶりの勝利を挙げるとそこから4連勝して早くもC1級の最上位へ。夏にはB級入り、10月にはB級卒業とトントン拍子にクラスを上げていくと11月8日の盛岡10R『朝露特別』でA級初戦をあっさり勝ち抜きました。C2級でも最下級あたりから半年ほどでA級優勝・・・というくらいに勝ち上がっていく馬はそうそういない。畠山調教師が「こんな馬なかなかいないでしょ!」と言うのもオーバーな話ではありません。





★岩手2戦目となった20年4月26日水沢5R優勝時のマイネルエメ

 A級に上がってからはさすがに下位クラスほど安定した成績ではなかったものの、しばしば存在感ある走りを見せていましたし、昨年秋にA級に再昇級した時にはタイセイブラストに先着したりもしています。


★20年11月8日盛岡10R『朝露特別』。初A級戦を2馬身差快勝

 そのマイネルエメは引退後は乗馬クラブに移ったとの事。
「茨城にある“ホースランチKYRA”で乗馬になりました。ここは同じオーナーさんの馬だったイマジンジョンを引き取ってくれたところで、その縁になります。クラブの場長さんが“いずれは乗馬の大会に出してみたい”と言われていて、いつか馬術の大会に出場するマイネルエメを見る事ができるかもしれませんね(畠山信一調教師)」


 次もこれまた奇しくも2020年春に移籍してきた馬です。 ツルオカボルト(水沢・瀬戸幸一厩舎) 。タイセイブラストと同じく南関東のA2B1というあたりのクラスからの転入で、旧地での実績はむしろ本馬の方が上といえるくらい。ただしツルオカボルトは大井での出走が、タイセイブラストは船橋での出走が多かったため、ほぼ同じクラスにいたものの南関時代の対戦はありませんでした。昨年10月30日の盛岡10R、3着を最後に引退。


★ツルオカボルトのラストレース、最内に姿が見える

「来た当初は年齢もあって“どこまでやれるだろうか?”と思っていましたが、走りを見ていてまだまだやれる力はあるとも感じました。条件を色々変えてみてやはり短距離で力を出せる馬だと。そこからは短距離に絞って戦ってきました(瀬戸幸一調教師)」

 岩手に来た時には既に9歳になっていた本馬ながらも秋にはオープン特別を優勝。タイセイブラストが制した21年栗駒賞では5馬身弱の差の3着に食い込むなど重賞にも手が届きそうな走りをしばしば見せていましたね。クラスターカップにも二度出走しています。


★21年クラスターカップ出走時


★トレードマークのメンコはジャマイカの国旗をモチーフにしたもの

「11歳になっても本当によく頑張って走ってくれていたのですが、年齢のせいか、良かったと思っていた状態が急に悪く・・・とか順調を欠くような事が起こるようになってきました。秋にB1級に降級したのもね、クラスが下がったのが良い方向になるかと思っていたら、流れが緩くなった事でソラを使うようになって。A級・オープンの速い流れの方がこの馬には戦いやすかったんでしょうね。そして大きかったのが、オーナーさんが亡くなられた事。担当者が一生懸命に世話してくれていたからシーズンの最後までは・・・と思っていたのですが、そんないろいろがあって、この辺で切り上げる事にしよう、と(瀬戸幸一調教師)」




★20年11月7日『スプリント特別』優勝。これが岩手での初勝利でした

 そんなツルオカボルトも乗馬として第二の“馬生”を送る事になったそうです。

「秋田のエクセラという乗馬クラブに行きました。ここは“引退した競走馬のその後”をどうするかという事を考えて活動しているところで、引退馬にトレーニングをして馬術の大会に出る事ができるようにする・・・とかをやってきている。ツルオカボルトもそういう道を歩めるか、ここでトレーニングしていく事になると思います。自分も学生時代から知っているところなので安心して送り出せました(瀬戸幸一調教師)」

 近年は競走馬を引退した馬の第二の馬生というもの、元競走馬の“クオリティ オブ ライフ”についての関心が高まっているのは皆さんもご存じかと思います。“引退競走馬のみの馬術大会”も開かれていますよね。
 先に挙げたマイネルエメもそんな道を進むかもしれません。いつかどこかの大会でツルオカボルトとマイネルエメが再会し、馬術競技で戦う・・・という姿を見る事ができるのかもしれません。


 最後にもう一頭。 リーピングリーズン(盛岡・櫻田康二調教師) は今年1月2日の『睦月特別』9着をもって引退、繁殖牝馬として、未来の名馬の母への道を進む事になりました。




★23年1月2日『睦月特別』。リーピングリーズンの引退レースになりました

「以前に在籍していた時よりも明らかに力を付けていたのが感じられて嬉しかったですね」


★19年10月19日盛岡5R優勝時。岩手で連勝、JRA復帰を果たした勝利


★22年10月16日『OROターフ特別』優勝時。本馬の芝での2勝はいずれも盛岡でのものでした


 勝ったのは岩手復帰2戦目でしたが馬の状態は後半にかけてむしろ上昇感があって、トウケイニセイ記念では9番人気ながら4着確保。最終戦となった睦月特別は1番人気に支持されたのですが、残念ながら差し馬不利の傾向にもなって9着。これをもって4シーズンに渡った競走馬生活にピリオドを打ちました。

「盛岡の芝を勝っているしダートも悪くない成績ですからね。馬格もある馬だからきっと良いお母さんになるんじゃないかな。いつかもしこの馬の仔を預かる機会があったなら、ぜひまた一緒にやってみたいですね(櫻田康二調教師)」

 最初にも書いたように他にも触れたい馬はたくさんいますがまずはこの辺ということで。
 ここで挙げた馬たちのこれからの“馬生”が幸せなものになる事を祈りつつ。





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最終更新日  2023年01月20日 01時13分46秒


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