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「刀城言耶」シリーズ 第2弾【内容】瀬戸内に残る鳥坏島の秘儀、断崖絶壁の拝殿で行われる鳥人の儀。その儀式のさなかに巫女が消え失せてしまう。「大鳥様の奇跡」が、刀城言耶を震撼させる。書き下ろしシリーズ短篇「天魔の如き跳ぶもの」を特別収録。 【感想】 孤島もの。 シリーズ中では、一番読みずらかった。冒頭、島の町長さんの村の来歴話が長くて辛い。平家の落人話や村上何某の系譜とか。嫌いではないのですが、今回は辛く感じました。 ラストも、そういう仕掛けかとわかって、どうも釈然とせず。 鳥というのは、まがまがしく感じるものです。京極さんの『陰摩羅鬼の瑕 』 では<鳥の城>なる、鳥の剥製だらけの趣味のわるい城が舞台。不気味な鳥の迫力は鬼気迫り、数だけでなく不気味さでも本書より勝ってました。とんでもなく長い蘊蓄はもちろん京極さん作品に軍配でしょう。でも、探偵役は、エキセントリックで人の記憶を覗きみれる”榎木津”か、万事控え目しかし怪奇話おたくの”刀城”では、わたし個人はジーンズの似合う、普通人っぽい刀城のほうに勝手に軍配。 「刀城言耶」シリーズ 第一弾 『厭魅の如き憑くもの』 第二弾 『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』 第三弾 『首無(くびなし)の如き祟るもの 』 第四弾 『山魔(やまんま)の如き嗤うもの』 短編集 『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』第五弾 『水魑(みずち)の如き沈むもの 』シリーズ以外『忌館』『凶宅』
2009年07月27日
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このミステリーがすごい 2009年版 海外編 第1位CWA賞受賞【内容】【このミステリーが凄い】より紹介文社会主義国家が隠蔽した大量殺人鬼の闇 本作、トム・ロブ・スミスの『チャイルド44』の成功は、そのテーマにすべてがあると思う。すなわち、この国家は連続殺人の存在を認めない。ゆえに犯人は自由に殺人をしつづける。---すこし噛み砕いて言うならば、社会主義国家の理念は、完全なる国家体制であり、それを実現したソビエト連邦という国においては、資本主義の腐敗と堕落がもたらすシリアルキラーによる連続殺人は存在し得ない、ということ。 最初のシーンは、スターリン辞世下、1933年のウクライナで起きたあるエピソード。さらに20年が過ぎ、ものがたりが動き始める。モスクワの郊外で列車にはねられた子供の死体が発見され、鉄道事故として処理される。附近では不信な人影が目撃されていたが、事件の見聞にあたった国家保安官の捜査官レオは、国家に忠誠を誓う立場から、少年の父親の訴えをもみ消すように退けてしまう。 しかし、部下の仕掛けた罠で民警へと格下げされ、ウラル山脈の田舎町へと左遷されたレオは残虐な手口で殺害された子供の死体に遭遇する。そんな彼の脳裏をよぎったのは、モスクワで起きた子供の轢死事件だった。もしかして、あの事件も殺人だったのでは、という思いに駆られた主人公は、凶悪犯を認めないという国家の理念に背き、操作を開始する。 彼の地に実在した連続殺人犯、アンドレイ・チカチーロに想を得たと思しき本作は、後半になるとサイコロジカル・スリラーの興味も浮上してくる。しかし、国家のプロパガンダに立ち向かっていく一人の勇気ある戦いのドラマとして、また彼の妻との人間関係を修復し、人間として成長を遂げていく物語として、抜群のリーダビリティを何よりも評価したい、作品世界のリアリティを支える優れた文学性が評価されたのだろう、権威ある英国ブッカー賞のロングリストにノミネートされたことも付け加えておく。【感想】デビュー作。44は一人の連続殺人鬼に奪われた子供の命の数。リドリー・スコット監督で早速映画化が決定。まだ、刊行は一年も先という2007年のロンドン・ブックフェアでスコット監督が飛びついた。"ソ連"と"連続殺人"という二つの使い古されたキーワード。チャーリー・マフィンやハンニバル・レクターで騒然とした時代も過ぎ、擦り切れたキーワードとスルーしそうだった業界の人たちも、それで見直すことにしたらしい。巨匠に注目されて救われましたですね。とはいえ、次作目も凄いということで、やっぱり実力ある大型新人と、呼び声高そう。2009年にはお届けしたいということですが、年末あたりでしょうか?次作がどんななのか、興味津々。読んでいる時は、面白いというより、舞台となるソビエトの状態に不快になるばかり。最初はあまり乗れなかったです。肌に合わない感じ。多分、好みが分かれるんではないでしょうか。冒頭から、村の貧困ぶりが衝撃です。食料が全く何もない極冬。草を煮たり、家畜どころか、犬や猫を狩り、虎の子の栄養源はニワトリの骨とか。がりがりでおなかポッコリ、栄養失調。一つの村が全滅も珍しくないみたい。果ては、、!主人公や政府の人間が、反革命と疑われた市民を、疑わしいだけで逮捕、尋問、処刑していく様子や流れに、びっくり。信頼している者こそ疑えこのルールからは誰も逃れられない。ところどころ挿入されるスターリンのこうしたスローガンにムカつきました。友人だって、家族だって、国に疑われたら差し出すしかない、自分も捕まえられてしまうから。弁護士どころか、つかまったら最期。ナチによるユダヤ人虐殺を克明に描いた映画『シンドラーのリスト』を見てしまった時と同じような居心地の悪さでした。スターリン体制のソヴィエト社会主義がどういうものだったか、垣間見せてくれたわけで、とにかくひどい国です。殺人犯より、国そのものに嫌悪させられます。日本も、チョット前、何十年前の戦争の頃はこんな風だったんでしょうか。本を読んで不快になるという事は、それだけ力がある小説といえるのかも。後半は、主人公がエリートから転落して、殺人犯を追うようになり、ちょっとマシになりました。逃亡犯状態は、普通の小説っぽく、衝撃度は逆に落ちました。
2009年07月24日
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【内容】ここ、絶対におかしい。小学四年生の日比乃翔太は、越してきた家を前に不安でならなかった。山麓を拓いて造成された広い宅地に建つのは、なぜかその一軒だけ。両親と姉は気にも留めなかったが、夜、妹のもとにアレはやって来た。家族を守るため、翔太は家にまつわる忌まわしい秘密を探り始める。そこで出会ったのは、前の住人である少女が綴った恐ろしい日記だった…。たたみかける恐怖。仕掛けられた数々の伏線。三津田マジック、ここにあり。【感想】『忌館』につづき、家ホラーです。『禍家』というのも、同じような内容のようです。主人公も『忌館』に登場する少年と同タイプ。少年の目線で怪事が徐々に起こっていきます。父の仕事の都合で一家で転勤。家は、広くて新築のようと喜ぶ家族をよそに、少年は、築3~4年で新築同様というのに不信感と、嫌な感じにとらわれている。以前から、そうした危険の予知めいたものを時々察知する子。小さい頃、姉と遊んでいて理由も無いのに急に嫌な感じに襲われ、急いで姉を連れて帰ったら、その夜、一緒に遊んでいた女の子が行方不明になった、というようなことが数回あった。今回の転勤も、行きの新幹線から数回そうした嫌な感じに襲われていた。舞台となる田舎は、その村ならではの呪いのようなものが、覆っています。住宅街などもあり、普通な町のようですが、かつて村を治めていたという廃屋敷も残っていて、少年はその廃屋敷が眺望できる部屋を自分用に選ぶ。刀城言耶が活躍する時代なら、立派に村に睨みを利かせていたのだろうけれど、現代の波と山の呪い?ですっかり廃れている。山の呪いというのも、ハッキリした伝承の説明が特になく、民俗学や村の歴史にはまったく触れてなく、その辺を掘り下げたら、刀城言耶シリーズのようになるのかな。暑い夏に、スッと涼しくなれそうな一冊ですね。少年が主人公なので、中学高校生もおもしろいのでは。山田悠介著作の「リアルおにごっこ」や「おやゆびさがし」のように。「刀城言耶」シリーズ 第一弾 『厭魅の如き憑くもの』 第二弾 『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』 第三弾 『首無(くびなし)の如き祟るもの 』 第四弾 『山魔(やまんま)の如き嗤うもの』 短編集 『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』第五弾 『水魑(みずち)の如き沈むもの 』シリーズ以外『忌館』『凶宅』
2009年07月23日
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このミステリーがすごい 2009年版 国内編 第10位【内容】【このミステリーが凄い】 より紹介文過去と現在の事件が複雑に絡み合い織り成す騙し絵 デビューしてからわずか四年というキャリアにそぐわないほど、道尾秀介の存在感は大きい。年に二作のペースでこれまでに八作品を発表しているが、そのうちの五作が『このミス』にランクインしていることからも、ミステリーマニアに与えている影響力の大きさが知れるだろう。 07年版に初入選で三位となった『シャドウ』は第七回ミステリ大賞を受賞しているほどで、今年も『カラスの親指』とともにベストテンに二冊入るという快挙を成し遂げいる。「本格」というジャンル以外も対象とする賞の候補にも、遠からず挙がってくることを期待したいものだ。 姫川亮は高校生の時に結成したメンバーで、社会人になった今もアマチュアバンドを組んで活動している。ただドラムだけは二年前に恋人の小野木ひかりから、彼女の妹の桂に代わっていた。姫川の想いはひかりから桂に移っていく。桂に、亡くなった姉の面影を見たからだ。 亮には長い間、心を苛んでいる記憶があった。二十三年前に自宅の二階から転落死を遂げた姉。姉の事故死後すぐに病死した父や、感情を閉ざすようになった母。亮は姉の死に両親が関わっているのではという疑問を持ち続けていたのだ。 そんなおり、亮のバンドが練習中、同じスタジオにある倉庫でひかりの死体が発見された。ひかりは倒れた大型アンプの下敷きになっていたのだ。 ラットマンとは先入観により、人の顔がネズミにみえてしまう騙し絵のことだ。姉から妹へと愛情が移った亮は、ひかりの死を、ラットマンを見た被験者のように、違う角度で見てしまうのだ。そして亮の心を捉え続けている、忌まわしい過去の記憶が呼び戻され、現在の事件と絡み合う。 作者は青春への惜別と焦燥を描きつつ、先入観という罠をたくみ仕掛け、過去と現在の二つの事件を相手に見事などんでん返しを見せる。現代の騙し絵といえよう。【感想】道尾さんは、作家に転身前バンド活動されていたそうですね。音楽活動風景や、スタジオでの事件の様子などは経験上お手のものですね。冒頭のエレベーターシーンでは、どこかの企業内が舞台なのかと思いました。社会人になっても音楽を止めないで友情も健在、まだ青春している登場人物たち。主人公は過去を引きずって恋愛に向き合えない。事故か、殺人か、犯人は、仕掛けは。そんな、人の生き死にも、青春ドラマのよう。そこそこ、しんみりさせてくれる、重すぎず軽すぎず。丁度良いバランスの読後感。多くの読者人が、受け入れやすく共感しやすいという作風ですね。東野圭吾さん『流星の絆』『ガリレオ』シリーズ伊坂幸太郎『重力ピエロ』海堂尊『バチスタ』シリーズ京極夏彦『京極堂』シリーズ宮部みゆき『模倣犯』などなどなど、、のように、『このミス』からは続々映像化が続いてます。それと、本のほうも好調なようですね。相乗効果なご商売のようで。道尾さんも多作な作家さんのようですね。いずれこうした波に乗るのかな?著作『背の眼』 『向日葵の咲かない夏』 『骸の爪』 『片眼の猿』 『ソロモンの犬』 『シャドウ』 『ラットマン』 『カラスの親指』『鬼の跫音』『龍神の雨』
2009年07月23日
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「第5回ホラーサスペンス大賞」特別賞受賞作 2005年「真備シリーズ」1作目。【内容】「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」ホラー作家の道尾が、旅先の白峠村の河原で耳にした無気味な声。その言葉の真の意味に気づいた道尾は東京に逃げ戻り、「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れた。そこで見たのは、被写体の背中に二つの眼が写る4枚の心霊写真だった。しかも、すべてが白峠村周辺で撮影され、後に彼らは全員が自殺しているという。道尾は真相を求めて、真備と助手の北見とともに再び白峠村に向かうが…。未解決の児童連続失踪事件。自殺者の背中に現れた眼。白峠村に伝わる「天狗伝説」。血塗られた過去に根差した、悲愴な事件の真実とは?第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。 【感想】三津田さんの『忌館』のあとなんで、ホラーテイストは丁度良くて軽めに感じました。でも、普通に読めば充分怖いと思います。川原の心霊現象場面は怖かった。京極さんのような蘊蓄トークがちょこちょこと。そこら辺はスミマセンが飛ばして読んでも大丈夫でした。意味は繋がるし、あんまり本筋に関係ないかな。逆に、村の伝承や、天狗伝説、神隠しの掘り下げは、もうちょっと欲しかった。せっかく事件の現場の村なんですから。旅情ミステリ風でもあるようです。そういうのは、あんまり読まないので分かりません。いろいろ詰め込んでて、盛りだくさん。後の書評で、余計な枝葉を刈り込む勇気も必要、それほどページを使わないと人物を現せないのか云々、とありました。わざわざ書評を載せるのか~、と思いましたけど。にぎやかな人物達の様子は楽しいし、人物らのちょっとした仕草や、何かに気づくことが伏線になったり、という描写は丁寧。すわっ心霊現象か?の場面や、緊迫シーンも好感が持てました。ただ、子供に平日、日中学校休ませ、親の許可もなく、どころかランドセルを担がせて親を騙して連れ出して、本人に覚悟もさせず、危険な場所に連れて行く展開には、びっくりしました。心霊能力についても、お手ごろに扱いすぎてるような。映画「シックス・センス」のハーレイ・ジョエル・オスメントくんと同等の能力の持ち主のようですから、もう少し大事なキャラクターとして、出し惜しみして登場すれば良いのになぁと思いました。シリーズ好きなので、また、その後のこの人物達の活躍を読めるのが楽しみです。著作『背の眼』 『向日葵の咲かない夏』 『骸の爪』 『片眼の猿』 『ソロモンの犬』 『シャドウ』 『ラットマン』 『カラスの親指』『鬼の跫音』『龍神の雨』
2009年07月22日
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【内容】奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。【感想】三津田信三のデビュー作「ホラー作家の棲む家」を改題し、 改訂され「完全版」として文庫化。 とにかく怖かった。ホラー駄目と思いつつ、ついつい。。それでも、刀城シリーズがあんまり良かったから三津田作品の初期モノにチャンジしてしまった。いよいよやばくなって、震え上がって、鳥肌、背中ザワザワ、途中で本を投げ出しました。手にしてるのも嫌になり、”忌”本に感じました。しばらく手をこすり合わせたり、振ったりして、なにやら払いました。スプラッター満載なえげつない描写があるわけではないのに、なんなんでしょう。これが三津田ワールドの強烈さです。ある人物のある笑いの、擬音が、ゾッとさせるのです!そう、それに家にはある仕掛けがあって、ワケがわからなくなります。本筋と、本の中で主人公の”三津田”が連載している『忌む家』の原稿内容が平行して進むことで、読者を翻弄します。で、途中で逃げましたが、やっぱり、細かいトコロが気になって、結局、読み終われました。読むなら日中、人のいる所、電車の中とか??でをオススメします。この主人公”三津田”は、ホラー好きにもほどがありますよ。こんなゾッとする家によく住めるものです。変わり者ですね。ホラーは、絶対日本モノが怖いと思ってます。この本、『忌館』と、いかにも日本風な題名なのに、舞台となるのはイギリスの”ハーフ・ティンバー風”という家。で、ベースとなる一家惨殺事件も、よく海外映画であるような洋風テイスト。ただ、この様式の家は、作りや内装がとっても素敵な感じです。玄関を開けると、ホールでそこがリビングに使えて、奥に主寝室のドア。キッチンや水周りのドアもホールからドアで行く。ホールは吹き抜けで二階の部屋はホールを見降ろす廊下でつながっている。結構な面積が必要そうな造りです。本書では、いろいろなホラーにまつわる文献が出てきます。主人公が ホラー文学の雑誌編集者だから、当然といえば当然です。それらの文献は、必ずしも全部実在するわけではないようです。主人公の三津田信三が、企画編集し作っている『ワールド・ミステリ・ツアー13』。これなどは、実際に読んでみたくなりますですね。全部で13巻、13章内容という刊行物で、第6巻以降どうなったのか気になります。他の本で、触れてたりするのかな? 第一巻/ロンドン編 ・幽霊屋敷探訪 ・切り裂きジャック ・鉄道ミステリ ・怪奇幻想短編小説13篇第二巻/イタリア編 ・イタリア・ショッキング・ツアー ・ダリオ・アルジェントmのホラー映画13本第三巻/パリ編 詳細記述なし? 第四巻/東京編 「東京の将門伝説を巡る」「円朝の幽霊画を愛でる」「乱歩の東京幻想空間を彷徨う」 表紙:狛犬第五巻/京都編 表紙:お稲荷様また、架空の『イギリスの幽霊屋敷』という本も印象深いです。「繰り返される惨劇の家」「魔女の呪い、一族を滅ぼす」「釘を打つ狂信一家」この内容が、本書のあらすじに大いに関係してました。三津田さんの本、他のホラーを入手しましたが、読むのは、しばらく時間をおいてからにします。怖すぎる。連チャンは無理。「刀城言耶」シリーズ 第一弾 『厭魅の如き憑くもの』 第二弾 『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』 第三弾 『首無(くびなし)の如き祟るもの 』 第四弾 『山魔(やまんま)の如き嗤うもの』 短編集 『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』第五弾 『水魑(みずち)の如き沈むもの 』シリーズ以外『忌館』『凶宅』
2009年07月21日
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このミステリーがすごい 2009年版 海外編 第3位 【内容】【このミステリーが凄い】より紹介文ボストンの街と命運をともにする一家の物語 かつてボストンといえば、真っ先に思い浮かぶ名はロバート・B・バーカーだが、今はこの人だろう。デニス・ルヘイン。ルヘインは、私立探偵パトリックとアンジーのシリーズ、『ミスティック・リバー』、『シャッター・アイランド』と、ボストンとその近郊を舞台に小説を書き続けているl。そのルヘインの新作は、第一次大戦の末期、ロシア革命の余波が押し寄せるこの東海岸の街を襲った、労働者の権利をめぐる変革の嵐を描いた歴史小説である。 トマス警部は、地の塩としてボストンの地に根をおろすゴグリン一家の長で、長男のダニーもまたボストン市警に奉職の身だった。時おりしも、第一次大戦による財政状況の疲弊から、一般市民ばかりか警察官の間でも、劣悪な待遇の改善を求める声があがっていた。ダニーは父親の命を受け、署内の急進グループを内偵していたが、持ち前の人望の厚さから、彼らの側の先鋒として担ぎ上げられることとなり、その結果、父親との折り合いを悪くしていく。 一方、地元ギャングとの諍いから、オクラホマの地を追われたルーサーという黒人がボストンに流れ着いた。ゴグリン家に雇われるようになったルーサーの歯に衣着せぬ態度にダニーは密かに好感を抱き、思いを寄せる使用人のノラとともに、三人の間に信頼関係を築いてく。しかし、不景気の加速や労働運動がエスカレートしていく中、時代の波は緊急を告げ、そんな彼らを飲み込もうとしていた。 断っておくが、ミステリーではない。描かれるのは、ボストンの街と命運を共にするかのようなゴグリン一家の家族の絆である。時代の荒波にもまれ、虚飾を剥ぎ取られても尚、血の絆は家族を結びつける。本作はある一家をめぐる数奇な確執の物語と呼んでも差し支えないだろう。背景に描かれる歴史的風景の精密さも見事だが、断章におかれた球聖ベーブルースの挿話が印象深い。【感想】『警察署長』スチュワート・ウッド著や、『警官の血』佐々木譲著、系作品。ロバート・B・バーカーも、デニス・ルヘインも、読んだことありません。なにせ、とにかく全編、男くさい。男くさいというと、ハードボイルドって、ちょっと苦手。男性のためのジャンルという感じ。警察小説は、最近おもしろい。上にあげた、二作品は、超お気に入り。初、ルヘイン作は読みやすかったです。人物が生きているみたいで、描き方も多面的。 『ブラック・ダリア』のジェイムズ エルロイや、『夜の記憶』のトマス・クックの、暗鬱さ、ダークさが、ズシーッと重くのしかかり、くるし~っという感じはなく、これなら、著者の他作品もいけるかも、と感じました。この『運命の日』も、いかにも骨太な男たちの物語。しかも、アイルランド系警官一家の話ですから、アメリカ創立歴史モノに興味がある人には、ヨダレを垂らしたくなくお話に間違いありません。 本作はサム・ライミ監督による映画化が決定してる。ホラーや『スパイダーマン』で人気の監督が、骨太な歴史物語をどう撮るのか、お楽しみというところですね。本作では、黒人主人公の悶着以外は、マフィアにそれほどページを割いてません。時代が、まだ<禁酒法制定前>なので、マフィアもそれほど幅を利かせていなかったのか。マフィア家系とはまったく別の、警官一家の家族のドラマ。そしてボストンの警察内部組織、労働組合をめぐる。で、面白かったかというと、おもしろかったですね~。アメリカ史が、また、ちょっと勉強になりました。ほんとに、人種のルツボの国ですね。舞台のボストンといえば、日本人にも馴染み深い。なにせ<レッド・ソックス>、松坂くんのチームの街。クールで、理性的な、オシャレな街というイメージでしたが、こんなに混沌とした時代があったんですね。戦争で、国内はひどい財政赤字、警官の給料はバスの運転手や、最低賃金より、更に安い。ウン十年前から、昇給がストップ状態。週に80時間勤務で、仮眠室は不潔。制服や銃など装備の補充は、給料から差し引き。超過勤務手当てなし。勤務中の負傷や殉職にたいする手当てなし。とにかく賃金アップや待遇改善に、どの職種も、国中ストライキや爆弾テロで、騒然としてる。でも、警察は公僕。組合なんてあり得ない。緊急要員に待遇改善の交渉など認められない。国にお金が無い時に、警官にそんなことはゆるされない。街を守ることが仕事だから。アメリ合衆国最大の労働組合AFLへの加盟は悲願だった。なんとか、警察のストライキは避けたいと願っていた。街や市民は守りたい。警官としての誇りはもちろんある。でも、生活の改善はなんとしても必要だった。時代のうねりを、ザッパンザッパン感じました。アメリカの建国は、とにかく移民、移民、移民、、。先に入国してきて、生活の基盤を作った者勝ちって感じ。 祖父か誰かの世代で、アメリカに来て、必死で仕事し、結婚し、家を持ち、子供をそだて、それで、街が形成されていく。。 男は、とにかく、働いて、女房を守り、子供を育てて、なんぼ。「家長の自分が、住まわせて、食わせて、いい学校に行かせてやる。」それが男の誇り。ここは俺の家。俺の街。ダニーの父親たちの世代は、まさにゼロからの叩き上げ。自分が規範。アメリカという国をかたち作った、名もなき多くの男たち。前巻、主人公ダニーは主に潜入捜査にかかわります。社会主義者、ボロシェヴィキとかアナーキーとか、聞きなれません。ロシア系やらイタリア系やら、、の活動家たちによる反政府集会へ変装し勉強し潜入捜査します。これは、父や取り巻きの指示によるのですが、こんな危険な囮捜査に息子を使うのか?っと不思議でした。もし、バレても、最悪、叩きのめされる程度と思っている時代の悠長さ?『警官の血』では潜入捜査した二代目主人公は、すっかり心を病んでしまいました。後巻、ダニーは、とうとう警察の組合のリーダーに。父や街のトップ人物らの不況を買い、溝が深まっていく。この組合活動っていうのは、ホントに大変そうです。山崎豊子さんのモデル小説『沈まぬ太陽』で、日本航空の組合委員長になった主人公は刑罰人事でアフリカに10年とばされてしまう。社員のためが会社のためなのに。社員代表としての言動は、会社からはクレームでしかない。貧乏くじ、わりに合わない、努力が実を結ばない、損。もうひとりの主人公の黒人ルーサーは、ずっと後に生まれていたら、きっとメジャーリーグでブイブイ言わせていたことでしょう。残念な時代に生まれ、ヒーローになり損ねた男。伝説の選手ベーブ・ルースがちょこちょこ出てきます。この人物像が、また、、いかにも男。すきなこと、野球と、酒と、女。得意なこと、野球と、酒と、女。でも、裕福な階層の人々には、労働者の騒動なんて、確かに他人事だったのでしょうね。野球は、大人にも子供にも人気スポーツ。メジャー・リーグの選手も、大人気。レッド・ソックスとかヤンキースとか、野球好きな人には、うれしい章かも。【映画化】『ミスティック・リバー』 クリント・イーストウッド監督『愛しき者はすべて去りゆく』 べン・アフレック監督(日本未公開)『シャッター・アイランド』 マーテイン・スコティッシ監督(現在撮影中)『運命の日』 サム・ライミ監督により映画化決定。
2009年07月19日
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『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 ラストまで残り3作。ついに物語は最終局面へ!前作『不死鳥の騎士団』と最終作『死の秘宝』をつなぐ重要な第6作。主要な登場人物の死や、ある人物の秘密の過去が明かされるなど、クライマックスに向けて物語はさらに加速する。作品を重ねるごとにスケールを増すスリリングな魔法バトルはもちろん、登場人物たちの甘いロマンスも描かれるなど、これまで以上に多彩な要素が凝縮された1作だ。 ハリーポッターと謎のプリンス 公式サイトストーリー: ヴォルデモートの脅威は魔法界だけでなく、人間界にも広がりつつあった。ヴォルデモートとハリーの最終決戦に備えるべく、ダンブルドア校長はハリーと、かつてホグワーツの教師だったスラグホーンのもとを訪れる。感想: ネタバレ注意↓見てきましたよ。原作も完結し、映画のほうも終盤に近づいてきましたね。次回作の撮影にもすでに入っているそう。「ハリーポッターと死の秘宝」第一部は2010年 秋「 同上 」第二部は2011年 夏と、エンドロール後に告知がありました。今回、戦いのシーンがほとんど無かったかな。ヴォルデモートが全然登場しません。↓ この子が登場しますから、それで帳消し。というか、この巻は「敵について知る」です。現行のヴォルデモートが、何故そういう人物になったのか。一番の重要シーン以外はカットが多かったですけど。見どころはハリーとダンブルドアの記憶への旅とか。学園内での恋愛模様、ですかね。今回よかった人物は、ドラコと、ロン。もちろんダンブルドアはいわずもがなです。ドラコにこんなに脚光があたったのは「賢者の石」以来では。父は投獄、自分は秘密の指令と孤独な試練。これまでは威張ったり、上っ面だけ見たりと、お気楽なものでしたよね。有名人のハリーをやっかんでいた頃の方が良かったと思ってたりして。でもって皮肉なことですが、ハリーの孤独や苦悩を知る、こころとあたまがあれば、理解者になってもおかしくない。ヴォルデモート支持者という経験は、楽ではないと思い知ったかな。こうした経験は、ドラコを成長させるんでしょうか。ハリーのような勇気をもてるのか。ドラコのママが心配するように、お坊ちゃま育ちのドラコには過酷な試練だったことはうかがい知れます。本人がどう変わるかは。。??ですが。。ま、それは表立ってわかりませんし、あくまで敵対者かな。もうひとり、脚光があたって、いろいろ成長?しているのがロンですね。クイディッチに、恋人に。こんなに楽しそうで充実したロンも「賢者の石」以来、、いえ、はじめてじゃないでしょうか。ラベンダーの「ロンが、今すごくおもしろいから、云々」に対して、ハーマイオニーが「ロンはいつもおもしろい」と切り返すくだりは、おもしろい瞬間でした。原作にない、面白いシーンが結構たくさんありました。ハリーがハーマイオニーに怒られる所とか。初めのころの原作重視の方針は少しゆるんだんでしょうかね。あの、ラベンダー役の子は、ちょっとロンのママに雰囲気にていた感じ。結構お似合いだったな。ハーマイオニーはどんどん美人になって、才媛だし、ロンのどこに惚れるのかちょっと分からない時があります。おっと、これはロン&ハーマイオニーの恋模様ファンには失礼ですね。そうそう、クディッチ関連で、まるで大西ライオンかという人が出てきて、大変受けました。ダンブルドアの見せ場はバッチリでしたね。『不死鳥の騎士団』での、ヴォルデモートとの戦いも凄かった。今回は、バトルシーンが少ない中、ダンブルドアの炎を操る場面は、一瞬でしたが、圧巻でした。今回のテーマは、表題の<謎のプリンス>はもちろんですが、あと勝手に重要に感じたのは、<破れぬ誓い>でした。これまで、スネイプ教授が長年教えてきた魔法薬学。今年の魔法薬は、新しいスラグホーン教授にバトンタッチします。スネイプ教授は、闇の魔術の防衛術クラスへ。これまで経験のないことで、ハリーはすっかり魔法薬学クラスの優等生になる。それは、教室の戸棚で見つけた誰かの古びた教科書のおかげ。ハリーは、この教科書とそこに書いてある記述にすごく助けられます。<半純血のプリンス>と自ら名乗り、署名する人物の教科書だったようで、この人の考案した授業へのヒントや呪文に助けられ、ハリーは、どんどんこの人物に、共感し依存していくようになります。原作では、この人物の正体は、実は、自分の父なのではないか、、とさえ考えるようになります。ハーマイオニーが、この本は危険だ、この人物は胡散臭いと言っても、強固に弁護。ジニーも、自分がヴォルデモートの日記に乗っ取られた経験上、疑いの目を向けます。と、女性人は一様に、疑わしい教科書と謎の人物に反応するのに、ロンは、いつものロン。ハリーのことは、ハリーにまかせておけ、的。(^^)そこがロンのロンたるゆえんで、良いところ。ハリーが、この<半純血のプリンス>にどれほど傾倒し、依存していたか。映画では、ハリーの依存度が描き足らなかったように感じました。マルフォイとの一件で、さすがにハリーもこの人物が善意だけの人では無さそうと感じ始めますが、それでも、こんなに自分を助けてくれる人が悪い人ではないと信じたい。複雑な気持ちだったことでしょう。そんな複雑な心理も、プリンスが、いよいよ誰か明らかになった時、劇的な瞬間な筈なのに、重要テーマがぼけてしまったように思いました。なんだかんだとあっても、味方だと思っていたのに、と!ハリー・ポッターの物語は完結しているので、言わせて貰うと、<謎のプリンス>の名誉は今回、地に落ちます。ハリーにとっての最大の守り主を奪うことで。仲間を裏切ることで。けれど、この<謎のプリンス>こそが、重要人物です。ご本人とハリーの感情は抜きにして、この絆はものすごく強い。冒頭、<破れぬ誓い>をあの人とあの人が結びます。これはとても象徴的で、本当はハリーとあの人物こそ、本当の意味で結ばれていると言えます。というか、とっくにハリーとあの人は<破れぬ誓い>で結ばれているんじゃないかと。魔法の力によってではなく。魔法によっての形ばかりの誓いなぞ、本心からの誓いに比べては薄っぺらなもの。魔法による<破れぬ誓い>は、破れば死ぬ。けれども、ハリーのお母さんなどなど、死を賭してハリーを守る人たちの姿勢を思うと、。死を一番恐れるヴォルデモートの遠大な野望というのも、死をも恐れない思いの前では、恐れるに足らずと感じさせるのでした。 【ハリー・ポッターシリーズ】Harry Potter ●●J・K・ローリング●● 「静山社ハリーポッタと謎のプリンス」公式サイト
2009年07月17日
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このミステリーがすごい 2005年版 第8位【内容】何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。この事務所“紺屋S&R”が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。それなのに、開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして―いったいこの事件の全体像は?犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。『さよなら妖精』で賞賛を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説。 【感想】読む前は、表題に<犬>とあるので、宮部みゆきさんの長編デビュー作『パーフェクト・ブルー』をイメージしました。犬のマサが事件を語るおはなしで、マサの友達犬が死んじゃう場面では、すごく哀しく、涙しました。そんな期待は、裏切られました。あれれ、どこで登場するのかな~、っと思っておりましたが。。じゃあ、何故「犬はどこだ」なのか、読後、ラスト文で、感じるかな?ある意味、犬と関わってます。野犬退治で、少し覇気を取り戻すし。依頼内容に関係するので、野犬退治参加をして、情報も入る。主人公の紺屋は、犬猫などペット探し専門の探偵業を希望してます。でも、実際にきた依頼は、「人探し」「文化遺産調べ」という、地味ながらも、結構調査能力が必要な内容。事務所開店とともに、依頼と共に舞い込んできた、探偵になるのが夢という、高校の後輩:ハンぺーこと半田平吉と、探偵稼業が回りだす。紺屋は、覇気というか、気力が希薄で、ハンぺーはがっかり。それでも、強引に、所員の座をゲット。紺屋が何故、生きる気力を無くしたか。致し方の無い気の毒なワケも明らかになってくる。故郷に帰ってきた彼を、周囲が、それとなく気にかけているのも感じ取れる。市役所務めの友人や、夫婦で喫茶店経営をやっている妹。チャット仲間の〈GEN〉。探偵稼業は、紺屋&ハンぺーコンビには、結構向いてたようです。「こいつ、結構、掘り出し物かも。」紺屋は、半田を見直し、「先輩、やる気無さソーだったけど、本気モードの顔になってきた。」と、ハンぺーも、昔の紺屋の片鱗を感じ始める。人探しは意外な展開を迎えます。いつでも、シリーズスタート出来るんじゃない、と思いました。出版当初は、ハードボイルド調という、触れ込みだったようですし、ネオ・ハードボイルドの作家が誕生、と思われもしたようですね。でも、青春自分探しガツン系「ボトルネック」とも、密室本格ミステリ系「インシテミル」とも違う調子です。高校が舞台で高校生が人物らしい<小市民シリーズ>というのが、図書館にはないんですよね。そっちも読んでみたいですが、なかなか見つかりません。米澤さん作品、幅が広そうです。【このミス履歴】 近年毎年トップ20以内にランクイン『さよなら妖精』 2004年度 20位『犬はどこだ』 2005年度 8位『夏期限定トロピカルパフェ事件』 2006年度 10位『ボトルネック』 2006年度 15位『インシテミル』 2007年度 10位(2009年度版では、対象期間内に新作が無かったためランクインせず)他『儚い羊たちの祝宴』
2009年07月16日
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『このミス』大賞シリーズ どこまでが医療で、どこまでが人間に許される行為なのか強烈なキャラクターが魅せる最先端医療ミステリー【内容】美貌の産婦人科医・曾根崎理恵――人呼んで冷徹な魔女(クール・ウイッチ)。人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれぞれの事情を抱える五人の女が集まった。神の領域を脅かす生殖医療と、人の手が及ばぬ遺伝子の悪戯がせめぎあう。『チーム・バチスタの栄光』を越えるドラマティックな衝撃があなたを襲う!【感想】今回は、産婦人科医療『がテーマです。グッチーこと田口先生は、登場しません。舞台は、東城大学医学部付属病院ではなく、帝華大学医学部産婦人科学教室と産婦人科病院「マリアクリニック」です。理恵は、大学病院の講義をしつつ、産婦人科医院で患者さんも見ています。危機に瀕している産科現場の現状を、理恵はバッサリ切って行きます。講義中には信念をにじませ政治批判し、実際にも医師として女性として出産に対峙します。これまでと同様、厚生労働省批判、役人の作った制度と現場とのズレ、更に<体外受精>や<代理母>という、医療制度の欠陥が示唆されてます。産婦人科医療への危惧が読み取れます。現実に、妊婦さんの盥回し事件で明らかになった、お医者さんの人手不足、対応できない病院、激務の産婦人科ヘの志望が減っている、、などが心配なこの頃です。海堂さんの本で改めて知る事で、問題が認知され、お医者さんやわたしたち患者にとって良い環境に改善されることを切に願います。東京都知事も乗り出していた、東京の医療体制は、あれから改善されたんでしょうか。その後、ニュースで見ることもなくなりましたけど。作中気になった、厚生労働省ベッタリの旧弊然とした、偉そうな教授。現場の疲弊ぶりとは遠く離れた、こういう人も医界にいるのも確かなんでしょうね。こういう雲上人ぶった人が、以前の医療への批判を、そもそも作ったんじゃないかと思いました。手術が苦手なのに、出世だけはするっていうのが、まかり通るって、良く分からない。。患者さんを救ってなんぼなのが医療、病気の研究・論文発表してなんぼが医学?医療と医学は違うのだと、学生への講義内容で出てましたが、なるほど~っ。『ジーン・ワルツ』は、2009年度の『このミステリが凄い』では21位以下でした。海堂さんの本は、ミステリ度が弱いという感想をよく見るのですが、ミステリの定義って最近はとても広くて多様化してますね。伝統的な本格ミステリも良いですが、ホラーやSFやファンタジーやらが、味付けに使われていて、それがはなしを面白くしてます。 素人考えで言うと、殺人があって犯人がいて探偵がいて、仕掛けがあればミステリになっちゃう。人間探求な面がメインだったりもしますね。近藤史恵さんの『サクリファイス』のように、自転車ロードレースというスポーツ業界ならではのミステリも面白かった。 海堂さん作品は言わずもがなですが、医療が舞台。読み手としても医療業界については、知識がないのが難点ですが、業界ならではのネタや、重要な医療問題がテーマだったりと、盛りだくさん。主人公:産婦人科女医の曽根崎理恵は、 『医学のたまご』の主人公・曽根崎薫の母親。上司:清川吾郎は『ひかりの剣』に登場、 『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水部長と剣道対決した人。産科医療活動と代理母出産疑惑が絡んだミステリーで、初の東京舞台の作品です。帝華大学が主人公の職場ですが、実家が桜宮市と、世界観は共有。他の海堂さん作品とリンクしてます『ジーン・ワルツ』では作中の背景で起こった出来事として北海道の架空の都市「極北市」を舞台に、福島県立大野病院産科医逮捕事件を模した事件が描かれています。『極北クレイマー』で、その三枝久広の事件の顛末が描かれています。 『 チーム・バチスタの栄光』 『 ナイチンゲールの沈黙』 『ジェネラル・ルージュの凱旋』『イノセント・ゲリラの祝祭 』 『螺鈿迷宮』 『ブラックペアン』 『夢見る黄金地球儀』 『死因不明社会』 『医学のたまご』 『ジーンワルツ』 『ひかりの剣』 『極北クレイマー』
2009年07月15日
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このミステリーがすごい 2007年版 国内編 第19位【内容】孤島で起こる殺人事件に挑む火村と有栖川 三重県の小島に旅行に出かけた火村英生と有栖川有栖だったが、手違いで別の島に渡ってしまう。通称烏島と呼ばれるその島は、その名の通り島が乱舞する小島だった。 2人は島で唯一、人が住む別荘に宿泊する。そこの当主は伝説の象徴詩人、海老原瞬だった。別荘には何か思惑がありそうな男女が滞在していた。そして突然ヘリコプターで、IT会社の社長が舞い降りる。彼の登場がきっかけになったかのように、殺人事件が起きる。 関係者以外不在の孤島という、古典的な筋立ての中で、きわめて現代的なある技術をめぐる確執の果てに起きる殺人を、精密なロジックで解き明かす本格ミステリだ。【感想】初、有栖川有栖さん本。多作な作家さんというイメージです。有名な作家さんなのに、これまで手に取ったことがありませんでした。好きな作家さんばかりに偏っているので、これから少しずつ幅を広げて行きたいです。『女王国の城』が、2008年の「本格ミステリ・ベスト10」の一位獲得で興味あります。著者の有栖川有栖が、そのまま作品内で活躍されます。作風は、エラリー・クイーンの影響が色濃いということで、「読者への挑戦」が挿入される作品が多いそう。今回はそういった挑戦状というのは無かったです。『古畑任三郎』的な、一定のパターンに沿ったシリーズを書いてらっしゃるんでしょうか。<学生アリス>と<作家アリス>というシリーズをお持ちだそうですね。それぞれ違う探偵役いて、有栖川有栖が相棒役。『乱鴉の島』は、常套的な筋立てのミステリを、味わいたく手に取りました。どんでんがえしや、奇抜な設定、社会派的問いかけなどは無く、おどろどろしい芝居っけや、派手なテーマのない、いたって地味な作りで、好感が持てました。<作家アリス>シリーズの作品ですが、他作品を知らずとも大丈夫でした。登場人物にIT社長がいますが、あの人を思い出しました。作品中では、「ハッシー」という呼び名で知られた有名人なことも、あの人みたいでした。あっさり殺されちゃいましたけど。執筆、出版当時は、すでにあの人は逮捕されていたのかな~とか、それ以前のもてはやされていた頃なのか。 フジテレビ買収で話題だったころなのか、それとも選挙で<改革Tシャツ>を着て自民党から立候補した頃?、ってそんなことばかり、読んでて思い浮かべてました。丁度、今、また解散総選挙を麻生総理がようやく発表した時期です。自民党は、東国原知事を引っ張ってくるのに失敗したようですね。自民党の選挙って、いっつも、小泉チルドレンとか、誰かなにか話題作りで、票を得ようとしてきた。なんの策のない民主党もじれったいけど、小泉さんの作った格差社会、郵政民営化云々態勢はウンザリという国民は多いと思います。はなしがそれた・・。<IT企業の社長>という職業が認知されたのも、あの人が世間を賑わして以来ですよね。ある意味、証券取引法の裏隙間をぬって儲けようという魂胆が、事件の背景にあったのも、時代を反映してるよねと、つらつら思いました。
2009年07月15日
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第41回吉川英治文学賞作このミステリーがすごい 2007年版 国内編 第6位【内容】どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。 【このミステリーが凄い】 より紹介文社内報編集者杉村が心ならずも暴き出す現代社会に潜む毒 シリーズ第一作の『誰か』以来、三年ぶりとなる現代ミステリーである。日本を代表するグループ企業会長の娘と結婚し、心ならずも逆玉の輿に乗ってしまった杉村三郎が主人公だ。杉村は結婚を機に、義父の会社に入り、会長直属の部署で発行する。グループ会報誌の編集業務を行っている。 会長から事故死した個人運転手の娘達の相談に乗るよう命じられた杉村が、故人の意外な過去と姉妹の確執に直面することになったのが前作だった。本作も杉村の身の回りで起きる小事件がきっかけで生じていく波紋を描いている。 編集部に編集アシスタントとして雇われたアルバイトの原田いずみは、無能、無責任で逆ギレを繰り返す、とんだトラブルメーカーだった。ついに契約解除を切り出した編集長に物をなげつけたまま、無断欠勤をしてしまう。原田が事実を歪曲した手紙を送ったことで、彼女をめぐる騒動は会長の知るところとなり、杉村は会長直々に、この問題を決着させるように命じられる。 杉村は原田が以前の勤め先でも似たような騒動を引き起こしていたことを知り、その時の調査を行った私立探偵の北見を紹介される。杉村は北見の家で、女子高生の古屋美智香と知り合いになった。彼女の祖父は、世間を騒がせている毒物無差別殺人の四人目の被害者だった。だが母親の暁子が警察から疑われていることに悩んでいた。ぎくしゃくする母娘の関係を再び探偵の真似事をすることになる。 飲み物に仕掛けられ、無差別に人を殺していく毒物。感情をコントロールできず、自分をいっさい省みることなく他者を攻撃することで、周囲に悪意という毒物を振りまき続ける原田いずみ。そして深刻な社会問題である宅地土壌汚染。本作は誰もが偶然かつ理不尽に遭遇するかもしれない<毒>の恐怖を描いた作品なのである。しかもその毒は、杉村の家族にも降りかかる。本作はあの超大作『模倣犯』と正反対のタッチで描かれた作品だが、小説の方法論が違うだけで通底するものがある。 なおこのシリーズはマイケル・サムスンシリーズに影響を受けたという。やがて杉村は私立探偵の道を歩み始めるのか、興味は尽きない。【感想】家族ももてあますトラブルメーカー、原田いずみ。この人物像は、模倣犯の続編『楽園』の土井崎茜を思い出しました。周囲に害を撒き散らす。自分の不満をどうにも解消できない。人の幸せが許せない。。ここまでくると、実際に、病気なんじゃないかと思いますけど?家族には、心療内科などへの通院をオススメしたい。他者との関係を築けない。感情のコントロールができない。ハッキリ暴力や暴れるといった行為が現われるなら、今なら拘束→入院なんでは???そこまでではなかったんでしょうか。。いずみの父が言うように10何年か前というと、相談先は学校か教育相談所位しかなかったようです。『楽園』と同じパターンで、いずみの引き起こしたとんでもない過去が明らかになった時、こんな人間が、家族&親戚&友人関係などなど周囲にいたとしたら、。まったく不幸なことで、やるせないというか、なんともかとも、こんな奴は抹殺しても間違いじゃない!という感情をこらえられませんでした。そして、こうした負の感情こそ、<毒>なんだな~としみじみ感じました。宮部さんたら、やっぱうまいです~。読者に<毒>を体感させちゃうんですから。。もうひとりの、外立ケンジ、こちらは、こちらで、また、あまりに不遇で、気の毒です。でもって、彼のような介護被害者というか、追い込まれた、環境の犠牲者的な人も今の日本を象徴してましたよね。名もなき毒という題名は言い得て妙です。社会を蝕む毒、個人を蝕む毒。先日「サンデーモーニング」で、このところの無差別大量殺人の事件(パチンコ店での灯油放火事件にからめて)へのコメンテータのこうした事件の動機ヘの推論にこういうのがありました。特定の誰かを恨むほどの人間関係も築けない弱者の、対社会への恨み、と。昔の日本の精神、「名もなく、貧しく、美しく」は何処へ行ったのか、もう一度教育から見直していかないと、この社会は、ほんとに壊れいく、すでに壊れ始めている、と。ホントにそうだな~と思いました。子育てしてますが、なにを指針にして良いのか?分かりませんよ。優しく、素直に、まっすぐに、、お人よしではイジメられるか、隅に追いやられちゃいますよ。何かに秀でて、自信につながることがないと生きにくい子供社会です。すでに子供はそんな世の中で、日々戦ってますよね。『名もなき毒』本中で、ジャーナリストの秋山が「誰かが<自己実現>なんて言葉を生んでしまった為に、生きにくい世の中になった」と言ってます。本とは関係ないですが、チョット前に流行った「勝ち組」とか「負け組」なんて嫌な言葉もありました。充足感を持って生きる、幸せと感じて生きている人が、この国にはどのくらいいるか?表題の『名もなき毒』と、「名もなく貧しく美しく」というフレーズが、たまたまですが、ちょうど頭でシンクロしました。最近読んだ宮部さんの本時代小説:『日暮らし』『孤宿の人』 『あやし』 『おそろし』現代小説:『楽園』『誰か』『名もなき毒』
2009年07月13日
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「刀城言耶」シリーズ 最新刊【内容】猪丸家に突然、謎の女が現れる。その名は、葦子。狐狗狸さんのお告げを伝える彼女が後妻に来てから、何かがおかしい…。そんなある日、屋敷の二階で密室殺人が起きた。惨事の元凶は狐狗狸さんなのか、はたまた…。旧家をおそった凄惨な事件を、刀城言耶が解明する(「密室の如き籠るもの」)。表題作ほか、全4編収録。シリーズ最新作。 【目次】「首切の如き裂くもの」元華族の住むことで有名な御屋敷町に、令嬢が連続して首を裂かれて殺される事件が発生。深代の家は、事件の路地の向かいにある。路地の奥の祠の前で不気味な女が現われる噂を聞く。ある日、深代は吸い寄せられるように路地に入っていった。「迷家の如き動くもの」薬売りの行商娘が2人、山で昼の休息をとっていた。それぞれ午前の仕事をして落ち合ったが、途中の峠にある山小屋の話になる。一方は奇妙な家を見たといい、もう一人は見なかった。そこへ男が話しに加わり<マヨヒガ>という幸運をもらえる家の話をする。けれど別の男が加わって<迷家>という人をとって食うという家の話をする。「隙間の如き覗くもの」多賀子は隙間があると、奇妙な光景を見てしまう。亡くなった祖母からは、一族の女に伝わる能力なので、扉や襖は必ずキチンと閉めるようにとしつけられたが、ふとした時につい見えてしまう。はじまりは子供の頃のお雛様を飾ったお座敷で、ふと、障子の隙間から片眼がジッとこちらを見ているのに気がついた。「密室の如き籠るもの」巌(いわお)は10歳、質屋の長男。父が再婚し、弟:月代(つきしろ)が生まれた。いまは、母も2番目の義母も亡くなっている。家内の噂では2人とも、蔵座敷で不審死したらしい。三番目の義母が来た。けれど新しい母は、人らしさが薄い人だった。乳母はしきりに悪口を言い、ふたりの叔父も胡散臭げに見ていた。自分はどう思っていいかわからない。よく、自分や弟をジッと見ているのに気がつきドキっとした。新しい母は、狐狗狸さんの占いが得意らしい。【感想】短編集でした。どれも、はじまりはホラーチックで、昼間でも、静かな部屋で読んでいるとうすら怖くなりました。特に「隙間」の話は、子供の頃は確かに隙間の向こうの暗闇には、何かがこっちを見ていそうな想像をして冷や汗をかきかき夜のトイレに行ったような記憶が蘇ります。ラストの中編が一番、読み応えありでしょうか。いろんな、密室事件の様々な例が勉強になりました。四話とも刀城言耶が解決してくれます。「刀城言耶」シリーズ 第一弾 『厭魅の如き憑くもの』 第二弾 『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』 第三弾 『首無(くびなし)の如き祟るもの 』 第四弾 『山魔(やまんま)の如き嗤うもの』 短編集 『密室(ひめむろ)の如き籠るもの』第五弾 『水魑(みずち)の如き沈むもの 』シリーズ以外『忌館』『凶宅』
2009年07月11日
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このミステリーがすごい 2006年版 国内編 第15位 「ボトルネック」を書いた 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さん【内容】恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。 【感想】「自分が生まれなった世界」で、見えたことは?自分の存在価値を徐々につきつけられちゃうので、結構キツイです。この主人公の子は、家庭が幸せでない?からかわいそうですが、辛いこととか、何でも受け入れてるんだけど、周りに働きかけることもしない。「右から左に受け流す~」的な生き方なんですよね。それで普通と思っていたわけで、そうやって自分の立ち位置を維持していた。ところが、比較できない筈の自分と、同等の位置にいる別世界の別人物に会ってしまう。そこには自分ではなくて、元気で明るい「姉」がいた。著者の米澤さんの対談インタビューによると「思春期における全能感の裏返しとしての」 「無能感の化け物」を書きたかったとのことです。徹底的に不要な自分を突きつけられるのも、いいかもしれない。後味よくないし、お気楽なエンターテイメントではないので、心の弱っている時にはオススメできないかな。教訓めいた事はひとこともないのに、グサッと一突き、えぐってくるような一冊でした。でも、それこそ、この本の価値なんでしょうね。若い時によんでたら、きっともっと衝撃をウケてたんじゃないかな。もしかしたら、嫌いな一冊になっていたかも。今は、親の立場なので、この子の親たちに腹立たしい気がしてます。【このミス履歴】 近年毎年トップ20以内にランクイン『さよなら妖精』 2004年度 20位『犬はどこだ』 2005年度 8位『夏期限定トロピカルパフェ事件』 2006年度 10位『ボトルネック』 2006年度 15位『インシテミル』 2007年度 10位(2009年度版では、対象期間内に新作が無かったためランクインせず)他『儚い羊たちの祝宴』
2009年07月07日
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このミステリーがすごい 2009年版 国内編 第11位 2009年本屋大賞 第4位asahi.com(朝日新聞社):テンペスト(上・下) 池上永一さん - 著者 .「テンペスト」サイト 人物 あらすじ【内容】美と教養と見栄と意地が溢れる珊瑚礁の五百年王国は悩んでいた。少女まづるは憧れの王府を救おうと宦官と偽り行政官になって大活躍。しかし待ち受けていたのは島流しの刑だった――。見せ場満載、桁外れの面白さ! 【このミステリーが凄い】より紹介文琉球を象徴するスーパーヒロインの誕生、転落、再起を描く19世紀半ばの琉球王国。士族の娘に生まれた孫真鶴(そんまずる)は幼くして十数ヶ国語をマスターするという天才振りを示し、性を偽り宦官・孫寧温(そんねいおん)と名乗りわずか13歳にして最難関の官僚登用試験に合格する。二歳年上のライバル朝薫(ちょうくん)とともに宮廷に出仕した寧温は、女形の踊子である花当になっていた兄の嗣勇(しゆう)との再会も果たす。周囲の妬みや妨害にも負けず、王の信頼を得た寧温は、朝薫や兄の助けを借りて、内政や外交の難題を見事解決していく。だが寧温は政治だけでなく、大奥にあたる御内原(うーちばら)の複雑な女の争いに巻き込まれる。やがて神事を司る国王の姉・聞得大君(きこえおおきみ)はその強力な霊力を使い、寧温の秘密に迫り始めるが。。大国に挟まれ二つの顔を持ち続けた琉球を象徴するスーパーヒロインの誕生、そして転落と再起を描いた、身もだえするほど面白いエンターテイメント大作である。際立つサブキャラも多数登場する。【感想】最初、漢字の名前など馴染みにくかったです。『三国志』とか重厚なおはなしを期待すると裏切られるでしょう。いえ、三国志ファンではないですので、わかりませんが。歴史小説の、それなりの味わい方とは一風違うようです。冒頭、ヒロインが産まれる夜の、龍神が暴れる風景は迫力ありました。バラエティ豊かなキャラが大勢いましたが、どうにも、いただけなかったのは、清国の宦官・徐丁亥(じょていがい)。気色悪いし、現実離れしているし。。『シャングリラ』でも感じたことですが、やっぱり、劇画タッチなところに、違和感がありました。幕末の琉球王国舞台という興味深い時代背景で、波乱万丈、設定も面白いのですけど~、。ヒロインが、一人二役で立ち回るのも、いくらなんでも、昼夜の顔、両方を知る人なら、周りが全然気づかないというのはあり得ないんじゃないか、と、やっぱりそこがず~っと引っかかってしまいました。親友や、夫や、自分を長年知る人に、どうしてバレ無いでいられるのか。女性が受かることなどあり得ない地位の役人役だから、といっても、ですよ。また、自分の最大の秘密、素性を見破った敵が、あっけなく失脚しちゃうのが腑におちませんでしたよ。特にこの聞得大君という敵?は、勝手にどんどんと不幸になっていくんで、全然脅威ではなく、逆に気の毒なくらい。この人のジタバタは、ほとんどお笑いのようでしたよね。。居てもいなくて良いような? この、抜群のアイデア溢れる設定と、人物の座りの悪さが、池上さんの特徴なんでしょうかねぇ。なんだかんだと、文句を言いながらも、最期まで結局楽しんで読んじゃいましたよ。女性には許されない職業に、こっそり見事に就いていた人のお話で、思い出すのは『女教皇ヨハンナ』です。こちらは実在人物だったのか、歴史から抹殺されたのか謎のままですね。
2009年07月07日
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『このミス』大賞シリーズ『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』に続く 田口・白鳥シリーズ最新刊!厚生労働省をブッつぶせ!医療事故を裁くのはいったい誰なのか? 公式チャンネル【内容】海堂尊の原点でもある「田口・白鳥シリーズ」の最新刊がいよいよ登場!!映画化、テレビドラマ化もされた第4回『このミス』大賞受賞作の『チーム・バチスタの栄光』は累計320万部突破、続編の『ナイチンゲールの沈黙』も140万部を突破し、驚異の新人と謳われる海堂尊。彼の原点でもある「田口・白鳥シリーズ」の最新刊がいよいよ登場です。今回の舞台は厚生労働省。なんと、窓際医師の田口が、ロジカルモンスター白鳥の本丸・医療事故調査委員会に殴り込み!?さまざまな思惑が飛び交う会議に出席した田口は、グズグズの医療行政の現実を知ることに。1年半ぶりに帰ってきた彼らの活躍にご期待ください。【感想】グッチーこと田口先生は、出張です。今回、舞台は、東城大学医学部付属病院ではなく、なんと厚生労働省です。そう、あの、”ゴキブリ”みたいと評された、白鳥調査官の職場訪問。このシリーズでは会議が、メインな時がありますけど、このたびも、”事件は現場で起こってるんじゃない、会議室で起こっている”な、会議室でのシーン、が中心でした。医療VS官僚の図式がクッキリ。「今日、田口先生をお呼びたてしたのは、他でもありません。ひとつだけ、ささやかなお願いがありまして、実は私の名代で、東京に出張していただきたいんです。」「ご存知ですか?巷では田口先生は、今や私の懐刀と言われているらしいですよ。」またもや高階病院長の手のひらで転がされて、出張とあいなります。行きの新幹線車中、田口先生がうたた寝から眼が覚めたら、ちゃっかりと隣の席でお出迎えする白鳥調査官。ホントは、白鳥調査官って田口先生が好きなのかなぁ。。かな?いまひとつつかめない、いえ、つまりは、ひねくれた天邪鬼者の、ゆがんだ友情なんでしょうか。とうとう自分のテリトリーに招いちゃいました。田口先生の無私なところ?とか、いざとなるとちゃんと働けるところ、とか、実はかなり、評価しているように、おみ受けします。それとも、単に自分の手駒として使いたいだけか。。白鳥調査官の姿勢は、将来の医療問題を見越して、着々とカードを切っている賭博師のような仕事振りです。「それが何を意味するか、もうおわかりでしょう。日本の死因の九割以上が死因不明になる。こんな先進国はありません。日本は着飾ったレディのように振るまいながら、その足元は泥だらけの裸足。国際社会という社交界からさぞや物笑いになるでしょう」彦根は言い放つ。「これは長年の怠慢医療行政のツケ、なのです」 本を読むと、ホントに現場を憂いて、実際に立て直せるのは、実は、こんな風に窓際に追いやられて鬼を狙っているタイプしかいないのかしら、、と思いました。出世した花形の地位にいる人たち、お役人って、みんな出世欲や金銭欲しかないんでしょうか。現場のことなんて我関せずの、問題の先送り、ごまかしばかり。海堂先生にきいてみたいです。あくまでフィクションなんでしょうけど、モデルがいるんですか?こうなって欲しいという、お医者サンたちの医療理想の形、目指す形が、なんなのか、素人の私にはもうひとつ分かりません。このシリーズ、間に色んなスピン作品がありましたが『チーム・バチスタ』に始まる田口&白鳥の本編4作目なんですね。 医療の現場の内幕を楽しみつつも、だんだんミステリー色が無くなって、医療問題の提議になってます。官僚に言いたいこと、医療の現場について語りたいことが山積みなのが伝わってきますね。ほんとに昨今の厚生労働省には、国民みんな怒ってるわけで、この本のような官僚がホントにいるのか~、医療制度はこんなにも壊れているのか、、と空恐ろしくなる内容です。医療用語、業界特有な事象は難しいですが、キャラクターが面白いので、読めてしまう。 医療ドラマの王道的内容というと、謎の死因とか謎の実験とか、謎の病原菌の開発とか、闇金とか、、違法医療とか、昨今だと違法臓器売買とか、病院ぐるみの隠蔽とか、あと派閥、権力闘争ですかね、『白い巨塔』みたいな、。あー、たのしい、ドロドロ。『チーム・バチスタの栄光』はそんな王道に含まれるんじゃないでしょうか。患者の謎の連続、陰謀があるのか、犯人は誰か。同じような医療ミステリも良いですが、今回のような、わかりにく~い、裏事情暴露なお話も、業界を知らない私には新鮮でした。『 チーム・バチスタの栄光』 『 ナイチンゲールの沈黙』 『ジェネラル・ルージュの凱旋』『イノセント・ゲリラの祝祭 』 『螺鈿迷宮』 『ブラックペアン』 『夢見る黄金地球儀』 『死因不明社会』 『医学のたまご』 『ジーンワルツ』 『ひかりの剣』 『極北クレイマー』
2009年07月02日
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