「すみません、遅くなっちゃって。こんな時に限って事故渋滞なんかしてるもんだから。」 謝りながら入ってきた望月の後ろから、インド人らしい風貌の30過ぎの男性と、その母親なのかAAAを着た高齢の女性が入ってきた。 「轟さん、こちらがスニルさん。こちらの女性はスニルさんの奥さんのお母さんで、ジョアンさん」 「ハジメマシテ」 スニルさんと紹介された青年が、割と流暢な日本語で名刺を差し出しながら挨拶した。 「行政書士の轟です。よろしくお願いします」と名刺を渡しながら挨拶し、更にお母さんという方に 「Nice to meet you」と声を掛けると、お母さんのほうはちょっと顔を明るくして、 「Glad to meet you. My name is Joan. I'm mother in law of sunnir」と返事をして来た。インド人にしては訛りが軽く、クイーンズイングリッシュがかなり強い。若い頃イギリスに留学していたか、イギリス人と混ざって生活していたようだ。立ち振る舞いからも、中流以上の家庭の感じがする。多分車の中ではほとんど日本語の会話で、訳が判らずさびしい思いをしていたのだろう。 「轟さんは英語もできるんですか」 スニルと言う青年が声を掛けてきた。彼の日本語も訛りがほとんどない。どこで覚えたんだろう。 「ええ、中学校が英語教育に力を入れてたので、アメリカ人の教師にみっちり会話を教え込まれたもので」 望月も英語ができるので、一般会話は英語で話をしてもいいのだが、法律用語とかが出てくると微妙なニュアンスに自信がないところもあるので、お母さんには申し訳ないが、この際日本語でやり取りする事にした。お母さんにはスニル氏の通訳で参加してもらう事にする。