螺旋の旋律 ~SPIRAL~

螺旋の旋律 ~SPIRAL~

~Act:3~

依頼の内容


彰によると、依頼された任務の内容はこうだった。

ディエル・ファルシオンという男をフィーリオンに連れ戻す事。
彼はフィーリオンの兵士であり、主に斥候・索敵・偵察などを受け持っていた。
現在はレーヴァテインに潜入し、国の状況、民の状況、政治状況や環境などを調査している。
既に潜入してから1ヶ月経過しており、敵 ―レーヴァテイン軍― に気づかれる危険性も高まってきている。
故に彼を出来る限り早く、且つ敵から守りつつ救出する事が必要であった。



―※―※―


1時間後、任務について一通りの説明を受けたあと、桃華は孤児院に戻った。
それから、準備を整えた桃華は、紫野のいる研究所へと向かった。



紫野のいる研究所では、魔法について様々な研究がなされていた。
召喚術、時を操る魔法、魔力付加(エンチャント)や魔導機械(アーティファクト)、錬金術などの科学と魔導の融合など。
紫野はそこで、時を操る魔法について研究していた。
時を操る魔法は、大きなリスクを伴うかなり高度な魔法として、古代からほとんど使われることのない大魔法である。
桃華が紫野に会いに行った時、紫野の元を一人の少女が訪れていた。
「こんにちは、紫野。
 ・・・あれ?その子は?」桃華は紫野にその少女のことを聞いた。
「この子は『棗 緋咲(なつめ ひさき)』。私と同じ魔導学校の卒業生よ。
 噂によると若干13歳で首席卒業したらしいわ。
 今はこの研究所で、召喚術の研究をしているのよ。」
紫野はその少女、『棗 緋咲』についてそう説明した。
「あの学校を13歳で、しかも主席で卒業だなんて、凄いんだね。
 ・・・そうは言うけど、紫野だって同じようなものだったじゃない。」
桃華は苦笑しながらもそう返す。
「あの・・・紫野さん、こちらの方は?」緋咲はそう紫野に質問した。
「彼女は『雛菊 桃華』。私の大切な友達で、傭兵をしながら孤児院の子達の面倒を見ているの。」『大切な友達』。紫野にそう説明された桃華は、少し照れくさそうに笑った。それから、
「よろしくね、緋咲さん。」そう言って手を差し出すと、緋咲も
「こちらこそ、よろしくお願いします。」そう言って握手をした。



「緋咲さんは、召喚術を研究しているんだよね。召喚術って・・・どういうものなの?」
桃華は緋咲に、召喚術について聞いた。
召喚術は現在ではあまり使われていないため、存在自体を知るものもあまりいない。
「え・・・と・・・、説明するのは難しいんですが、
 召喚術というのは、魔物とも人間とも違う特別な、いわゆる『精霊』などと呼ばれるようなものと契約し、その契約によって精霊と協力して戦ったりする魔法の一派です。
精霊達と契約するには・・・、その精霊達と戦って実力を認められるか、その精霊が必要としている物を渡して契約してもらうかすることになります。」
緋咲はそう説明した。
少し説明がたどたどしい感じがしたが、召喚術の存在自体が伝説のようなものであるから、それも仕方がないのだろう。


「緋咲さんは、もう精霊と契約していたりするの?」桃華は緋咲に聞いてみた。
「えっと・・・、一応、"サラマンダー"と契約しています・・・」
緋咲は、自分が契約している精霊について説明した。
「"サラマンダー"は、火の精霊です。トカゲみたいな感じかな・・・」
そう言うと、緋咲は"サラマンダー"を召喚するために呪文を唱え始めた。
『我、汝との契約において、焔のマナより、契約の証を示し、
 火神イフリートの御名のもと、汝を召喚せん。』
すぐ近くに、焔のマナが凝縮していくのが分かる。
そして、そのマナから、小さなトカゲのようなものが現れた。
「この子が"サラマンダー"?」桃華はその不思議な生き物(!?)に驚いた。
現れてすぐに、"サラマンダー"は緋咲に飛びついた。緋咲にかなりなついているようだ。
「その子・・・燃えてるけど、熱くないの?」桃華は不思議そうに聞いた。
「はい。"サラマンダー"の炎は、なついたり、認めたりした相手には熱く感じないそうです。
現に、全然熱くないですし。それに、この子はまだ子供ですし。」緋咲はそう言って笑った。




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