ダトニケ熱い小説

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ポコメタン第四話



 ホナミちゃんはこの五年二組で一番もてる女の子です。女子にも人気があります。

 でも、変な癖があります。鼻をほじったり、耳をほじったりと堂々としてしまうのです。ただ、ティッシュを使うので言葉で聴くほど不潔ではありません。オナラと一緒で影では誰でもやっていることなのです。どんなものでも溜めすぎはよくありません。ストレスなどと一緒で、排泄するものはする。ということが大事と思います。お金も一緒です。強盗に狙われないか、と悩んでノイローゼになったり、セキュリティーを強化しすぎて、その代金で破産したりすることになってもおもしろくありません。この世では保険だとか、警備関係の仕事が多くあります。ゴキブリホイホイやウイルス感染を防ぐ予防注射みたいな仕事が次々に生まれてきます。それらは邪魔者退治の仕事といってもいいと思います。

 ところが、このクラスにはそんな「~かもしれない」は必要ないのです。その理由にホナミちゃんが恋心を寄せる男の子の存在があるからです。その男子の名前はシゲヒデ君です。六年生よりも足が速くて有名です。有名な理由は足の速さだけではないかもしれません。

 シゲヒデ君はお風呂が嫌いです。いつも頭をボリボリかいています。鼻や耳も毎日いじっています。素手でです。

 この前なんか、伸びた爪で歯の歯垢(しこう)を取っていました。不潔なのか、綺麗好きなのか、よく分かりません。

 シゲヒデ君の爪は真っ黒で、前からプリントが配られてくると後ろの席の人は、もれなくシンプルな指紋のシゲヒデスタンプが捺印されてきます。

 そんなシゲヒデ君の優しいところはこんな感じです。掃除中に女の子が間違って花瓶を割ってしまいました。すぐに職員室に走るシゲヒデ君は告げ口をしに行ったわけではありません。先生には、さも、自分が割ったかのように「割れてしまいました」とだけ伝えるのです。いいわけをすることを知らないシゲヒデ君に、先生は割れた理由や誰が割ったかを質問しません。小さい問題が起きれば起きるだけクラスがまとまることを知ったからです。いえ、クラスのみんなに教えてもらったのです。責任の擦り付け合いは職員室内とPTAだけでたくさんだからです。


 給食の全部を残してシゲヒデ君はランドセルに入れてしまいます。パックの牛乳、肉じゃが、ごはん、スープまで入れます。

 さようなら。のあと、全力疾走するシゲヒデ君のランドセルからポタポタとスープやらがたれています。帰りの挨拶の前に綺麗に掃除したあとなのにです。普通なら反感ものですが、シゲヒデイズムといいましょうか、一人一人が雑巾を持つのです。教室のある二階から昇降口までほぼ全員で一気に二度目の掃除を行います。

 足の速さと反比例するシゲヒデ君の成績は机の中に置きっぱなしの教科書やノートからもわかります。でも、シゲヒデ君はクラス中の誇りです。シゲヒデ君いわく、「秘密の場所で子犬が生まれたら皆に見せてあげるよ。今、急に皆で行ったら、おなかの大きくなったお母さん犬がビックリしてしまうから」と他のものへの優しさを忘れないからです。いつ生まれてもいいようにミニ給食センターと化しているのです。

 女の子にも男の子にも一番もてるホナミちゃんは、いつもビニール袋を持ち歩いています。だけど、クラスのみんながまとまっている姿を見ると、給食をそのままランドセルに入れるシゲヒデ君に「これ使って」と、ビニール袋を渡すことができません。ホナミちゃんにとって好きな男子でもあると共に、あこがれの存在でもあるのです。だから、こっそりシゲヒデ君のあとをつけて秘密の場所にいる犬を見つけたこと。その犬がただの太ったオス犬だってことも言えません。

 毎日あれだけ食べていたらますます太って、さらにさらに勘違いをシゲヒデ君はしてしまうかもしれません。「メスじゃないよ」といったところで、給食を運ぶことをやめるとは思えないのでホナミチャンは教えてあげられません。オス、メスの問題ではなく生き物には違いないとシゲヒデ君は言うに決まっているからです。もし、教えてしまったら、「じゃあみんなで行こう」とクラスのみんなでいくことになるかもしれません。ホナミちゃんにとって、実はそこが一番の肝心なところなのです。

 二人だけの秘密の場所。明日のプリンを残して行ってみよう。そうホナミちゃんは思いながら、誰かさんのことを想ってもいました。


 ポコメタンはこのクラスの扉を開きません。だれがしたオナラでも、だれが割ったガラスでもシゲヒデ君とみんなで解決してしまうからです。

 シゲヒデ君……。ある意味、ポコメタン系かもしれません。いやいや、間違ってもそんなことを言ってはいけません。

 だって、ポコメタンが人間の女の子に告白されちゃったら大変じゃないですか。  


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