出がらし紋次郎の出がらし日記

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低品質卵の移植の適否について



A:胚の細胞の変性(死んでいる)部分が10%以内。
B:胚の細胞の変性部分が10~40%。
C:胚の細胞の変性部分が40%以上。
D:未授精や発育停止、全部が変性(移植不可)
この判定は形態的に(見た目で)判定します。

回収した全ての胚がきれいなハイグレード(Aランク)であれば悩むことはないのですが、なかなかそうはいきません。僕のように培養器を持たず、採卵現場(牧場)で移植、凍結まで行わなければならない技術者にとって低品質胚の判断は受胎率や繁殖に非常に影響します。特にCとD(全部分変性胚)の判断は難しいです。

下の写真は胚盤胞になり始めの胚です(初期胚盤胞と言います)。真ん中の胚がC、下の2つがBと判定します。青線で囲んだ部分が変性部分ですが、この3つのように正常な部分と変性した部分がはっきりと分かれている場合はこのまま凍結・移植しても問題はありません。
受精卵ー3

これはCと判定した初期胚盤胞ですが、ここまで変性している場合は通常であれば培養して発育するかどうか様子を見ます。右下の胚は中央に正常な部分が確認できるので、培養器がない時は凍結せずに移植します。
受精卵ー1

上の右2個を培養した結果、下のようになりました。
受精卵ー2

低品質の胚でもしっかりと判定すれば受胎率に極端な差は出ないような気がします。それと同時に移植する牛の状態をしっかり見極めてできるだけ『胚の日齢=子宮の日齢』となるように選定することも重要です。この理屈はヒトでも同じですね。


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