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天の道を往き、総てを司る
第7話 バグ
何かがぶつかり合う甲高い金属音でクレアは目を覚ました。
自分は確かアークラインで敵と戦っていたはずだがその辺の記憶が酷く曖昧だ。
まだ視界がぼやけいるし、頭もはっきりしないのでよく分からないが妙に腕が怠い。と言うよりどうやっても動かない。
意識がはっきりしてくると此処は薄暗い、何処かの建造物の中だという事と手首に何かが巻き付けられているような感触があることに気がつく。
自分が両腕を頭上で交差させられ手錠で背後の鉄柱に繋がれ、拘束されているという状態である事に気がつくまで、時間はかからなかった。
「うわ・・・・最悪・・・」
こういう状況ならパニックを起こし泣き叫んでいるのが一般的な18歳の少女の反応なんだろうがクレアは下手に度胸がある分落ち着いていた。
結構長い間、この状態で気絶していたのだろう。腕の感覚が少々曖昧になってきている。
一応、現在の状況を確認する。とりあえず服は着たままだ、上半身がタンクトップ一枚にされパイロットスーツが腰の辺りまで下げられてはいるが。
後、腰のホルスターにいれていた銃が自分から少し離れた位置にある箱の上に無造作に置かれている。それ以外は対して変わったところはない。
鉄柱に両手を繋がれ拘束されているという体勢で変わった所も糞も無いとは思うが。
周辺に人の気配は無い。やけに広い倉庫のような建物の中の中央に位置する鉄柱に繋がれているのもわかった。
「とりあえず・・・・すぐに殺すつもりは無いみたいだけど・・・・」
でなければこんな、今から拷問の類にかけますよといった風な体勢に拘束し生かしている理由がない。
フロンティアサイドの連合戦力でも聞き出すつもりか?それとも自分がアークエンジェルから出撃した所を知って詳しい情報を聞き出すつもりなのか?
正直どちらも考えにくい。襲撃を仕掛けてくるからには敵戦力をある程度は把握しておく必要があるので前者は無いだろう。後者に至っては敵がいないシャフト部分から出撃したので見られているわけがない。
では何故に自分を生かしておくのか考えていると益々訳が分からなくなり始めた。
「っていうか・・・誰かいないの。腕がいい加減に痛いし怠いし疲れるんだけど・・・」
本気で腕が痛い、怠い、疲れる。
出来れば早いとこ解放して欲しいのだが、捕まえた捕虜をあっさりと解放する軍隊などあるはずはない。
いや、捕虜を独房にいれずにこんな場所に拘束して放置する軍隊もいるとは考えにくいが。
腕の疲れが限界に近づき、感覚が微妙に無くなってきた所で倉庫の扉が開き中へ一人の男が入ってくる。
「お目覚めかな?」
男の見た目はかなり良かった。
普通に見れば顔立ちも良く、長身で二枚目のお約束集合体といった風な印象を受ける。
だが、その顔に浮かぶ表情はその全てを台無しにするほどに醜悪で鋭い目でクレアの体をじっくりと品定めでもするように眺めている。
クレアは直感的にこの男が自分と戦っていたあの機体のパイロットだと悟った。
「良い格好だな・・・・・・パイロットスーツよりもそういう格好の方が似合っているんじゃないか?」
「褒めてるつもり?全然嬉しくないんだけど」
「この状況で随分と強気だな・・・・・・お前は俺好みの女のようだ」
そう言ってクククッと嫌味な笑みを浮かべる。
どうやらこの男は見た目は最高でも中身はクズ同然の男のようだ。
クレアはなんとなく自分を殺さずに拘束した理由がわかったような気がした。
「で・・・私を殺さないでいる理由ってなに?気まぐれってわけじゃないんでしょ?」
「ああ・・・」
男は息がかかるぐらいの距離までクレアに顔を近づける。
間近で見ると本当に二枚目な顔立ちだ。正確が良ければ惚れていたかもしれないなと緊張感の無い事を考える。
「俺は女に目が無くてな。徹底的に弄んで、悲鳴を聞きながら体で楽しむのが好きなんだよ。特に、お前のような強気な女のな」
クレアの予想は見事に的中した。この男は別に自分から何かを聞き出そうなどとこれっぽっちも考えていない。
ようは変態だ。自分を捕まえたのはただ単に悲鳴をあげさせて楽しみたいだけと言うことか。
生憎と流されるままに弄ばれてやるつもりは無いがこの状況では脱出のしようがない。どうするか考えていると不意に襲いかかった焼けるような痛みが思考を中断させた。
「あっ! ぐうっ!」
何が起きたのかはすぐにわかった。
男の右手にスタンロッドが握られており其れを自分の脇腹に押しつけたのだ。
男は左手でクレアの髪を乱暴に掴み力無くたれた頭を持ち上げ顔を覗き込む。
「良い悲鳴をあげるじゃないか・・・・・・さぁ、そう簡単に逝くなよ?」
スタンロッドをクレアの腹部に押し当て出力を最低に設定してスイッチをいれる。
焼けるような苦痛にクレアが顔を歪める。男はそれを見て笑みを浮かべ少しずつ出力をあげていく。
「うあ・・・・・・あぁっ!」
たまらず悲鳴をあげる。
体中を駆けめぐる苦痛が次第に強くなり顔に浮かぶ苦悶の表情が男を楽しませる。
二人だけしかいない薄暗い倉庫の中で少女の悲鳴が木霊していた。
友軍との合流を目指し航行を続けていたアークエンジェルは運悪く敵襲を受けていた。
戦艦が二隻、MSが12機。今のアークエンジェルには致命的な戦力差である。
「迎撃しつつ振り切って!」
「無理言わないでください!」
マリューとノイマンの悲痛な声があがる。
今、ゼロは修理中で出撃不可能である為にドラグナー3機だけで迎撃に出て貰っているが敵はかなりの手練れ揃いであることは今までの戦闘で明か。
更にアークエンジェルの迎撃装備はほとんど破壊されてしまい、まともな援護が不可能な状態だ。
自分たちは神様にとことん嫌われているようだ。
「畜生! どーすりゃいいんだよこれは!」
レーザーソードでジェニスの腕を切り落としながらケーンが叫ぶ。
迎撃のために出撃したが右肩の装甲が吹き飛ばされハンドレールガンも失っている。
「マリューさん! このままじゃこっちがやられっちまう!」
左腕が丸ごと無くなっているD-3のコクピットでライトが叫ぶ。
アークエンジェルの近くで砲撃を行っているD-2も右足と左肩を損失している。
「やばいってこりゃぁよぉっ!」
タップの声はすでに泣き声になっている。
アークエンジェルも残った火器で援護を行ってはいるが低下している火力ではろくな援護にもならない。
こういうのを絶体絶命というのだろう。本当に神様に嫌われている。
『其処の白い戦艦。聞こえますか?』
「・・・え?」
不意に聞こえてくる幼い少女の声。
ナタルに目をやると彼女も困惑の色を浮かべている。ダグラスが強引にこちらの通信回線に割り込んできているようだと報告する。
『援護しますので其処から友軍機と共に離れてください。巻き込まれますよ』
「な・・・何!?」
いきなり訳の分からない一方通告な通信。
援護するだの、其処から離れろだのいきなり言われて混乱しない者はいないだろう。
「な・・・なんなのです、今のは」
ナタルもダグラスも他のクルーも呆気にとられているようだ。マリューもそうだが、今は藁にもすがりたい気持ちだ。
ドラグナーもこれ以上の戦闘に耐えきれる状態ではない。マリューは3機とも下がらせアークエンジェルも下がらせる。
その直後、敵部隊が横殴りに放たれたエネルギーの奔流に飲み込まれマリュー達の目の前で次々と爆発していく。
「なっ!?」
その奔流から逃れた数機のMSも呆然としているようにその場に留まっている。
其処へ数発のビームの嵐が降り注ぎ残存部隊を駆逐していく。
ビームが降り注いだ方を見ると二機のMSがビームライフルを構え、こちらに向かってきている。
「友軍機・・・?」
それに続いて一機の青い機動兵器と二隻の白い戦艦がゆっくりとこちらへと向かってきていた。
一隻は見たところ練習艦のようだ。もう一隻はマリュー達にも見覚えがある戦艦だ。何せ今、連合で最も有名な戦艦なのだから。
「あれは・・・・・・ナデシコB!?」
『其処の白い戦艦、無事ですか?私は地球圏連合軍第3艦隊所属艦ナデシコB艦長、ホシノ・ルリ少佐です。見たところお困りのようですのでお助けします』
ブリッジのモニターに白い肌と金色の目、銀色のツインテールに纏めた銀髪の少女の姿が写る。
着ている白い軍服の襟元に光る階級章は少佐の物だ。
「あ・・・・・・第8艦隊所属艦アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアスです。助けて頂き、ありがとうございます」
マリュー達も史上最年少艦長であるホシノ・ルリの事は知っていたが突然の事で呆気にとられているようすで挨拶をする。
サイやミリアリアは小声で「あの子が少佐ぁ?」「マジかよ」とささやき合っている。まぁ、彼らにしてみれば自分たちと同い年か年下の少女が少佐で艦長など聞いても信じられないだろう。
『とりあえず此処にいちゃ危険ですね。私の部下の一人がフロンティア1にいるので其処に向かいましょう・・・・・・あ、そうそう、こちらでそちらのクルーの方を一人預かってますので後で会いに来てあげてください』
それだけ言って、通信は切られる。
マリュー達は未だに困惑気味だが、願ってもない友軍が現れてくれたのだ。
これに頼らない理由など無いだろう。アークエンジェルはドラグナーを回収すると航行するナデシコの後を追うように航行を再開した。
「フロンティアサイドの制圧はほぼ完了しました」
ザムス・ガル。カロッゾの私室でジレが報告書を読み上げる。
クロスボーン・バンガードの各艦隊は特に滞りなく制圧を完了していった。予定ではもう少しかかるはずだったのだが嬉しい誤算だ。
ランスローが機体を中破させたと聞いたときは流石に驚いたが許容範囲内のハプニングには違いない。
「ただ・・・・・・ベラ様だけが今だ発見できておりません」
「制圧はほぼ完了したのであろう?」
「ええ、恐らく・・・・・・避難民を保護した連合艦に乗り込んでおられるのではないかと・・」
そうだとすれば厄介だ。
連合艦にいるのならば迂闊に攻撃を仕掛けられない上に逃がしてしまう可能性も大きいからだ。
カロッゾは頭を抱える。彼女が見つからなければ計画の半分は失敗になるのだから。
「仕方がない・・・・・・ベラ捜索はドレル隊に一任しろ。我々は予定通り、フロンティア2でバグのテストを行う」
「はっ、了解しました」
バグ。それはクロスボーン・バンガードの開発した兵器の名前。
その存在は一部の者にしか知られていない。やがて地球や他のコロニーの制圧に乗り出す際の切り札となる。
今回の作戦にはバグのテストも含まれている。
「それと・・・・・・ガイリーズからの定期報告が途絶えています」
「フン・・・・・・放っておけ。どうせ使いつぶしの傭兵だ」
「は・・・了解しました」
ジレは敬礼し私室を後にする。
ザムス・ガルがフロンティア2へと移動を開始したのはその数分後であった。
倉庫の床の上、傷だらけになったクレアが力無く横たわっていた。
スタンロッドを押しつけられていた腹部の部分のタンクトップが少し焼けこげ、他にも痛々しい傷が見え隠れしている。
「なんだ・・・・・・もう気絶か?」
男、ガイリーズはクレアの腹部を蹴り仰向けにしながら言う。
確認しなくても死んでいないのはわかる。死なない程度に手加減していたし、何度もやって慣れている。
それにこの女はタフだ。自分の経験から普通の女なら助けてくれ等と言って懇願してくるのだがこの女はしなかった。
最高だ。今までに出会った女の中で一番楽しめると彼は思っている。
「まぁ、いい・・・・・・楽しみは長い方がいいからな」
そう言ってガイリーズは鼻歌を歌いながら倉庫を後にする。重い扉をしっかりと閉め外から鍵を掛ける。
反対側の扉は変形していて開かないし、目が覚め逃げてもあの体だ。逃げれる距離はたかが知れているし、逃げたら逃げたでそれなりに楽しい。
ガイリーズは愛機であるアスモデウスの中に閉まってある銃器や趣味用の道具の手入れでもして時間を潰そうと足を進めた。
「・・・・・行った・・・・・・わよね?」
ガイリーズが立ち去り扉を閉めて少ししてからクレアは目を覚ました。
自分をスタンロッドで散々痛めつけてからとはいえ手錠を外すとは思わなかった。その時に気絶するふりをして逃げようと画策したが上手くいったようだ。
「いっつぅ・・・・・・」
ただ起きて立ち上がるだけで体中に激痛が走る。
あの男は相当こういう事に慣れているのだろう、結構長い間痛めつけられたが死なないように手加減している。
喉も痛い。悲鳴をあげさせられ続けていたのが答えたのかなかなか声が出ない。
「っ・・・・・・アイツ、遠慮無くやってくれちゃって・・・・・・」
ふらつく足取りで銃を取り戻すと手近の窓へと近づく。
少し開けて外に誰もいないことを確認すると窓からはい出る。アークラインまで戻れればいいがあの男も其れぐらいは考えているだろう。
歩くたびに襲ってくる苦痛を堪えながらクレアは工場を抜け出し、その先に見える市街地へと向かった。
同じ頃、フロンティア1の中を飛行する一機の機動兵器の姿があった。
全身を赤のカラーリングで統一した全長25m前後の機体。左腕には分厚いシールドにクローを装備した物が装着され、右腕はまるで竜の頭部のような形状をしている。
背中には二枚のウィングがあり、腰の後ろからはまるで尻尾のような物が装備されている明らかに一般的なMSやPTとはかけ離れた機体だ。
「ったく、艦長も酷いよな。俺一人に偵察やらせるなんてよぉ」
その機体、ワイバーンのコクピットに座るライル・クリオスが面倒臭そうにぼやく。
首に少しかかるぐらいまで伸ばしたボサボサの赤い髪の青年だ。髪の色と同じ赤いパイロットスーツ――MSやPTパイロットの其れと違い重厚さを感じさせるデザインをしている――に身を包んでいる。
《ぼやくな、阿呆が。ナデシコB艦載機では私たちぐらいしか偵察には向かないのだ。仕方あるまい》
ライルに反応するかのようにコクピット内に電子音のような声が響く。
ワイバーンに搭載されたAI、ドレイク。それが声の主だ。機体制御が困難であるワイバーンのパイロットを補佐する役目を持った人工知能。
しかし、どういう訳か口が悪くライルのちょっとした悩みの種である。
ドレイクの言うことはわかる。自分たちの母艦、ナデシコB艦載機はワイバーンを除けばエステバリスが一機のみ。
ナデシコからのエネルギー供給範囲から出れば活動が制限されてしまうエステバリスは長距離単独行動に向いているとはお世辞にも言えないのだ。
「へいへい。わぁーってますよ、AI殿」
ちゃっちゃと偵察をすませ帰還しよう。
どちらかと言えば面倒くさがり屋の彼はそう考え、ワイバーンを加速させた。
アークエンジェル格納庫ではマードック等、整備員達が忙しく動き回り怒鳴り声のような指示を飛ばしあっていた。
ただでさえ予備パーツの少ないドラグナー3機が中破した為に彼らはその修理に追われていた。
その後、ナデシコBに回収されていた友軍。キラとストライクも帰ってきたのだがそのストライクも小破という状態だった。
整備員達は嘆きと怒りの悲鳴をあげながら機体の修理を続けていた。
「それじゃ、機体のエネルギーも尽きて途方に暮れてた所をナデシコに拾って貰ったってわけか」
格納庫の二階、手すりにもたれ掛かったフラガがキラと話していた。
ナデシコとそれに追従していたスペースアークと合流したと思えばキラとストライクが行動を共にしていたのだ。
驚くなと言う方が無理だろう。
「ええ。そう言えば、クレアさん・・・・・・まだ戻ってきていないんですか?」
格納庫のメンテナンスベットを見ながら言う。
普段はキラから見て手前からアークライン、ストライク、D兵器の順で固定されているが一番手前のアークラインのメンテナンスベットががら空きとなっている。
「ああ。お前と一緒に出撃してから音沙汰無しだ」
「そうですか・・・・・・」
「まぁ、嬢ちゃんだって伊達に今まで生き残ってきたわけじゃねぇんだし。心配はいらないさ」
そう言ってフラガはキラの肩を叩き格納庫を後にする。
しかし、キラは自分が戦ったあの紫色の機体レヴィアタンの事を思い出していた。
あれと同じような機体が他にもいてクレアが出会っていればいくらクレアでもただでは済まないのでは無いか。
何となくだが、そう思えた。そして、彼のその予感が的中しているなど知るよしも無かった。
スペースアーク格納庫。メンテナンスベットに固定され整備員のメンテナンスを受けているF91とヘビーガンの足下でビルギットがシーブックを捕まえていた。
「ったく・・・・・・民間人の癖して最新鋭の機体に乗り込むなんて、良い度胸してるまお前」
「すいません。でも、このままじゃやられると思って・・・・・・」
「オイオイ。パイロットの目の前でそれ言うか・・・・・・結構へこむんだが」
「あ、ごめんなさい!」
「良いよ、気にするな。とりあえずだ、俺はお前に聞きたい事がある」
ビルギットは真剣な表情でシーブックとF91を交互に見やる。
「理由はどうあれ、お前はコイツを動かして敵機を撃墜したんだ。それは当然、罪になる・・・・・・解るな?」
「ええ、一応・・・・・・軍事機密ってやつなんでしょ?」
「ああ。しかし、俺もレアリー艦長代行も命の恩人になったお前を罰する気はない。そこでだ・・・・・・その辺の罪は俺等で誤魔化してやるからしばらくの間、パイロットとして協力してくれ」
やっぱりそう言うことか。
シーブックはなんとなくそう言われると思っていたのでそれほど驚きはなかった。
パイロットが目の前にいるビルギットしかいないのはついさっき知ったし、合流している二隻の連合の戦艦も戦力はそれほどでは無いとか噂しているのを聞いた。
パイロットとして協力するなら今までの事は水に流してくれるという。しなければ罪に問われる。シーブックは暫く考え抜くがやがて、意を決した用に顔をあげた。
「・・・・・・わかりました。少しの間なら協力します」
「よしきた。俺はビルギット・ビリヨってんだ。お前は?」
「シーブック・アノーです」
「シーブックか、俺はこのことを艦長代行に伝えてくる。お前は・・・・・・今の内に休んどけ」
ビルギットはシーブックの肩を軽く叩き床を蹴って格納庫の二階へと向かう。
シーブックはため息を尽き、格納庫を後にする。
「シーブックッ!」
其処に一人の少女、セシリー・フェアチャイルドが駆け寄ってきた。
セミロングに纏めた茶髪が美しい彼の幼なじみの少女だ。
「セシリー、君もこの船に乗っていたのか」
「ええ・・・・・・貴方、どうして格納庫から?」
「え・・・ああ。いや、ちょっと道に迷ってね」
まさか、MSに乗って出撃して敵を倒して暫くパイロットする事になりました等と言えるわけも無い。
シーブックは何とか話を逸らしながらセシリーと共に民間人に解放されている居住区へと戻っていった。
フロンティア1の市街地。戦闘の為に避難したのだろう人気が無くゴーストタウンと化した其処にクレアはいた。
薬局から傷薬や包帯を頂戴し怪我の治療をした後、衣服店で焼けこげボロボロになったタンクトップとパイロットスーツを脱ぎ捨て別の服に着替えていた。
別に着替えなくても良いかなと思ったが、気分的な問題だ。適当にサイズの合う黒の長袖シャツと青いジーパン姿に着替え直しタンクトップは処分する。
「さて・・・・・・これからどうしようかな」
どうにかしてアークエンジェルと通信を取らなければならない。
しかし、アークラインの近くにはあの男がいる。動くだけで体中に苦痛が走る今の体ではどうやっても勝てないだろう。
次に捕まれば脱出のチャンスはもう無いだろう。となれば行くところは一つしかない。
「彼処しかないか・・・・・・」
クレアは窓から見える入港管理局を見る。
彼処ならば十分な設備がある。アークエンジェルとの通信も容易だろう。
移動しようと店の出入り口に向かおうとした時、外から数発の銃弾が撃ち込まれる。
「っ!?」
咄嗟にカウンターを飛び越えて身を潜め銃弾から身を守る。
乱暴に体を打ち付け全身に走る激痛に苦悶の表情を浮かべながら耐える。
「見つけたぞ、女」
銃声が止むと同時に聞こえてくる声。
あの男だ。どうやら自分が逃げたのを知って追いかけてきたようだ。
「あの体で此処まで逃げおおせるとは対した奴だ。益々気に入ったぞ」
「私は嬉しく無いわよ、このクズ」
「クズ・・・・・・フッ、最高の褒め言葉だな」
ガイリーズは満面の笑みを浮かべながら銃のマガジンを交換する。
「今までの女の中でお前は最高だ。どうだ、俺の物にならんか?」
クレアは銃に弾を装填し身構える。
「お誘いどうも。でも、ご生憎様。アンタは好みじゃないし生理的に駄目なのよこれが。クズ男アレルギーなのよ」
強気に言い返す。
コンディションは最悪でまともに戦える状態ではないがアイツに捕まるつもりも奴の物になる気も毛頭無い。
何とかして入港管理局まで行ければこちらの勝ちだ。
「ハハハッ、良いねぇ、最高だよお前」
どうやら益々気に入られたようだ。
クレアは一度深呼吸してから銃を構え、カウンターから飛び出した。
フロンティア2港口。カロッゾ率いるザムス・ガルの部隊は其処に展開していた。
ザムス・ガルの艦首底部が開かれ中から数十個の刃物がついた円盤のような物体が射出される。
「バグ、射出完了しました」
「うむ。此処でのテストは後々重要な意味を成す・・・・・・確実にな」
放たれた円盤、バグはコロニー内部へと飛び出し真っ直ぐに避難シェルターへと向かう。
シェルターの側に近づくとバグは内部から更に小型のバグを数基射出、小型バグがシェルターの扉を切り裂き内部へと侵入する。
「な・・・・・・何?」
シェルターに避難していた女性の一人が呟く。
それが最後の言葉となった。小型バグは動きを止めたかと思うと内部から光を放ち自爆。シェルターごと中にいた人々を吹き飛ばした。
それに呼応するかのようにフロンティアサイド2中のシェルターが内側から爆発し次々と人々の命が奪われていった。
続く
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