Carnage

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#2


「あ、甘寧さん!」


#2:人喰【しょくじ】


玄関からゴトン、と言う鈍い音がすると、リビングの扉が開いて薄い桃色の髪がかった逞しい身体をした青年が入ってきた。
甘寧、と呼ばれた青年は中身が色々詰まってそうなポリ袋をズルズルと引きずり、幸村の眠っているソファに近づいた。

「おぉぉい!なァに、一人で言い夢見てやがんだァ!!?」
「あァ!?」

鈍い音がして、やなは驚いて甘寧と幸村がいる所に目をやった。同時にやなの手伝いをしていた陸遜も目をやる。

「てンめっ!人が寝てたのによ~~!」
「ああん?そのまま永眠すっか、このハァゲ頭ァ。」
「喧嘩打ってやがンのか、ピンクヤロォ!」

寝起きで機嫌の悪い幸村がソファから飛び起きて甘寧を睨んだ。
痛そうに幸村が額を抑えているところを見る限り、どうやら気持ちよく寝ていたところを甘寧に思い切り殴られて目がさめたのだろう。

「二人ともやめてください、デザートの杏仁豆腐あげませんよ。」
「あんにんどうふ!マジマジマジィ!?」

やな、マジすげぇ大好き~、と幸村が嬉しそうにはしゃぐ。
それを見て、甘寧は前髪を掻き上げながらはぁ、と小さく溜息をついた。

「あンな甘ェ甘菓子よく喰えるな。」
「喰ったことねェ奴はみぃ~んな、そう言うんだよなァ。結構イケるぜ?甘くて柔らけェしー、脳ミソとおんなじ~」

ぎゃははは、と幸村が血みどろなこと言って笑う。
なんでこの人はイチイチ普通の人が食すモノを身体の臓器と一緒にするのだろうか、とやなは頭の隅で考えた。
陸遜がそんなやなを見て、苦笑する。

「戦国の世にいた人ってみんなああなんですか?」
「違う、絶対に違うね・・・」

溜息をついたと同時に、甘寧が持っているポリ袋にやなは気づいた。
もしかしてとは思いたくはないが、多分もしかしたらそうなるんだろう、とやなは恐る恐る布巾で手を拭きながら甘寧に尋ねた。

「それ・・・何ですか・・・?」
「あー、コレ?神社で張ってたらかなりいてよー。三日分狩ってきた。俺のデザートはこれでいいー♪」
「どーせ、お前の嫌いな目ン玉は全部抉り出してきたんだろォ?だったら俺イラネ。」
「甘寧だったら臓器は全部持って帰ってきてますよねwだったら僕にも少し分けてください」
「おーーう、いいぜ。」

健全だ健全だと思っていた陸遜も、やってることは殆ど幸村たちと同じだ。
ただ、幸村や甘寧たちとは違ってタチが悪くないところが、唯一の救いとも言える。やなに対してだが。

「ソレ、冷蔵庫に入れてくださいよ!?あと、ご飯ですから誰か政宗さんを呼んできてください。」
「えぇー、まさピョン起こしてくンの?寝起き悪いし殺されるからやだ。」
「でも、起こさないともっと機嫌悪くなりますよ?」
「ちぇっ」

広々としたテーブルに次々と置かれていく食べ物を見て、名残惜しそうに幸村はリビングの扉を開けて、二階に続く階段を上がっていった。
幸村が階段を上がっていく音、廊下を少し歩く音、扉を勢いよく開け放つ音、そして暫くして幸村の怒鳴り声が聞こえた。

ダダダダダ

「やなー!まさピョンに腕斬られたァ!」
「きゃああああ!!やだやだやだっ!」

開けっぱなしの扉から、政宗に斬られた腕を持つ幸村がやなに駆け寄ってきた。
そんなグロテスク満載の幸村を見て、やなは大声で叫ぶと、陸遜の後ろに隠れてガタガタ震えた。
ポリ袋ごと冷蔵庫に突っ込み終えた甘寧は、震えるやなに視線を向け、腕を斬られて痛いと叫ぶ幸村の額を再び殴った。
眠っていたときに殴られた、あの部分と全く同じ場所である。

「ってェ!!俺、重傷なンだぞ!」
「重傷ってーのはな、俺の国じゃなぁ、両手両足無くしたヤツのことを言うんだぜー?」
「俺は戦国時代出身なんだよ!三国の世のモンじゃねェ!!」

腕を斬られていながらも、幸村は平然とした態度で甘寧を睨み付ける。
すると、静かに階段を下りる音が聞こえ、しばらくしてリビングに男が現れた。


「五月蠅い。殺すぞ。」


黒衣を纏った男は、言い争いをする幸村と甘寧を睨み付け、静かに殺気を含ませた言葉をその口から言い放った。

陸遜が大丈夫、大丈夫とやなを慰める中、当のやなはどうしてこうなっちゃったんだろなぁ、と心中大きな溜息をついて、平穏でこんなにも狂う前の日常を思い浮かべた。



++++++++++跡餓鬼++++++++++
やなちゃんは苦労人キャラがいいと思っています。
そして出てきました政宗さん。
この小説では、三国で三人、戦国で二人が登場しています。残りの一人は出てくるのは先です。
ていうか、幸村も何気に可哀想キャラじゃないか!


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