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永久凍℃
25000
祝25000HITとして頂いてしまいました・・・・・
蝶々サン、ありがとうなのですー!!
覚えててもらっちゃって感激の至り!!
大事に飾らせていただきますww
チープ恋愛主義
「別れよ」
何度も何度も、繰り返される。リピート、リピート、リピート。キュルキュル音立て壊れるラジカセのように。
何で、何で。呪文のように繰り返される言葉は、自分でも滑稽だと思った。3分前まで、あたしの目を見て、頭を下げた君は、もういない。軽く、笑いがこみ上げてきた。つまらない、本当につまらない。動かない指先。寒さでかじかんだ唇。すぐ会えないかとメールが着たからマフラーせずに吹っ飛んでった。
なのに、なのになのになのに。ちょっとひど過ぎやしませんか?神様、仏様、いやいやいや。イスラムのアラー様。こんな悔しくて、哀しいのは初めてです。順風満帆、少し、荒い海も最高だね。そんな気分だったんです。アラー様。嘘嘘、あたしんとこは仏教徒。イスラム教の神様には頼れない。だけど目には目を、歯に歯を。復讐法でおんなじ悲しみを与えてやりたいです。
ハラハラと雪が舞い降りてきた。おっそろしく早い初雪だ。北風がびゅうびゅう、首筋に当たる。さむい、哀しい、さみしい、ひもじい。さいてー。さいてーな気分。泣きたくなんかなかったけど、ぼろぼろ胸元のセーターに染みていった。そこに、強い風が吹き付けるたんびに、寒さ倍増、寂しさも倍増。彼氏の名前はトウヤ。冬に生まれたかららしい。あたしの名前はナツだから、真逆なものは、惹かれあうのかなあなんて、乙女ちっく全開な、馬鹿なことを考えていた。
ブーブー
携帯が震える。電話か。しばらく取らないでいると、途切れた。でも少ししてまた鳴り出した。
「なんなわけ?人がセンチメンタルなかんじになってるつうのに」
思わず声を上げて、携帯に当たった。だけどそんなことしてもしょうがない。出るか、通話ボタンを押した瞬間。
ブツッと音を立てて切れた。その代わり顔を上げると目の前に人が立っている。
「気づくのおせえんだよ、ばーーーか」
左手には携帯。真っ黒なコートに真っ黒なマフラー。全身黒づくめの男。心臓に悪い、本気で止まるかと思った。
「あんた、いきなり声かけないでよ!!!!びっくりしたじゃん、つうか誰だよ」
「デスグリム」
「へえ、そりゃあメルヘンちっくな名前で」
思わず呆れる。見事に真っ黒な髪のくせして、しかもデスグリムって何だ?デスグリムって?お前はゲームのラスボスか!!!!!
おもわず心の中でつっこんだ。
「メルヘンチックじゃない、本当にこういう名前なんだよ」
普通のことをいうように、冷静にいう。もしやゲームオタクか?しゃがんでいたところから1歩、あとずさりする。
「あんた、頭きちゃってる?」
「お前、それ失礼だと思わないの?」
「いやだって、本当の名前は?あんた純日本人じゃなくても、東洋系でしょ?ワッツユアネーム?」
思わず、小学生並みの発音で英語ゆっちゃったよ。
「うるせえ女だなぁ。デスグリム、俺は死神だよ」
「はああああ?あんたまさか、ナイフなんか持ってんの?や、やめてよ。あたしまだ生きたいし。殺さないでくれる?あたらしいナイフの切れ味ならあそこの棒切れにでも試してよ!!!!」
「違う、ちがあああう!!!!」
その死神とやらは、初めて大声を出してさらにあたしに近づいた。あ、瞳が血の色してる。ウサギの目だ。話がついていけなくて妙にわけのわからないところに、目が行く。
どんどん、その男は近づいて、あたしはもう一歩後退した。それを押さえつけるように、そいつが肩を掴んだ。
「何すんだよ!!!!」
そのまま抱き寄せるように、ぐっと身を引かれる。なんとか体をよじらせて、解放されようと必死に抵抗するが、まったく相手は動じない。ゆっくり近づく相手の顔、確かに東洋の顔じゃないな。頭のどっかでどうでもいいことを考えていた。ああ、こんな変質者に殺されんのか。短い、しかも失恋で終わるさいてーの人生だったなぁ。薄れていく意識の中、なぜか唇にあたたかさを感じた。
気がつくと、自分の部屋に居た。わけわからない、夢?もしかしてトウヤと別れたのも、それからあんな変質者に襲われたのも。まだ、人生終わっちゃ居ないわけ?
「よっしゃ、ゆめかぁ!!!!」
ベッドから起き上がっていわずに入られなかった言葉。嬉しくって、携帯を取ろうとした瞬間、視界が変なものを捕らえていた。
「いっとくけど、ゆめじゃねえよ」
お気に入りのクマのぬいぐるみを枕にして床にねっころがっていた男が1名。
「あ、あんた!!!!何でうちん家まで入ってきてんだよ!!!!変質者、変態、きもい、黒尽くめ、くそ、うんこ、あほ、ばか、しんじゃえ!!!!」
思いつく限りの悪口雑言をそいつにむかって言い放った。それでも腹の虫が収まらない。
「死ぬのは俺じゃない、あんただ」
低い、かすれたような声で言ったのはあたしじゃない。目の前に居る男だ。
「何、それ?」
「だから死ぬのはお前」
「あんたが殺すわけ?は、はやく出て行ってよ!!!!つうか、お母さんと、お父さんは?」
まさか、まさかまさかまさか。冷や汗がたらりとたれる。
「ああ、あんた!!!!あたしの、殺したわけ?」
ぶるぶると声が震えて、うまく出ない。最低で最悪な想像。これが自分の妄想であってくれ、心底願った。
「俺は殺人者でもなんでもない。死神だ。さっきお前の魂と契約を交わした。お前のリミットはあと一週間」
「契約?あたし何にも書類なんて書いてないし、実印だって持ち出したことないんだけど」
契約と聞いて、思わず出た言葉をもっともらしく並べ立てる。
「違う、さっきした」
いきなり腕を伸ばして、指先があたしの唇を触った。
「な、なにすんだよ!!」
あたしの言葉を聴いても、触ることを辞めない。なんだか、変な気分だ。
「いい加減にしてよ!!」
「ここで契約した」
顔を近づけて掠めるようにキスをすると、すぐに離れた。
この感触。なんだか、わけのわからない感情が沸きあがってきた。一体、なんだっつうの。
「ふざけんなよ、なにすんだよ。変態!!!!」
「だから、契約。いちいちうるさいな。嘘だと思うなら、胸を見てみればいい黒いあざが浮き出ているはずだから。これで言ったろ、さっき契約を交わしたのに、またしちまったから、折角の寿命また縮まるかもな」
まるで、なんでもないことのように顔色ひとつ変えずにいうこの男。それから、はずかしながら、セーターを前に引いて、服の中を見る。胸のところにあざ?はじめは冗談だと思っていたけど、そこには変な文字で囲まれている7と言う文字が浮き出ていた。
蒼白になるあたしの顔色を見て、そいつは「だから言ったろ?」と自慢気に笑った。
あたしの寿命は7日間。本当に素面で言われたら、こいつ頭大丈夫か?、とまずは言った本人を心配してしまう。なのに、なのに。
初めは真っ黒いマーカーかなんかで手品みたいに知らないうちに書いたのかと思ったから、何度もタオルでふき取ってみた。何度も何度も何度も。周りの部分が擦れて赤くなるまで。これは、何かの間違えで何かの思い違いで。もしかしたら。
眠くもないのに、布団を被って。1時間経って、もっと目が冴えて。仕方がないから、睡眠導入剤を説明書に書いてあるとおり、口に放り込んだ。
しばらくして、瞼が重くなり完全に眼を閉じた。
誰かが耳の傍で笑ったような気がした。
「朝だよ!!!!起きろ」
ぐえ!!!!
腹の辺りに重みを感じる。お母さんとお父さんは?
「おはようさん」
夢じゃなかった。
ゆるゆると冷やされていく。頭のどこかは冷静に、その事実を受け止めようとしていた。だって、もう認めるしかない。パジャマのボタンを1,2個肌蹴させると、6の文字が浮かび上がっていたから。
「やっと認めた?」
にっこりと笑う顔は、普通の少年っぽいけれど。こいつが元凶、さいてーさいあく。諸悪の根源。名はデスグリムとか阿呆らしい名前。
「認めざるえないでしょ」
笑おうと思ったけど、笑えるはずもなく、ただひくひくと顔の筋肉が痙攣したようにひきつっただけだった。
「大丈夫、痛くないよ。だって俺ベテランだから」
「そんなことより、お父さんとお母さんは?」
「一週間出張だってさ。君としては泣きたいよね。最期の別れに二親どっちも居ないなんて、逆に不幸すぎて笑える。仕向けたのは他でもない俺だけどね」
にやにやと薄ら笑いを浮かべて、彼は言い放った。反論する気力もない。そういや、昨日失恋してたんだっけ?今思えば逆によかったような気がする。ほら、なんていうの?別にあんまり想われてない彼女ではあったけどさ、「死」なんていう別れってやっぱなんとなく、感じ悪いじゃん。言い訳して、言い訳して言い訳して。学校なんか行く気になんなかった。目の前に居る、血の色の男を殴り飛ばしてやりたかった。にこにこにこにこ、笑ってる。
「あんたは、いつまでそこに居んの?」
「ナツの魂、手に入れるまで」
笑いながら問う。答えは決まってるだろう。嫌いで、憎いに決まってる。死が怖くないなんて嘘に決まってる。自分の命を奪う奴なんて。だけど、この1週間、友達と、トウヤと顔をあわせて普通の振りが出来るだろうか。未来なんて永遠に続くもんだとばかり思ってた。だけど違う。人間の寿命は決まってるんだ。認めたくない、それでも。
「怖いとか怖くないとか。これから死ぬ人間には関係ないでしょ。あんたはあたしの魂を取る、それだけだし」
「ふうん、その年の割にはずいぶん人生を達観しちゃってるね」
「そんなことより、あたしって1人で死んでくわけ?」
質問すると、某漫画のような真っ黒ノートを取り出して、パラパラとめくっていた。
「ええと、何だっけ名前。ナツ、ナツナツナツ」
「苗字からじゃないの?」
「死神なんだから、西洋かぶれしてんの。今は着てないけど黒マントだってあるし」
「随分時代錯誤なことやってんだね」
「俺が居てあげよっか?」
「はっ?」
「本来、死神は姿を見せちゃいけない。通告の時以外はね。だけどあんたがあんまりに不憫だから。俺が居てあげよっかって言ってんの」
命を奪う、憎き相手なのに。何だろう、笑いにでもほだされたか。あたしは、こっくり頷いていた。
日を追うごとに、少なくなっていく数字の数に何の感慨も受けなかったといえば嘘になる。やっぱり腹を決めてみても、お風呂入るときは、ごしごしと痕になるまでこすったし、起きてすぐこれはやっぱり悪夢じゃないかって何度も胸元を確認した。そういえば、傍に居てくれるって言った、死神はいつも笑って、約束を守ってくれた。あたしは、その人懐っこい笑顔にどうしようもない高鳴りを覚えた。嬉しくて幸せのような、それでいて切なくなるような。寿命が何日かって、そのときは考えずに居られるような。あいつは、デスグリムは、あたしにとって大きいものになっていった。
「ねえ、あんた」
「あんたじゃなくてデスグリム」
「嫌だね、そんなの名前って言わない」
「だけど俺の名前はデスグリムだし」
「嘘だ」
「嘘じゃねえよ」
「隠してるね、どうせあれでしょ?死神の掟に反するとかほざくんだ!!!!」
自分でも解らない。だけどデスグリムって言うのは、絶対名前なんかじゃない。只、死神を英語に直しただけだ。知りたかった。怒らせても、本当の名前。名前を。
「そうだよ。死神がなぁ、本当の名前を教えるって言うのは、そのまま死に直結してんだ」
眼は笑ってなくて、もう干渉するなと告げられている感じがした。嫌われてもいいって思って問い詰めたくせに。あたしは。
「あっそ。もういい、つまんないデスグリム。あんたってユーモアも何もない。やっぱりただ人に死を運んでくるような陰険な仕事を選んだ奴だわ。もういいよ、出てって。死ぬ瞬間まで現れないで。んで、さっさと魂とってどこにでも行っちゃいなよ。あんたの顔見たくない」
自分が悪いのに、まくしたてて。嫌われたくないのに、わざと嫌われるようなことを言う。わがままで。この胸ん中にあるもやもやの正体を突き止めたいだけなのに。違う、解らない苛立ちをあいつにぶつけて発散しようとしているんだ。アホだなぁ、自分って。何で、こんなに馬鹿なんだろう。しかもへんなプライドが邪魔してごめんねの一言もいえない。あいつはしばらくして本当に出て行った。別に実体なわけじゃないんだから、ドアなんて使わなくてもいいのに。律儀にパタンと静かに閉めて。足音も聞こえなくて。寒い冬の話で。あと3日も経たずにあたしは死ぬのに。馬鹿みたいに。一人で死んでいくのがいやだって、傍に居てあげよっかって言われたから思わずこくりと頷いて。
だけど、そんなんじゃない。そんなの、寂しいとかなんて建前で。本当はあいつと一緒に居てほしくって。たった少しの間過ごしただけなのに、死神なんて似合わないくらい世話好きな奴で。もし、「IF…」なんて切り出したら本当にきりがないけど。だけど、人間として会ってたのなら、いや、違うな。胸のもやもや。焦燥感。幸福に切ない感情。あたしは、あんな奴を。認めたくないけど、名前も教えられない関係の奴が
好きになってしまったんだ。
笑える、死神に魂取られる奴が、心まで奪われてどうするよ?あほだ、あたしは。普通、自分の命をとられるって奴に恋するか?ないないない、ありえない。
ふっと笑いが零れた。好きで、それでも好きで好きで好きで。仕様がないんです。
「出てって」とかいった瞬間後悔して、顔だってもうきっと見せてくれない。笑ってくれない。死神の癖に、料理が出来ること、携帯電話の番号をなぜか知っていたこと。穏やかな笑みで安心させてくれるところ。たった数日で何がわかるんだって言われるかもしれないけど。
もう、いらないような気がする。あと3日の寿命も、なんにも。別に、命が少し長くなったとしても所詮待つのは、死だ。もうどうでもいい、どうでも。そう思うと、なんとなく足がマンションの屋上へと向いた。なんだっけ?死のうとしている人ってなんかに呼ばれて踏み込んじゃうって言うけど本当かもしれない。向かう、ちゃんと玄関の鍵は閉めた。大丈夫。お父さん、お母さん。先立つ不幸をお許しください。でも、あたし本当に今、生きていても仕様がないと思うんです。寿命を全うしても、3日しかないんです。それに、あいつは死神だから。あいつの手を煩わせても仕様がないし、それとちょっとした嫌がらせ。自分の意志で死んでやるんだって。
びょおおっと北風が唸るように吹く。まじで「おいでおいで」ってされているような気分だ。呼ばれてる、この世もGOODBYE、バイバイ。友達。トウヤ。きっと会ったら泣いてすがってしまっただろうから、やっぱり顔を見なくて正解かも。泣いてお別れより、笑って、「あいつ良いやつだったなぁ」と思い出されたい。
手すりに手をかけ、第一関門突破。後は、飛び降りる度胸だけ。下を見るな。25階はさすがに長い。
一呼吸、大きく吸って吐いて。1歩2歩、空を踏み込んで落ちていく。落ちて落ちて、衝撃。
の筈だった。
のに、
「何で」
硬い地面に叩き付けられるはずの体は、死神の癖に温かい腕にキャッチされてた。
「自殺は1番重い罪になるけど」
「なん、で?助けてんだよ!!」
「勝手に死ぬな」
ぎゅうっと抱きしめられた。背中に腕を回していいかな?さっきまでの「死にたい」って言う気持ちが急にしぼんで来た。
「あんたには関係ないでしょ」
「勝手に性質の悪いのに気に入られて、自分の意思だと勘違いして死のうとする人間なんて馬鹿だ」
「関係ない」
「もう、無茶すんな。嫌な予感がして、見てたらこれだ。俺以外の奴に何とられようとしてんだよ」
生き物じゃないくせに、実態じゃないくせに。抱きしめられる腕は生暖かくて。この人は、この人を。あたしは。
涙が出た、あたしはこの人に会うため生きてきたんだ。大げさじゃなくて本当にそう思った、あたしを何だかんだいって助けてくれた。短い命でも全うしろと言ってくれているような気がした。そうだね、見ず知らずの奴らに魂、とられる位だったら。あんたがいい。名前も知らないけど、出逢って、本当に何日も経っていないけど。それでも、好きだ。
繰り返し繰り返しそう思うと、泪が出てきた。それに気づいてるのか気づいていないのか、目の前に居る奴は一掃強く抱きこむ。あぁ、あたし生きててよかった。
あのことがあってから、近くなれたような気がした。距離が1歩分傍に感じられた。あいつは笑った。頭を撫でてくれた。あたしは甘えて、幸せだった。タイムリミットまで後2日。あたしは、少しでも覚えていてほしくって他大勢の枠を壊したくって。喋った。思いつく限りの自分の想いや子供の頃のこと、学校のこと、最近のこと。全部覚えていてほしくてしゃべりまくった。
「死神ってさ、辛くないの?」
「何で?」
「人に死を運ぶ仕事でしょ?」
「言うねえ。辛くないよ。大事な人が誰かの手にかかって死ぬより自分の手でやったほうがよっぽど良いじゃん」
「それ、哀しいね」
なんだか寂しそうに見えて手を握った。そしたらしっかり握り返してくれた。胸ん中あったかいのと苦しいのとでいっぱいになった。
限りある命を大切に生きる。いい言葉だ。だけどあたしは。神様神様仏様。本当にずうずうしいお願いだってわかっています。願わくば、生きたい。1人でなくこの人の隣で、心を持った人であり続けたい。こんな優しい人、居ない。居ないのです。
「おはよう」
あたしの部屋の隅にマントを広げて寝ていた、あいつが言う。名前も知らず死んで行くのか。胸元の数字を見ると、1と書いてあった。終わりだ。今日1日で、あたしの人生に終止符が打たれる。この1週間、振られて始まって。最低最悪の死に方だなって自嘲していたけど。そうでもない、今になってそう感じることが出来ている。
「ナツ」
「何?」
「呼んでみただけ」
そういったのに、まだ寝起きのあたしの体を寄せて抱きしめた。
「どうしたのさ、いきなり」
「この一週間の仕事は、今までのどんな仕事より楽しかった」
言わないでほしかった。まるで恋人たちも睦言のように、優しくささやく声も。今日で聞き納めだと思うと、余計に嫌だった。
「そう、そりゃあ良かった」
ふざけるふりをして、おどけた笑いを浮かべようと思ったけれど、泣きそうな顔しか作れなかった。
「ナツは、死ぬのが怖い?」
死ぬのは怖い。だけどあんたと離れるほうがもっと怖い。
「あたし、死ぬんだったら遠くの海で死にたい。冬の海なんかじゃなくて、誰も居ない海で死にたい」
「それが、あんたの最後のお願い」
言葉にすると、零れちゃいけない言葉まで出てしまいそうな気がしたから、うつむいて2,3度大きく頷いた。
「いいよ、行こうか。ちゃんと俺の体に掴まってて」
がっしりと腕を掴んで。あいつは変な呪文を唱えて。最期だ、これが。そう思うと出てほしくない感情がぐるぐると喉のあたりを廻った。
「ここでいいの?」
眼を開けると、きれいな海。太陽が程よくさんさん照り付け、決して日本じゃなさそうな景色。
「ありがとう」
そういうと、あいつは嬉しそうに笑った。あたしは、その体に抱きつきたくて、がっしりと手を背中へ回した。
「ナツ?」
「もうそろそろ取って」
「着たばっかりなのに?」
「早くとって、そうしないと」
絶対に言葉が出てしまう。
「ナツ」
「ナツ」
何度も何度もあたしの名前を呼ぶ声。あたしは顔を胸に押し付けて、離れたくなくって。
「俺の名前、聞いてくれる?」
「え?」
「世界中で俺とナツしか知らない」
思わず顔を上げると、哀しそうな顔をしていた。
「ルーンだよ」
「ルーン?」
「そう」
「ルーン」
再び抱きしめられて、唇に掠めるようなキスをされた。それからどこからか、銀色のぴかりと光るナイフを取り出し、胸をいっきに貫いた。
血が出ない代わりに、丸いものが取り出されて、それからのことはわからない。
ただ、いつもどおりに朝、自分の部屋のベッドで起きた。あれ、死んだんじゃなかったっけ?ルーンはどこへ行ったんだろう。とっさに胸元を見てみると、数字がなかった。夢?んなはずない、思わず視線を落とし、自分の手を見ると左手の薬指にきらりと光る何かがはめ込まれていた。
「何これ?」
真っ赤に染まった燃えるような石。まるでルーンの眼の色のようだった。
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