つれづれなる徒然奇行

私的厳選本 クーンツ

ウォッチャーズ(上)
書籍名:ウォッチャーズ
著者名:ディーン・クーンツ
出版社:文春文庫

感想:
クーンツの代表作との声も高い人気作。久しぶりに本を読んで泣いたのだが、それは犬が出ているからではないと信じたい。
孤独な男・トラヴィスが子供時代をすごした森を訪れたことから話は動き出す。彼はそこで一匹のレトリーヴァーを拾う。
彼の知性を予感したトラヴィスは彼に<アインシュタイン>と名づけ、半信半疑ならがらも対話を試みる。すると、犬にはあり得ない知識をアインシュタインは示した!
その後、トラヴィスはアインシュタインがきっかけで出会った、美しい女性ノーラと恋に落ちる。ノーラはアインシュタインに言葉を教え、彼らはアルファベットピースで会話することが可能となる。そこで知ったのがアインシュタインの出生の秘密と、彼の恐れる敵・・・アインシュタインを憎む<アウトサイダー>の存在だった。二頭は<バノダイン>という研究所の実験動物だったのだ。が、二匹が逃げた現在、国家と組織が二頭を追っていた。

決してアインシュタインを手放さない。見捨てない。アウトサイダーに組織・国家から逃れるため、二人の逃避行が始まる。ノーラの弁護士ギャリソンから資金援助を受け、名前を変え二人は安住の地を見つける。が、耳に刺青されたナンバーのため獣医にすら行けないアインシュタインは途中病に倒れてしまう。すべてを知った獣医ジェームズ・キーンに命を救われ、キーンは数少ない味方となってくれた。

が、とうとう<アウトサイダー>がアインシュタインに追いついた。
アインシュタインが言葉を覚えたように(犬なのでしゃべれません)、アウトサイダーも進化していた。彼は人間の言葉を喋れるようになっていた。
共に研究所で生まれ、人以上の知識があるが故に二頭はマイノリティの孤独を持っていた。
が、アウトサイダーはその醜い容姿故に、己を憎み、研究員を憎み・・・同じ実験動物であるのに愛されるアインシュタインを憎悪した。
己の異質さを誰よりも知っているアウトサイダーは自分がいずれ消滅せねばならないことを知っていた。彼の憧れは<ミッキーマウス>だった。それはくしくもアインシュタインと同じ理由・・・「人々に愛される知的動物」であったから。彼は逃亡し追跡中ずっとミッキーの人形を持ち歩いていたのだ。
アインシュタインを切り裂き、アウトサイダーの追跡も終わった。アウトサイダーは生に疲れたのだろうか。生に絶望したのだろうか。孤独に耐えられなかったのだろうか。
逃亡中、アインシュタインはピースを並べた。

「二人と離れたら、ぼくはさみしくて死んでしまう」

ラストくらいはやはり明らかにしないほうがいいと思うので、あえて書きません。
アインシュタインが知的動物とはいえ「犬」らしくあったこと。知的動物であるが故に「愛情」深かったこと。二頭の実験動物が「孤独」だった故におきてしまった事件。
トラヴィスは幼い頃に家族を失い、軍人時代に一人生き残り、妻を亡くした過去を持ち、もう二度と人を愛さないと誓った。
ノーラは人嫌いの叔母に育てられ、学校にも通えず、対人恐怖症だった。
そんな二人の可能性の扉をアインシュタインが開いた。
すごく素敵な本でした。

スリル  ☆☆☆☆★
ロマンス ☆☆☆☆★
感動   ☆☆☆☆☆                    2006.06.28UP






ライトニング
書籍名:ライトニング
著者名:ディーン・R・クーンツ
出版社:文芸春秋

感想:

私の好きな漫画家に川原泉さんがいるのですが、その方が奨めていたので読んだ本。
クーンツの著作の中ではロマンス色が強いような気がします。(ほんのちょびっとですが)
主人公はローラ。…彼女の人生の転換期が舞台です。
たとえば。彼女が生まれたとき。酒乱の医者にとりあげられたばかりに不自由な身体になるはずだった彼女…。父の経営する店で強盗に殺されるはずだった彼女。孤児院で変質者の魔の手に絡め取られるはずだった彼女。
ピンチを救ってくれる一人の男性は、いつも若々しい顔をしています。それは、何故?
ここまで読めば「ああ、二人は結婚するのね?」と思うでしょうが、ローラの運命の相手は別にいます。しかし、ローラが他の男と結婚し、子供が生まれても彼はピンチのときは現れて助けてくれるのです。
この「彼」、すごく好みです。近くにいたら、腕いっぱいの薔薇の花束抱えて、こっちからプロポーズしたいくらい好みです。奥ゆかしすぎる!! 名前を読んだとき、「格好良い男は名前すら格好良い」と思いました。シュテファン・クリューゲル。格好良い名前じゃないです?
ジャンルは? と言われるとロマンスではありません。一番近いのは××ですが…これを書くとこの本の楽しみが減ってしまいます。書けませんが書きたい。でもネタバレにもほどがあるでしょう。苦悩!
私の中の二大SFホラー外国大御所作家の一人が彼で、もう一人がキングです。
どちらも映像化するならほとんどの作品がB級(そして絶対に単館上映すらない)になるでしょう(あ、私B級ファンです。一大娯楽映画ハムナプトラもB級ジャンルですよ)。けど、すでに上映されたキングの「グリーン・マイル」みたいに、この映画もイケると思うのです! その場合は是非、愛しのドルフ・ラングレン様にクリューゲル役をやっていただきたい。
貴方、映画館ではご無沙汰すぎます。


スリル  ☆☆☆★★
ロマンス ☆☆★★★
ドキドキ ☆☆☆☆★


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