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『氷河ネズミの毛皮』そして『水仙月の四日』 その2 私にとって「水仙月の四日」のほうが先に出合っていた作品(宮沢賢治ワールド)なので正直いって賢治さんが「氷河ネズミの毛皮」のような作品世界も描いているのは新鮮な発見でした。どことなくミステリアスな雰囲気を漂わせながら始まるお話しの世界。「ベーリング行きの最大急行」に乗るお客たちの描写。北極海方面に生息する野生動物の毛皮を目当てに乱獲に身をやつす人間たちの傲慢さ。この人間たちの身勝手さに怒れる動物たちの反撃。列車を強硬停車させ乱獲者たちを拉致しようと車内に乱入します。乗り合わせていた水夫の若者が済んでのところで拉致を阻止します。ここの描写が実にかっこいいのです。まるでアクション映画のワンシーンを連想させられます。青年は『おい、熊ども。貴様等のしたことは尤もだ。 けれどもな 俺達だって仕方ない。生きているにはきものも着なけぁいけないんだ。 おまへたちが魚をとるようなもんだぜ。けれどもあんまり無法なことはこれから気を付けるようにいうから今度は許してくれ。ちょっと汽車が動いたらおれの捕虜にしたこの男は返すから』 賢治さんが、さりげなく自然保護や文明批判をしている作品です。
2017.12.04
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『氷河ネズミの毛皮』そして『水仙月の四日』 その1 私の主催する朗読会で近々に取り上げようとしている宮沢賢治さんの2つの作品です。 先ずは氷河ねずみの毛皮からお話しの冒頭近辺にさらりと出てくるこの文章に心釘付けです。「(前略)ところがそんなひどい吹雪でも夜の8時になって停車場に行って見ますと暖炉の火は愉快に赤く燃えあがり、ベーリング行きの最大急行に乗る人たちはもうその前に真っ黒に立っていました。(後略)」時代背景を考え併せてみれば「超特急」も「ウルトラマン(超人)」という言葉も概念もなかった時代です。こうした時代に「最大(急行)」を思い描いたのです。「最大急行」という言葉に行きついた賢治さんです。最大急行の響きに賢治さんの感性の新鮮さ(特異さ)を感じます。「超・特急」ではなくて「最大急行」という発想をした賢治さんに改めて惚れ直します。 身の丈を超えたという発想でなく身の丈を直視つつその丈のギリギリであるところの最大。此の着眼点に畏敬の念さえ感じます。『超』ではなくて『最大』という発想や感性の世界が私を圧倒し魅了してやみません。しかも「べーリング行きの最大急行」というのもかっこいいじゃないですか。 10/1に左被殻出血をして脳内で血管がプッツンした私です。病気の再発に対してあなどらず注意深く日々の暮らしの在り方を見つめ直し作り替えようとしているとき『超』ではなくて『最大』という発想が脳卒中再発防止へのアプローチを底上げしてくれています。
2017.11.28
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