The door for the blue sky 

The door for the blue sky 

A PLACE IN THE SUN (5月)



その時彼女が何を考えていたのか、僕には解らない。

最後に彼女が見たものが何なのか、僕には知ることはできない。

確かにその瞬間、僕は彼女の事を思いながら窓の外の雨を見ていた。

その時間だけは覚えてる。

僕と彼女の世界を引き裂いた瞬間…6:15 a.m.


5月


 二人で、夜中の家を抜け出し夜の海を見に行った。

 彼女の家から少し離れたところにバイクを停めて、彼女を待っている間、僕は少しだけ幸せな気分だった。

 海までの道は、ガラガラに空いていて二人は風を感じながら海まで急いだ。二人の時間が僅かだと知っていたから・・・。

 夜の海を眺めながら、僕の肩にもたれて眠る彼女を起こさないように僕は、静かに打ち寄せる波を見ていた。

多分こんな風に、大人になっても過ごせると思ってたし永遠をその時は信じてた。

 彼女が目を覚まして帰る頃になると、彼女は寝ぼけた顔して「眠くないの?」って…。

「一緒にいるのに眠るのが惜しいから…」なんて、その時の僕には言えなかった。

 帰り道、タンデムシートに座って僕にしがみつく彼女のことを僕は愛しいと思った。

 でも今は、僕のバイクのタンデムシートに彼女の姿はもういない…









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